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総選挙後大変化した新情勢
本紙記者座談会
             確信強め大衆斗争が高揚   2009年9月21日付

 戦後から半世紀以上も第一党を保ってきた自民党が倒れ、民主党政府へとかわった。長年「あり得ない」と思われてきたことが全国民共通の意志と行動によって起きた。全国的にやれば変えられるの大きな確信が強まり、大衆的な行動の新しい機運が起きている。また自民党の利権がつぶされ、民主党の利権に移るというなかで、地方政治もあわせて大きな政治再編になろうとしている。今度の総選挙後、明らかに新しい情勢があらわれている。この新しい情勢の特徴について、記者座談会をもって論議してみた。
  歴史的な総選挙を経て、9月中旬には鳩山政府が発足した。まず、みなの受け止めはどうだろうか。
  自民党を叩きつぶしたという自信がすごい。「ワシらみんなの力で政府の首をすげ替えた」という確信だ。ある企業で話題になったのだけど、「世の中は動かないと長年決め込んでいたけど、動き始めた。世の中が変わりはじめている」「国民の力を見せつけた」「痛快だ」と高揚感がある。そして民主党政府がどうなっていくか、一挙手一投足を関心をもって見ている感じだ。
  原発計画阻止で山口県では祝島の住民たちが先頭に立ってたたかっている。総選挙後に中電が工事着工しようとするのにたいして、阻止行動が日に日に盛り上がりはじめている。反対派幹部の山戸、清水の町議2人は毎度の三日坊主で行動を終了しようとしたようだが、「行動を続けますか?」とみなにゲタ預けすると、「いま止めたらダメだ!」「28年が水の泡になる!」と住民が下から活発に意見を交わし、突き上げた。1週間以上も行動が続けられているし、島内で意見を聞いて回ると「負けてなるものか!」の熱気がすごい。「総選挙で政権交代させたのは国民みんなの力。原発もみんなでたたかえば建設させないように追い込める」と自信を持って語られている。これまでは「祝島だけが反対している」「まわりはみんな推進なのだ」とあきらめが煽られてきたが、一変している。総選挙の熱気を反映している。
  長崎の県庁舎移転に反対する総決起集会でも、それは共通だと感じた。長崎では4選挙区全てで自民党が敗北した。「原爆しょうがない」で知られる久間元防衛相も落選だ。集会のなかで主催者の自治会関係者が「誰がやっても変わらない、自分1人が動いても変わらないというあきらめではなく、動けば変わることを教えてくれたのが今度の総選挙であり、それをやったのは皆さんだ! 私利私欲ではなく、長崎に生まれ育った者の使命感は誰にも止められない!」と力強く訴えていた。無謀なハコモノ・都市機能のバブルで、街の歴史や文化が破壊されることに怒りが噴き上がっている。自民党の横暴な強権政治をひっくり返したことへの確信は全国共通ではないか。
  それは下関でも同じで、もうじき10万人に届く老人休養ホーム・満珠荘の存続を求める署名を敬老会の会場前で訴えると、アッという間に1000人も集まったりする。老人福祉切り捨てにみなが怒ってきたが、行動意欲が盛り上がっていると思う。これまでになく反応が積極的なのが特徴だ。
  選挙区としては、山口4区は安倍代議士が当選したが、有権者のなかは勝利感が強い。当選後に安倍代議士が必死に挨拶回りをしている様子や、今度は野党になって慌てふためいている県知事や市長、議員どもを見て、あらためて選挙の威力を実感している。自民党代理でやってきた二井知事などは「県民党です」などといいはじめた。安倍・林代理市政で公約破り、江島前市政の継承で突っ走ってきた下関の中尾市長も自民党のじの点点をとって「市民党」「全ての政党と等距離です」といいはじめた。民主党に諸手を挙げて万歳している人などいないが、戦後から続いてきた自民党政治をたたきのめしたのだ。「あり得ないことがあるかも」が全国で実証された。共通の思いが流れている。

