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議会解散求め署名7万人提出
            周南合併 民意無視の合併に批判  2004年3月6日付

 周南市の合併後の議員報酬統一にたいして「議会は市民の反発の声を反映しようとしない」と、市議会解散の直接請求を訴える市民グループ「周南のよあけを導く会」は、法定数をはるかにこえる7万915人分の署名を集め、2月27日に市選管に提出した。5月末には議会解散にむけた住民投票がおこなわれる予定で、議員のなかには自主的辞職でつぎの市議選に備えたいとの動揺も起こるなど、足なみが乱れ追いつめられている。周南合併で議員報酬をきっかけに起こった市民運動は、議員や市長に一撃を加えただけでなく、住民本位からかけ離れた地方切り捨て、市民生活ないがしろの市町村合併にたいして、問題を鋭く提起するものになっている。

  1カ月で7割が署名 旧鹿野町住民
 島根県との境に接する旧鹿野町でも1月末から1カ月のあいだに、署名簿が住民の手から手へとかけめぐった。稲作や林業がおもな人口4500人弱の山間の町で、7割にあたる約3000人の署名が寄せられた。「鹿野をさびれさせてはいけない」と、議員報酬の署名をきっかけに立ち上がったのは、商工業者や一般の住民だった。
 食料店を営む60代婦人は、「子どもを除いて、家族のものみんなが書いた。店の前に後援会の看板をかかげているが、あれとこれとは別」と、はっきりとした口調で語る。「世の中は貧乏になっていくのに、議員だけ月20万円も給料が上がることはおかしい。合併してよかったという人は、店にくる人で100人中ほとんどいない。下がったのはゴミ袋料金だけで、水道料など公共料金がいつ上がるかもしれないと、おばさんが集まれば話になる。みんなが町の先行きや生活のことを不安に思っているのに、議員だけが自分のふところを考えていていいのか」とのべる。
 雑貨店の70代婦人は、「住民のことを考えないで、政治家が自分のことだけ考えて、町のためにならなかった」と、過疎がすすむ鹿野に、追い打ちをかけてつぶしてしまう合併になったと批判する。「昔から農林業がさかんだったが、自由化で海外から安いものがきて、つぶされていった。過疎がすすまないようにしなければいけなかったはず」と話す。
 書店の夫婦は、「これだけ住民が不景気で苦しんでいるのに、実際とあわないところで議会をやって、自分たちの給料のことだけをやっていた。合併にしても具体的なことはすすんでおらず、なんのために合併したのかということになる。1年たってみて、住民が冷や飯をくっている」と、ふり返る。

 建設業者等にも大打撃
 旧鹿野町は一般予算で年間35億〜40億円あった。2市2町合併で決裁権は周南市役所に移ったために、「小さなことでも、周南市の本庁まで行かなければならなくなった」と、不便さを訴える。役場の職員も合併で総合支所になって11人へり、現状の66人もいつへってもおかしくない状態。数年まえにおこなわれた農協合併で、農協職員が鹿野支所では60人から10人前後にまでへったことが、だぶって語られている。
 鹿野の就業人口の2割にあたる約400人が従事する建設業は、入札や書類を出すにも谷間をぬって26`離れた周南市役所まで、40分かけて出ていかなければならない。それ以前に、「2年まえにほ場整備が終わったきり、地元の公共事業はとだえてしまった」と、合併まえは年間10億円前後出ていた建設費が激減となり、不安が語られている。最終処分場整備(3カ年、計8億円)とケーブルテレビ(民間)、下水道工事が少しばかりおこなわれているほかは計画はない。430億円といわれる合併特例債は郡部2町にはなんの関係もなかったとみられている。
 署名運動の代表者の一人で、鹿野で印刷業を営む柳利徳氏は合併後の町の行く末を案じて、「鹿野を山奥のへんぴなところにしてはいけない」と、「あたりまえのことを訴え」て、仲間とともに一軒一軒、署名をとりに戸をたたいて回った。
 「みんなの実感は、議員報酬問題がきっかけだが、それだけではなかった。99%は、合併してもいまの体制ではよくなりようがない、希望が持てないと思っている。市長や議員が中心の旧態依然とした体制に、署名運動で不安感をあたえたことが大きいのではないか」「基本的に市町村合併の60%が議員の在任特例をつかっているが、国がそういう体制をつくって議員中心にしている。国も悪いと思う」「おかしいことをいったわけではない。あたりまえのことを訴えて署名してもらっただけだ」とのべた。

