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地域破壊する大型店ラッシュ
下関・生産者は買い叩きで困難
               労働者の生活苦を加速    2007年11月7日付

 下関市内では、大型店の怒濤(とう)の出店ラッシュが繰り広げられており、たたき合いとつぶし合いの略奪戦争が過酷さを増している。市民にとって、店はこれ以上増えなくても十分間に合っているし、なにより市民である労働者・生産者の収入が増えて、暮らしが安定しなければ、街が豊かになるわけがない。ところが「自由競争を妨げてはならない」といって法律まで変えたおかげで、横暴な略奪商売が地域をさんざんに破壊していく。直接打撃を受けるのは地元中小スーパー、商業者であるが、それだけではなく青果・水産市場すなわち農漁業者やさまざまな製造業者が買いたたかれ、とどのつまり人件費が削られ労働者が食っていけない状態に追い込まれる。それは街の様相すら一変させており、地域の共同体としての結びつきなども破壊するものとなっている。規制する法律がないというが、市政、国政が市民、国民のものであるのなら、規制する法律や条例をつくればよいのである。

 川中地区にイズミ出店計画
 区画整理が進んだ川中地区の広大な土地に、あらたにイズミ(広島市)が巨大なショッピングセンターをつくる計画が持ち上がっている。いまのところ出店申請には至っていないものの、用地交渉は水面下で着着と進行している模様で、関係者のあいだでは「1坪(3・3平方b)40万円でも地主が手放さないほど地価が跳ね上がっている」という声もある。内日地区では農地1反(992平方b)が40万円。江島市政が二束三文で売り飛ばそうとしたあるかぽーと地区(イズミ誘致)は1平方b当り6万5000円だった。それと比較してもはるかに高額で、「宅地として購入できる市民などいない」と揶揄(やゆ)されている。
 異常な加熱ぶりを見せているこの地域には、江島市政が移転を計画している川中中学校の新校舎が建つ予定で、現在は山口県が新下関駅と人工島に通じる片側2車線の道路を建設している最中だ。来春、この大動脈が開通するのを待ってショッピングセンターの着工にかかり、再来年の営業開始といわれている。道路を隔てた向かい側が中学校というわけで、教育環境としても悪影響であることは一目瞭然。いったいどんな都市計画なのかと住民の多くが唖然としている。敷地に店舗を構える量販店の名前も取り沙汰されはじめた。
 砂子多川と綾羅木川が合流するあたりには、スーパードラッグストアのコスモスが出店を決めており、地元説明会を先月末に開催した。市販価格よりも4割安の冷凍食品、1丁29円の豆腐や、1パック99円の卵、菓子類、酒、文房具や日常雑貨など売っている薬屋だ。市内に唯一ある豊浦店では弁当まで売り始めた。
 「驚異の巨大ショッピングセンター出現」といわれるが全貌は明らかでない。しかしこうなると、新下関駅・川中地区周辺は店だらけだ。計画地の目と鼻の先にはショッピングセンター・コスパがあり、以前からホームセンターとみやまなどがある。そして、破格の安さを売りにするTRIALもJR官舎の跡地に今年出店したばかりで、通常のパン屋で690円する2斤分ほどの食パンが、190円で売ってあったり、その他の商品もべらぼうに安いことから客が殺到している。24時間営業だ。「トライアルが3000平方bクラス以上の大型店を出すと、近隣の食品スーパーは売り上げが10〜20%落ち込む」といわれるとおり、梶栗にあるバリューハウスなどは、何`も離れているのに売上げがめっきり減ったのだとパートの婦人たちは語っている。
 同地域ではほかに、大手書店のくまざわに淘汰されることとなった老舗の中野書店・秋根店舗の跡地には酒のディスカウントショップが出店するとか、生鮮食品を扱うスーパーが新下関地域に出店を検討しているともいわれている。

