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真の主権者の大論議始まる
衆院選巡る本紙記者座談会
              大逆転の声広がる山口4区    2009年8月19日付

 衆院選が18日に公示を迎え、12日間の選挙戦が幕を開けた。4年前の郵政選挙以後、小泉、安倍、福田、麻生とつづく自民党暴走政治によって日本社会はメチャクチャにされたという激しい怒りが渦巻くなかで、その審判が下される。小泉元首相が逃げ出したなかでこの間の自民党政治の最大の顔となっている安倍元首相が出る山口4区は、全国でもっとも注目される選挙区となる。同区では民主党から戸倉たか子氏が出馬。「日共」候補を含む3候補が立候補手続きをすませた。選挙区の情勢について記者座談会をもって論議した。
  まず選挙情勢はどうなっているだろうか。
  安倍代議士の出陣式は海峡ゆめ広場であった。業者がフル動員されていたが、「首相目前」といわれた4年前と比較すると「熱気が薄れていた」と話題になっている。演説は民主党バッシングに熱心で「国を任せられない!」と叫んでいた。なにがなんでも勝つのだという本人の必死さはよくわかる感じだった。
 あと、公明党の桝屋代議士(比例)が「命がけで私たち公明党軍団も取り組む!」「選挙区は安倍、比例は公明党にお願いします!」と演説していた。幸福実現党は自民党応援として出馬を辞退した。幸福の科学はもともと安倍票というのはみんなが知っている。
  戸倉陣営は午後1時から、あるかぽーとの水の広場で出陣式をやった。安倍陣営と比べるなら話にならないほど少人数だった。「国を抜本的に変えなければならない」「誰がこんな日本にしたのか!」と演説していた。以前と比べたら、だいぶ声にも力が入りはじめた印象だ。郵政OBの姿が目立った。「何が何でも株式上場をやめさせ、アメリカに巻き上げさせない」と熱がこもっていた。しかし下関の民主党、連合の影が薄かった。連合山口や岩国から藤谷光信参議院議員が来て応援演説したが、下関の人物の応援演説はなかった。
  これまでの選挙実績を見てみると、05年衆院選では安倍の得票が13万7701票。これにたいして民主党候補が3万6847票。「日共」候補が1万2499票だった。安倍と民主党候補の票差は10万票にもなる。03年衆院選では過去最高の14万票を獲得している。ただ07年参議院選では、自民党候補が下関・長門地域で得た票数は10万1634票で、民主党・戸倉が4万9609票と、その差は縮小している。これが今度は大変動するのは確実だ。
  一つの特徴でいったら、両陣営とも組織に問題ありという状態だろう。自民党の選挙マシーンだった郵政グループが民主党を取り組んでいる。農協、漁協、医師会とか業者、従来の後援会など組織の統制がきかない。高齢者の怒りはひどい。教育界も教育改革を自慢されて怒り心頭だ。安倍陣営で頼りになる組織は公明・創価学会だし、連合の神鋼、三菱のような所だ。宗教勢力・「幸福の科学」も参戦なのだろう。
  戸倉陣営も民主党組織はもともとない。安倍陣営では戸倉選対が分裂したから安心という声があるが、連合の下関は元元が安倍派で市議は一人もおらず、議員は加藤県議一人だ。加藤が動かないというのは陣営でも問題になっているが、安倍氏に傷を付けるようなことをしたら自分の命取りになると、恐れおののいているのだろうというのが通の常識だ。民主党の力で選挙をやるというものではなく、自民党を懲らしめよという有権者が勝手に動いて、その受け皿になるかどうかという選挙だ。
  民主党選対といっても、そこに安倍派・林派紐付きが乗りこんで分裂騒ぎをやったりして、マヒさせるなどのことは下関では常識の話だ。民主党が本気で元首相と対決するというのなら民主党本部が人員を派遣しててこ入れすることだ。
  しかしこの弱体民主に対して安倍氏本人が異常に危機感を募らせているというのがみんなの印象だ。日焼けしてやせていると語られている。自民党広報車を走らせても手を振る市民がほとんどいないし、冷めた空気が全般としてすさまじい。なりふり構わぬ町内行脚もそうだが元首相が比例区に名前を出しているのも、不安のあらわれと見るほかない。有権者が恐いのだ。

