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対米従属突っ走り図る菅政府
              TPP、消費税、日米同盟       2011年1月7日付

 菅政府が危機の様相を呈している。「小沢切りで支持率回復」をし、「仙谷官房長官交代で野党との関係をおさめ」て、アメリカと財界の要求に応えて突っ走ろうとしている。小沢を切って「政治と金」の問題がなくなるわけがなく、この間の金融ペテン師どもを税金で救済したり、原発やインフラ輸出に政府が乗り出したりなど、別のもっと大きな政治と金の関係を強めることは誰でも見ている。菅政府が支持を失っているのは、対米従属の自民党政治が国民の批判で大破産したなかで、その批判によって登場した民主党政府が、国民世論を裏切って自民党以上の対米盲従で突っ走ろうとしているからである。どの政党が与党になってもみんな日本国民の利益の代表ではなく、やることはアメリカ隷属で同じである。議会制民主主義も政党政治も信用できないものになってあらわれている。欧米では労働者のゼネストなど大衆行動が激発しているが、日本の閉塞した政治状況を打開するのは大衆的な直接民主主義の行動以外にないことを示している。
 菅首相は「平成の開国」と叫び、6月に関税をゼロにする環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を決め、さらに法人税をいちはやく減税したあと、消費税大幅増税を柱とした「税と社会保障制度の一体改革」案を策定すると表明した。さらに「日米同盟」強化の具体化として、自衛隊海外派遣を随時可能にする恒久法制定や集団自衛権行使容認にむけた検討を急いでいる。
 大手メディアは年頭からこぞって「TPP参加」や「税制改革」「日米同盟強化」などのキャンペーンをはった。新年号社説で『朝日』は「今年こそ改革を」とし「税制と社会保障の一体改革、それに自由貿易をすすめるTPPへの参加。この二つをすすめられるかどうか。日本の命運はその点にかかっている」と主張した。『読売』は「日米同盟の強化が必須」「経済連携参加を急げ」「消費税率上げは不可避」などを柱に「結局のところ普天間移設、TPP、消費税率引き上げといった緊急かつ重要な課題を解決するには安定した強力な政権を誕生させるしか道はあるまい」と政界再編を求めた。『日経』は団塊世代の社会保障支出増加を理由に「経済と財政、社会保障改革を急ぐしかない」とし、国内改革の具体策としてTPP参加を要求した。『毎日』は「自民党主体の政権時代から早急な解決が求められていた課題」とのべたうえで「消費税や財政再建など選挙での敗北を恐れて封印し続けてきた問題」について「菅政権はこれらの難題の扉を開けて本気でとりくむ必要がある」とした。
 財界も同様の主張でハッパをかけた。米倉弘昌経団連会長は「今年の最重要課題は税財政・社会保障の一体改革。実現には消費税増税が必要不可欠だ」、「早期に消費税を10%に上げ、ゆくゆくは欧州各国並み(15〜20%)に上げるべきだ」と指摘。TPP問題については「『平成の開国』にむけて突き進み、11年を開国元年とする気構えが必要だ」「政府が6月をメドにまとめる農業改革の基本方針は前倒しすべきだ」とした。経済同友会の桜井正光代表幹事も「今年は政治が決断する年」とし、消費税引き上げやTPP参加を急ぐよう求めた。
 このなかで菅首相は年頭所感で、国家運営の理念として「平成の開国」を掲げTPP参加に強い意欲を表明。「農林漁業活性化策を今年前半までに提示する」と表明した。消費税は「膨らむ社会保障の財源を確保することは限界。今年半ばまでに社会保障制度の全体像とあわせ、消費税をふくめた抜本改革の姿を示したい」とした。外交・安保では「北朝鮮や海洋の問題など不安定で不確実な状況がある」として「日米同盟を21世紀にふさわしい形で深化させる」とのべた。そして数日後、消費税引き上げもTPP参加の判断も六月に結論を出すことを表明。「政治生命をかけて、覚悟を決めてやっていきたい」とのべた。
 民主党は、アメリカいいなりの新自由主義改革が国民の総すかんを食って倒壊した自民党政府を批判して登場した。鳩山政府は普天間基地の移設問題でアメリカに脅されて譲歩に譲歩をしたあげくにつぶれ、かわった菅政府は衆議院選挙マニフェストなどきれいに投げ捨てて、対米盲従の規制緩和、自由化路線を突っ走ろうとしている。議会制民主主義というものはまるで意味がなく、国会議員および政府は国民主権の代表者などではなく、アメリカとそれに従属する財界の雇われものだという姿を誰の目にもさらしている。
 そしてやろうとしていることは日本民族の根本的利益、国益のあからさまな売りとばしである。

