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対立姿勢見えぬ民主党
衆院選山口4区
              安倍元首相の選挙区全国注目   2009年7月29日付

 総選挙が近づいて、みながやる気に満ちているのに、山口4区では「民主党はやる気があるのか?」「どうしてあんなに遠慮しているのか」との話題でもちきりになっている。小泉構造改革以後の自民党政治に対する怒りがうっ積している今回、下関市、長門市を地盤とする山口4区は、小泉後継だった安倍元首相の選挙区だけに全国的な注目を集めている。民主党の側に対立姿勢がまるで見えない。
 安倍代議士はというと、目下、露出を増やしている。スーパーに出没したり、突然銀行にあらわれて「安倍代議士です!」と秘書が紹介しはじめて驚かれたり、商店街に何度も足を運んで買い物をしたり、これまで見たことがないほど歩いている。演説をするわけではなくて、もっぱら握手をして記念写真を撮っている。先日は彦島地区で開かれた中尾市長の市政報告会にもあらわれていた。
 27日には、大和町の空き地に巨大な選挙事務所を開いた。その他にも市内各所に地域後援会が事務所を用意するなど、力の入れようが違う。街頭では、自民党所属の市議たちが日替わりで広報車を走らせ、防衛省昇格や教育基本法改正をほめ称えたり、「確かに今の自民党はダメ親父かも知れないが、それでもよろしく」などと演説したりしている。
 市民の多くが問題にしているのは対立陣営の影が薄く、やる気が見られないことだ。四区では、安倍代議士のほか、民主党・戸倉多香子、「日共」・木佐木大助、無所属の佐々木信夫、幸福実現党・植松満雄の五人が立候補を予定している。このなかで、もっとも批判票の受け皿になると見られているのが民主党であるが、時時、宣伝カーが走っていても「絵本を読み聞かせて子どもを寝付かせるような声」「蚊の鳴くような声」と評判で、何を主張しているのか聞こえない。「遠慮しすぎだ」「自民党はダメだとみんな思っているのに、あれでは入れてくれるなといって回っているようなものだ」と話題になっている。
 周南市から引っ張ってきた主婦の戸倉氏が“素人”で、地元のことに精通していないことはみんなが知っている。それにしても秘書として余り事情の明るくない若い青年がついているだけで、「選挙としては春の市長選の落選候補よりも体をなしていない」「首相経験者がいる注目選挙区なのに、民主党はやる気があるのか?」「責任者であるはずの加藤(県議)が投げているに等しい。敗北前提でお粗末すぎる」と多くの有権者が語っている。
 下関の民主党議員というと市議、県議を含めて加藤県議一人だけで、「その中心となるべき加藤県議がまるでやる気がないのだ」と語られている。
 近年は、自民党林派の二井知事の選挙を応援した二井県政与党で、岩国・愛宕山の米軍住宅開発と関わった県都市計画審議会で賛成に手を挙げていた。「民主党林派」とも呼ばれている。総選挙で候補を立てるのにも気が進まなかった経過があり、「悲観論を植え付けるのが専門家で、候補者を悲しくさせるようなことばかりいっているのだろう」「安倍代議士に傷を付けるようなことをしたら自分が大ごとという心配をしているのだろう」と見られている。
 もう一人戸倉氏を連れて回っているのが松原元県議。同氏は三菱出身の連合を代表する県議であったが、民主党には所属せず、「連合安倍派」といわれてきた。
 民主党の選挙であるが、中心になっている県議、元県議は自民党安倍派、林派と密接という関係で、この民主党選挙は自民党がコントロールしていると見られても仕方がない関係になっている。民主党本部も勝った気になって、マニフェストをだんだん薄めているが、元首相が出る選挙区で対決姿勢も示さないのかとの意見も強まっている。
 下関の政治構造は、民主党の市会議員が一人もおらず、みな自民党で、公明党も昔から安倍派、「日共」集団も市政与党で市民運動の分裂ねじ曲げ役をやる。安倍派の絶対的優位な政治構造がつくられてきた。
 以上のような選挙構図で、候補対候補という選挙観では、まるきりおもしろくもない関係となっている。しかし、そういう表面の選挙構図のなかで、今度の選挙は自民党政治対市民の対決という世論の盛り上がりはものすごいものがある。郵政選挙以来の生活実感として、メチャクチャにされたという根深い思いと、「今度の選挙は自民党を倒すための選挙だ。民主党がおかしなことをしたら自民党を倒した力でまた倒す」という思いが市民同士で共有され、波を打って大きくなっている。
 「安倍代議士が首相になって地元下関は少しは恩恵があるどころが、まるきり寂れるだけだった」「郷土の世話をせずに市外業者による箱物利権事業ばかりだった」と語られている。「日本全体を見ても、郵政民営化で340兆円の郵便貯金や保険のカネをアメリカ金融資本に取り上げられるなど、日本の資金をアメリカに根こそぎ貢いで、日本経済全体を寂れさせた」とか、そして「カネを巻き上げられたうえに、今度はアメリカの身代わりで戦争をやるつもりだ」との思いが盛んに語られている。
 前回2005年の郵政選挙を見てみると、安倍代議士の得票が13万7701票だったのに対して、民主党の落下傘候補が3万6847票、「日共」候補が1万2499票だった。比例区の得票では自民党は8万3523票で、公明党が2万7539票。それに対して民主党は4万6282票と、選挙区の候補者よりも1万票近くアップ。「日共」は選挙区の得票とほぼ同数の1万2877票。候補者のいない社民党が7498票、国民新党が7955票だった。
 小選挙区、比例区ともに18万人を超える有権者が投票しているなかで、安倍代議士が選挙区で得た13万7700票というのは、自民党、公明党、国民新党の支持者票プラス、民主党・社民党陣営から約2万票が回ってこないと得られない得票数になる。連合安倍派やインチキ革新陣営まで含めた総翼賛化をあらわしている。
 前回は、安倍代議士に首相候補の風が吹くなかの得票であった。それでもその前より減っていた。
今度は首相に上り詰め、それを投げ出したなかの選挙である。どんな得票分布になるか。民主党陣営が意気消沈しているなかで、4区の有権者はどんな政治行動をするか、全国が注目している。

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