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      狙撃兵  米国がシリア難民に責任を負え    2015年9月7日付

 戦乱が続くシリアから400万人もの難民が欧州各国に押し寄せ、この受け入れ先をめぐって大騒動がくり広げられている。沿岸に漂着した幼児の溺死体を抱え上げる映像がセンセーショナルに取り上げられ、さらに駅構内や広場を埋め尽くす難民の群れや、200`近くを歩いて新天地を求める人人の姿がテレビ画面に映し出される。オーストリアのウィーン郊外では、冷蔵車両に71人もがすし詰め状態で窒息死していたことも報道された。生きるために故国を逃れた人人が追い込まれた最期として、あまりにも酷く、まるで人間扱いではない。欧米側の感覚たるやアラブ人は魚か肉と同じ扱いなのかと思わせる。
 欧州各国は互いに難民受け入れに難色を示して押し付け合い、400万人は行き場がない。もともと中東やアラブ世界をひっかき回してきたのは欧米列強である。ところが、いざ難民が押し寄せると困ってしまって、責任を転嫁しあって揉めているのである。なかでも驚かせたのがフランス政府で、こうした最中にシリア空爆を検討し始めるなど、火に油を注いで、余計でも難民を増やすような真似事を始めようとしている。頭が狂っているか、もしくは難民として逃れようとしてくる一般人を空爆したがっているか、どちらかしか考えられないようなことだ。
 アサド政権を標的にしてシリアに攻撃を加えてきた張本人はアメリカである。そしてネオコンとの関係が疑われているISがアサド打倒を掲げてシリア領内に攻め込み、米軍による空爆が始まって戦乱はより拡大することとなった。空爆によって武器商人たちが歓喜する一方で、その投げつけた爆弾によってシリアの民衆が親兄弟を殺され、生活を奪われ、国を逃れなければ生きていけない極限状態をつくり出しているのである。そして、張本人のアメリカは難民対応で慌てふためいている欧州各国を尻目に、海の向こうで知らぬ顔をしているから汚い。欧州各国も「いい加減にしろ!」と抗議するような度胸はないのかと思う。
 難民を生み出さないようにする解決策は簡単で、アメリカが軍事行動を止めればいいだけだ。アサド政権の良し悪しや政治体制の問題はシリア国民が判断すれば良いことで、他国がとやかくいうことではない。最も責任を問われなければならないのはアメリカである。 吉田充春

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