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推進、反対が逆転できる情勢
上関町議選2カ月後に迫る
             町内から反対派を立てよ  2009年12月11日付

 上関原発をめぐる上関町議選挙が来年2月14日に投開票を迎える。原発計画が浮上してから7度目の改選となる今回の選挙は、原発終結をかけた重大な関心のもとで行われる。この間、祝島が漁業補償金を受け取らなければ漁業権問題が解決せず、中電の原発建設は終わりとなることが暴露されている。あきらめ頼みの用地問題も目立った進展はない。長年にわたって「原発がきたら町は繁栄する」と人人をかり立ててきたが、27年たった上関町の姿は中電の植民地のようになり、人口は半減した。この上関町の現状は全国の農漁村の象徴となっている。上関町をめぐる情勢はどうなっているか、町議選の争点と町民の根本的な要求はどうなっているか考えてみたい。
 町議選はいまのところ、空中戦の様相を持って前哨戦が進行している。原発をめぐる基本的な力関係が激変しているのが現実であるが、表面にあらわれた選挙戦は古いパターンのままである。
 従来なら選挙前になると必ず、推進派をその気にさせ、反対派を落胆させるために、中電や国が手続きを前に進めたりのパフォーマンスをやって、「できる、できる」を触れ回っていた。今回は、このパフォーマンスが見られない。それどころか「このままならできない」の雰囲気が濃厚である。残り2カ月間、どう進行するのか注目されている。
 推進派ではもっぱら「原発はできるからもう一期やらせろ」「古い推進はダメだから新しい推進をやる」とかの議員ポスト争奪戦で、色めき立っている流れがある。町長を辞職して議員に返り咲いていた加納簾香氏の引退説がささやかれ、佐々木元議長や、町連協元会長の吉崎議員など、後期高齢者たちがジッと様子をうかがっている状態だ。岩木和美、西哲夫、山谷良数、篠川源次、右田勝、社民党から推進派に寝返った外村勉の現職たちは「立候補しないわけがない」と見られている。
 ここに、新人が上関から嶋尾氏、室津から海下氏、河村氏が参戦を表明している。老人が三人引退して三人が登場すると、九人の候補者となる。「まだ辞めない」といって頑張るなら大乱立になる可能性もある。これまでのように中電が尾熊毛の立地事務所に呼びつけて調整することも考えられる。
 今回の選挙から定数が2議席減って12議席が争われる。推進派が山ほど出馬しそうななかで、反対派の側は祝島の山戸氏が引っ込んで清水、山根氏のコンビにチェンジする予定になっている。柏原町政与党の「反対派」議員である上関の岩木氏も出馬確実と見られている。戸津の田中氏が「意欲満々」と見なされつつ態度保留状態。
 また、今回からよそ者を引っ張り出しているのが特徴になっている。宇部で「日共」職員をしていた人物が上関地区に移り住んできて「憲法を守れ!」と街頭演説をはじめた様子が語られている。室津には防府で県職労組の書記をしていた高島美登里氏が移住してきて出馬準備している。「上に言われたから出馬することになった」と周囲に漏らしている。
 候補者の顔ぶれの様相を見ると、推進派が天下を取ったような気分であることと、「反対派」議員の側がはなから負ける気になっていることが特徴となっている。山戸氏が引っ込むというのも、人気が悪くなっただけでは説明がつかず、原発問題敗北を想定しているのだろうかとの憶測もある。