 国内産業潰し失業拡大 TPP参加で協議も

 菅首相が意欲を見せているTPP参加は6月の判断を待たず、すでに参加する方向で動いている。日米両政府は今月13、14日、初の2国間協議をワシントンで開催する方向で、協議に日本側は経済産業省や外務省などの局長級を派遣し、米側はホワイトハウスや国務省、通商代表部(USTR)の高官らが出席する予定。アメリカ側は中国への軍事恫喝を強める一方で、経済的にも日本と連携して締め出す企みをすすめている。このため、今回は米国産牛肉の輸入制限緩和などの前提条件は求めず、まずは参加を優先する対応をとっている。
 TPPは関税撤廃、物品の貿易、サービス貿易、電子商取引、競争、税関手続き、投資、貿易の技術的障害と衛生植物検疫、政府調達、知的財産なども含む包括的な協定。関税は原則として10年以内に100%撤廃させなければならず、関税撤廃で農漁業や林業など第一次産業は壊滅する。農水省の試算でも関税撤廃で食料自給率は10%台に低下する。さらに農漁業の壊滅は関連産業など地域経済を衰退させ、雇用も喪失させ、そのうえに食料が輸入依存となれば国家の存立に関わる問題となる。また関税撤廃は独占大企業の海外進出を促進し国内の産業を空洞化させる。中小零細企業など製造業への打撃も甚大である。さらにTPPは無権利で低賃金の外国人労働者受け入れを促進し、日本の若者の雇用や生活を破たんさせるものである。
 金融自由化から一連の小泉・竹中改革でアメリカが日本の富を略奪する構造がつくられてきたが、今回のTPPは郵政民営化をはじめアメリカが根こそぎ日本を食い物にするためであり、日本社会の崩壊、日本の人民生活を破たんさせるものとなるものである。

 福祉切り消費税も増税 税 政 改 革

 第2の柱となっているのは消費税率の2けた以上の引き上げである。大企業は200兆円を超える内部留保をかかえこんだうえに、法人税引き下げを実施させ、大多数は生活できる収入がない。労働者に職がなく、あっても非正規でまともに家庭生活できる賃金がない。農漁業者も商工業者も、税金を払えるような売り上げがない。そのような国民から貧乏人ほど負担が大きい消費税をむしり取ろうというのである。
 これが「持続可能な社会保障制度の構築」のためといっているのは、ペテンもいいところである。大もうけしている大企業や金融投機でもうけている富裕層などから税金を取って「社会保障制度構築」ならわかるが、貧乏人から金を巻き上げて施すというのでは、貧乏人にとっては何の意味もない。
 介護保険制度を例にとると「重度者優先」と称して、要支援1、2の在宅要介護者を保険の対象から外す方針だ。週1、2回のヘルパー派遣を頼りに、自立した生活を維持している高齢者を無慈悲に切り捨てる。重度の高齢者でも家族がいれば「家族でやるべきだ」と家事援助(食事づくり、洗濯、掃除など)のヘルパー派遣を縮小していく。また、介護サービスを受けるために不可欠なケアプランの作成も、これまでの無料から利用者負担とする。介護型療養病床の廃止見直しも計画通り実施するとした。施設入所の低所得者に軽減・免除していた食費・部屋代も徴収する方向である。
 医療も高額医療を所得に応じて引き下げるとしていたのを先送りし年金も「物価が下がった」ことを口実に年金給付額を引き下げることを昨年末に決めた。徹底した医療・介護・福祉政策の切り捨てが中味である。
 とくに少子高齢化のなかで、増加していく団塊世代の高齢者を養うことはできないといっている。少子高齢化のまえに、大企業は国を捨てて海外に逃げ、農漁業をはじめ国内の産業を空洞化させ、若者はいるのに職がなく、あっても非正規雇用で社会保険を支払う余地もない状態においていることが問題である。
 要するに、社会保障制度構築は「ウソも方便」であり消費税増税でアメリカに金をさらに貢ぎ、大企業が好き勝手に食いつぶすためである。

 集団自衛権容認も画策 日 米 同 盟

 TPPによって国内産業を破壊して失業者を急増させ、税制改革によって高齢者などからも搾り上げて捻出した財源によって「日米同盟の強化」をすすめている。昨年末には新防衛大綱で中国や朝鮮を仮想敵とする攻撃的な軍事力整備の方向を決定。「在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)」もアメリカの要求通り満額を確保し、しかも3年ごとの見直しでなく5年間も継続するように変更した。7日に開かれる日米外相会談では、両国が地域や世界で実現を目指す新たな「共通戦略目標」の策定協議を始めようとしている。朝鮮や中国への対応について日米「韓」3カ国の安全保障面の連携強化などを盛り込むこととなっている。
 さらに民主党は1月中に党の外交・安全保障政策の抜本見直しに着手。「現実路線への転換」として、国際貢献や日米同盟を強化するため自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法制定や集団的自衛権の行使容認に向けた検討が中味で、結局、沖縄の普天間移設にしろ、集団自衛権にしろ自民党と全く同じ主張に回帰している。
 一昨年の衆議院選挙で自民党が大惨敗して登場した鳩山、菅と続く民主党政府は選挙で国民に約束した公約を放り投げ、対米従属政治で突っ走ってきてパンクした。それはマスコミが煽って実行させてきた対米従属政治の破産であり、小沢を議員辞職させても、仙谷官房長官を交代させても、内閣を改造しても解決しない。対米従属の政治勢力は自民党や民主党に限らず、「オバマ万歳」で躍る「日共」修正主義集団なども同じである。政党政治の腐敗堕落はいまや極に達している。
 いかなる既存政党も、日本の国益、日本人民の根本的利益を代表しない。しかし黙ってみているほかないのではない。原水爆禁止運動にせよ、日米安保改定阻止のたたかいにせよ、大衆自身の全国的な政治行動こそがいつの時代も政治を動かす原動力である。あらゆる政党が対米従属勢力であったのは前から変わらない。それが誰の目にもごまかしが利かなくなったのが現在である。政党による大衆欺瞞がきかなくなった。それは新しい大衆的な世論転換と新しい政治行動が起きる条件を示している。


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