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祖父母の思い共有し学生が行動
県立広島大学
              大学祭で「原爆と戦争展」    2008年10月13日付

 広島市南区宇品の県立広島大学(元県立広島女子大)の大学祭「紫苑祭」(12、13日)で、原爆展を成功させる広島の会(重力敬三会長)による「原爆と戦争展」が開催されている。今年で3回目となる同大学での展示は、「いい展示をやっている」「ぜひ続けてほしい」と周辺住民からも反響が大きく、大学祭の学内企画として定着。展示用に一教室が貸し切られ、第2次大戦の真実、原爆、沖縄戦、都市空襲も含めたパネル132枚を展示。準備や呼び込みに学生も積極的に関わるなど、被爆者たちと感情を通い合わせながら運営されている。

 他大学や地域からも多数参観
 学生たちの真剣さが目立っている。市内から体験を語るために集まってきた同会の被爆者たちが熱を込めて体験を語り、「私たちの思いを受け継いで活動して欲しい」と真剣に呼びかけ、その訴えに応えて22人の学生や社会人が協力者となった。同会のメンバーである他大学の学生も応援に駆けつけて、受付などを担った。
 市立大学の男子学生は、「展示を見て胸が苦しくなるが、その感情を共有して活動する場があることがすごくうれしい」と協力を申し出た。「日本が完全にアメリカの属国になっていると感じる。日本では被爆国として戦争反対の声が圧倒的なのに、政治家の考え方は完全にアメリカ寄りで、世界に対して日本独自の主張を投げかけるだけの力を持っていないことが、最大の問題。世界中が金融パニックを起こしているのに、日本では自民党の総裁選びで騒いでいるのを見てあきれてしまった。広島から世界に発信できるスケールの大きな運動を起こさないといけない」と思いを語った。
 生命環境学部の女子学生は、「あまりにも真実が知らされてこなかったと思う」と語り、「北海道出身で農業の職に就きたいと思っているが、日本の農業政策はデタラメ。それは、戦後、世界の国国は自国の農業を守るために輸入自由化をしなかったのに対して、日本だけはいち早く農作物の自由化に踏み切ったからだ。食糧自給率が四割というのも、アメリカの経済システムに縛られている結果だし、まだ第2次大戦が延長しているのだと思う。政府は今頃になって“自給率を50%に上げる”と宣言しているけど、輸入を止められたら国民の2人に1人は死ぬということではないか」と問題意識を投げかけた。
 「皇居が狙われなかったというのは本当ですか?」と被爆者に問いかけてきた男子学生は、「アメリカは日本を占領するために上層部とは密約ができていて、最大の責任者である天皇を生かして、民間人を狙って殺す作戦をとった」という被爆者の説明を聞き、驚きを隠せない様子だった。「広島出身で原爆のことは知っていたが戦争のことについては知らないことが多すぎる」とショックを口にしていた。
 医療機関に勤める20代の男性は、「最近になってお年寄りと接する機会が増え、原爆や戦争を学ぶことの大切さが分かるようになってきた。学生時代には、悲惨、苦痛という印象しかなかったが、このパネルを見てすごくパワーをもらった。親兄弟を殺されて、焼け野原にされても懸命に生き抜いてきた祖父母の苦労を思えば、私たちに科せられた使命は大きいと思う」と語り、今後の協力を申し出た。
 近所に住んでいる40代の男性は、原爆展キャラバン隊が横浜駅前でおこなった街頭原爆展を見たとのべ、「仙台の知人からも“仙台の駅前で原爆展を見た”と連絡してきた。数年前の8月6日にニュージーランドにいたが、そこでも広島、長崎を記念するイベントがおこなわれていて、この原爆展のことが紹介されていた。知らないところですごく広がっていますよ」と語りかけてきた。
 「仕事で海外に行くことが多いが、広島と長崎がもっとも知名度が高く、広島出身というだけで原爆のことについて意見を求められる。なのに広島の平和教育では、悲惨な写真を見せるだけで“教育上問題がある”といって見せない学校が多い。最近では、“ピカドン”という言葉さえ、差別的な印象を与えるということで、公には使えなくなっている。これではまともに話もできないし、ほんとうの歴史を消してしまう。もっと広くやってほしい」と期待を込めて語った。
 学生が教員を連れてきたり、他大学の学祭運営委員会のメンバーらも真剣に参観し、自分の大学での開催を申し出る学生も見られた。

 アンケートより 真実もっと広げていきたい
 ▼正直、いまだに信じられません。何回聞いても、何回見ても。ただ事実、これらのことが日本で起きたこと。それを受け止め、知ることが今の人の義務だと思う。(21歳・女子学生)
 ▼空爆や戦争によって罪のない人人が何人も亡くなってしまって本当に残念である。特に広島は被爆地として多大な被害が出ており、放射能によっても後遺症が残り、今なお苦しんでいる方がいるというのは無念。改めて、戦争はいけないことだと実感したが、それをそのままにしないで戦争があったという事実、戦争は決してしてはいけないということをそれを知らない方方に伝えることができれば良いと思う。(無記名)
 ▼学生時代、広島出身ということもあり、戦争、原爆のことは教わってきたが、社会人になり、目の前のことばかりで「ヒロシマ」にいるという感覚が薄くなっていた。被爆者の方の生の声の記事や戦争被害の写真を目の当たりにすると見るのが辛くなってくる。
 自分は戦争を経験していないので想像することしかできないが、戦争の傷跡というものが強烈なイメージとして植え付けられたように思った。忘れてはいけないはずだが、薄れてしまっているのが心苦しい。(20代・会社員・男性)
 ▼自分が想像してた以上の出来事がノンストップで心の奥深くまで流れ込んで来ました。悲しみ、苦悩、苦痛、又は、これじゃいけないって思う向上心、勇気、活力、このどちらもいただけたと思う。どの人人も「現代」にない「生きた目の輝き」を写真の自分に見させてもらい、その当時と今を時空を超えて共感できました。広島だからこそ語っていかなくてはいけない部分がきっとあることを、心から思い、これからの人生もこの広島の地に住む人間として自分自身が語り継ぎたいと思いました。この展示をより多くの機会を設けて、活躍の場を広げられることを心から願っています。(男性)
 ▼無差別で、あまりにもひどい現状(展示)に目を覆った。いまだに地下核実験が行われていることは断じて許すことはできません。(男子学生)

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