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深刻な食料危機招く日本
国内農業破壊で自給率39%
            世界的な食料危機が進行    2007年12月14日付

 トウモロコシや小麦など穀物の国際価格の高騰、米国産牛肉の狂牛病(BSE)、鳥インフルエンザなど家畜伝染病の世界的なまんえん、世界各地で頻発する異常気象による減産、発展途上国への米日欧の資本進出の激化による農地の減少など、近年世界的な食料不足の危機が現実的な問題としてとりざたされている。そのなかで、世界最大の食料輸入国である日本はとりわけ重大な危機に直面している。日本の食料自給率は今年40%を切った。「安い外国産を輸入すればよい」として、国内の農業を壊滅的なまでに破壊し、アメリカ産農産物の市場としてきた戦後の売国農政が暴き出され、「日本の農業と食を守れ」という生産者と消費者が団結した行動が全国でまき起こっている。

 小麦も大豆も国際価格高騰
 世界の穀物需要量は1970年の11億dから07年の21億dへ1・8倍に増加している。これは、世界人口が1970年から05年のあいだに、37億人から65億人へと、発展途上国を中心に1・8倍に増加していることなどによる。
 他方で穀物生産の基礎となる収穫面積は、1960年代以降横ばいとなっている。農地開発がおこなわれる一方で都市化が進むなど、1年間に日本の耕地面積を上回る500万fの農地が失われている。このため世界で1人当りの収穫面積は1962年の20・8eから03年には10・7eへとほぼ半減している。
 世界の穀物の需給動向では、期末在庫率は1999年の31・6%から06年の16・4%に、07年には15・0%に低下し、食料危機といわれた1970年代初めと同水準となっている。国連食糧農業機関(FAO)が定める安全在庫水準の17〜18%も下回っている。
 小麦では、需要量は1970年の3・3億dから06年の6・2億dに増加。生産量は02年のアメリカ、カナダ、オーストラリアでの同時不作、03年のアメリカでの高温乾燥、06年のオーストラリアでの大干ばつなどで減産が目立ち、期末在庫率は、00年の35・5%から06年には19・6%に低下、FAOが定める安全在庫水準の25〜26%を下回っている。
 トウモロコシの需要量は、人口増にともなう飼料用の需要が増大するとともに、バイオ燃料用の需要が急増し、世界全体では、70年の2・7億dから06年の7・3億dへと2・7倍に増加。この急激な需要ののびに生産量が対応できず、期末在庫率は安全在庫水準を下回っている。コメも需要量は70年の2・1億dから06年の4・2億dへと2倍に増加している。生産量は02年に中国とインドの大干ばつで大きく減産。期末在庫率は00年の37・7%から06年には18・0%へ低下している。 世界的にひっ迫する農産物の需給関係は、農産物価格の高騰としてあらわれてくる。また、農産物輸出をおこなう国は、アメリカや北南米地域やオーストラリアなどに集中・限定されており、農産物の国際価格はこの地域の豊凶に大きく左右され変動が大きい。06年のオーストラリアの干ばつによる小麦の減産、アメリカのバイオエタノール需要増加によるトウモロコシの増産とそれにともなう大豆の減産などにより、農産物価格は高騰している。また、近年はマネーゲームの対象として穀物に余剰資金が投機されており、国際価格の高騰を引き起こしている。
 今後世界の農産物需要の見通しは、現在65億人の世界人口が2050年に92億人へと1・4倍に増加する(国連見通し)のをはじめ、バイオ燃料需要の増大などにより大幅に増加すると見られる。他方で生産量では、収穫面積が発展途上国での工業化、都市化の進行などで拡大は見込めず、単収ののび率も鈍化し、異常気象が農業生産に及ぼす影響も懸念され、需要の増大に追いつかないと見られている。
 このため、農産物価格について国際機関は、コメは五割上昇、トウモロコシは六割上昇、小麦は3割上昇、油糧種子は2割上昇すると予測。さらにバイオエタノールの需要増や、異常気象、などの価格高騰の要素が加わる。しかも世界の在庫率が急速に低下しており、「今後10〜20年で需要と供給の均衡点に変化が起こり、さらに価格が上がる可能性がある」と警鐘を鳴らす見方もある。

 卵や肉類消える危機も 飼料が足りず
 世界的に農産物の需給がひっ迫し、国際価格が高騰するなかで、日本は食料の6割以上、穀物は7割以上を輸入に頼っている。食料自給率の低下は、戦後急速に進んだ。1960年には79%の自給率であったものが、06年には39%まで落ちこんだ。他国の自給率と比べると、イギリスは70年の46%から03年には70%に向上。フランスは130%、アメリカ119%、カナダ120%、ドイツ91%、スペイン90%、イタリア71%、「韓国」47%であり、先進国のなかでは最低である。
 専門家は「世界の穀物市場は2000年を境に供給過剰から生産不足に転じた」「基礎食料の穀物はあくまで国内向けが優先されるもので、余剰分が輸出として国際市場に供される。小麦などの穀物は生産量に対して貿易量は10〜20%と少ない。おもな輸出国はアメリカ、カナダなどかぎられた国で、輸入国も日本、中国などアジア諸国が中心になっている。世界的な不作時には、国際価格は高騰する」「近年の食料価格が著しいなかで、日本が独占的に容易に輸入できた状況から、入手競争に負けることが多くなった」と、食料危機の時代に突入していることに警鐘を鳴らしている。
 政府は2001年に「21世紀に現実味を帯びる食料危機に対応する」ためとして「不測時の食料安全保障マニュアル」を出した。マニュアルの試算によると、輸入が完全に途絶えた最悪の場合、国民1人当り1日2020`iを供給目標とするとしている。具体的には、「米飯は朝夕茶碗1杯、3度の食事の主役はイモ。おかずは夕食の焼き魚1切れ程度」を目安にする。これは、1945(昭和20)年代の水準である。試算では、最初に食卓から消えるのは鶏卵と肉類。鶏卵は年間17`の供給がわずか2`となり、肉類の供給も半減、乳製品も四割減となる。これは牛肉1`を生産するのに穀物7`が必要であり、現状ではほぼ輸入に頼っている。輸入がストップすれば穀物を家畜の飼料に回す余力はなく人間が直接食べるだけに回す必要からである。主食はコメの供給は68`とほぼかわらないが輸入依存の小麦は5割以上減の16`、かわって面積当りの収穫量の多いイモ類を4・5倍の96`としている。
 政府が「不測の事態」としているのは、「これまでは輸入先国の不作による生産減少や輸送手段の不全など想定されてきたが、近年ではグローバル化などにともない、特定国で発生した病原体などが世界規模で蔓延」と想定している。BSEは03年にアメリカ、鳥インフルエンザはタイで04年に発生し、輸入を停止した。このほか「地域紛争による貿易の混乱」「地球温暖化による農業生産の減少」をあげており、きわめて現実的である。

