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用紙代まで父母から徴収
下関市の教育予算
                 利権と遊びに予算使う市長    2004年12月18日付

  社会に役立つ子育てるための義務教育無償
 子どもを育てる親たちは、子どもが明るく元気に学校に行ってくれることを望んでいる。ところが多くの親たちが、子どもたちが毎月持ち帰る集金袋を見るたびに心を重くしている。親たちは、子どもに肩身の狭い思いをさせまいとして無数に並ぶ項目の毎月1万円近いカネを子どもに持たせている。子どもたちを育てることはそれぞれの家庭の仕事であるが、それだけではなく未来を担う民族の子として育てる事業である。したがって、義務教育は国が責任を持ち、無償とされてきた。ところがいまでは、「受益者負担」「自己責任」が進歩などといって教育予算をどんどん削っている。それはたんにカネだけの問題にはとどまらず、社会に責任を負う子ではなく自分勝手な子をつくることにつながっており、深刻な荒廃をつくることにつながっている。とりわけ安倍元幹事長のお膝元で江島潔市長がいる下関市は、全県でも突出した教育貧困市となって、来年合併予定の豊浦郡の小・中学校をはじめ、よその市町の教育貧困化を促進する役目をはたしている。
 
  自分勝手の荒廃作る自己責任
 下関市内では給食費、校納金が払えない家庭がふえており、子どもたちの心を暗くさせている。共働きの家庭でも「お金ができたらすぐに払いますから、校納金はもう少し待ってください」との電話を学校にかけることも珍しくなくなっている。
 小学1年生を筆頭に3人の子どもをかかえる母親は、夕方五時に仕事を終え、子どもを保育園に迎えに行く。夕食を食べさせて風呂に入れて、やっと落ちついたと思って1年生の娘の連絡帳に目をとおすと、「あした軍手とスコップを持って来てください」と親へのお知らせ。突然のことで「100円均一」で買ってどうにか間に合わせたが、「学校できちんとそろえたらいいのに……ない子は買わないといけない。そろえられない子はどうするのか」と思うことがしばしばだ。
 学校によって違いはあるが、ある小学3年生で学校から持ち帰る2枚の集金袋にはたくさんの項目が並んでいる。1枚目の封筒には、PTA会費450円、給食費4300円、維持費200円、科学振興費50円の項目が並び合計5000円。2枚目の封筒には学級費170円、教材費2530円の項目で2700円。2つ合わせて7700円を学校に持って行かせた。
 そのほかピアニカ、習字道具、裁縫道具、リコーダー、彫刻刀など2000円から3000円のものを購入しなければならない。兄弟がいてむだが多いとわかっていても買うことになる。「市販で買えば安いが転校生みたいと思われたらいけないから…。学校のものだけは最低限みんなと同じものをそろえようと努力している」と、親は子どもにつらい思いをさせまいと必死である。子どもを学校に行かせるだけでなんと出費の多いことか。

 内訳を見れば驚く様な項目 「生徒活動費」等
 ところでこれらの項目はなんに使われているのか。「生徒活動費」「教育振興費」などといっても、父母にとってはなにに使われているかわからない。これを学校関係者に聞いてみた。
 ある市内の小学校では、給食費、PTA会費と別に学級費を月に150円と教育活動費40円、施設整備費60円を徴収している。そのお金は用紙代や、学校廊下などの掲示物のための画用紙、うさぎのエサ代や花の苗などの購入にあてられている。県内の学校に聞くと、「用紙代」という名目では、徴収できないことになっているので、別の名目になっているのだという。
 別の小学校では、給食費、PTA会費と別に「学級費」の名目で、印刷、用紙代を徴収し、さらに教育後援会費月300円(年間3600円)と教育振興費100円を徴収している。それは、ニワトリ、うさぎ、インコのえさ、職員机・職員ロッカー、カーテン代やトイレの鍵の修理代など、うちわけを見ればあっと驚くような項目が並んでいる。なんと「トイレットペーパー代」も徴収していた学校もあった。
 年度末に学級費のうちわけが配られ、「リソグラフ(印刷)代、コピー代、用紙代」の項目を見て、注意深く見る父母は、はじめてお金の行き先がわかる。
 事務職員も必死で工面してなんとか父母負担をへらそうと努力している。だが「用紙代を公費でまかなえばほかの教育活動ができなくなる」とすまなさそうに話していた。
 中学校でも「教育活動費」あるいは「校納金」「学級費」「諸経費」「その他」などなんだかわからない項目で、300円、450円と徴収し、それは印刷代や用紙代その他の消耗品を父母負担にしている。用紙代を公費でまかなっている中学校では、理科の実験道具や社会の地図など、今度は教材備品の購入にしわ寄せがくるのだという。
 教育委員会は「できるだけ、消耗品費や教材備品費を父母から徴収するな」との指導をおこなっている。口でいうことは立派で実際にやることは別、本音とたてまえの使い分けを教える模範を実行している。
 下関の教育予算のなかで、とくに用紙代や印刷代などの消耗品費の削減がひどい。小学校33校にたいして、2000年度には1億667万円あったものが、2001年には3090万円のマイナス71%の大削減、今年度は昨年度比八%マイナスとなり2960万円となった。「学校は消耗してはならない」というわけであり、「子どもたちが元気を出してはいけない」という指導をしているわけである
  
