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新博物館計画を継続審議
下関市議会総務委
             廃案へ市民世論結集を  2005年6月25日付

 下関市がPFI事業ですすめる新博物館建設について22日、市議会総務委員会(中谷紀由委員長・18人)はひきつづき審議をおこなったが、賛否の採決をしないで継続審査とすることを、9対8の賛成多数で決めた。江島市長が求めていた6月本会議の可決は、地元長府からの見直しを求める陳情や、白紙撤回署名が1万人近くにのぼるなど、市民世論の高まりに押し止められた形となった。しかし世論は圧倒しているのに、人数が多いだけの巨大市議会に反映されなかったことも、浮き彫りとなった。展示内容も決まらず巨費を投じる疑惑だらけの新博物館計画は、廃案になったわけではなく生きており、ひきつづき市民世論の結集が求められている。
 総務委員会の様子は、市役所一階ロビーのモニターに映し出され、長府の住民や「白紙撤回を求める会」のメンバー、市関係者など多いときで20人以上が、食い入るように見守っていた。長府の年配男性は、「市民から陳情書が出されたからには、経過がどうなっていくのか、知りたいと思った」と、市議会の先生方の一挙一動を、一瞬ものがすまいという気迫で、モニター画面を見つめていた。
 審議は17日につづき、この日は2時間をこえて計5時間かかった。はじめに市当局から、長府商工振興会(金田満男会長)など3団体の会長から、「団体名でなくそれぞれ個人的な」立場で出したとされる、予定地への早期建設を求める要望書について、説明がおこなわれた。どの立場から出ているのかハッキリしない要望について、さっそく議員から質問が飛ぶと、市当局からは「組織の合意としてか、個人の立場かはよくわからない。振興会は商業、工業両部長の了解をとっているようだ」と、しどろもどろの回答だった。
   
 “反対が過半数”を覆す
 議員から質疑のなかで出されたのは、否定的な意見ばかりだった。「地元の自治会に説明もせずに、市民の理解は得られない」「博物館として理念がわからない。具体的なことがない」「PFIにすれば二割安くなるはずが、建設費は予定より5億円多く2割ふえているのはなぜか」など質問がされたが、明解な回答はなかった。天下りの野村宗成・市総合政策部長は、「土地と建物は切り放すべき。総務委はPFIについて審議してもらえばいい。土地のことは、平成4年に取得したときに、論議をしておかないといけないもの」と、ああいえばこういう式のいいまかし答弁を展開した。だが市民からそっぽをむかれている立場だけが浮き彫りとなった。
 「白紙にもどすなど、民意を踏んだ判断をすべき」「異様なガラス張りの建物は、長府の景観にあっていない」との意見にたいしても、市当局からは「(設計者は)海外のデザインもされており、審査も受けている」「絶対にかえられないということではない。しかし城下町の土塀にしてということはできないし、それではPFIによる民間活力の導入にはならない」(江島市長)と、見直しはできないとの対応であった。堂堂めぐりの審議であり、議会側から「挙手による採決をしよう」と提案がされた。与党の自民クラブから「反対が過半数をこえた」と情報が流れており、ロビーのモニター前も当然、否決するとみなす空気であった。
 ところが元豊北町議会議長の小山和委員が、「地元では賛成、反対と2分している。決めかねるから、継続審議を」と提案。これが認められ、5時間のあいだほとんどだまっていた旧郡部出身の市議を中心に、賛成多数となり賛否の採決はとられず、新博物館計画は生きのびることとなった。
 市議関係者のあいだでは、「小浜議長の寝技にひっかかった。新博物館の空調設備は、山口合同ガスで決まりだ」「元安倍代議士秘書の佐伯副議長が、ひっくり返した」と語られている。これについて佐伯副議長は、「執行部が大丈夫だといえば、信じるしかない。憶測で審議をしてはいけない。ひっくり返したとかそんな問題ではない。もともと旧市議会が片をつけておかなければいけないことだ」という立場。見守っていた市民のあいだからは「あれだけ論議しているのに、市議会として体をなしていない」「市議会は数が多いばかりで、江島市長がおかしいことをしてもチェック機能がないなら、リコールしかない」と声が上がった。
   
 金田元市議の独走に疑惑
 「継続審議」となったことに、長府の住民のあいだでは「地元が賛成と反対で二分しているというが、どこに賛成した人がいるのか」「金田会長があそこまで世論を無視して、なぜ突っ走るのか」と、疑問がわき上がっている。自治会や長府商店街で「白紙撤回を求める署名」がとりくまれ、署名簿はつぎつぎと広げられ集約がはじまっている。地元自治会がアンケートの結果、市議会と市長あてに陳情書を提出しており、住民のあいだで協力の輪が広がっている。
 長府観光協会の磯部正明会長、長府商店街協同組合の緒方聖雄会長のもとには、「みんなに相談もなしに、名を出すべきではない」など声が寄せられている。「彦島がし尿処理場の見返りに、博物館誘致をしているといわれた。長府に置くべきだという思いで、ちゅうちょしながら個人的に印かんを押した」と、22日の総務委にむけた急な「要望書」がつくられたと語られている。金田会長は「以前、彦島から要求があったということで、いまの話ではない」とした。
 「息子の金田直樹市議がハレンチ騒ぎで辞職勧告決議を受けたときに、延命装置をつけてもらった市長と議長にたいするお礼か」との疑問が上がっていることにたいしては、金田会長は「そんなことはまったくない。わたしが現職のときに、議会でいいつづけてきたことで、息子のこととは関係ない」とコメントしている。

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