 不動産物色する大型店
 市内では、「大型店がまとまった不動産を物色して回っている」と、以前から話になっていた。オーバーストア状態が歴然としている現在も続いており、まだまだ出店攻勢をかける気配となっている。ここには、大型店資本とつるんだ開発デベロッパーやゼネコンも介在して、みんなで丸儲けをやる。宅地造成がおこなわれている椋野から三河町にいたる区画整理の土地も、「宅地需要はいないので、大型店を呼び込むという話がある」と語られる。
 生鮮スーパーの関係者は「近隣の1店としのぎを削って、“どっちが先につぶれるか”と我慢比べしているところに、福岡などからドーンと3店目が割り込んでくる。体力のある会社だけ生き残り、敗れた会社は市場から駆逐されるんです」と様子を語った。コスモスが販売している29円の豆腐などは「あり得ない…」と言葉を失った。
 イズミやイオン系の超大型店もさることながら、市内を震撼させているのは福岡市に本部をおくスーパードラッグストア・コスモスの大量出店計画だ。来年には前述の伊倉に加えて安岡、大和町に出店する予定で、その後も8店舗を追加して2万人の人口につき1店舗で商圏をカバーする構想を披露した。最終的に、下関市内に12店舗をもつという。この“なんでもストア”は、まちづくり3法が施行されても規制の対象にはならない。
 なお、政府が大騒ぎしている“まちづくり3法”うんぬんというのもインチキで、改正都市計画法施行が11月末に迫り、のべ床面積1万平方b以上の大型店は規制されるというが、中心市街地活性化のための施策が内閣府に認められた地域に限ったことで、それ以外は対象外。格別規制になるとも思われていない。また、店舗面積が1万平方b以上もの大型店は全国の隅隅に出店し尽くしたあとであって、「国民をたぶらかすのもいい加減にせよ」といわれるのも当然である。

 改正大店立地法で拍車
 新下関・川中地域に限らず、大型店を野放しにする改正大店立地法が施行されて以後、15件もの届出が出され、すさまじい出店ラッシュとなった。長府地域は外浦町にできたイオンショッピングセンターと、イズミの運営する「ゆめタウン」にサンドイッチ状態にされた長府商店街が煽りを受けた。レッドキャベツも撤退となった。才川にはヤマダ電機やスポーツ用品店、大量のおもちゃを売り捌くトイザらス、ナフコの近隣にはホームワイドが殴り込み出店という調子で、地域の街並みは一変した。下関駅前の1等地には生鮮食品を扱うハローデイが出現し、地元資本であったサンシズカやレッドキャベツの客層を奪い取る。サンシズカは各地で店舗を閉鎖し、他会社と統合することにもなった。
 東大和町にはホームセンターのダイキONE、マックスバリュ。ベスト電器にぶつけるようにしてデオデオが出店し、山の田周辺地域にはベスト電器のほかヤマダ電機が4000平方bもの店舗面積で出店。綾羅木・安岡地域の国道沿いには、ジャスコ、Mr.Max、マックスバリュがあるところに、アルクも出店した。
 電機量販店、衣類、生鮮食品、日常雑貨、パチンコ屋、薬屋にいたるまで、すべてが大型店の独壇場で、市場の略奪戦争ともいうべき競争を展開しているのである。「大型」でないにしても、飲食にせよ、全国チェーン店ばかりが「金太郎飴」状態の街並を形づくっていく。
 その傍らでは、地域に根ざしていた商店街が惨たんたる状況に追い込まれ、商売がやっていけずに廃業していった。1979年に5506店舗あった市内の小売業商店の数は、統計で明らかになっている2004年時点で3419店舗と、37・9%も激減している【図参照】。その後の3年間の変化は大きいので、こんなものではない。

