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 <狙撃兵> 駅前開発で客は増えるのか          2010年11月1日付

 駅前再開発が大はやりである。長崎でも新幹線を引き入れる話とセットで、県が県庁舎移転を中心にして1000億円もかけた再開発計画をごり押ししている。ところで立派な駅をつくったら客は増えるのか。長崎は観光地であるが、県庁舎や駅を見物に来る観光客はいない。県庁舎や駅を立派にする前に長崎に用がある人を増やす努力をするのが前提である。需要がないのに大金をかけて物をつくり、結局破たんする。これが現在の金融恐慌の教訓である。長崎の駅前開発は、リーマン・ショックのずっと前に計画されたもので、失敗の教訓のあとにあえて失敗しようというものだ。
 この駅前再開発は、浜町に来ていた客を駅前に流れさせるというものではない。長崎市、長崎県全体を衰退させ、「立派な県庁舎と駅に、減った客」という結果にならざるを得ない。これをもっともやりたがっているのは自治体にノーリスクの巨額融資をし、駅前の不動産バブルでひともうけをはかる銀行である。そして旧国鉄以上に親方日の丸で自治体に金を出させるJRであり、建設に関わるゼネコン、そして利権にありつく政治家などしかいない。一部の者が食い物にするだけで、残されるのは乱立したガラガラマンションである。駅前バブル計画をやる政治が県財政を食い物にし、長崎を寂れさせる関係である。
 長崎の街は、水産と造船という産業による現金収入が全体に回って成り立ってきた。県庁や駅からカネが生まれて回っているのではない。その産業がつぶれたら長崎の街はつぶれるほかはない。世界は食糧危機で10億人もが飢餓人口となっている。アジアの工業化といわれるが、それはアジアの穀倉地帯をつぶすことであり、食糧危機がますますすすむことである。それは日本の農業とともに水産業が間違いなく大きな意味を持つことである。漁業は競争力がないのでつぶれても仕方がないといっているわけにはいかない。
 長崎がつぶれないためには、この貧乏な時代に豪華な県庁舎をつくったり、駅前開発などというバブル計画などやめ、何が何でも水産や造船という産業を保護し振興する方向に行政の力を尽くす以外にない。
                                      那須三八郎


 

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