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<社説>  アメリカは核をかついで帰れ        2006年7月12日付 

  広島、長崎への原爆投下から61年目の夏を迎える。女、子ども、老人、勤め人、学生など何の罪もない数10万人が、瞬時に火の海に投げ込まれ、無惨に殺された。生き残った者はつぎつぎに襲ってくる原爆症に苦しみながら息を引き取っていった。親兄弟、友人を殺されて生きてきた人人の無念はいまだ晴らされていない。この史上もっとも凶悪な兵器である原爆がまたも使われようとしていることを、地下に眠る人人はなんと叫ぶだろうか。とりわけアジアとこの日本本土をも、ふたたび原水爆の火の海に投げ込もうというたくらみが動いていることを、唯一原爆を投げつけられた民族として断じて許すわけにはいかない。
 原爆投下は、戦争終結のためにはまったく必要のないものであった。すでに日本の敗戦は明らかであり、どのような降伏をするかが、問題になっていた時期であった。アメリカの原爆投下は、8月9日と定まったソ連の参戦に焦って、天皇やソ連指導部を脅しつけ、日本を単独で占領するという利己的な野望を実現するために、綿密な計画のもと眉根1つ動かさずに実行したものである。天皇を頭とする戦争指導者は自分たちの支配の地位を守ることだけを願い、米英に救いを求めて320万の日本人民を死地に追いやった。20数万人を殺した沖縄戦といい、10数万人を殺した東京をはじめとする全国60数都市の空襲といい、その後の日本を基地にした朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争といい、アメリカ支配層は平和と民主主義者どころか、人類史上もっとも凶悪な戦争放火者、殺人鬼であることについて、あいまいにするわけにはいかない。
 61年たった現在、全国の自治体で、核攻撃を想定した訓練がやられ、米軍基地では、シェルターへの避難、米兵家族の国外退避訓練などがやられている。知らぬのは日本人だけで、現実に原水爆が日本に飛んでくるのを想定して米兵家族は先に逃げる準備をしているのである。アメリカは日本を前線基地にして朝鮮、中国にたいする圧倒的な核攻撃態勢をとっている。アメリカは日本から核攻撃をし、日本本土が報復攻撃の盾となり、アメリカ本土への攻撃を押しとどめるという魂胆である。小泉政府は、このアメリカの計画のお先棒をかつぎ、朝鮮との関係では前面にたって戦争もやりかねない愚かな態度をとっている。
 北朝鮮の核開発とミサイル実験にたいする政府の制裁騒ぎは、極めて危険なものである。北朝鮮が仮に使用可能なほど開発したとしても、アメリカとイラクの関係と同じであり、1発撃ち込めば数1000発を撃ち込まれ国土は壊滅する関係にある。冷静に見ればアメリカ・日本の側が攻撃しない限り使用することのない関係である。食料も燃料も不足する北朝鮮を制裁し追い詰めることが、戦争の危機を引き寄せている関係である。
 安倍官房長官や額賀防衛庁長官、麻生外相などは、日本からの経済制裁だけではなく国連決議による世界的な制裁をやろうとし、あげくは北朝鮮のミサイル基地を先制攻撃する準備をするなどと発言し、全面戦争にエスカレートする姿勢まで示している。日本民族にとっては朝鮮と戦争をやらなければならない理由はなにもない。これをやろうというのはブッシュ政府であり、その目下の同盟者となって戦争で一儲けしようという売国独占資本集団である。
 このようななかで、広範な日本人民のなかでは、朝鮮への無謀な戦争挑発に反対し、核兵器の廃絶を求める世論が沸騰している。ここで、原水禁を唱え平和を唱える勢力のなかから「北朝鮮の無法行為」への制裁を叫んで、真の戦争放火者であるアメリカの核独占を擁護する勢力、すなわち戦争協力者が登場している。原水協、原水禁の指導部をしめる「日共」集団、社民党などであるが、このようなものが大衆の平和の力を押しつぶすために役割を果たしてきたことは、あまねく見抜かれてきたものである。このようなものに遠慮することなく、大衆的な発言と行動を強めなければならない。
 1950年8月6日、朝鮮戦争がはじまった広島で、はじめて原爆投下に抗議する斗争を切り開いた峠三吉の時期の、真に被爆した広島の市民を代表し、原爆投下者アメリカに抗議する運動の伝統を継承しなければならない。その方向を継承する今年の原水禁8・6広島集会は極めて重要なものとなる。全国と全世界から平和を求めて集まる8月6日の広島で、原水爆の製造も貯蔵も使用も禁止することを求める広島と長崎の本当の意志、日本人民の意志を示すことの意味は極めて大きい。「アメリカは日本からアジアから核をかついで帰れ」「アジアの近隣諸国との平和友好」という、「イエローモンキー」ではない日本人民の意志を全世界に伝える意義は極めて大きい。

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