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推反均衡で原発終結の好機
上関町議選
                反対派地元から6人立てよ      2010年1月11日付

 原発計画浮上から28年目を迎えた上関町では、原発を争点にした7度目の町議選が26日の立候補予定者説明会まで2週間、2月14日投開票まで1カ月となっている。中電は昨年12月に原子力設置許可申請を出したものの、海と山の条件が整わない状況は変わらず、昨年春からの「工事」パフォーマンスもすっかりストップ状態。原発終結か、ズルズルの延長かが鋭い焦点になっている。この間、瀬戸内海漁業を壊滅に追いこむ暴挙を許さず、岩国基地の大増強とセットで国土を廃墟にしかねない売国政治を許さず、真の国益を守るたたかいとして岩国や瀬戸内海沿岸のみならず、全国的な共感を呼んできた。全国注目の選挙をめぐって上関町内の情勢はどうなっているか見てみた。
 上関町内からは工事関係者もドッと引き揚げ、一連の「原発はもうできる」のこけおどしもネタ切れ状況になっている。中電は「準備工事の説明会をします」と発表したり、「中ノ浦の町有地に飯場をつくりますが、選挙後に動く予定です」等等の地元パフォーマンスをしているものの、盛り上がる気配がない。
 選挙前になると必ず「原発はすぐにできる」と触れ回ったり、国の手続きを進めるのが恒例で、推進派をその気にさせ、反対派を落胆させてきたが、今回は「このままならできない」の雰囲気が支配的になっている。踊らされる町民がいない事が大きな特徴だ。祝島が漁業補償の受け取りを拒否し、地権者が土地を手放さず、決着するメドがないのである。
 「飯場をつくる」といっていた蒲井地区では反対行動が起きて頓挫。農地転用をしていたのも期限が切れ、農業委員会で再び元に戻す措置となった。「今度は中ノ浦」といって中電が清水建設の社員を連れて地元説明会を開催したが、こちらも「中ノ浦にも来るな」と住民たちの反対行動がはじまっている。田名埠頭での阻止行動が励ましになり、「祝島の人たちががんばっている。私たちも負けられない」と思いが語られるなど、連鎖反応を起こしている。平生町の佐合島でも「送電線はつくらせない」と山田健一町長に申し入れるなど、行動は町内外へと広がりはじめた。

 現実味帯びる6人当選 原発反対派

 選挙戦の特徴は定数12に対して17〜18人の大乱立選挙の様相となっている。中電は「原発はすぐできる」という主張で、推進派は新旧の原発利権争奪に必死の様相で今のところ11人の顔ぶれ。対する反対派は、よそ者の「日共」職員と「スナメリ守れ」の県職労組職員・高島氏の2人と地元からは4人の6人。このほかに「反対派組織」の枠外の反対派・田中氏(戸津)が出る模様で、地元5人と見られる。
 今度の選挙情勢は、一方では中電が原子炉設置許可申請を出して「原発はすぐできる」のパフォーマンスをやり、実際には祝島の漁業権放棄のメドがなく、土地売却のメドもなくて原発が終結に近づいているという情勢の中でたたかわれる。とくに原発推進政治が結局は一握りの連中だけがいいことをして、町を売り飛ばすものであることが浮き彫りとなり、また漁民も補償金をもらって熱を上げる理由がなくなっていることなどで、原発離れがはなはだしくなるなかでおこなわれる。
 その一方で祝島の反対運動が、崩れて補償金を受け取るのではなく、逆に力強さを増し、しかも婦人をはじめ島民主導で国策と真向からたたかう姿勢で、全町民の共感を広げているなかでたたかわれる。
 したがって、中電と町民の力関係としては、推反逆転の情勢になっている。少なくとも議席が6対6の五分五分になるなら、推進はマヒし、反対が勝利するという情勢となっている。
 しかし選挙戦は、実際の力関係がそのまま議席にあらわれない。そこに選挙マジックが作用する。今回の非常に際だった特徴は、「反対派」の側から外来の「日共」職員と自治労県職の書記である高島氏が、早早と引越してきて出馬表明し、山戸氏ら町内「反対派組織中枢」がそれを認めたことである。これは町内事情だけではなく、「オバマ大統領万歳」を唱えている「日共」集団中枢、二井知事に雇われた関係にある自治労中枢の判断が作用している。
 「よそ者・外来者では選挙にならない」というのは町内の常識である。「日共」小柳票は長年のどぶ板と親類票であり「日共」票ではない。県職労書記・高島といっても、町民生活の心配よりスナメリの心配をする印象では選挙にはならない。仮に票を回すとすると、祝島や室津、上関の反対派票を死に票にする可能性が高い。
 また「反対派」側は、山戸氏が引っ込んで清水、山根コンビにチェンジするのも大きな政治的変化。そして「反対派組織」としては、はじめ上関の岩木議員を加えた3人しか出さず、あと白井田の村田氏を加えて地元からは4人体制である。これでは8議席から9議席ははなから推進派に提供するというシフトになる。「反対派は崩れた。逆らっても無駄」「祝島は補償金を受け取れ」の大合唱が予想されることとなる。
 反対派側は、地元から6人を立てる必要がある。室津はどんな高齢者が出ても当選させる力を持ったところである。祝島は2人を当選させてなお100票は余りがある。そして推進派崩れの票の流れがある。地元出身者が空白の室津地区から一人、それがダメなら祝島からもう一人擁立して、祝島の婦人たちが長島側に繰り出して協力と全町団結を訴える行動をしたならば、6人当選は現実味を帯びてくる。反対派が地元から6人出すかどうか、これが選挙戦を前にした最大焦点となっている。

