トップページへ戻る

小中高生の心に響く礒永詩
第38回小中高生平和教室
                  熱こめて詩を群読       2006年1月31日付
 
 小中高生平和の会は29日、今年はじめての第38回平和教室を開いた。今回は「山口県の詩人、礒永秀雄さんの詩を読もう!」という内容で呼びかけ、下関、宇部、防府、萩、北九州から小・中・高校生が57人、教師や親をふくめ75人が参加した。今年は礒永秀雄没30周年にあたるため、礒永秀雄の詩をじっくり読み、そこに貫かれている戦争を経験した人人の深い思いに学ぼうと企画された。小学生から高校生までの縦割り班で一つの詩を読み深めることで、作者が詩にこめた人人への奉仕の心、困難に負けない力強さなどが子どもたちの心に響いていた。

   指導した教師も驚き
 午前中はお正月の遊びを楽しむということで、「坊主めくり」と「平和の旅スゴロク」を楽しんだ。「平和の旅スゴロク」は縦約1・8b、横約4・5bの段ボールでつくられた平和の会特製の巨大すごろくで盛り上がっていた。
 午後からは、礒永秀雄の詩を読む活動をおこなった。平和の会が作成したリーフ(「こがらしの中で」「さて」「虎」「一かつぎの水」「ゲンシュク」「八月の審判(抜粋)」「夜が明ける」が収録)が配られ、そのなかから班で読みたい詩を選んだ。
 礒永秀雄の詩は低学年にとってはむずかしい漢字も多いので、ふりがなをつけていくことからはじまった。低学年は最初はなかなか読めない状態で声が出なかったが、班全員で何度も読むなかで元気いっぱいの声が会場に響いた。また自分の個所を読むのが必死だった子も、詩全体の意味をとらえて読み方や表情まで変化していったことは、指導した教師も驚いていた。
 「一かつぎの水」を選んだ班の小学2年生の男子は、「馬新さん 馬新さん その息子さん」という言葉を漢字が少なく簡単という理由で選んだのがはじめだった。しかし班のみんなで何回も読んで内容を理解するなかで、「馬新さんが17年間水くみをつづけてすごいです」「ぼくも馬新さんのような人になりたい」と感想を書き、感情をこめて読むように変わっていった。その感想は多くの小・中学生に共通していた。
 1957年の元旦に書かれた「さて」という詩は、短くわかりやすい詩でリズムもよく、好きな子が多い詩の1つだった。1年間つらいのに耐えてきて、1年の最後にそれを餅にたたきこんで腹いっぱい食い、「歩いていこうな 胸をはってな」という前向きな生き方に元気づけられたと感想に書いている子もいた。
 また最初はつまらなそうに読んでいた子が、何回も読むうちに、作品のなかの家族を大事にする気持ち、お年寄りにたいする優しさや、「泣いたり、あきらめないでがんばっていこうという感じが伝わった」と感想を書き、班の小さい子にたいする態度も変わっていった。
 「夜が明ける」の詩を読んだ班の小学生や中学生は、詩のなかで好きな言葉を出しあったり、「元気が出る詩」「気合いが入る詩だ」「いまから“たたかいに行こう!”といっていると思う」など感想をいいあいながら読んでいた。
  約1時間半余りの詩の猛特訓を終えて成果を発表しあった。どの班も心のこもった群読で、まったく読めなかったスタートから、発表まで行きついた子どもたちの力に、教師はあらためて子どもの力を実感したと語っていた。
 指導した教師は「最初はつまらなそうに読んでいた子が、何回も読んでいると中身がわかってきて、大きな声を出して読むように変わっていったのは驚きだった。礒永さんの作品のなかの人にたいする人間味が子どもたちにも伝わっていったのがわかった。『さて』という詩を読んだが、低学年も詩のリズムで“ここは優しい感じ、つらい感じ”とつかんでいったと思う。作品のなかの家族を思う優しさや、つらいことに負けない力強さが子ども本来の力を引き出していったように思う」「詩を群読する集団の力のすごさを感じた。『一かつぎの水』は小さい子ははじめは読めず質問もできなかった。班の大きい子が読むのを耳から聞いて、全体の意味を理解し自分のところも感情をこめて読むようになった」と、子どもたちの感性の鋭さに驚きを語っていた。平和教室の最後には「一かつぎの水」を全体で群読した。

 生活を重ね詩の内容に共鳴 子供達の感想より
 子どもたちは詩を読んでの感想を1人1人書いた。生活が困難であったり母子家庭など、さまざまな背景を持つ子が多く参加しており、生活と重ねて詩の内容を深くとらえていることが特徴的だった。子どもの感想をいくつか紹介する。
 「さて」……「“母ちゃんもお食べ”というところが好きです。なぜかというと、その母ちゃんもお食べっていった人が、やさしそうだからです。それをいったのは、子どもと思います。たのしい詩でした」(小学二年男子)、「つらいことがあっても、かならず楽しいことが待っているから、あきらめないで未来にむかっていけたらいいと思わせてくれるような詩だと思いました」(中学1年女子)。
 「一かつぎの水」……「“輪番で汲んであげたら? そのとき一人が立ち上がった”のとこが一番心に残りました。なぜかというと“輪番で汲んであげたら”というとみんな“そうしよう”とか言うけど、馬新さんは自分から進んでしているし、17年間も休まずに息子と父子2代でつづけているからです」(小学5年男子)、「ぼくは、馬新さんはすごいと思った。そのわけは、馬新さんは風雪にもかかわらず17年間、毎朝韓爺さんのいるところまで、水を運んだのがすごかったからです。ぼくはこういう人になりたいです」(中学1年男子)。
 「夜が明ける」……「この詩を読んで好きだなーと思ったところがあります。それは“起伏と波動の見とおしのかなたの一点”という言葉が好きです。それからぼくの感想は、この詩を読んで勇気がわいてくると感じました。それから“よし、いくぞ”というやる気が出ました」(小学五年男子)、「私は、この“夜が明ける”には、暗い夜でもかならず明けるという意味が込められていると思う。夜明けがあるように暗い気持ちも必ず明るくなると勇気づけられる詩だと思いました」(小学6年女子)。
 「虎」……「私は、はじめてよんでよくいみがわからなかったけど、みんなで、とらを全部とおせたのでよかったです。でも私が一番よかったところは、おきろとら、ほえらとらのところがすきでした。力づよいからです」(小学2年女子)、「ぼくは人食虎は昭和天皇に見えてきました。みんなをせんそうに出して死んでかえってこらせたからです(アメリカとたたかわせた)」(小学5年男子)。

トップページへ戻る