トップページへ戻る

市民生活犠牲に箱物利権
下関市来年度予算案
             意図的な下関の疲弊化    2007年3月7日付

 下関市・江島市政が来年度予算案と84議案を市議会3月定例会に上げた。市民財産を2束3文でたたき売ろうというあるかぽーと開発関連議案の再提出にはじまって、総事業費に約23億円かける市立水族館・海響館のペンギンハウス(三菱重工利権)、約11億円の犬猫安楽死施設の建設、安倍実兄企業への落札取り消しとなった約150億円もの社会教育複合施設の再入札、新市庁舎の建設構想、梶栗駅舎建設や、下関駅ビル開発関連予算(JRへの利益誘導)など箱物が目白押しだ。その分は市民への負担増とサービスの切り捨てでまかなうことになっている。さらに使い道がなく米軍誘致になることも予想される人工島や、下関に対する「着上陸攻撃」から「核攻撃」まで想定した国民保護計画を出すという薄気味悪さ。そして関門特別市と称する北九州への身売り。江島市長は安倍総理の「美しい国」づくりの一翼を担う(6日、市長施政方針の演説)のだといったが、箱物利権事業のごり押しで、市民生活を食いつぶし、あげくは下関を戦前のような要塞都市にするものと見られる。

 農林水産費は大幅削減 予算案の特徴
 来年度予算の特徴は、一般会計が1097億2300万円で、前年度対比で3・8%減。特別会計は1257億4500万円で8・8%減となった。しかしこの予算規模の減少にもかかわらず、箱物だけはしっかりと盛りこんだ。基金は、17億8300万円を取り崩し、このペースで使っていくと10年程度で底をつく。市債残高は本年度末には1162億円になる見こみで、一般市債のほかに公共下水道市債、港湾市債などすべてひっくるめると、借金の総額は2000億円に届く勢いだ。
 一般会計予算の歳出項目を、目的別に分類すると@議会費、A総務費、B民生費、C衛生費、D労働費、E農林水産業費、F商工費、G土木費、H消防費、I教育費、J災害復旧費からなっている。
 @、Aはほぼ前年度と比較しても横ばいであるが、総務費のなかにJR梶栗駅の整備や「下関駅にぎわいプロジェクト」、長府駅周辺地区整備の実現にむけた関連費用として約2億6500万円をつけた。B民生費は9億円超の大幅アップ。「障害者自立支援」とかかわった施策が課せられたのと、彦島に児童館を建設する費用として1億2800万円、豊田町の保育園建て替え費用として2億2600万円が加わったことによる。一方、生活困窮者の最低生活を保障するための扶助費は5000万円削減。老人休養ホーム費は「満珠荘休館」にともなって約1億円を削減した。
 C衛生費は18年度に14億円を計上していたし尿処理施設の建設費用が消えたことから前年度比マイナス8億7600万円となったが、あらたに犬猫安楽死施設の1部建設費用として3億2000万円を計上した。結核対策費や環境衛生費、公害対策費など、細かい分野で予算カットとなっているのが特徴だ。
 削減額が5億3600万円に及んだのがE農林水産費だ。そのうち農業・林業関係では農地費が1億4000万円減、林業費が3400万円減。水産業費は3億2700万円減となった。詳しく見ると、矢玉漁港や小串漁港の事業が終わったことで、漁港建設のための費用が1億4000万円減。水産業振興費用が1億6800万円減となった。
 F商工費が8億6000万円アップしたのは、海響館の増設にともなって9億6000万円を計上したことによる。そのほかの分野からは1億円が削られた。G土木費は6億8000万円減少した。 
 I教育費は39億円の削減となった。小学校の建設費用が1億円減。中学校では川中中学校をつくるための用地取得や造成などが終わって学校建設費用がマイナス20億円。その陰で教材整備推進のための費用が5000万円減。市立大学が独立行政法人化に移行するのにともなって大学費が19億円減少となった。
 ちなみに公債費131億円のうち利子だけで23億5000万円になる。下関市が箱物事業で市債を発行した場合、資金を融通するのは山口銀行などの金融機関である。JR駅舎にも負けず劣らずの利益確保であり、銀行が内需拡大政策で息を吹き返す由縁だ。

 外資誘致や特別市構想 市長施政方針
 6日にもたれた市議会本会議で、江島市長は「市政運営に臨む所信の一端」を表明した。最近は人相も様変わりであることが市民のなかで話題になっているが、表情はゲッソリしてさえない。
 そのなかで、海響館には「市民に親しまれた」ペンギンをメインに施設を増設すること、社会教育複合施設の再入札、JR梶栗駅舎や下関駅ビルの開発を進めていくこと、「動物愛護施設(犬猫安楽死施設)」は平成21年春にオープンさせる。新庁舎の建設は候補地の選定などを今後進めること、あるかぽーと地区では民間開発を促進させるのだと、一連の箱物プランや市有地売り飛ばしにむけて、再度推進姿勢を明確にした。
 その他、企業誘致については、投資環境を「国内外」に広くアピールしていくとし「外資誘致」をほのめかし、まちづくり3法の改正を踏まえて新たな下関市中心市街地活性化基本計画を作成すること、教育分野では、市立小・中学校の再編を来年3月の最終答申をへて動き出させること、教職員研修の体系構築や、中学校2、3年を35人学級にするために非常勤講師の配置を継続することなども表明。沖合人工島は「多目的国際ターミナル」供用開始にむけて整備促進を図り、貨物の鉄道輸送とつなげて、幡生ヤード跡地における鉄道貨物ターミナル事業の実現に向けて協議をすすめるとした。
 また、施政方針の最後には、道州制論議の進行に触れ、関門地域(北九州)の連携を強めていくと「関門特別市構想」への意欲も見せた。

