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消費増税し使い込む構造歴然
安倍貧困化政治との対決
               国家財政食潰す大企業     2013年9月23日付

 安倍政府が来年4月から消費税を現行の5%から8%へと引き上げ、その税収から5兆円分(3%増税したうちの2%相当)を「経済対策」として大企業・ゼネコンへのバラマキに充て、さらに復興法人税を前倒しで撤廃することや、法人税減税を実行する方針を打ち出そうとしている。「社会保障に使う」といって民主党、公明党、自民党の3党合意でゴリ押しした増税だったが、1年も経たないうちに別目的で好き勝手に使っていく振舞をはじめている。大不況の最中にアベノミクス(円安政策)で生活物価は上がり、子育てするにも親の介護をするにも金ばかりがかかり、酒、タバコなどの嗜好品はじめ、なにをするにも税金なのか罰金なのかわからないほど負担が増し、家計に入るお金よりも出ていくお金が多すぎてみながやっていけない。このなかで、大衆課税で巻き上げた国税収入が惜しげもなく金融資本や大企業に投下され、富む側はますます抱え込み、海外移転の原資まで国に寄生してまかなわせ、圧倒的な勤労人民の側に貧困が押しつけられる構造に批判が高まっている。
 
 企業負担の免除額1兆円規模

 昨年に消費税増税法を可決したのを受けて、安倍政府は来年4月に当初予定通り8%へと引き上げることや、同時に法人税の実効税率が現行では38・01%なのを35・64%まで引き下げることを検討しているとされている。東日本大震災の後に導入した復興特別法人税も1年前倒しして撤廃し、これらの「減税効果」すなわち企業負担の免除額は1兆数千億円規模になると見込まれている。一方で消費税増税による国民負担は約8兆円増すことが明らかになっている。政府内では、2015年からの追加減税(法人税)の論議も開始することが検討され、「25%まで引き下げよ」という主張があらわれている。
 消費税を来年4月に8%、翌15年10月から10%に引き上げるというのは、民主党・野田政府が倒壊寸前のドサクサに紛れて国会に提案し、当時野党だった自民、公明と一致して可決したものだった。「経済情勢を見て判断する」と争点を曖昧にして解散総選挙で議席を獲得したのが自民党で、来年四月実施までの手続きが迫られる九月まできて、実施宣言に踏み出そうとしている。
 この間、「東北復興のために」といって実施してきた復興増税(特別法人税と特別所得税から成り立つ)のうち、法人については昨年度から3年間、法人税額に10%上乗せするとされてきた。これを今年度で打ち切るだけでなく追加で設備投資減税も強化していく方向となっている。また、従業員給料が今時アップできるのは大企業くらいしかないが、実行すれば追加で減税の恩恵を与えられる制度も俎上にのぼっている。法人税減税といっても単純に基本税率を下げるだけでなく、分野別に各種の「減税制度」が用意され、その合わせ技で10%〜20%引き下げるような芸当が現状でも横行している。裏技のような仕組みをより重層的なものにする趨勢となっている。
 復興特別法人税は撤廃されても、復興特別所得税、つまり個人が今年1月から25年間にわたって、所得税に2・1%上乗せされ、住民税にも来年六月から一〇年間加算されるものについては、そのまま増税措置が続くことになる。国民からだけ巻き上げる徹底した収奪政策となっている。

