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『高杉晋作と維新革命』に全面改作
劇団はぐるま座台本読み合わせ会
               現代にこたえる舞台創る    2008年4月25日付

 劇団はぐるま座の改作劇『高杉晋作と維新革命』(原作・小田和生/改作・劇団はぐるま座創作集団)の台本読み合わせ会が23日午後6時から、山口市の劇団はぐるま座多目的ホールで開かれた。劇団はこれまで『高杉晋作と奇兵隊』を全国各地で上演してきたが、これを今日の情勢の発展と人人の高い問題意識にこたえる舞台へと向上発展させる方向で、題名も新たに『高杉晋作と維新革命』とし、全面的な改作にとりくんでいる。読み合わせ会には劇団支持者と劇団員あわせて40人が参加。現在改稿中の台本を劇団員が朗読紹介し、活発な批評・意見が交わされた。劇団はこれらの意見をもとにさらに練り上げ、近く台本の最終稿を仕上げる予定で、現代のテーマに肉薄し深い感動を呼び起こす舞台が創造されることが期待される。
 読み合わせ会では、初めに劇団の村松祐子氏が、「昨年の創立55周年で提起された新生はぐるま座を建設する課題として、『高杉晋作と奇兵隊』の改作に着手した」ことを明らかにし、「『高杉晋作と奇兵隊』を二五年間上演してきたが、情勢の発展に対応したものにするために、多くの人人の意見を聞いて改作小組をつくり進めてきた」ことを紹介した。
 劇団の新田泰子、川森大輔、富田浩史、西沢昌子の4氏が役割を分担して、『高杉晋作と維新革命』の最新稿を朗読した。
 『高杉晋作と維新革命』はおよそ140前の幕末、「内憂外患」の激動の時期に革命の原動力となった長州の農民、商人らのたたかいと、それを導いた革命家・高杉晋作の姿を描いたものである。
 台本は、文久3(1863)年、馬関攘夷戦争で破壊された前田砲台の修復に働く農民たちの歯に衣着せぬ談義から始まり、白石正一郎邸での身分を問わぬ奇兵隊の結成、さらに公武合体派による京都での8・18クーデター以後の逆流のもとで、広範な農民・商人に依拠して長府・功山寺で挙兵、萩・俗論派を打倒、藩論を統一して、10数万の幕府の軍勢を4000余りの長州軍がうち破る明治維新のクライマックスを描いている。
 社会の発展の原動力としてもっとも勇敢にたたかった農民のたくましい実像に迫り、白石正一郎ら商人らとともにみずからの要求として欧米列強の植民地を拒否し、徳川幕府を打倒して近代統一国家を実現するために献身的にたたかった様子、また当時北前船の集結地であった下関に全国の情報が集中していたことが、高杉晋作の的確な判断の根拠となっていたことが浮き彫りにされている。さらに、連合国との講和談判で「賠償金の支払い」や「彦島租借」を断固として拒否し、「負けてはおらん」と勝利を確信してはねつけた様子も織り込まれた。
 改作される台本ではまた、来島又兵衛との論争場面などで、口先だけで大言壮語し京都あたりで悲憤慷慨(こうがい)して歩く浮ついた潮流(逆流のもとでは敗北主義の流れのなかで激しく動揺する)と、高杉晋作に代表される「30万領民」の力に依拠して長州に割拠して人民とともに勝利をたたかいとる革命的な路線が、農事や農民の生活になによりも配慮することを明記した奇兵隊の隊則なども折り重ねられ深く描かれている。
 改作台本ではまた、脱藩のあと幽囚、自宅謹慎の身にあった高杉晋作が、百姓に変装して俗論派の襲撃をかわし、萩を脱出する場面が新たに加えられた。この局面で高杉が、「親を捨て、子を捨て、あえて不忠、不孝の人となり、国政をして維新たらしめんと欲す」と、みずからの思想的な葛藤(かっとう)を通じて封建思想の枠を突き破って、国のため万民のために身を捧げることを決意する様子も描かれている。
 こうした高杉晋作の内面的な描写は劇の最終場面で、高杉が功山寺決起のあとや桜山招魂場建立にあたって詠んだ句や歌の紹介、さらに「面白きこともなき世を面白く」「すみなすものは心なりけり」の辞世の句によるラストシーンと重ねて、透徹した革命的人間像を現代にひき寄せて浮かび上がらせるものとなっている。
 読み合わせの終了後、参加者から意見が出され、劇団との交流が深められた。
 『高杉晋作と奇兵隊』を見たという公務員退職者は、「史実にそって、より忠実に描かれている。高杉晋作と奇兵隊についてくわしく親切に説明されていることに感心した」と語り、「若い世代や他県の人に晋作の人生について知らせるようにしてほしい」と期待した。
 創作集団の富田氏は「全編にわたる改作となった」ことを明らかにしたうえで、とくに攘夷戦での「長州藩は勝ち目がないのに跳ね上がってたたかった」という「武器の優劣が決定的」とする誤ったとらえ方や、「ペリーの黒船の来航から近代化が始まった」というアメリカの歴史観の影響とのたたかいが重要であったことを紹介した。
 人間魚雷「回天」の乗組員として、敗戦を迎えたという男性は「現代社会につながるものとして、希望を感じた。日本はこのままでは、アメリカの植民地になってしまう。教育や医療の問題など深刻な状況になっており、民衆は維新当時以上に変革を望んでいる。現代の民衆が求めていることとの一致点に迫ってほしい。暗いニュースばかりだが、生きるための力を訴えることだ」と熱を込めて語った。
 このほか、「今の世相に相通ずるものがある。改作でぐっとよくなっている」という発言も続き、「さらに、その方向を研ぎ澄まして凝縮し、芸術的に高めてほしい」などの意見も交わされた。「維新革命については、大島町の漁民も誇りが高く語り継いでいる」などの状況も出され、現代の広範な大衆の深い革命的な熱望にこたえる舞台創造への熱い期待が寄せられた。
 劇団からは、台本の最終稿に向けてさらに努力する決意が示された。

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