 中電と県の大誤算暴露 祝島が新たな高揚

 上関原発問題をめぐる情勢は大激変をしている。「原発はすぐできる」のではなくて、祝島が補償金を受け取らなければ原発は終わりという情勢になっている。この間漁業権放棄が成立したのは七漁協だけであり、祝島の漁業権は存続しているのである。祝島との関係では補償金の受けとりも、契約も、3分の2の総会議決もないし、中電はテーブルにもついていない。祝島地先の漁業権はもちろん、旧107共同漁業権も祝島の漁業権は生きている。さらに田ノ浦地先も埋め立てをするとなると、祝島の漁業への工事の影響があり、その海域でタイなどが産卵し祝島の漁場に出てきている関係上、祝島に影響がある。埋め立ても合法性を尊重するなら、祝島の同意がなければできない関係となっている。
 上関原発をめぐって、中電と二井県政は大誤算をしていることが暴露されている。県が強力に推進した漁協合併で祝島漁協の法人格を奪い、山戸氏を組合長から失脚させ、反対派から転向した新型推進派が実権を握るようにした。それで祝島は崩れた気になって、二井知事は埋め立て許可を出し、中電は補償金の残り半金を支払った。ところが崩れたはずの祝島がこの春、補償金受けとりを拒否し新型推進派を失脚させてしまった。
 昨年10月に二井知事が公有水面埋立許可を出した際、中電は今年3月までに原子炉設置許可申請を提出すると豪語していた。祝島の拒否でその当てがはずれた。中電は原子炉設置許可申請の提出を延期し、埋立工事着工の延期を発表せざるをえない状況に追いこまれた。その後は田ノ浦で土を掘ったり、木を伐採したりしているが、海になかなか手がつけられない。原発工事利権に群がっていた外部企業も夏頃にはガッカリして去っていく流れとなった。
 「1年以内に着手するように」が条件だった埋立免許の有効期限が迫った9月、ブイ搬出の騒ぎになると、祝島の抗議行動が下から盛り上がり、いよいよ補償金受け取りの見込みがない状況になった。
 先月には県漁協が県農林水産部の幹部に連れられて祝島に渡り、「補償金を受け取っても受け取らなくても税金がかかると国税がいっているので補償金を受け取るように」という説明会をした。漁業権問題は最高裁も「祝島も管理委員会の決議に拘束される」といったというので、決着がついているというのなら、放っておけばいいことである。放っておけないのは何としても祝島に補償金を受け取らせ、あきらめたのち漁業権放棄の総会決議をやらせて手続きを整えなければならない事情をあらわしている。
 したがって、2年後の国税巻き上げ期限、実質的には来年5月の供託金没収期限までに祝島が受け取らなかったら、中電は原発断念に追い込まれることになる。力関係は、推進の方が圧倒しているのではなく、反対の方が追いつめているのだ。
 補償金受けとり拒否、ブイ搬出阻止の祝島島民の行動は、祝島の運動の質が変わり、新たな高揚に向かっていることを証明した。長年もっともがんばってきた婦人たちが下から運動を主導し始めたこと、農民など島民全体が団結の機運を強めてきたことを人人に印象づけた。
 以前「平井知事は味方」といってきたところから、二井県政とたたかうという行動となってきており、広く全町、全県民と団結を求める方向が強まった。それは島を守らなければならないという思いだけではなく、瀬戸内海の漁業を守ること、ミサイルの標的にして国土を廃虚にしてはならないというのが国益であり日本社会全体の利益を代表する意識として論議がすすんでいる。
 こうして、中電と二井県政が祝島を切り崩すのはきわめて困難な情勢となっている。