 45年間で約8割も減少 農業従事者
 日本の農業生産力は戦後急激に破壊されてきた。1960年に1175万人であった基幹的な農業従事者は、05年にはわずか224万人と約8割も減少した。同じ期間に耕地面積は607万fから469万fに約2割減少。作付け面積は813万fから438万fに約半減した。
 戦後農政は、稲作を中心にして、裏作に麦をつくり、牛や豚、鶏を飼うといった旧来の日本型の多角的な経営から、「選択的規模拡大」を奨励した。ミカンや酪農など単作で規模拡大するというアメリカ式を奨励した。農民が生産する農産物は安く買いたたき、工業製品である農機具や化学肥料を高く売りつけ、借金で農業経営が成り立たないようにした。大量の農民を零落させ、安い労働力として農村からかり出した。70年代に入ると、ミカンの生産調整や牛の頭数制限をおこなって国内生産を破壊し、アメリカからグレープフルーツやオレンジ、牛肉の輸入自由化を強行し、専業農家を大量に離農や自殺に追いこんだ。
 さらに70年代には主食であり基幹作物であるコメの減反を強行し、コメの輸入自由化の受け皿づくりをおこなってきた。1993年の不作を機にウルグアイラウンドでコメの輸入自由化合意を強行した。その後はアメリカが主導する世界貿易機関(WTO)を使って、「自由貿易」や「農業保護の撤廃」のかけ声のもとで、農産物の関税率の削減や農業補助金の削減をおこない、農産物の徹底的な買いたたき、減反奨励金などの撤廃を
つぎつぎに強行。日豪FTAでは、財界は自動車など工業製品の輸出拡大のための関税率撤廃とひきかえに、農産物の関税率も撤廃することを主張。農水省は関税率撤廃で食料自給率は12二%にまで落ちると予測している。
 コメの輸入自由化後、米価は1俵=60`で約2万円から今年などは1万円を切るまでに買いたたかれてきた。小泉政府は農産物の輸入自由化を強行する一方で「国際競争力をつけるために、規模拡大し機械化、効率化をはかれ」として「担い手農家に補助金も農地も集約する」、農業面での構造改革であるコメ政策改革をうち出した。約300万戸の農家のうち約40万戸を担い手農家とし、他を切り捨てるという政策である。「米価は市場原理にまかせ、売れるコメをつくれば生き残り、売れないコメをつくればつぶれる。つぶれるもつぶれないも自己責任で、国は関与しない」というものである。
 その第1年目が今年であったが、商社など大手のコメ卸業者は、徹底的な新米の買いたたきに走った。1俵1万円を割る米価の暴落に、零細農家よりも、規模を拡大した担い手農家の方の打撃が大きく、日本農業が壊滅しかねない事態に立ち至った。さらに、バイオ燃料生産の増大や穀物投機のなかでトウモロコシや小麦、大豆など国際的な穀物価格が高騰し、養鶏や畜産農家も重大な打撃を蒙った。また国際的な原油高騰もハウス農家などを直撃した。

 行動に立上がる生産者 日本の食を守れ
 今年、全国の生産者は各地で集会やトラクターデモ、街頭での署名活動など消費者に農業の実情を訴え、ともに日本の農業と食料を守ることを呼びかける行動に立ち上がった。生産者は「農産物価格を市場原理にまかせていたら、安い輸入物との競争で、再生産費も出ないまでに買いたたかれる。農業は食料の生産だ。農家がつぶれれば食料生産ができない。食料の安定供給のためには、農産物を再生産できる価格を国が保障すべきだ」「規模拡大で国際競争力をというのはごまかしだ。日本とアメリカの耕作面積は比べものにならない。労賃も違う。条件が違いすぎる。今でもコメづくりは赤字だ。どんなに規模を大きくしても赤字が大きくなるだけだ。米価を市場原理にまかせること事態がおかしい。再生産できる米価を国が保障すべきだ」と訴えている。
 「貿易の自由化」「市場原理」などをかかげてアメリカ農産物の輸入を拡大し、独占資本が生産する工業製品の輸出拡大のために、国内の農業を壊滅的につぶしてきた結果、食料自給率は39%、穀物自給率は20%台にまで低下した。世界的な食料不足が深刻さをますなかで、世界最大の食料輸入国である日本は、食料危機に直面する可能性がもっとも高い。しかも輸入がストップする「不測の事態」が起こることは現実的問題として迫っている。日本農業を壊滅させてきた戦後農政は、国民を敗戦直後以上の食料難に直面させる対米従属の売国、亡国の政治である。

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