 国民の視線を恐れる民主党 政治再編始まる
  自民党売国政治と人民大衆との政治的な対立点がひじょうに鮮明になったのが今回の選挙だった。とくに小泉・竹中の構造改革という代物が日本をメチャクチャにしてしまった事、引き続く安倍政府が戦争をやる国づくりをやったこと、それへの怒りが全国的規模で爆発した。選挙後の第一の特徴として大衆運動が活性化している。第2は支配勢力のなかでの動揺と政治再編が始まっていることだ。自民党パイプでやってきた地方自治体の慌てぶりがすごい。陳情に行くところがない。自民党に行っても野党ではどうにもならない。民主党も単純な自民党政治の継続などできない。「対米従属でハチャメチャにした日本社会を元に戻せ!」「小泉・竹中がやってきた市場原理政策を撤回して、抜本是正しろ!」という要求に縛られ、鳩山も国民を意識せざるをえない力関係だ。
  16日に新政府が発足したが、鳩山の就任記者会見を聞いていると「この国を本当の意味で国民主権の世の中に変えていかなければならない」「今回の選挙の勝利者は国民であり、国民の勝利を本物にしていくために、国民のための政治をつくり出していく」など、やたら「国民の皆様」を繰り返していた。選挙は自民党をたたきつぶしたわけだが、同時に民主党も縛り付けたことを示している。各大臣も相当に国民の視線を気にしている風だ。マスコミは「政治が変わりはじめた」とかの期待感を熱心に演出しているのも特徴になっている。
  自民党政治のもとで批判が強かった政策の見直しも次次に打ち出されている。厚生労働省の関係では、福祉サービスの利用料に1割の自己負担を課すようになった障害者自立支援法を廃止する意向を表明したほか、姥捨て制度として問題になっていた後期高齢者医療制度も廃止。年金記録問題については四年間で制度設計するとしている。廃止されていた生活保護の母子加算は来月にも復活させると言っている。
  農家の戸別所得補償も11年度から実施という。「子ども手当」も来年度から中学生までの子どもがいる全世帯に現金支給するようになるようだ。子ども1人にたいして毎月2万6000円、年間にすると31万2000円(来年度は半額)を支給するというものだ。その代わり、所得制限があった従来の「児童手当」は廃止され、配偶者控除の廃止もセットになっている。高校の実質無償化なども進めるといっている。安倍内閣の置き土産になっていた「教員免許更新」もこの春にはじまったばかりだが、さっそく抜本見直しの方向に動きはじめた。来年1月の通常国会に早ければ改正案が提出される日程という。
  八ッ場ダム、川辺川ダムなど全国143カ所のダム建設の中止を打ち出したりもしている。「高速道路の無料化」とか、ガソリン・軽油にかかっていた暫定税率廃止もするという。といっても変わりに地球温暖化対策税を4年以内に導入するといっている。ガソリンは1gにつき25・1円、軽油なら17・1円安くなるが、新しい税金でどのような負担になるのかはわかっていない。
  外資と連なって340兆円巻き上げを企んでいた郵政民営化も見直しの趨勢だ。金融・郵政問題担当相に国民新党の亀井静香が就任して、日本郵政の社長に送りこまれていた三井住友銀行出身の西川善文に自発的に辞任しろといっている。さっそく4分社化の見直しを進める方向で動き始めている。株式上場も見直しだ。権力が変わって、小泉・竹中ラインが粛正されていくと見られている。