 海山守り人住める町に 日本の農漁村の縮図

 町議選はこのような情勢の激変のなかでおこなわれる。町議選は祝島島民のたたかいと深く連動して、町民の力を示す機会となる。
 町内の特徴は、「中電に町を売り飛ばすな」「原発やめろ」の町民の世論が活性化していることだ。大きな特徴は推進派の瓦解が進行していることと、「反対派」議員どもが負けたような気になっていることだ。
 実際の情勢は、推進派と反対派の議席が逆転する可能性をはらんだ選挙戦になる力関係になっている。
 上関町をどうするのか、原発27年とかかわってすべての町民が共通して語る問題は、人が住めない町になったということである。27年前には、「1万人以上いた人口が7000人に減った」「過疎だから原発で町おこしを」と騒いだが、半減して3500人程度になった。町の上層部が中電の雇われ人のようになっている四半世紀の間に、少子高齢化も急速に進行。高齢化率は50%台突入の気配で、県下でもグンを抜く町に変貌した。「高齢者が多いので10年後にはどれだけ人口が減るのか、想像するだけで寒気がする」という声もある。
 「原発による地域振興」といって中電は推進派を踊らせたが、その中身は町を売り飛ばす売町政治であった。最近でいえば、町発注工事まで中電天下りの外部企業が奪っていった。一部業者以外の町内業者を潤わせない。事業協同組合が相手にされないのも同じ性質である。「御殿」を建てた山谷議長や片山元町長など、景気が良いのは一握りで、「ダマされた」の世論は充満しきっている。
 室津では七・五・三の子供が数人だったとか、家を解体した後の更地が目立ちはじめたのもここ数年は急速である。これは原発ができないから住めなくなったのではなく、原発を建設するには人が住まないようにする政治が働いてきたからにほかならない。町が豊かになったら文句が多く、貧乏で人が住めない方が、原発を建設したのちに都合がいいとみなしてきたことは歴然としている。
 とりわけ、原発が第一級の軍事施設で、海上保安庁の巡視船が常時沖合に待機する態勢をとり、自衛隊が出動・警備する施設ならなおさら、町内は住民がいない方がよいとみなしていることは明らかである。
 上関という長い歴史を持つ町に、30年ほどまえから乗りこんだ中電が好き勝手にしてきた。そして、町全部を買い取る交渉も対価も払わずに、町長も議員も、漁協組合長も区長も傀儡にしてしまって、神社まで中電神社にし、中電町にしてしまった。上に立って踊るものは我欲ばかりが花盛りで、町民の心配をする人物は一人もいないというのが共通した実感だ。町のなかでは、良識派ほど中電の騒ぎによって陰にかくれてきたのが特徴で、拝金主義、投機主義に加えた人だましがはびこる状況に嫌悪感もうっ積している。
 この上関の現状は、日本全体の農漁村が直面している現状を象徴的にあらわしている。「日本は農業も漁業もいらない、製造業もいらない、金融立国で行くのだ」という小泉ら自民党政府がやってきた市場原理競争至上主義で日本社会はさんざんに破壊されてきた。金融立国といってホリエモンのような人間だけが威張っていくといっても、それでは日本社会は成り立たない。日本社会は農業、漁業という食料生産から立て直す以外にない。敗戦後多くの人が上関に帰って海と山に助けられて立ち上がっていった。戦後六四年たった現在はまるで敗戦後のように荒廃したものになっている。都会も田舎も儲かる商売はなくなった。農業も漁業も今は儲けにならないが、海と山を守ることは、まともな社会に立て直すために不可欠となっている。

 中電叩き出す力結集へ 祝島と全町の団結で

 町議選は中電の手下になって町を売り飛ばす政治と、町民の団結と町を町民の手にとりもどし、町の地道な発展を願う、すべての町民との対立はきわめて鋭いものとなっている。
 衆院選で自民党政治を叩きつぶした全国民の力が証明しているように、それはエライ指導者にお願いして何かが動くわけではなく、町民のなかで町の進路をめぐって論議を強め、戦後64年のうち27年を総決算して、推進派、反対派の行きがかりを捨てて町の正常な発展を願う大衆的な力を再結集すること、原発を終結させ中電を叩き出すことが最大課題である。上関は漁業を中心にして発展させるほかはない。
 町議選は、売町政治を打ち倒し、中電を追い出して、町を町民の手に取り戻す町民の力を示すことが最大の注目点となる。それが補償金拒否で中電を追い込んでいる祝島島民と激励し合い、原発を終わりにさせる力となる。
 町議選は推進派と反対派が議席を逆転させるチャンスとなっている。推進派は選挙前から勝った気になって新旧利権争奪で乱立模様となっている。対する「反対派」議員連中は選挙前から負けた気になって、引っ込んでいる。外部勢力を選挙に担ぎ出すというのは、はじめから選挙で負ける気だし、祝島島民や全町民を落胆させる気だと見るほかはない。
 田舎選挙でよそ者が相手にされるわけがなく、反対派は町内から候補を出さなければならない。12議席のうち、6人以上を立てて五分五分か逆転に持ち込む姿勢が必要である。
 町民のなかでは「白井田の村田でもいいから、地元から擁立しろ」「反対派は勝負する姿勢を見せろ」の世論がある。候補不在の室津などから出すようにする必要があるし、ある場合は祝島から3人か4人出して、全町内を訴えて回るのはきわめて重要である。祝島の婦人たちが全町に繰り出して、町民と交流し、祝島と全町の団結をつくるのは決定的な力となる。


  

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