 小泉改革と戦争政治に憤激 若い世代も鋭い意識

  従来の選挙常識で見たら安倍氏が落選することはまずない。しかし小泉改革と安倍戦争政治をくぐってきて、人人の常識がひっくり返ってきているのが今度の選挙だ。
 まさかと思うことをやって、日本をぶっつぶしてきたと、さめざめとだまされたことを語っている。有権者のなかでは、何が何でも元首相を落とせの声がひじょうに広がっている。タイタニックも沈没したが、絶対的な権力者もどうなるかわからないという実感を多くの人人が持ち始めている。
  中小企業などは「安倍事務所に逆らったら生きていけない」といわれてきた。代議士と対立した古賀(福岡四区から民主党候補として出馬)グループが一年半も入札から排除されてつぶされたり、多くの経営者が首つりに追いこまれたのが語られる。ところが、今や逆らっても逆らわなくても生きていけない。
 首相になったら少しはいいことがあるかとの思いを持ったが、市外大手がとるばかりで仕事がない。万骨は枯れるのみだったというので、力は入らない。
 D もっとも安倍側近企業として山銀なんかの無担保無保証などの優遇支援を得て急膨張したいくつかの企業も、不動産流動化などの東京型(アメリカ型)の経営方式で急膨張した結果、軒並み火の車。取り立てられたところもつぶれる羽目となった。
  この間、安倍代理の江島前市長が下関市内ではハコモノ三昧だった。軒並み大手ゼネコンが受注していく。安倍派企業といえども地元企業のほとんどはダンピング競争に投げ込まれて叩きつぶされてきた。奥山清掃工場やリサイクルプラザなどの環境利権事業が動くと、代議士の出身企業である神戸製鋼が独り占め。社会教育複合施設は森喜朗代議士の地元石川県の火の車経営であった真柄建設を引き込んだり、安倍氏があっちこっちの代議士に恩を売って中央で羽振りを良くするために下関が食いものにされたのかとの話もささやかれてきた。
  社長は安倍応援でかり出されるかもしれないが、社員がいうことを聞くかは別だ。防衛省万歳とか北朝鮮ミサイルとかの自慢話が目立つが「下関のことは頭にないのだ」「世界の安倍なのだ」というのも苦い表情で話題になっている。
  みんなの思いは深い。別の企業では「経済大国のくせに年収200万円以下の労働者が1000万人もいる。この異常さだ。日本はどこに向かっていくのか、根本から変わっていくことをみんなが求めているのではないか」と話になった。彦島のエム・シー・エス筆頭に神戸製鋼も三菱も派遣社員が大量に切られて、職安は人が溢れ返っている。「どうしてこんな社会になったのか」「小泉改革の結末だ」と話になる。若い労働者たちの問題意識も鋭い。若い世代に親たちが「今度は選挙に行けよ!」と促しているのも特徴だ。若者が食っていけずに日銭を集めるような犯罪に走ることに胸を痛めていた。

 郵政関係者や高齢者も本気 反自民世論が圧倒

  郵政関係者のなかではOBも現役も本気で民主党を担ぐ動きになっている。特定郵便局も本気になっている。関係者に聞くと「命がけで選挙をやりますよ!」と気合いがみなぎっていた。勤労福祉会館で郵政退職者などの会合が開かれたところに戸倉氏を呼んだ時には、400人集まったという。「なんとしても株式上場を阻止しなければ340兆円の郵貯・簡保資金がアメリカに巻き上げられてしまう」という切迫感があるし、セーフティーネットを守ってきた郵便局の誇りにかけてやるのだと燃えている感じだ。
  老人層でも「今までは自民党に入れてきたが、今回ばかりは絶対に入れない」という声が多い。老人が集まるところでは反自民世論が圧倒している。ある老人は「月月5万円の年金から後期高齢者医療や介護保険や税金までがバンバン引かれる」と怒っていた。長生きしたら国賊扱いという受け止めで老人の怒りはすごい。
 E 農協・漁協は実質的に自主投票だ。漁協の役員が長門の知り合いから聞いたといっていたが、5月に安倍代議士の集まりに長門地域の農協・漁協がかき集められたが、「行かない」と公然と断る団体が複数あったという。
 C 安倍晋太郎の出身地である油谷町でも、「今回ばかりは入れない」という意見が強い。旧郡部は町や農協、漁協の合併や郵政民営化で郵便局もなくなり、まともに人が住めないようにしたことで怒りは尋常ではない。農林漁業をつぶすというのは大変なことだ。国民が餓死するということだが、それだけではなく歴史的な文化や伝統も破壊だし、災害も連続しているが治山治水を担ってきた農民をいなくしたら国土も崩壊するということだ。
  教育関係者は今、教員免許法の改定で、意味のない講習で大混乱しているさなかに、「教育現場は変わりました」と自慢され、怒り心頭に発している。
 C 4区の有権者はこの間、安倍氏が町内を回ったので、直に触れることができた。本人の危機感は伝わったが、実際の姿がよくわかったとマイナスに働いた面もある。これもプラスになったかマイナスになったか結果が示すことになる。
  選挙戦に入って、有権者の関心はぐっと高まっている。有権者のなかで、論議が交わされ、あり得ないことがあるかもしれない、4区の有権者の力を見せつけることができるという世論が次第に強まっている。
  選挙の主人公は有権者だ。小泉・安倍の自民党政府による、アメリカの代理人になって貧乏な国、聞く耳のない独裁国家、戦争をやる国作りという亡国と売国の政治に対する、全国的な人民の共同のたたかいだ。この対立点をめぐって、有権者のなかで大論議をおこし、まず今まで悪いことをしてきた政治家をたたきつぶす、つぎに出てきたのが悪いことをしたら直ちにたたきつぶす、そういう大衆の力を各選挙区を基礎にして全国が連携し、どう強めるかが最大に大事なことだ。

 

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