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消費購買力が極端に落ち込む
下関の各業種で実情聞く
              貧困と失業が内需を破壊    2009年9月18日付

 アメリカ発金融恐慌を引き金とした経済危機の犠牲を、財界と政府が労働者、勤労人民に転嫁、完全失業率5・7%と過去最悪を記録、完全失業者数も前年同月比100万人超増の356万人と過去最大の増加を記録した。生活保護世帯数は120万世帯と過去最多を記録。失業と貧困は空前の規模に増大している。このもとで、大衆消費は「商いを始めて経験したことのない落ちこみ」(シーモール下関専門店主)となった。下関旧市の各業種の自営業者に実情を聞いた。
 JR下関駅前のシーモール下関専門店街の衣料品店に2人の商店主が寄って雑談となった。衣料品店主は「9月は例年、商いが落ちこむが、リーマン・ショック後の今年は異常だ。夏物一掃のセールをやっても1件も売れない日があった。商いを始めて45年になるが、経験したことのない消費の落ちこみだ」と語る。
 別の商店主は「シーモールへの客数は例年なみそこそこの人数が入っているが、商品が売れない。百貨店も、大手スーパーも、コンビニも、すべての小売業の売上落ちこみが深刻だ」「アメリカいいなりで大企業だけが好き勝手に利益をあげる“自由”で日本は目茶苦茶になった。これをやった自民党は国民からたたき落とされ、財政的にも破たんしているが、なんの反省もない。民主党も期待を裏切れば同じことになる」と、怒りをこめて強調した。
 旧市長門町の生鮮食料品店が集合する長門プラザでは、「近年は大型店の野放し出店、駐車禁止取締り重点地区指定、市営駐車場民託化で“30分無料”の対策もなくなり、客足は減っていた。だが今年は考えられないほど食料品が売れない」と語る。
 具体的には「毎日午後3時ごろから夕方にかけて客は少しは増えていた。ところが最近は客足が増えない。鮮魚の刺身などをつくって並べても売れ残る。以前から食費も切りつめている買い物状況だったが、毎日の食事の買い物に来ないお客がめだっている。1度買ったら3日くらい来ない。1つの食材を小切りにして、味付けや調理法を変えて食べているのだろうか」と実情を話す。

 新聞販売やたばこ屋も変化 クリーニング店でも
 街の各業種も、みんな「経験したことのない事態だ」と語る。
 旧市の新聞販売店は、「最近、高齢者から年金が少なくなって生活が大変なので、新聞をやめるという連絡が入るようになった。1人、2人ではない。こんなに連絡が入るようになったのは初めてだ。また、派遣切りで仕事がなくなったので新聞を止めてくれとか、新聞配達の仕事に空きがないだろうかという問い合わせも少なくない。みんな食べるための仕事を懸命に探している」と実情を語る。
 続けて、「食べることを止めるわけにはいかないが、新聞などはテレビ1台あれば情報が入る時代。家計から切られる対象になる」とつけ加えた。
 クリーニング業者の出店では、「3年間、店の留守番をやっている。たった3年だが、この3年で大きく変わった。初めのころは、しょっちゅう洗濯物を持って来ていたお客がだんだん減ってきて、週に1回になり、2週間に1回になり、3週間に1回になって、今では、“あれ、あのお得意さんは今月来たかなぁ”という実感だ。おそらく、どの家庭も経済的な余裕がなくなって、なるべく家庭の洗濯機で洗おうとなっている」と話す。
 次いで「出店の営業日報は、1日で1枚うまっていたが、今は3日も4日もかかる。昔はにぎやかな商店街だったのに、大型店乱出店で空洞化し、高齢化も進み、車に乗れるものは遠くの大型店に行くが、家から一家で出歩いたり、散歩に出たついでに、買い物して帰ろうというようなことが、まったくなくなった」と語った。
 街のたばこ屋は「2007年から始まったタスポ(自動販売機成人識別カード)の導入で、たばこの売上は以前の半分ぐらいになっている。このうえに、アメリカが引き起こした不況のしわよせで、1日に吸うたばこの数を減らしたり、禁煙する人も多くなった。タスポのない人は自動販売機で買わなくなり、コンビニなどで買うようになった」と実情を語る。
 下関の街のたばこ屋では、この1、2年、とくに客が減った。1日の平均売上が1万円。収益はその1割なので1日1000円。月にすると3万円ぐらいしか収入にならない。「少ない年金のたしになれば」と、たばこ屋を続けている人もいるが、年金がない人はとてもやっていけない。
 あるたばこ店主は、お客の名簿をつくって、お得意のたばこが切れそうになったら、家にたばこを持って行き「お金は後でよいから」と売っている。同店主は「総選挙で今までたまっていた自民党への怒りが票となって表れた。民主党にかわっても、目先のことではなくて、本当に懸命に働いている人人が普通に生活できる政治をさせないといけない」と強調した。
 商店街の専門店主は、「今年の春以来、人通りがめっきり少なくなった。これまでも良くはなかったが、失業は過去最悪で貧しさが想像できないほど広がり、金を使わないために街に出ない。このような姿が浮かびあがる。おまけに下関は大型店野放しだ」と開口1番に話し始めた。
 続けて、「中尾新市長はマニフェストをすべて放り投げた。中尾新市長は市民に期待されながら、時代錯誤にも自民党の安倍、林にくっつき、“経営者の視点”などと市場原理市政をやっている。公約をほごにして、あるかぽーと開発はやるというし、市庁舎問題もあやしげだ。“大型店規制”を約束して回ったが、野放しのままだ。12月8日にはイズミのゆめシティ新下関が開店する。商店街はもとより、シーモールなど大型店も打撃を受ける。市民の怒りはおさまらなくなる」と語った。

