トップページへ戻る

業者より10%高い漁連の石油
山口県漁業困難の要因
                隠れた信漁連再建の負担    2004年11月11日付

 山口県内では、県水産部が仕組んだ1県1漁協合併問題が、山口県漁業を破壊するものとして、全県の浜の漁民の反抗によってとん挫した。マリンピアくろいや先物取引など、自民党林派のからみでつくった信漁連の欠損金を、漁民に責任を転嫁してきたが、合併計画はさらにそれに拍車をかけるものとして暴露された。それは組合員をつづけるのなら出資金をふやしたり、負担金をかぶせるというものである。これは表むきの組合員負担であるが、実際には県漁連があつかう石油や漁業資材、また魚や加工水産物の販売などで法外なピンハネがされており、信用事業などは貯金だけ集めてまったく漁協のもうけがないほどしぼられている。漁業をやるうえで油がなければお手上げである。県漁連の購買事業でも石油は6割を占める。この県漁連経由の油が法外に高いことが暴露されている。
 本社の各漁協組合員への聞き取り調査によると、軽油で安いところで1g49円台があるが、高いところは62円にもなっている。高いところが年間100万円の油代がかかったなら、20万円ほど多くピンハネされていることになる。信漁連再建問題以来の11年では220万円の差となる。県漁連の石油売上は35億円ほどであり、10%のマージンとすれば、3億5000万ほどピンハネしたことになる。
 「お上のいうことを聞かなければ近代化資金は貸さない」といわれるが、油代などのピンハネで実際は高利貸しにあっているようなものとなっている。県水産部は「合併を離脱するなら県漁連を脱退せよ」と脅したが、この10年で組合員は半数近くやめて、漁協再建は遠のくばかりとなっている。そのうえ有力漁協が脱退したら合併新漁協計画は成り立たない。
 
 地域で油代に格差 高額な上関周辺
 漁連石油を利用している、下関市伊崎の年配漁師Aさん(下関ひびき漁協所属)に、一番最近きた油代請求書(10月期)の明細を見せてもらうと、使用した軽油の価格は1gが56円60銭。「年もとって、昔ほどガツガツ沖で操業しているわけでもない。だいたい1カ月に使用する油の量は400gくらいだ。延縄漁業だし、そんなに遠くまで行くわけでもない」と語る。1年間で使う油の総量は5000gを少しこえる程度という。
 その対岸に位置する海士郷で、民間石油会社から油を購入している漁業者Bさん(彦島漁協所属)の明細(10月期)を見せてもらうと、同じ軽油で1g当り49円60銭。Bさんは漁協にはマージンを納めているが、県漁連の石油が高すぎることから、近年、地元の石油会社から油を買うように切りかえた。底引き漁業は、1回の漁で100gは使用する。1カ月に15日出漁できればいい方。年間にして1万5000g(約74万円)余り軽油を使う。Bさんの所属する漁協では仲間漁師のなかでも民間購入がふえているという。
 AさんとBさんの条件を比較した場合、両人とも所属漁協にはマージンを納めている。違うのは県漁連を介在させて石油を購入しているか、そうでないかの違い。差額は1g7円にもなる。底引き漁業で年間1万5000gを使用した場合、7円違えば10万5000円も違う。11年では120万円近く違う。
 北浦で40〜60マイルも沖で操業する棒受け漁民は、1回の漁で1000gほど使用する。年間50回出たとして民間と5円値が違えば負担は25万円、10円なら50万の差額になる。
 A重油の場合、10月の価格を比較してみると、防府市漁協大海支所(秋穂町)で1g47円、新宇部漁協で46円、ところが上関、四代、平生町漁協は59円と地域によって大きな開きがある。原発計画があり、県水産部がもっとも神様あつかいされている上関町とその周辺漁協では、全県と比較しても極端に高額なのが
特徴となっている。
   
