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      狙撃兵   盗聴に抗議すらできぬ為政者       2015年8月5日付

 アメリカの情報機関である米国家安全保障局(NSA)が日本の内閣府の電話交換台や内閣官房長官の秘書室長、政府の要人専用回線、日本銀行幹部(黒田総裁含む)の自宅、財務省の内部回線、三菱商事や三井物産のエネルギー部門など35カ所を盗聴していたと内部告発サイト「ウィキリークス」が公表して物議を醸している。日本の貿易交渉や原子力政策、中央銀行の金融政策について盗み聞きしていただけでなく、それらの内容を英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドにも提供していたというから、丸裸にされていた日本政府は本来怒り狂わなければならない。安倍政府といえば秘密保護法を制定したばかりで「秘密」にはことのほかうるさいはずだし、弄ばれたことに対して毅然として対応しなければ格好がつかないのである。
 ところが相手がアメリカとなると驚くほどへっぴり腰なのが安倍晋三で、しばらく沈黙した後、ようやく放った言葉が「事実であれば同盟国として極めて遺憾だ。引き続き米側に事実関係の確認を求めていきたい」だった。前日に菅官房長官がのべた政府見解をオウム返ししたに過ぎなかった。仮に相手が中国や北朝鮮、あるいはアメリカの敵対国だったらどうだろうか。直接関係なくてもしゃしゃり出て武力参戦すらしそうなのに、アメリカとなると情けないくらい慮って、無抵抗やられ放題なのである。
 NSAはドイツのメルケル首相の携帯電話を長年盗聴していたことが暴露され、怒ったメルケルがオバマに直接抗議したことがあった。このときドイツはCIAのベルリン支局長を国外追放する措置をとった。フランスのオランド大統領など過去3代の大統領の携帯電話など通信を傍受していたことも発覚し、オランドも怒ってオバマに直接抗議した。そしてオバマは慌てて盗聴停止を表明した。独、仏と比べてその対応はあまりにも卑屈で、抗議一つできないというのでは世界で笑いものになるしかない。たいへんな屈辱である。
 深刻だと思うのは、安倍晋三をはじめとした政治家にしても官僚機構にしても、怒りを感じないほど対米従属に慣れきっていることである。主権侵害とか、機密情報へのスパイ行為とか、本来であれば激怒すべき問題であるにもかかわらず、「遺憾の意」で事を済ませようとしている。この奴隷根性、売国性こそが問題である。
 「秘密保護」をいうなら、盗み聞きしたい放題のアメリカに毅然とした対応をとらなければ話にならない。国会は調子に乗った首相補佐官の吊し上げが終わった後でいいから、ケネディ大使なりを国会招致して尋問したらどうだろうか。あるいはドイツのようにCIA局長を国外追放しなければ、「どの口が秘密保護をいってるんだ?」である。情報漏洩以前に勝手に盗み聞きする輩を処罰しなくては片手落ちである。                武蔵坊五郎

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