 
 「教育費出せ」の運動を 突出する下関の予算削減
 全国的な教育費削減の流れは共通している。豊浦郡内をはじめ山口市、美祢市、防府市など県内の市町のほとんどは、消耗品費の一部である用紙代、印刷代などは公費でまかなっている。下関市の教育費の削減は、飛びぬけているのだ。これが合併で、程度の悪い下関市が豊浦郡に合わせるのでなく、豊浦郡を低い下関市に合わせることになる。
 中学校の部活動でも、下関市と豊浦四町との差は大きい。菊川町は部活動の選手派遣費として150万円ほど出ている。町外の試合に参加するときのバス代になっていた。豊浦町や豊北町も、全員が参加する試合の交通費や貸し切りバスへの補助が出ている。合併すれば下関に合わせることになるが、各校に10万円ほどしか予算がつかなくなる。
 下関は「自己責任」で、親が大きな車に数人の子どもを乗せて現地に行き、高速代、ガソリン代を割勘する、電車やバス代もそのつど子どもに握らせる。または、「教育後援会」「体育充実費」という項目で徴収し遠征費にあてている学校もある。
 交通費の親負担は、とくに不便な山間部ほど重くのしかかる。心身ともに鍛錬の場となってきた部活動も、いまや「金次第」である。そして大会に行かれない生徒やクラブ活動に入部できない生徒も出て、子どもに不平等が生まれている。
 学校の施設でも「昭和40年代のものか?」と思われるほどの、生徒が使ういすや机がある。また下関の学校のトイレが見事に壊れたままになって、子どもが安心して用便もできないところが多い。さらに下関市の事務室には、事務管理用のパソコンが設置されていないことも、県内の市町との大きな違い。
 これを見かねた親たちが、PTAを中心として廃品回収やバザーで教育費をねん出する活動がふえている。ある中学校では、教育予算の削減をきっかけに、苦肉の策として今年2月から廃品回収をはじめた。今後は自治会も巻きこむことも考えている。こうしてねん出した金で、修繕してもらえない校舎の整備代や部活の遠征費、図書費などにあてている。「民営化」「株式会社化」などの文句がはやっているが、学校が寄付集めやゴミ回収業に乗り出し、学校はなにをするところかわけがわからないところになっている。
 今年度の小・中学校費は21億9800万円で四年連続のマイナスである。あるPTA会長は、「下関は教育費を削減というより、出さないのだ! すべて利権事業の裏金などに回している」と語り、教育費を増額させる運動を地域とともに起こしていきたいと考えている。
 国自体が教育予算を削減しているが、下関市の教育予算が極端に低いのは、教育費としておりてくる地方交付税を教育に回さないでさらにピンハネしているからにほかならない。壇ノ浦に義経の碑をつくったり、馬関戦争で使い物にならなかった長州砲をつくったりするなら、教育になぜ回さないのか。それ以上に、外務大臣も顔負けするほど海外旅行したり、あっちこっちの利権事業に使うために、教育費を巻きあげている関係である。
 市民は、子どもの教育費を巻きあげて、バクチに使ったり、遊びほうける「親」をかかえているような印象を持たざるをえない。親たちの生活は、江島市政の全国先駆けてのダンピング入札などで圧迫されたうえに、教育予算もピンハネされるというのでは、「児童虐待の非行市政だ」の声も上がっている。
 市長選が近づくなかで、全国一のゴミ袋代を引き下げることはもちろん、下関の子どもたちのまともな教育のために、小・中学校の教育費の実情を調べあげ、要求を突きつけていく運動をはじめようとの声が強まっている。

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