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震災に対応した予算組替え必至
下関市議会での本池市議の発言
              平和ボケの延長は通用せず    2011年3月30日付

 下関市議会3月定例会の最終本会議が28日に開かれた。東北地方を襲った巨大地震、原発事故で日本列島が未曾有の危機に直面し、地方都市がどう受け止めて応えるかが重大な課題になっているなかで、どこ吹く風で中尾市長が提案していた箱物大盤振る舞いの予算案を可決した。世界的な信用すら失いかねず、借金大国においてどう考えても現行予算がそのまま執行できるメドはないのに、日本社会の行方などお構いなく旧態依然として200億円の新庁舎建設や150億円投資する駅前にぎわいプロジェクトなど、大型箱物を続けていくノー天気さが露呈している。これに対して、本池妙子市議は「平成23年度一般会計予算」の組み替えを要求し、事態に対応したものにするよう求めた。反対討論でのべた内容を以下紹介したい。
 まず、今議会開会後の11日に東北大地震が起き、原発大災害が続いているなかで、日本社会のありようそのものが大きな変化をよぎなくされ、国家予算も大再編をよぎなくされており、国の財源に依存する地方予算もそれに対応したものとして考え直さざるをえないことをのべたい。
 大地震、大津波によって3万人近い人たちが死亡、ないしは行方不明になっている。半導体や自動車など輸出企業の部品工場などが破損されているが、なによりも農業、とりわけ漁業が壊滅的な打撃を受けている。加えて福島原発がつぶれて放射能が拡散し、農地を汚染し、漁場を汚染し、水を汚染し、広範な地域で人が住めなくなっている。この原発災害は終息するメドがなく、高濃度の放射能がどんどん放出されている。
 復興に要する費用は原発災害を除いても15兆円とも20兆円ともいわれ、国の方では国家財政の組み替えをやるといっている。自民党がそういっている。下関市の予算も、平和ボケの延長線では通用せず、この事態に対応したものに組み替えなければ、のちのち大きな悔いを残すことになると思う。

 消防署は岩盤強い現在地に

 防災の問題が全国的な問題になるなか、来年度予算で消防署の移転費用があげられているが、地震、高潮、津波が起こったら真っ先にダメになる海岸沿いの埋め立て地につくる計画は直ちに撤回すべきだ。災害が起これば市民を救助すべき消防が真っ先に救助されなければならないというのでは、市民はいざというときに困る。中尾市長は「下関では消防署が水に浸かって市民が助けに行った」という場面がテレビに映って全国放送される恥ずかしい状態を想像すべきだと思う。第一に、このようないい加減なことをしていたら、市民の生命を救うべき消防隊員の志気をくじくことになるのではないだろうか。消防署は岩盤が強固な現在地に建設するべきだと思う。
 200億円かける市庁舎関連の建設事業、150億円の駅前にぎわいプロジェクト、250億円の長府浄水場など大型箱物事業をやっている場合ではない。市庁舎の建て替えは市民経済の活性化にはほとんど関係がないものだ。駅前開発も下関は店が少ないから寂しいのではなく、大型店は過剰であり、人口が減り、非正規雇用や失業者が増え、購買力がないから寂れている。
 市庁舎の建て替えは「国の合併特例債があるから使わなければ損だ」といわれている。十数年前にも「国が地方交付税を出すから起債をしてどんどん公共事業をやれ」といわれ、市町村の財政が苦しくなり、市町村合併においやられた。世界一の借金財政になり、今度の大災害で国の財政のめども立たないなかで、約束通り国から金が下りてくるなどと信じて大型箱物事業に突っ走っていたのでは、子や孫たちへおくる将来の下関はどんなものになるだろうか。
 東北大震災では農漁業が甚大な被害を受けている。三陸沖漁場は日本有数の漁場だが、東北の水産基地がのきなみ壊滅的な打撃を受けている。高濃度の放射能まで海に放出され、東北の漁業にどれほど影響するのか心配されている。このようなときに、日本の食料は輸入すればよいというのではなく、西日本が担って全国を支えるということが必要だと市民のなかでは語られている。
 石炭という自給エネルギーを捨てて、石油それから原子力という海外依存エネルギーに転換した結果もたらされた原発大災害は、現在目にしているとおりだ。安ければよいといって原発を建設し、今度の事故でこれまでの全国の原発の建設費用ほどの大損害を出すというのはバカげたことだ。食料も安ければよいといって輸入にし、自給できなくなったら国民は大変な目にあうことは疑いない。
 来年度予算では、農林漁業の予算が削減されている。そのうえ合併を補うものとしてつくられた農林水産部を廃止し、産業経済部に吸収し、観光スポーツ部を新設しようとしている。これらには反対する。下関の農林漁業について、集団営農などを奨励し、大型店の買いたたきに対抗する地産地消の流通システムをつくるとか、なによりも若者が農林漁業で生活ができるように大大的な助成をやるとかに力を入れるべきだ。漁業者の就業援助予算が45万円で、外国人研修の費用が3500万円というのはどういうことだろうか。なお農林業を維持することは食糧安保だけではなく、治山治水という防災面でも、日本の歴史や文化を継承する上でも大事であり個別経営体の責任だからといってつぶしていたら国全体がつぶれると思う。

