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対中国最前線基地と化す日本
米国防衛の盾にする米軍事戦略
            岩国も沖縄も核攻撃の標的  2012年1月18日付
 
  イラクやアフガン戦争での敗北で窮地に立つアメリカが、「二正面作戦」を放棄する新軍事戦略をうち出し、アジアを舞台にした戦争で危機を打開しようとあがくなか、野田政府が全国の米軍基地撤去世論に対抗して沖縄では辺野古への新基地建設、岩国では愛宕山の買収など米空母艦載機移駐の強行突破に乗り出している。莫大な税金を投入して自衛隊へのF35ステルス戦斗機配備や南西諸島への自衛隊配備を急ぎ、全土を縦断した軍事演習を実施。各地の民間港を軍港にし、米国の対中国戦争を日本が前面に立って肩代わりさせる策動がすすんでいる。日本はかつて中国への無謀な侵略戦争でうち負かされ、第二次大戦の無惨な敗戦となったが、今度はアメリカの盾となって日本全土が核ミサイル攻撃の標的にされかねない事態となっている。
 民主党が「県外移設」と公約してきた普天間基地移設は結局、辺野古への新基地建設計画に回帰し、自民党以上の横暴さで暴走に拍車をかけている。野田政府は昨年末の真夜中、県民の反対を押し切って環境影響評価書(アセスメント)を県に提出。米国はオバマの新軍事戦略発表と時期を同じくして「率先してとり組まないかぎり移設は不可能。移設が遅れるなら普天間基地改修が必要」(ウィラード米太平洋軍司令官)、「普天間移設は新軍事戦略の概念と完全に一致する」(シファー米国防次官補代理)とハッパをかけた。
 田中新防衛相は「年内に工事着工する」とテレビ番組で公言したが、あらゆる政治勢力が裏切るなかで鳩山内閣を退陣に追いこみ、沖縄防衛局長や一川防衛相を引きずりおろした沖縄県民の頑強な基地撤去世論は噴き上がっている。田中防衛相は発言修正に追いこまれ、仲井真知事は埋立て許可を認めない姿勢を示唆している。
 沖縄県で動くのは対中国戦争の最前線の基地とし、核報復攻撃の対象とするもので、県民の憤りは尋常でないものとなっている。辺野古沖に新滑走路2本を備えた最新鋭基地をつくる計画も、普天間基地に積載量、スピード、航続距離で現存ヘリの機能を格段に上回るオスプレイを配備する計画もすべて米軍の戦略に基づいており、日本を防衛したり、沖縄の負担を軽減するものではないことはすっかり見抜かれている。それでも佐世保基地に沖縄のオスプレイを運ぶ最新強襲揚陸艦の配備、馬毛島(鹿児島県)への米軍の陸上空母離着陸訓練(FCLP)基地建設、硫黄鳥島(沖縄県・久米島町)の米軍射爆場建設、伊江島補助飛行場の米軍給油地化、下地島空港の災害支援国際拠点化など軍備増強計画が進行。自衛隊戦斗機の後継機を空中戦を想定した最新鋭のF35ステルス機とすることも野田政府は決定しており、南西諸島一円の軍事力強化が露骨に動き出している。

日本全土の出撃基地化 岩国基地増強軸に

 朝鮮半島に近い山口県の軍備増強も北朝鮮の金正日死去以来、米軍の極端な低空飛行が相次ぐなど軍事演習の変化が指摘されている。岩国基地は総額3000億円を超す莫大な税金で2500b級滑走路2本体制にし空母接岸可能な巨大軍港も整備してきたが、昨年、県、市が一体となって愛宕山開発地を米軍住宅にするため国に売却することを決定。岩国基地に核兵器搭載可能な空母艦載機70機と家族をふくむ米軍関係者4000人を受けいれ、岩国市全体を米軍に売りとばしてアメリカ村にし、被爆地である広島湾岸一帯を朝鮮や中国侵略の出撃拠点にしようとしている。それは日本民族として許すことができない屈辱である。
 そして最近明らかになったのは米海軍が2000年代から日本中の民間港を物色し、補給、出撃拠点作りを着着とすすめてきたことである。重要港に名指しされたのは朝鮮半島に近い下関港(山口県)をはじめ、博多(福岡県)、長崎、鹿児島、新潟、秋田の六港で、本州の日本海側と九州に集中。米海軍は朝鮮半島や中国に近く、米海軍横須賀基地や佐世保基地から近いことを条件に選定し、下関、新潟、秋田が朝鮮半島、鹿児島は中国、博多と長崎が両方をにらむという位置づけである。各地の港、道路整備網、新幹線や空港の交通アクセス、人工島整備など町作りともかかわった日本全土の動員も、中国や朝鮮の戦争に対応する体制作りに組み込み始めている。
 現実に「動的防衛力整備」を打ち出した2009年の新「防衛大綱」策定以来、自衛隊の軍事演習も大きく変化しており、昨年12月の陸自西部方面隊実動演習では北海道の大型戦車が民間道路を走り民間高速フェリーやJRを使って大分県まで移動し、「離島奪還」訓練を実施した。進行しているのは日本全土の出撃基地化であり、米軍基地や自衛隊基地がある自治体だけの問題ではなく日本全体の問題になっている。