 推進派は大乱立の様相 新人が名のりも

 そして推進派の乱立である。推進派は足元の町民の動向を見るなら不安がいっぱいだが、「反対派」の出馬シフトを見るなら「選挙は頂き」の空気となっている。
 推進派では、原発を引っ張ってきた故加納新町長夫人で、町長になって選挙違反で失脚し議員に返り咲くなど、原発に執念を燃やしてきた加納簾香氏が引退。柏原町長体制のもとで「昔からの人脈があり、祝島崩しは任せておけ」という関係であったが、予期せぬ補償金受けとり拒否で失敗した関係が響いたものと思われる。
 80歳近い高齢議員では、年末から佐々木元議長(室津地区)が親族含めて活発に動きはじめ、白井田地区の吉崎議員も加納氏に引率されて挨拶回りをしている。
 町議会で一番幅をきかせているのは室津地区の西哲夫議員と四代地区の山谷良数議長といわれる。最近、4階建ての民宿“やま家”を建てた四代の山谷議長は、中電票に世話になっている一人といわれてきたが、地元では「神社地と共有地のお金はどこに消えたのか会計を明瞭にせよ」の声がある。そういう人物に力を与えているのが中電で、中電の立地事務所・工事事務所など関係票だけで150票といわれる票で操作している。
 反対派を裏切って推進派に身を売って、「今度は捨てられた」といわれているのが外村勉氏。「室津の反対派が崩れた。祝島の反対派も崩れて当然」という宣伝のシンボルとなっていたが、シンボルの火が消えた関係となっている。反対派から嫌われたほか、推進派からもバカにされる羽目となっている。
 あと新人が名乗りを上げている。室津の海下氏は県漁協室津支店の推薦で出馬の形だが、県漁協専務になった森友氏が勝手に推薦を決めるなど、県漁協、県の意向を反映していると見られる。役場を退職した河村氏は、中電立地事務所の弁当を世話してきた食堂の主としても知られており、親戚筋にあたる片山元町長がバックボーンとなっている。上関地区では新人の嶋尾氏が登場した。田布施在住でしばらく上関町内から離れているものの、「親戚票がすごい。とくに反対派一族の票を崩せる候補」などと話題になっている。
 町民のなかでは、中電が町を乗っとった現実がさめざめと語り合われてきた。町政の上層部などは町長も議会も、町民がどうなろうが自分のことしか心配していない。片山町長型推進派勢力が賞味期限切れになって、加納一族型推進派勢力に移ったが、つづいてきたのは町をどう振興させるのか、町民の生活をどうよくするのかはまったく関係のない、中電に売り飛ばす政治であった。
 上関は漁業を中心に発展する町である。売町政治と金目当ての投機主義と対決し、中電から町を取り戻す、町民団結の力を形にあらわさなければならない。中電が仕掛ける、反対派惨敗の選挙トリックを突き破り、町民の意志がストレートに選挙に反映する形をつくることが切望されている。

 

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