 市外発注やめて雇用確保を

 来年度予算では、一般会計予算は過去最高の1250億円となっているが、その中身は市税収入が減るもとで、市債発行を大幅に増やし大型の箱物事業を実施するものになっている。市税の減収は市民経済の縮小をあらわしている。とくにこの数年、法人市民税が大幅に減っている。そして現在の収入の裏付けのない固定資産税のとりたてに力を入れているが、それが市民生活を残酷に圧迫している。農漁業者や中小業者が税金を払えるようにし、産業を振興して就業者を増やし、働く人が税金を払えるようにすることが市財政にとっても大事なことではないだろうか。そうではなくて、市の税金も市外業者発注を繰り返し、市内にお金が回らないようにすることには反対する。
 老人休養施設整備事業には4億7000万円余りが計上されている。これは10万人の署名が寄せられているにも関わらずそれを無視し、国の老人福祉政策にもとづいた老人休養ホーム・満珠荘の条例を廃止し、そのかわりに民間業者の営利事業とするもので、事業の性格をまったく変えてしまうものだ。料金も2倍から3倍近くに引き上げられることになる。「満珠荘は老人休養ホームとして再開する」というのは市長選での中尾市長の公約でもあった。満珠荘の存続を求める利用者の会をはじめ市民は、10万人の署名への責任において、市長と旧市議会が廃止した老人休養ホーム条例を復活させるまで運動を続けるといっている。私もこの当然の要求を支持し、それが実現するまでは、利用料金はこれまで通りの料金に据え置くことを求める。
 また江島市政につづき中尾市政も満珠荘の民間委託にこだわってきたが、図書館や野球場や駐車場ほか、市大、中央病院の独法化なども、あらゆる公共的な事業を民間の営利事業にしてしまおうとしている。地方自治法は、地方公共団体の事務としてあげている第一項に「住民の安全と福祉をはかること」と明記している。どうしてそれを否定するのだろうか。
 雇用対策事業についてだが、下関では年間に2万人余りが離職しているといわれている。来年度予算では、緊急雇用対策費、ふるさと創生金などが8億円ほどあげられているが、その多くが市の嘱託職員などの人件費にあてられている。市の嘱託職員は市の業務が回らないから雇っているのであって、市の業務として必要な人件費として扱うべきだ。雇用対策というなら、昔の失業対策事業のようなものとか、農林漁業就業者育成のためのものとか、産業技術継承のための雇用助成とか、新しい雇用をつくるべきだと思う。さらに今の対策費の多くが、国と県の負担するものであり、特別に失業者が多い下関なのであり、市が独自の予算を組んで雇用をつくるべきだと思う。費用がないというのなら、市役所の建て替えなどをやめれば解決する。大型の箱物がなくても市民の生活には困らないが、働く場がないということは市民にとって切実であり、今一番急ぐことだ。市民のための雇用対策をおこなうことを求める。

 中卒で行場ない問題解決を

 また、教育と雇用と両面からかかわるが、一昨年から顕著にあらわれてきた中学校3年生が学校で暴れるという問題を、この間教育長の指導の下で警察送りが推奨され、卒業時には高校にも行けず、仕事にもつけないという事態についてのべたい。今年度は60人程度を教育委員会が把握しておられるとのことだったが、この問題の根底には、かけ算九九、分数ができない、漢字が書けない、などの問題があることも明らかになってきた。中学校まで行かせて九九も身に付いていないというのは、教育行政として恥ずかしいことだ。それを学校と親、地域が力をあわせ、解決していくことを促すよう体制をとらないといけないと思う。そうではなく、「警察に連絡をすればいい」という方針は、15歳の子どもたちの人生を台無しにするものであり、教育とは相反するものだ。来年度予算はこの体制にはほど遠いものがある。
 さらに、雇用対策としても、中学卒業生が働く場をつくり、成長させる側からかかわることを保障していくことも必要だ。それを自己責任というのでは、あまりにも冷たいことだ。こうした対策がとられない予算に反対するとともに、市教委が今後も教育的に中学生にかかわる方向をとるべきことを要望し、発言を終えたい。

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