 都市の構造までも変化
 大型店の流通支配が強まることが生産者を買いたたきで苦しめている。青果市場や水産市場も大型店の流通支配が強まっており、市場の7割は競りをおこなわない相対取引で、同じ価格で決められた量を確保するよう求められる。青果市場には、袋詰めまで低コストで強いる。断るとよその市場から仕入れてくるので断れないジレンマなのだと語られている。仲卸のなかでは、クリスマスには彼らのノルマとなるケーキを買わされて、バレンタインになるとチョコレートを買わされる始末で、横暴さは目に余ると怒りを買っている。
 水産市場を見てみると北九州などからまとまった量を仕入れている。水産都市でありながら、下関市内で流通している7割の魚は市外から入ってきている状態だ。流通を牛耳って地域の商店をなぎ倒すことで市場での支配力も強まり、漁師や農民が出荷する生産物も価格が押し下げられる構造になっている。
 豆腐屋などの業者も儲けにならない金額で納品を求められる。ミートホープが袋だたきにあうけれど、食の安全を脅かす根元はこの流通支配にあるのである。
 大型店の商品が安いというとき、人件費を徹底的にたたいているということである。勤めているのはみんな低賃金のパートだ。「1日の労働時間は5・5時間で休憩なし。2日に1回という雇用形態。生活できないから掛け持ちで弁当配達をやっている。こっちも最低賃金」と某大型スーパーの店員は語る。ヤマダ電機は店長以外ほとんどが契約社員で、1年ごとの更新。給料は定期的にある「試験」や売上げ実績で決まる。退職金はない。広島あたりでは外国人労働者がおり、働くものは外国人労働者並みということだ。
 納品業者を買いたたくことからも、結局削られるのはそれらの業者の元で働く者の人件費であり、労働者の低賃金と過酷な労働だ。
 大型店がなぎ倒し合戦をやるので、地域の商店やスーパーが廃業になると、行き場を失った人人、とりわけ老人たちが買い物に困る状況も出ている。
 そして都市の構造そのものも変化してしまう。郊外に大型店が乱立した結果、寂れたのは中心市街地だ。居住人口は平成12年に1万1489人いたのが、平成18年には1万724人と、わずか6年間で6・7%減少した。旧市全体は3・2%減だったので、倍以上のスピードで人口が減少していることを表している。高齢化率は平成18年調査では32・1%と、わずか6年間で7・3ポイントも上昇した。これは旧市全体の24・8%と比べても高く、中心市街地で独居老人や空き家が増えているのも特徴になっている。
 中心市街地の小売店舗数も平成9年に1664店舗だったのが平成14年には1348店舗になり、5年間で316店舗の約2割も大激減した。旧市全体の減少数は413店舗なので市役所本庁地区の減少率は全体の八割にあたる。
 下関では海峡に近い地域が、九州との関係でも、世界的な関係でも第1等地である。この地域を空洞化地域にして、そののちに大資本や外資がこの1等地を乗っ取ろうというのであろう。

 植民地的な略奪の方式
 大型店の氾濫は、単純に既存商店街をなぎ倒すだけの問題ではない。生産者を苦しめ、労働者を困難にする。そして地域の共同体的な絆も文化も、都市そのものも無政府的に変えていく。まさに植民地的な略奪である。
 下関では、安倍、林代議士の代理である江島市政が、市外業者と組んだ巨大箱物事業ばかり連発し、まさに植民地的な略奪政治が花盛りである。神戸製鋼や三菱重工など一連の大企業の雇用も非正規雇用が増大。中小企業は江島市政によるダンピング入札や市外業者発注のしめ殺し政策で倒産・廃業が相次ぐ。そこに勤めている労働者の生活は困難になるばかり。ところが買い物に行くところばかり増えて、大型店は本社のある都市に、貧しい街に流通するはずの現金をもって逃げる。悪循環の連鎖である。
 このような略奪方式が全国の地方都市を食い物にしてますます減退させていく。“自由競争”といって規制を取り払い、無政府的な状況を生み出したのである。「アメリカが構造協議で要求したからそれが法律なのであって、規制しないのだ」とか、同じように大企業略奪政治の専門家である江島市長のような男が「それが自由競争なので、商店は自助努力せよ」という。
 この国が日本国民の国であるのなら、下関市が市民のものであるのなら、このような反社会的なことは、法律をつくり、条例をつくるか、さまざまな方法で規制すればよいことである。全国の都市では出店規制を加えるための独自の条例を制定するところもあり、あるいは長崎県のようにアクセス道路をつくらない、無茶をごり押しするイオンの出店申請を受け取らないなど、対抗する動きもある。
 下関をどんな町にするのか、市民の側が力を結集して声を上げることが求められている。

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