  周南市政に不信任 市民主人公の力示す
 2003年4月におこなわれた徳山市、新南陽市、鹿野町、熊毛町の2市2町合併は、山口県・二井県政のもとで先行合併としてすすめられてきた。法定協では協議事項の調整を先送りして合併だけをいそいだ。「多くの不満も飲みこんだ市民には、合併した恩恵を感じることもないままに、議会はみずからの報酬を引き上げ、民意を無視した」と市民に配られたビラでは、合併のあり方も批判している。議員報酬だけではなく、市民の疑問は新市建設計画など、合併後の市政運営にもむけられている。
 430億円の合併特例債の使い道は、新市建設計画として5月までに調整される予定だが、徳山港の巨大な整備、新庁舎建設計画、環境施設建設など、箱物の建設ラッシュがくることは間違いないとみられている。大企業の意向が優先される市政がつづいており、「旧徳山市時代から大企業の考えからか、地元育成というよりコスト第一という入札がおこなわれてきた。合併協の広報印刷や清掃業務に、中央や他都市から大手が参入してきたのは、そのせいもあるだろう」と、担当課の市職員はのべる。
 広報紙に大手の凸版印刷(本社・東京都台東区)がくいこみ、激震が走った印刷業界は、すでにたたきあいとなっている。1月末におこなわれた来年度予算書の参考資料入札は、予定価格の131万円にたいして15社が参加し、落札額はわずか18万円と1割までたたかれた。そのほかの入札も予定価格の半額があたりまえとなっており、「このままでは、地元はともだおれになる」と危機感が語られている。その一方で、大企業やゼネコンのための巨大事業がすすめられていること、市民のあいだで「なんのための合併だったのか」と、不信感が持たれている。
 「議会経験も長かった河村市長は、出光やトクヤマなど、大企業のいうことだけを聞くロボット市長だ。商店街はほったらかしで、人通りは激減してしまった」と、徳山駅前の店主はのべる。失業中の30代青年は、「周南で働いていたが、最近やめて鹿野に帰っている。だけど鹿野も合併してさびれて、建設業など仕事がなく、働き口がなくなってしまった。議員さんは目の前に、ニンジンぶら下げられて飛びついていったが、地域のことを考えずにくだらないと思った」と、署名に協力した理由をのべる。
 導く会の関係者は、「合併で大企業体質がうすれるかと思ったが、そうではなかった」ともふり返る。事務局の山本時博氏は「署名運動では組織はなかった。退職後の市民や女の人など街頭に出たり署名集めをおこなうなど、ボランティアですごい人数が動いた。全国でもあまり例がないのではないか。いままで政治に遠ざかっていた人たちも、正義感を持って問題意識を持ちはじめたのではないか」とのべた。周南市議会解散を求める市民運動は、周南市政に不信任をつきつけるとともに、とくに地方切り捨て、市民生活ないがしろの市町村合併にたいして住民の怒りをぶつけるものになっている。