 油が安い角島の例 不当な高値抑制
 北浦でも有数の漁村である角島は、生産者の高額負担に一石を投じた経験から、北浦海域でももっとも油が安い。イカ釣り漁師Cさんの利用している軽油は1gが52円(10月期)。角島では以前、漁連石油がすべての油を独占していたが、「高すぎる」と漁師のなかでも漁協のなかでも論議がされた。民間の石油会社に聞くと「7円は安くできます」といったことから、漁協があつかう石油は民間購入に切りかえたのだ  とってきたばかりのイカの出荷準備(豊北町、角島)
という。     
 はじかれた県漁連は当初むくれていたが、もうけ頭の角島を放っておくわけにはいかず、自分たちのマージンを下げて、ふたたび漁協に油を入れるようになったいきさつがある。いまでは毎月、民間会社と漁連石油の2社で入札をさせ、7対3の割合で安い方の取扱量を多くするようにして、不当に価格をつり上げられない制度をつくっている。
 Cさんの説明によると、52円のうち漁協運営を支えるために必要な最低額として5円のマージンがふくまれているという。防府地域でも同様のやり方で油の値をおさえているところがある。
 県漁連の油代が高いことについて、下関の漁協関係者の1人は「あれは県漁連が独自に油を購入して運営しているわけではなくて、コスモ石油に“漁連石油”の名義貸しをしてマージンをぬいているだけだからだ」といった。つまり、県漁連が名義を貸した民間会社が会社としての利益をとり、県漁連がそこに手数料を上乗せし、各漁協はさらに漁協運営のために手数料をかけている仕組みを説明した。
 「手数料の三重取りになるから当然民間よりも油が高くなる。それに信漁連のための負担までかぶせるから、話にならないほど高くなる。下関の漁協では周知の事実だが、山口県内には知らない人も多い。生産者にとってはたいへんな事実だと思う。漁協が必要最低限の手数料をかけることはしかたないが、県漁連は限度を知らない」と話した。
   
 他県より多い手数料 家建つほどの負担
 問題は、県内の漁協間の格差でなく、山口県漁連のあつかう油や漁業資材が他の県漁連と比べて高すぎるのである。全国的にもぬきん出ていることから、「山口県漁連はもうけ主義だから全国の会議では小さくなっている」と他県の漁連関係者がいうほどである。
 それを教えているのが、萩のマグロ延縄船・繁好丸(60d)の例である。遠くはミッドウェー海域まで行く同船が、他県の船と油代を比較したら、年間100〜180万円多く手数料をとられていたことがわかった。船頭の宮内浩正氏は「大分県や宮崎県など他県のマグロ延縄船といっしょに漁に出かけるが、同じ港で同じA重油を給油するのに、価格がまったく違う」と驚き、仲間の船の協力を得て調べてみた。
 昨年10月に宮城県塩釜港で給油したさいの記録を見てみると、同丸が入れた油は1g当り39円40銭、県1漁協になった大分県の船は37円80銭、だが宮崎県の船は35円80銭で請求されていた。宮崎県とは3円60銭も開きがあった。
 和歌山県勝浦港で燃料補給したとき、同丸に来た請求は43円40銭だったが、宮崎県の船は38円ちょうどだった。いずれも税ぬきだが、その差額は5円40銭にもなる。山口県漁連と所属漁協をとおることで差額が生じているのである。
 繁好丸が昨年使用したA重油の総量は338・2`g。単純に計算して1g当りの価格が3円違うなら、100万円ほど他県より多く納めていることになる。5円違えば、170万円多く支払っていることになる。信漁連再建が実施されて以後の11年間で換算すると、2000万円近く他県より多い手数料をとられていたことになる。立派な家が建つほど負担していたのである。
 県漁連の57億円ある購買事業では、石油が35億円で60%を占める。生活資材14%、雑品12%、船用機器9%、漁網綱4%ほどで、石油が一番のドル箱となっている。県漁連が10%ほどマージンをとっていたとするなら3億5000万円を名義貸しでピンハネしていることになる。
 漁業資材においても同様だといわれている。「大分県漁連、愛媛県漁連が100万円で売るものを、山口県漁連は120万円で売る」とか、「業者に頼んだら8000円の縄が、山口県漁連で購入したら1万〜1万2000円する」「ノリの機械が県漁連のは1700万円だったので、業者に聞いたら1500万円で購入できた」などの話があふれている。資材関係になるともっとマージンが大きいとみられる。
 油代は比較的値段が決まっているからわかりやすいが、販売事業になると価格は動いておりマージンはさらに大きいとみられる。販売事業では五年まえの平成10年ごろは年間140億円あったが、昨年度は半分の71億円に激減。鮮魚は31億円、塩蔵、冷凍品などの食品は16億円、のり、煮干しなどの加工品は15億円ほどであった。販売事業に15%ほどのマージンをかけているとすれば、10億円ほどとなる。
 信漁連再建ということで、組合員には負担金をかけ、漁協には増資をさせ、信用事業のもうけはないようにしたが、そのほか県の支援金とだましたカネは、見返りとしての下関人工島や岩国基地などの埋め立ての承認をさせたのち、貸付だから返済せよとだました。県漁連などの系統も信漁連再建の負担金を負うとしてきたが、なんのことはない。県漁連は漁民からピンハネしてきただけである。しかも便乗商法で、信漁連負担分以上のピンハネをしてきた形跡がある。石油、資材、鮮魚の販売などのピンハネ分の方が、表むきの「信漁連再建負担金」よりはるかに巨額であった。
 この10年、山口県の漁民の半数近くが組合員を脱退した。身をすりへらして命がけで荒海にくり出すが、働けども働けどももうけにならない。本来漁業者の利益になるはずの相当額が、ただ働き分として持っていかれるからである。漁具や油にかかる異常な手数料の高さは、二井県政が旗を振る沿岸漁業破壊策の実態である。水揚げもこの五年だけでも半額になっているが、二井県政、自民党県議団主導で県水産部がつくった信漁連再建の枠組みによって、歴史的な伝統がある山口県漁業は見る影もなく落ちぶれているのである。
   
