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下関市大に労基署が臨検
独法化で「公立」とはいえぬ労務管理
               大学運営正常化が急務    2011年2月16日付

  独立行政法人化している下関市立大学に1月28日、労働基準監督署の臨時検査が入るという、前代未聞の出来事が起きている。行政管理と切り離されて以後、同大学では事務職員(八割が非正規雇用)や教員がただ働き同然で残業していたり、賃金未払いになっていることが問題になってきたが、2年前には事務局長や担当職員の「呼び出し」「事情聴取」で済ませられていた。今回はそれよりも踏み込んだ「臨検」に発展している。市の出資法人である市立大学で、およそ「公立」とは程遠い違法な労務管理がおこなわれてきた実態が、少しずつ明るみになろうとしている。
 1月末、突然大学・経営企画室に労基署の調査が入った。関係者が呼び出されて尋問がおこなわれたほか、関係書類を提出させられるなど、職場は緊張感に包まれた。実態を調査する労基署側と、隠蔽に必死な管理者側の攻防が繰り広げられることとなった。
 その際、職員が勤務時間中にアクセスするパソコンのLOG情報(LOG―INした時間とLOG―OUTした時間によっておおよその勤務時間が把握できる)を隠蔽したこと、後に隠蔽を担当した職員が植田事務局長たちから「お手柄」として褒められたのが伝播し、2月に入って再び「LOG情報を出せ」と労基署がやってくる顛末にもなっている。
 「臨検」が終わってからは、特にキャリアセンターの職員を早めに帰宅させていることが話題になっている。賃金未払いその他、労務管理の違法性が確定した場合、管理者の刑事責任(懲役6カ月以下もしくは30万円の罰金)が問われることになる。「学長、学部長はむしろ理事長、事務局長に支払うよう働きかけているのが実態で、責任を問われるのは松藤理事長と植田事務局長以外にいない」「この際、大学経営にまつわるウミをすべて出して、一から正常化をはかった方が良い」と大学関係者のなかでは語られている。
 これまで事務職員の過酷な勤務実態は公然の秘密とされてきた。能力給が導入されて残業がマイナス査定に作用することもあるが、「君はボランティアで残っているんだよな!」などと念押しされたり、処罰で丸坊主にさせられたり、恣意的な降格人事がおこなわれたり、恫喝されるのとセットで、誰もが語るに語れず放置されてきた。社会的にも黙殺されてきただけに、実態解明が急がれている。
 同大学の職場では、昨春に市が専門職員を引き上げて以後、50人近くいる職員のなかで正職員が「十数人」と僅かになった。有期雇用の契約社員ばかりになり、3年の契約期間が過ぎると「みなと」の派遣社員に切り替えられるなど、非正規雇用が蔓延してきた。そして、入試業務をはじめ図書館の図書の整理が長期にとどこおったり、大学運営の業務について継承性がたたれ、業務のマヒもおきている。
 職員体制でみると、プロパーと呼ばれる正職員のなかには銀行退職者や東亜大学からの「輸入職員」も多く、隣接する東亜大学“櫛田体制”を真似ていると語られている。また、唐戸に出した同大学のサテライト・オフィスに、植田事務局長の盟友で市議を落選してあぶれていた人物をつけ、職を斡旋するなどの人事にも異論が噴き出している。
 行政の監督が薄れたことで労務管理のデタラメさが野放図になってきたこと、管理者による私物化が進行したことが問題視されている。
 効率経営によって昨年度は1億5000万円もの当期利益を出し、4200万円ものグラウンド整備に散財するなどした。夜遅くまで大学のために働いている職員が、年収200万円にも満たない給料で身を粉にしている一方で、重役出勤の天下り役人には1600万円の報酬が保証され、数千万単位の不可解な工事は突発的に発注されたりする。働く者への支出はもったいないと渋り、散財には目がない体質にも特徴がある。すべてにおいて支出を削減しているわけではなく、工事などの支出には熱心である。
 下関市には同大学に2000人をこえる学生がいることで、毎年約5億円もの地方交付税が支給されてきた。しかし長年にわたって一銭も運営費を支給されず、独法化してようやく1億〜2億円ほど支給されはじめた。無支給時代を30年間として単純計算しても、総額にして150億円近くが大学運営ではなく、その他の市の箱物資金などに流用されるという、いびつな構造があった。大学を人材育成にあたる教育機関としてではなく、5億円の打ち出の小槌と見なす体質が、その後のいい加減な管理運営にもあらわれている。
 市立大学が独立行政法人化して、理事長には水道局長だった松藤氏、事務局長には部長級だった植田氏が退職後に天下り、それぞれ報酬1600万円、1200万円をもらいながら管理してきた。
 3月で任期が切れるなかで、次なる理事長には同じく現水道局長が天下り、総務部長が水道局長に天下るといった人事案がささやかれたり、あるいは北九州大学の関係者を理事長ポストに就けようといった願望が飛び出したり、ポスト争奪戦が活発化している。
 いずれにしても、市が30億円を出資し、年間約2億円の運営交付金をおろしている市立大学で、なぜ教育について何もわからない天下り役人の傲慢なる私物化がまかり通ってきたのか、調査特別委員会を立ち上げて解明すること、労務管理に限らず大学運営をすべてにおいて正常にすることが求められている。理事長の任命権は中尾市長がもっており、中尾市長がただのトップの首だけかえて大学の機能は崩壊するにまかせるのか、注目される。

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