 消費増税で財源穴埋め 所得税も法人税も減

 遠慮を知らない国民収奪への怒りは尋常ではない。「財政再建」「赤字国債発行」といって、今にも国家破綻しかねないような大騒ぎをして増税を決めながら、日銀に史上空前の量的緩和を実行させて世界中にマネーを大盤振舞したり、200兆円の国土強靱化を実行しはじめたり増税して国に入った5兆円分を大企業分けとりの景気対策に注ぎ込もうとしたり、使うことにまるでちゅうちょがない異常な姿を問題にしないわけにはいかない。国民が汗水流して働いて納めた税金をすべて「ボクのもの」くらいに見なして、就任以来、アジア諸国や中東地域を歴訪し、各地でODA(政府開発援助)をばらまいてきたのが安倍首相で、権力に酔いしれて大暴走をはじめた姿が露呈している。
 法人税が減税されて、大衆課税に転嫁される。この仕組みは過去の国税収入の種類別の推移を見ても歴然としている。財務省が明らかにしている数値【図参照】を見てみると、法人税はピーク時の1989年(消費税導入)に19兆円あったのが、いまや8・7兆円にまで減り、所得税は26・7兆円あったのが13・9兆円にまで減少。税収3本柱のうち2つが右肩下がりになっていく過程で、それとは逆に右肩上がりになって、穴埋め財源にされてきたのが消費税であることがわかる。
 消費税は3%で5〜6兆円、5%になると10兆円台で推移し、これが8%に引き上げられると17兆〜18兆円、10%なら22兆〜23兆円規模になることが見込まれている。大企業が法人税の支払い義務から合法的に逃れ、富裕層が所得税を減税された分がみな消費税に転嫁され、さらに足りない財源は赤字国債の発行(国民の借金)によってまかなわれてきたのが実態だ。「財政破綻」や「国の累積債務」についても厳密に見てみると、金融資本や大企業を優遇した結果、国として収入が減るのはあたりまえで国家債務だけ膨らむ構造が出来上がっている。おかげで、国の借金は増えても大企業の内部留保は増え続け、いまや260兆円近くにも上っているとされている。
 法人税は消費税が導入される1989年までは基本税率が42%だった。それが導入後には段階的に37・5%まで引き下げられ、97年に消費税が5%に引き上げられると翌年に34・5%、その翌年に30%へと引き下げられて10年近くが経過した。
 法人税の基本税率が30%といっても、資本金100億円以上の大企業になると実質的に負担しているのは利益のうち15〜20%台に過ぎない。輸出企業になると輸出戻り税が還付されるほか、連結納税制度(連結法人になると10%以下。トヨタや日立、三井物産、東芝など大企業の多くが導入)や受取配当益金不算入(企業が受け取った株式配当は益金とは見なさず、利益計上しなくてよい)、外国子会社配当益金不算入(外国子会社の配当の95%までは益金と見なさなくてよい)、税額控除(研究費の税額控除、外国税額控除)など諸々の優遇税制が施されているからだ。黒字を出した中小企業などが実質25%強の負担率で税金を納めているのと比べ、大企業は極端に負担が軽減されている実態が指摘されている。
 こうした裏技を官僚機構がたくさん整備してきたため、「実効税率30%」であろうと実際には15〜20%負担という抜け道が可能になり、麻生太郎財務相が「実効税率より投資減税などのほうが即効性がある」などと発言する始末となっている。

 大事業への幻想は崩壊 寄生するだけの存在

 小泉改革によって、相続税は最高税率が70%だったのを50%へと引き下げられ、3億円以上の資産を残している金持ちを優遇。所得税も年間所得1800万円以上については最高税率が20%も下がった。株主優遇の税額控除もやられた。そしてもっとも減税対象になってきた大企業たるや、製造拠点を海外に移転して無国籍企業のようになりながら、優遇税制や進出拠点の整備(政府開発援助)、さらに人材確保・育成(英語教育や即戦力教育)については国に依存する関係を強めている。
 その傍らで、社会保障改革を掲げて医療・福祉関連予算が大幅に削減されたり、「受益者負担」が拡大して医療難民や介護難民が社会的な問題になったり、年金支給年齢が引き上げられたり、社会のさまざまな分野で制度まひが顕在化してきた。「小さな政府」といって国民生活への政府支出を極端に拒んできた結果にほかならない。
 大企業は社会的責任を放棄して、もっぱら寄生するだけの存在になり、「もっとやれ!」と政府の尻を叩くのがあたりまえのようになった。国民生活を踏み台にして世界に出ていき、内部留保をため込むばかりで決して社会に還元せず、労働者・国民に分配などしない。そして、多くの大企業が株式を外資や外国人投資家に握られ、企業利益は社会や労働者、国に還元するものではなく、株主がかすめとっていく。安倍首相が提唱する「世界でもっとも企業活動がしやすい国」は、もう一段これを徹底するものとなっている。
 「企業利益の増大が国益の増大になり、国民所得の増大になる」という幻想は剥がれ、政府というのも国民の意思や思いを代表するような機関ではなく、もっぱら財界や米国の代理人になってしまい、独立国としての体をなしていない姿が暴露されている。
 前代未聞の低投票率によって安倍自民党政府が再登板した後は、食料自給率が十数%になろうが、医療制度が破綻しようが、日本市場の全面的な売り渡しになろうが、お構いなしにTPP参加を得意げに表明してきたり、福島事故が収束もしないうちから原発輸出や再稼働に舵を切り、日銀は総裁の首をすげ替えて史上空前の量的緩和を実行し、改憲といえば内閣法制局長官を入れ替えて憲法解釈を変更しようとしたり、特定秘密保護法を推進したり、国内政治においては独裁的な振舞がやられてきた。それを商業メディアが揃って「アベノミクス」と持て囃し、お膳立てしてきた。
 その調子で世界に出て行った結果、尖閣問題では中国との緊張関係だけでなく韓国とも揉めてアジアで浮き上がり、IOC総会に行って「福島は完全にブロックされている」と発言したり、世界でアメリカのシリア軍事介入反対の世論が沸騰し、米欧政府が言葉を濁している最中に中東に出かけて「アサドは退陣せよ」と主張して嘲笑の的になったり、浮薄な権力者の大暴走が止まらない。
 消費税が8%だけでなく10%へと向かうなかで、「オリンピックの心配よりも国民生活の心配をしろ」の声が高まるのは必至となっている。政治勢力が翼賛化してあてになる政党など見当たらないなかで、国民生活を破綻に追い込む貧困化政治との全面的な対決が迫られている。


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