アジア重視戦略を実行 米国、二正面作戦放棄

 こうしたなかアメリカが日本で実行しているのは、冷戦以来とってきた朝鮮半島と中東地域での二つの戦争で同時に勝利する「二正面作戦戦略」を放棄する「新軍事戦略」である。新戦略はアフガン・イラク戦争の敗北と未曾有の経済恐慌で国家財政が火の車となり、大規模な米陸軍部隊の維持もできなくなるなかで、地上部隊を大幅に削減して国防予算を削り込み、戦略の重点をアジアに絞るのが柱である。「一つの戦場で勝利し、もう一つの敵は封じ込める」とし、その目標は「アメリカの前方展開能力に対抗する」中国とイランであることを明言した。アジア重視ということは対中国戦争を重視する軍事配置をし、イランには封じ込め策をとるという意味である。
 これにもとづき、現在五五万人いる米陸軍を今後10年で49万人以下とし、6万人以上も減らす。同時にアジアや中東地域駐留の米軍は維持し、空母や潜水艦など艦船も減らさないことを明らかにした。米兵削減のかわりに大量殺人兵器である弾道ミサイル、巡航ミサイル、サイバー攻撃に対抗する無人機やステルス爆撃機、ステルス長距離巡航ミサイルの開発を重点にするとし、とくに核兵器の優位を維持することを明らかにしている。想定しているのは核戦争であり、「国防予算を減らしてもアジア太平洋地域に影響はない」と豪語している。
 さらに海軍と空軍を統合運用する「ジョイント・エア・シー・バトル(空海統合戦略)」と名付けた新軍事戦略構想をすすめている。それは独自空母や国産ステルス機、対艦弾道ミサイル(ASBM)開発に着手した中国の「足の長い攻撃」の射程外に米主力部隊を配置。核ミサイル攻撃を受ける可能性がある九州、沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ第一列島線のなかから米軍を外に移動させ、アメリカは通信ネットワークや精密誘導弾などを駆使した「遠隔誘導戦争」をやる作戦である。
 アメリカは昨年、海兵隊を南シナ海に近いオーストラリアのダーウィンに2500人駐留させる協定を結び、沖縄から海兵隊をグアムに移転させることを明らかにしている。いずれも対中国戦争となれば、在日米軍基地が中国のミサイル攻撃で瞬時に壊滅することを想定し、米軍はグアムやオーストラリアなどに分散撤退する準備である。
 海軍トップのグリナート作戦部長は「大規模な海軍の体制を構築するつもりはない」とのべたうえで「連携相手のナンバーワンは日本の海上自衛隊だ」と公言した。アメリカが「予算を減らしてもアジアの軍備を強化する」というのは、自衛隊や「韓国」軍などを下請軍隊として使う意図を示している。
 アメリカは中国に戦争を仕かけるが、戦争が始まれば、日本やフィリピンなどの同盟国を盾にし、米軍は無人偵察機による遠隔操作で人的物的犠牲はすべて日本に押しつける方向である。最初から岩国にしろ沖縄にしろ在日米軍基地はすべてミサイル攻撃を受ける想定なのである。それは岩国基地内で米兵や米兵家族が何度も米本国への脱出訓練を繰り返している現実をみてもはっきりしている。
 戦後アメリカに占領され、「民主化」や「高度成長で豊かになった」と騒がれたが、日本社会はガタガタに崩壊し、太らせてアメリカが巻き上げるだけだったという仕掛けが露呈している。
 アメリカの国益のための戦争で、再び原水爆戦争の火の海に投げ込まれるという危険を、日本民族として受け入れるわけにはいかない。また、広島や長崎に原爆を落とし、沖縄戦で大殺戮し、日本全国を空襲で焼き払って基地を奪った略奪政治は現在も終わってはいない。アメリカに盲従して破滅するか、アメリカへの従属を断ち切り、独立と平和、民主主義と繁栄の日本へ道を開くか、民族の命運がかかる岐路にきている。

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