 戦場となることも想定 国民保護計画も
 今回の市議会には、以上のような細細の利権事業のほかに、武力攻撃事態にそなえた「下関市国民保護計画」が123ページにもわたる文書として報告された。国民保護法によって各自治体がとりまとめることを義務化されたものである。
 「敵」の着上陸侵攻、ゲリラや特殊部隊による攻撃、弾道ミサイル攻撃、航空攻撃、核兵器・生物兵器・化学兵器などを想定して、市各部局が自衛隊や県警、関係機関と連携していかに動くか、避難方法、連絡方法などを詳細に記した内容になっている。江島市政はさっそく六連島で実働訓練をする方針を明らかにしている。
 下関が攻撃をされ、戦場になることを想定して、総動員体制をとるという事態に市民は連れて行かれているのである。着上陸作戦を戦後62年間やっているのは米軍である。国際的な目から見た常識は、日本に米軍がおり、自衛隊がその下請をして、各地に戦争を仕かけているから恨まれる関係である。江島市長は米軍に出ていってくれというのとは逆に、人工島などに米軍を誘致する思惑を持って戦時体制に熱を入れていると疑わざるを得ない。

 要塞化へ連なる暴走劇 愛宕山と同じ構図
 江島市政への批判世論が吹き荒れた市議選が終わり新しい市議会がはじまった。そこにさっそく暴走気味であらわれることとなった。大小さまざまに市民と敵対する政策を実行してきたわけだが、市民のなかに渦巻いているのは、怒りと同時に、この暴走劇がどこに向かっているのかという疑問である。
 市民が「やるな」といっている箱物やあるかぽーと計画は強行し、存続を求める満珠荘は切って捨てる。国保料は最高限度額を再度引き上げ、市県民税は上がる一方。生活保護の引き剥がしもひどく、80代の老婆にまで「働け」という始末だ。電子入札導入や地元業者排除で中小企業は倒産が相次ぐ。市民生活の困窮がひどくなるのとは裏腹に「市財政はボクの金」といわんばかりの巨額利権がうごめく。人間を大切にしない市長が、犬猫の死に方やペンギンの住み家など心配するわけなどないのだ。こうして、圧倒的な市民が感じているのは、ろくでもない市政だという実感である。
 箱物オンパレードで市財政を食いつぶした先に見えているのが「関門特別市構想」、すなわち北九州市への身売りにほかならない。
 また身売りでいうと、市が港湾会計に大借金させて進めた沖合人工島も利用目的がなく、日本沿岸を物色している米軍が「国際ターミナル」として利用することも十分考えられる情勢だ。北朝鮮の核実験騒ぎで軍事衝突を誘発する臨検港として下関が候補に上がったほどで、現在のところ商業的なターミナルとしては博多港が整備され、北九州市にも響コンテナターミナルが整備されている状況のもとでは、およびでないのが現実となっている。
 市財政の大きな重荷である人工島建設の借金は、目的もなく建設だけ進めてきた意味深な存在となっている。これが幡生ヤードに整備するターミナルとつながり、巨額の資金をぶちこんだ北バイパスで、高速道路と連結していく動きである。まさに、岩国の「愛宕山開発」そっくりの構図で、防衛施設庁による買い取り、米軍の誘致にも進む可能性が予想される事態となっている。

 諸要求の運動大合流へ 根っこは1つ
 先の下関市議会議員選挙は、安倍総理代理の江島市政とその与党議会に風穴を開ける結果となった。市民に聞く耳のない圧政と下関の食いつぶし、市民生活の破壊に奔走してきた安倍・林事務所直系の江島市政に対して、市民生活を守ろうとする市民世論は、大きく燃え上がり、江島市長擁護派は軒並み凋落。市民の力が議会の構図を変えるものとなった。
 市民のなかでは、あるかぽーと開発に反対し、文化会館建て替えなどに象徴される市外発注の市内業者排除、満珠荘閉館やJR梶栗駅などを税金と住民寄付でつくることなどに反対する、さまざまな世論と運動が起きている。これらそれぞれの、具体的な要求を掲げて運動するとともに、それら全体を結びつけ、1つの運動として合流していくことが求められている。
 これらの諸問題は根っこは1つである。市民生活を食いものにして箱物利権に突っ走り、わざとでも第2の夕張のようにして破産させ、下関を北九州に身売りすること、下関をさんざんに疲弊させることによって、外資の進出を歓迎し、はては米軍・自衛隊まで誘致して戦前のような要塞都市にし、市民を米軍・自衛隊の弾圧下におくことすら現実になりかねない方向である。諸要求の運動は、これらの貧困と抑圧と売国と戦争の道に反対する方向で大合流させることが必要となっている。

トップページへ戻る