トップページへ戻る

食料生産担う漁業を守れ
福岡県漁民が危機突破大会
               燃油高騰対策国に求め400人    2008年7月14日付

 福岡県内の漁協代表者ら400人が12日福岡市中央区舞鶴にある県水産会館に集結して「漁業経営危機突破漁民大会」を開いた。その後、大漁旗をはためかせながら天神の大通りをデモ行進し「食料生産を担う漁業を守れ」「水産物の安定供給に国は責任を果たせ」「燃油価格の上昇分を国は直接補填せよ」と訴えた。マネーゲームで金儲けする連中のおかげで、燃油価格は遠慮を知らぬ暴騰を見せている。漁業者らが使用する免税軽油も5年前に1g40円だったのが120円(税抜き)にまで跳ね上がり、今年に入ってからは4〜7月の期間だけで40円ちかく上昇した。「食料生産を守れ」の声は高まっており、15日には窮状を訴えるために全国20万隻の漁船が、国内初の「漁民ストライキ」を敢行する。

 大漁旗掲げてデモ
 「燃料価格高騰から食料・漁民を守れ! 福岡県漁業経営危機突破漁民大会」には、39漁協の代表メンバーらが顔をそろえた。県内の7000隻もこの日は一斉休漁で連帯行動。会場には大漁旗や幟がかけられ、海の男たちの熱気があふれた。
 県漁連の森勘一会長は「減速航行など省エネ対策を施してきたが、限界を       福岡市天神の大通りをデモ行進する福岡県の漁民(12日)
超えている。このままでは廃業する漁業者も出てくる。われわれは国民のタンパク源供給という重要な役割を果たしてきた。日本は昔からコメと魚を食べて魚食文化で成り立ってきた。今日があるのは魚食のおかげだ。燃油高騰対策を求めて、広く国民のみなさんに沿岸漁業の重要性を訴えるとともに、政府国会にたいして沿岸漁業を守り、食料供給をおこなえるよう根本的な対策を求める」と述べた。
 磯ごち網漁をやっている男性(福岡市漁協西浦支所所属)は意見発表のなかで、「他の漁業とぶつからないように西は長崎県、東は山口県と隣接する海域で操業させてもらっている。西の外れに2時間走っても、そこで別の漁種の方が操業していたら、さらに別のあじろに移動するということもたびたび。大型エンジンで沖合を東奔西走する毎日だ」と操業の実態を述べた。
 磯ごち網漁は県下では39カ頭・78艘が操業しており、200人あまりが従事している。沿岸漁業のなかでは大型となる15dクラスの漁船がひと組になって、カワハギやマダイなどを漁獲する。筑前海域の生産高のうち約2割を占める漁種で、年間3700d、200億円の生産を誇っている。燃油消費量は1カ頭で1日約1500gを超え、昨年は1600万円にもなったという。水揚げの3分の1から3分の2が燃油代として消えていくのが実情だ。速力を落としての省エネ航行などの「自助努力」もむなしく、水揚げで回収できるわけでもない。水産物の場合、生産コストは価格に反映されず、産地魚価の低迷は惨憺たる状況だからだ。
 「明治時代の工業立国への方針、昭和の沿岸域の乱開発によって、魚の産卵場、藻場干潟を失い、海は機能を著しく失っている。国民の生命・財産と関わった漁業の存在意義・多目的機能が近年は見直されてきたが、このような燃油高騰が続けば維持できない。漁村機能の損失は国家の損失だ。わたしたち漁業者が存続できる社会は日本にとって必要だ。漁業を守り、食料を守る政策を!」と力をこめて語った。

 力込めて訴え 座して死を待つ事はできぬ
 巻き網漁(筑前海域では7隻で1つの船団を組んで8カ頭が操業している)をやっている鐘崎漁協所属の漁業者は、「沖合での操業を余儀なくされており、一晩での燃油消費量は多いときには船団でドラム缶60本ちかくになることもある。年間の燃油代は2700万円から4300万円と1・6倍にもなった。油代が膨れあがり経営を圧迫している」と状況を述べた。
 そして「我が国の食料自給率は39%にもなった。この先、輸入にも頼れなくなることが予想されるのに、漁民の数が激減すれば日本の食料事情はどうなるだろうか。国は今月中に2日間の海岸清掃を漁民に要求し、その見返りとして1人当たりわずかドラム缶1本分程度の資金を提供するといっている。こんな姑息な政策では浜から漁師がいなくなるのはそう遠くない。中長期的で抜本的な対策を求める。漁民代表の皆さん、なにもしなければ座して死を待つだけだ! われわれの声を国に届け、国民の理解を得ていこう。このうねりを大きく全国的なものにしていこう」と呼びかけた。
 有明海区から駆けつけた福岡県有明海区研究連合会の代表は、ノリ養殖では陸上での乾燥工程で大量の油を使用し、経費全体の約20%をしめていること、生産コストは上がるのにノリの入札価格は低迷し、所得も減っている現状を述べた。「連合会には明日のノリ養殖業を担う青年漁業者が175人所属している。すべての資材が値上がりし、現状では利益を保つのが困難。自助努力も限界だ。若手にとってこれほど不安なことはない。このままでは漁業者が育つどころか、産地としても危機的状況に陥ってしまい、国民のみなさんにおいしいノリが供給できなくなる。生産者が安心して生産に専念できるよう国が対策を考えてもらわないと消滅してしまう」と訴えた。
 県漁協青壮年協議会(600人)を代表して意見を述べた、北九州市漁協所属の若手漁業者は、各浜でも出れば出るほど赤字だと語られ、操業を断念せざるをえない厳しい状況が続いていること、輸入水産物の影響を受けた魚価安に加えて、燃油高騰、漁具、漁網や箱など漁業資材の値上がりに直面し、コスト削減の自助努力ではどうにもならないと訴えた。「このままではさらに若い漁業者が減少してしまう。これは長期的に存続可能な産業を潰してしまうことにつながる。国民への水産物の安定供給を脅かすことにもなる。国民経済にとっても大きな損失だ。高騰する燃油価格について国が真剣に考え、水産食料供給の担い手を確保し、漁業の発展継続を目指さなければ、日本の漁業が消滅してしまう。小手先の対策ではなく直接的支援などして、安心して従事できるよう対策を講じてもらいたい」と述べた。
 威勢のいいデモ行進は、沿道の注目を一身に浴びていた。
 県漁連の担当者は、「これほど漁家経営が圧迫されると、離れていくのはどうしても若手漁師になる。将来に希望を見いだせないからだ。そうすると漁業技術の継承も難しくなり、国民はどうやって食っていくのかという問題になってくる。食料危機につながる。いま若い漁業者をとめておかないと、取り返しがつかない」と危機感を露わにしていた。
 8月補正予算で措置を講じるよう、全国で漁業者の行動がはじまっている。

トップページへ戻る