           柳井地域合併協議、突如白紙に
 柳井市、平生町、田布施町、大畠町の4人の首長は3日、1市3町でこれまですすめてきた合併協議について、枠組みもふくめて白紙に戻すことを発表した。県東部のこの地域においては、原発計画を抱えた上関町が昨年春脱退、同町を飛び地にして1市3町で自治体合併の論議をすすめてきたが、計画の白紙撤回によってあらたな枠組みの再編がはじまった。
 柳井地域の行き着いた合併崩壊は、表向きは電算統一関係予算の計上時期をめぐった意見の食い違いとか、河内山哲朗・柳井市長と山田健一・平生町長の新市長のイスをめぐる争いなどとさまざまにいわれている。しかし、国や県が国策として予算で締めつけ、強権的にすすめている合併において、河内山哲朗・山田健一という二人がそれに逆らって「小規模合併」や「単独町政」に動く人間だとはだれも思っていない。事態は表面化している当事者の直接利害をこえたところで、合併を指導監督する県当局、ないしはおおもとの国の意向をぬきにして見ることはできず、それらがどう絡み合ってきたのか、また今後の行方ともあわせて、ことの真意が注目されている。
 行政関係者や議員、合併協議をしてきた当事者たちのなかでは現在、憤りや利害の絡んだ混乱が渦巻いている。しかし今回の「白紙」についていちばん怒っているのは住民。田布施町でも平生町でも大畠町でも、ギリギリまで「夢と希望の溢れる1市3町合併」と説明されていたのが、今度は突如白紙に戻り「さっぱり意味がわからない」といわれている。
 田布施町に住む男性は「もともと住民が望んで合併論議がはじまったわけでもないし、1市3町合併を望んでいるわけでもない。上から上から合併をすすめて“夢と希望の広域合併”を唱えていたものが、1週間もたたないうちに平気で180度話をひっくり返したことに怒りを覚える。国民のいうことを聞かないのは小泉だけじゃない。田舎の市長や町長ごときがまるで好き勝手ではないか。何様と思っているのだろうか」と話した。
 2月末にある町でおこなわれた住民説明会で熱弁をふるった合併協議会委員の某氏は、「住民のみなさんにたいしてなんとお詫びをしたらよいか、そればかりで頭がいっぱいです。あれだけ語って歩いたのに大きく話が食い違って……。面子がありません」と弁明につとめた。しかし、「合併協議会の委員も知らないところで合併凍結とか白紙といわれ、4人の首長のやりとりですべてが決まって困惑している。わたし自身も唖然とした。合併協が決めたわけでもなく、各自治体の住民から異論が出てそうなったわけでもない。4人の首長が音頭をとってすすめて、勝手に不協和音を鳴らして崩壊した」と説明した。
 枠組みが破たんする過程で直接利害としてぶつかっていたのは、合併によって地位が奪われる1市3町の市長、町長、県議、市議、町議らの利害が絡んだ「イスとりゲーム」。合併後の市長の座をめぐっては、参議院議員から落ちぶれていた山田健一氏と、国会議員への夢が途絶えた河内山哲朗氏が火花を散らしていたところ、三位一体改革で利権にありつけなくなることを心配した県議会副議長の長谷川氏も、市長の権限強化に目をつけて合併特例債で道路をつくるのだといって参戦。
 パフォーマンス政治では定評のある山田健一町長が、なんらかの意図をもって、その辺に転がっていた電算化問題を持ち出して「ゆっくりやりましょうよ」のメッセージを投げつけたのをさいわいに、河内山市長が平生町を締め出したのだといわれている。のこる長谷川県議は地元新聞など使って河内山批判にいそしんでいる。
 そうして4人の市長・町長らが白紙を決定したり、その直後に「1市1町(柳井市・大畠町)でいきたい」(河内山市長)といってみたり「合併協議会」とか議会はあってないような飾りとなった。そして、知らぬ間に町が消滅していくことを心配していた人人のなかでは「町長や市長とはいったい何様だろうか?」という思いが強く語られるものとなった。

 上関町の町解散・合併誘導 国・県の意向
 しかし、今回の1市3町による合併論議が白紙に戻ったことについては、利害関係者の思惑以上に、国や県の意向として見た場合、柳井地域で原発建設の見こみがなくなった上関町だけを陸の孤島にして、そのまま置いておくわけにはいかないこと、予算カットの兵糧攻めを実施中の上関町が行政の側から悲鳴を上げて町解散、合併に走り出すことを伺っている事情が大きく絡んでいると見るほかない。
 1年前のこの時期、上関町をふくめた1市4町の任意の合併協議会がもたれ、当時の片山秀行・上関町長は苦り切った表情で合併離脱を表明した。片山氏は合併すれば原発が終わりになるなかで、国にたいして、財源は上関町だけに使えるように特区にしてほしいと要請するが無視され、県も合併誘導の無言のメッセージを送りつづけた。それは原発推進の上関町が国から捨てられたこと、国や県などさんざん推進策動を施して地元を騒動させてきた連中が、責任を問われることなく「地元の政策選択」としての原発断念・町解散を願望していることを物語った。
 片山氏が悲壮な顔つきで合併離脱をしたのち、まわりまわって出てきた現在の柏原町政の16年度予算を見てみると、補助事業をいくらかとってきたものの、それ以上に交付税はカットされ、役場内を中心に「原発はもう終わりだ」として合併願望論が出はじめていた。このままいけば来年度予算のメドはまったくないといわれている。
 今年に入って浮上した「電算化問題」というのが、時間稼ぎをして合併を遅らせる役割をもって飛び出し、結果として枠組み再編に一役買った。そして、「枠組み再編だから上関が参加する可能性もある」「上関を参加させるのなら上関側からの表明がいるし、平生町に聞いてくれ!」といわれている。元社会党で自民党政治に泣かされる山田町長が、国の政策に逆らって柳井地域、光市からも離れて単独町政をやるとはだれも見ておらず、平生町が上関町と2町合併することもあり得ない。柳井地域限定の意向と事情を重ね合わせたとき、山田氏が国や県のために人肌脱いだと見ればピッタリ説明がつくといわれている。

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