 新車も中古も売れない現状 バイクや自転車店
 バイク・自転車販売店では、「バイクの新車はまったく売れない。最近は中古もなかなか売れなくなった。中古バイクをさがす人も、1万円とか2万円で売ってくれないかというが、そこまで値下げはできない。庶民の金づまりはかつてない大変な事態だ」と語る。
 別の自転車店主は、「最近は本当にお客が減った。昨年、下関市内で防犯登録した自転車が5000台、そのうちスーパーの安売りが4500台だ。最近ではインターネットで自転車を買う人もいる。市内で自転車だけで食えるのは1、2軒。スーパーで買った客が修理だけはしに来る」実情を語る。
 そして、「以前、メーカーや保険会社との関係でも“1人でも客を増やせ”といわれ、私らも“1人1人のお客さんのために”とやってきた。ところが最近は、メーカーや保険会社が小売店を選別し、売上目標を設定して、それにとどかない店は取引しないというやり方に変えた。力のあるものは残し、それ以外は切り捨てる。人口の少ない郡部などは息もたえだえだ。地域の利用者も犠牲にする。これが小泉のいっていた新自由主義か」と憤りをこめた。
 これまで自転車やバイクの普及を担い、メーカーにかわってアフターサービスをやってきた特約店を、市場原理による利潤効率一点ばりで、再編・淘汰する。大手メーカーや保険会社への怒りは根深く広がっている。

 賃貸物件も動かぬ不動産業 旅館・ホテル倒産も
 街の不動産業者のなかでは、「リーマン・ショックによるバブル崩壊での不動産大手の倒産は一段落したが、地方の街の不動産屋にとっては、売却物件も、賃貸物件も動かない。わずかに動いているのは、程度のよい安い中古物件。ローンも組みやすいからだ。新築は売れない。賃貸物件も5万円を4万円に、4万円を3万円にと家賃を下げなければ借り手がない」と実情が語られている。
 「とくに深刻なのは、製造業大手や関連中堅企業が、派遣など非正規労働者を大量解雇し、周辺のワンルームマンションなどが、がら空きとなっていることだ。下関の近くでは美祢市の工業団地向けに建てたワンルームマンションやアパートだ。こうして地方の不動産業者も倒産寸前となっている」「アメリカの投機集団による投機で、原材料は高騰、建設コストも高騰したが、土地を買ったので建てざるをえなかった。そのうえのリーマン・ショックである。さらに正社員も首切りや賃金カット、ボーナス削減で、住宅ローンが返せなくなっている。庶民のなかで不動産物件が動くわけがない」と憤りをこめて語る。
 事実、住宅ローンの返済期間を延長して、月月の返済額を減らすなど、返済条件を変更する事例が激増している。
 全国の信用金庫などと提携し、ローン返済の保証をおこなう「しんきん保証基金」(東京)によると、取引先金融機関での今年1〜8月の条件変更件数は665件となり、前年同期の約3倍に達している。返済期間を延長するケースがもっとも多く、ボーナス併用払いの支払い額を減らしたり、とりやめたりする事例も少なくない。「冬のボーナス時期が正念場だ」「今後、返済条件変更では対応し切れなくなる可能性は高く、マイホームから追い出される危機に直面している」といわれている。
 大量の派遣切りで、会社の寮となっていたワンルームマンションやアパートから、路頭に出されたことが社会問題となっているが、正社員、本工の首切り、賃下げでマイホームも失う事態となっている。
 下関旧市のA旅館によると、「消費落ちこみでホテル・旅館業界も大変な事態となっている」という。
 「アメリカ金融危機による世界的な経済危機で、犠牲転嫁による消費低迷はこれまで経験したことがない深刻さだ。東京や関西などの大都市や、全国の有名観光地の一流ホテルや旅館が“期間限定”といって宿泊料を大幅に引き下げ、客を集めている。“期間限度”を何回もやれば、1年中値下げしているのと同じことだ」と語る。
 続けて、「コストぎりぎりまで引き下げて、旅行を楽しめる1部階層を奪い合う競争をやっている。全国各地の一流ホテル・旅館が、なりふりかまわずやり始めた競争で、各地の中小ホテル・旅館業者の倒産も増えている。これでは、“四季がある日本の自然”を売りものにした観光産業もあったものではない。市場原理一点ばりで日本の農山村をつぶし、豪雨災害の元凶となっているが、次は観光を担うホテル・旅館業界を荒廃させている」と市場原理一点ばりの政治を批判した。
 帝国データバンクが8日発表した「ホテル・旅館営業者の倒産動向調査」(負債額1000万円以上、法的整理のみ)は件数で73件、昨年に次ぐ2番目の多発ペースで推移している。一方、負債総額は減少傾向にあり、従業員数10人未満の中小業者が53・4%と半数以上を占めた。さらに業歴30年以上のホテル・旅館が50・7%と「老舗倒産」が半数をこえている。

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