 バカげた漁協合併 さらなるピンハネ企む
 県水産部が強引に推進している1県1漁協合併計画は、信漁連を食いつぶした自民党林派や県政、県議会の自己責任はチャラにして、「組合員の自己責任」といって、零細な漁民に30億円の出資金増資と7億5000万円の負担金徴収を義務づけようとしたが、よくよく見てみると信漁連再建がはじまって以来のこの10年間で、すでに少少でないピンハネを受けており、県1漁協計画は頭に乗って漁民ピンハネに輪をかけようとするものである。
 だがいまや限度はとおりこしている。漁民は信漁連や県漁連がなくてもやっていけるが、信漁連や県漁連は、各漁協があり、なによりも生産者がいなければ成り立たない。二井県政がやることは、自分の自民と派閥の悪事をかくして、責任のない漁民にツケをみな転嫁するという欲がはりすぎた結果、生産者をしめ殺してしまって、県1漁協計画も破たんさせるバカげたことをやっている。
 協同組合は零細な漁民が共同で資材を購入し、魚を販売し、資金も借りあって、有利な条件をつくり、大資本の圧迫から守るということでつくられた。それがいまでは、共同購入するばっかりに業者との個別取引よりも法外に高いものを買わされる。協同組合連合というものが、主人公である生産者を支配ししぼりとる道具とされている。信漁連に寄生したチャンピオンが、自民党林派県議の特権を使った桝田市太郎・黒井漁協組合長であるが、二井県政はその責任転嫁の道具に県漁連をしているのである。こうして、山口県にとって、とくに北浦地方にとってはきわめて重要な位置を占める水産業をつぶすことが、県水産行政の仕事となっている。
 二井県政と県議会は、このようなバカげた計画を撤回し、山口県の漁業を守る側から、漁民の経営条件をせめて他県なみにしなければならない。桝田市太郎(元黒井漁協組合長)元自民党県議団長の悪事を権力で擁護してきた自民党県議団とくに林派の責任を正当に問わなければならない。

トップページへ戻る