 米国も高飛車な姿勢を修正 対米関係も注目点
  対米関係では、アメリカも当初は“鳩山論文は反米だ”と騒いでいたが、高飛車な姿勢から修正してきている印象だ。民主党はいまのところ、インド洋で海上自衛隊がおこなっている給油活動については延長中止、普天間基地については「県外移転」といい、米軍再編や日米地位協定見直しなども言及している。飛んできたのがキャンベル米国務次官補で「(普天間移設問題で)日本に命令したり、結論を押しつけようとしたりしたら、対等で強固なパートナーシップという我々の築こうとしているものを傷つけてしまう」「米国の鳩山政権に関する見方については誤った情報が伝わっている。対等なパートナーシップは米国も歓迎する。日本の主体的な外交政策を米国が支持しないという見方も誤りだ。日本が韓国や中国との関係を強化することに米国が反対するという考えほど、事実からかけ離れていることはない」などと訂正していった。
 岡田外務相が、核持ち込みや沖縄返還をめぐる日米の密約について、資料を調査して11月末を目処に報告するよう外務省に命令したが、アメリカ側は「すでに公開文書などで存在は明らかになっている」と認める対応もあった。日米関係は最大の注目点だ。
  戦後64年たって対米従属で好き勝手やってきた自民党政治が体をなさなくなった。この劣化も酷すぎる。破産して自力再建できないのが自民党で、消滅まっしぐらだ。利権で成り立っていた構造なのに、今度は民主党から利権を剥奪されることになる。大衆的な政治感覚がなくなってしまって、どうしようもなくなっている。物陰で総裁選をやって国民に笑われている。
 民主党の側から自民党の利権を取り上げていく過程がすすむだろうが、この過程で支配構造が暴露されることを楽しみにしている世論もある。とくに小泉、竹中の構造改革というものが、いかなる代物であったかだ。民主党もデタラメをやったら倍返しで国民パワーが跳ね返ってくる。自民党に壊滅的な打撃を与えた力が、民主党も縛り付けて震撼させているのだ。
  「自民党政治を倒せ」が全国共通の行動になって、小泉政府による売国・亡国政治に完膚無きまで鉄槌が加えられた。鳩山は「国民の皆様の勝利」と繰り返すが、まさに国民の怒りが最大の原動力となって選挙を動かした。この力が、その後も民主党を規制する力になっているのだ。
  この十数年来、働いてもまるで食えなくなったし、労働者は非正規雇用が蔓延して後継ぎも作れないような国になった。世界でもトップクラスだった医療・福祉制度もズタズタにして、わざわざ程度の悪いアメリカ様式に切り替える。市場原理といって外資と大企業の金儲けだけが野放しに奨励される。税制改正といって税金奴隷にもしてきた。そして雲の上に吸い上げられた金がどうなったかというと、アメリカのいいなりで米国債やインチキな証券化商品を買わされて、国民の金融資産は奪い取られる。郵政民営化が象徴的でまさに自民党の売国奴どもがメチャクチャな日本社会にしてしまった。
  一連の政策というのが、アメリカが要求する年次改革要望書にしたがって、自民党の飼い犬集団が暴走するというシカケも暴露された。軍事・外交面ではアメリカの傭兵としてアフガンやイラクに自衛隊が送りこまれて、みずから核ミサイルの標的になる始末だ。しかも聞く耳なく突っ走る暴走政治。要するにアメリカの独裁であるし、その下で売国独占資本の独裁が貫徹するデタラメな社会になったという実感を誰もが抱くようになった。

 全国的大衆斗争強める好機 財界や米国も動揺
  民主党は与党になったが、財界やアメリカ支配層そのものの動揺が明らかにある。賞味期限切れの自民党を捨てて、今度は民主党を使おうということだが、同じ調子でできるわけがない。日本中の国民が、売国と亡国の政治を打ち倒す意志と力を持っていることが示されたわけで、そのパワーが縛っているのだ。全国で大衆自身の運動を強いものにしていくことだ。労働運動を中心にして、各界各層の全国的な大衆的政治斗争を強めること、それなしには、いかなる政府も動くわけなどない。まずは市場原理で破壊してきたものを抜本是正することが急がれるだろうし、ガンガン大衆的な運動を強める大チャンスになっている。
  社民党の福島が大臣になってはしゃいでいるのがみっともないと語られている。自民党に村山内閣を作ってもらって、社会党がつぶれたが、また政府与党になって大衆運動をつぶす役割をするということだ。「日共」集団も「建設的野党」でこれも大衆運動をつぶすことでエサをもらおうという関係だ。民主党政府を規制する大衆的な運動は、これらのイカサマ革新政党を乗り越えて動いている。
  山口4区でも、安倍元首相は当選したが、野党になってしまった。与党利権を失ってしまった。県内でも高村、河村といっても野党であり、自民党丸出しでやってきた二井県政も大あわてだ。下関の中尾市政も民主党に陳情に行くしかなくなるが、唯一の民主党加藤県議は、肝心の選挙でサボをやり、自民党に転向したという評価になって、当てがはずれた格好となった。安倍派から下関を追い出されて福岡県で当選した古賀敬章が、どれほど安倍派と対抗するかも関心がある。いずれにしろ大きな政治再編となる。
  総選挙をへて大きな情勢の変化が生まれている。その新しい情勢に対応していかなければならない。第1は、やれば世の中を変えられるという確信をみんなが持ったことだ。
 大衆斗争が活性化している。これを発展させることが政治を変えていく原動力だ。

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