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市に陳情書の提出を決定
洋上風力反対の安岡漁師
              恫喝する県漁協幹部    2014年9月22日付

 下関市の安岡沖洋上風力発電の建設予定地の海に漁業権をもち、そこで生活の糧を得ている山口県漁協下関ひびき支店(旧安岡漁協)の漁師たちが24日、下関市役所に出向き、中尾市長に対して風力発電建設に反対を表明するよう求める陳情をおこなうことになった。漁師たちはひびき支店の正組合員48人のうち42人の署名・捺印をすでに集めている。同支店の正組合員の3分の2を上回り、9割近くの漁師が風力反対を表明したことになる。当日、市側は副市長が応対することになっている。
 すでに市側に届けられた陳情書は、要旨次のように訴えている。
 洋上風車群の設置が計画されている久留見の瀬は、安岡の海岸から1・5`bのところで、タコ漁やウニ・アワビ・サザエなどの漁場であり、安岡の漁師にとって大変重要な場所である。洋上風車ができれば、海流が遮断されるので、藻場は荒れ、砂が堆積するなどの変化が起こり、先祖代代受け継いできた漁ができなくなることを意味する。また、早朝暗いうちから海に出ておこなうタコ漁は、仕掛けが一本約1000b、タコツボは10b間隔でつけ、一度に約100個のタコツボを引き揚げるが、洋上風車群の周辺ではこれまでのような漁はできなくなる。
 風車の基礎が魚礁になるという意見があるが、風車の振動や、シャドーフリッカーによって魚は逃げていくと思われる。さらに、風車の支柱によって漁のための自由な航行が妨げられるばかりか、夜間や荒天時には衝突の危険もあり、安岡や周辺の漁師はつねに危険と隣り合わせになる。風車のオイル漏れやタービンの事故で海面が汚染されることや、風車の経年劣化による部品等の落下も考えられる。
 先月、安岡連合自治会は風車建設反対の決議をおこない、その旨を前田建設工業に通告した。なかでもわれわれ漁師の多くが居住する西安岡・安岡本町・安岡東町では住民の約8割が建設に反対している。
 一企業の利益目的のために、なぜ先祖代代受け継いできた安岡の海を明け渡さなければならないのか。この地域の揺るぎない自然と海産物、住民を次の世代に受け渡していけるように下関市長は安岡沖洋上風力発電の建設にただちに反対を表明してほしい。

 慌てる県漁協幹部 水協法逸脱した総会を開催

 全市的に大きく盛り上がる風力発電反対の世論と結びついて、建設予定地に漁業権を持つ安岡の漁師たちが一致して反対の行動を起こしたことは、同じように問題意識を持ちながら悶悶とした思いを抱えてきた北浦海域の漁師たちを激励し、共に行動に立ち上がっていく契機になることは疑いない。
 この間、安岡沖の海をめぐっては、昨年七月に開かれたひびき支店の総会で、「洋上風力発電建設のため、海を20年間、8億円で前田建設工業に貸与する」「貸すのだから漁業権には関係なく過半数の賛成でよい」といって、漁協幹部が主導する形で推進手続きをゴリ押ししてきた。しかし漁師町でも反対世論は圧倒し、組合員のなかからも行動機運が盛り上がっていた。
 地元安岡の漁師として組合員の9割の意志を示し、市長に態度を迫る。一見あたりまえのように思える行動であるが、一方では漁協内外から様様な形で「待った」がかかったり、恫喝が加えられるような動きにもなっている。
 20日朝、漁師たちが漁港付近で24日の市長への陳情について話しあっていたところ、聞きつけた運営委員長が「反対の陳情に行くのはやめろ。もう漁協として1000万円を(前田建設から)もらっている。金は共励会に入っている。風車が建たなければ、違約金としてその2〜3倍を払わなければならないことになっている。それを組合員みんなが負担することになる」「(反対すれば)7漁協の共同漁業権にかかわるところでは安岡が孤立する。アワビの稚貝も分けてもらえなくなる」といい放ったことが浜で話題にされている。
 1000万円の金をもらっていることは組合員の誰もが初めて耳にすることで、「そんな金のことは誰も聞いていない。支店長と2人が返せ」「他の漁協には2人が謝りに行け」「なんのための漁業組合なのか」など、その場で怒りが噴き出した。
 すると昼前になって、2日後の月曜日に漁協の臨時総会を開くこと、松並支店長が参加できないため海士郷の廣田(山口県漁協副組合長)がかわりに説明をおこなうことが通知された。漁師のなかでは、臨時総会では市長への陳情をとり下げさせようとするだろうが、それに従う必要はないと語られている。同時に「1000万円」といわれる金についても、誰が誰にいつ支払ったのか、1000万円だけなのかどうか、どのように説明するかが注目されている。
 漁師たちのなかでは、漁場に風車が林立する状況を歓迎する者はいない。しかし漁協上層部がキレイに買収されてゼネコンの協力者に成り下がり、海を売り飛ばす先頭に立っていることが大きな矛盾になっている。上層部が勝手に手に入れた手付け金、しかもコッソリ受領していたカネについて、今さら「反対したら2〜3倍を支払わなければならない」といっても、組合員には支払義務などない。勝手に受領した者が責任を持って返金しなければならないし、むしろ問われるべきは幹部責任である。というより、何の違約金なのか?という疑問である。
 紛糾する安岡に乗り込んでくるのが、下関外海のボスに君臨している彦島海士郷の廣田氏で、運営委員長の頭越しに急遽臨時総会を通知する動きとなった。ただ、漁協の最高の意志決定機関である総会は、通常総会であれ臨時総会であれ、各組合員への通知は総会の会日から1週間前までに、その会議の目的を示して準備しなければならない(水協法41条)ことになっている。今回の場合、開催通知は2日前という乱暴なもので、仮に「市長への申し入れはやめる」等等を腕力によって「決議」させたとしても、すべて無効となるほかない。
 水協法は漁業協同組合の憲法といわれ、全国の漁協の統一ルールとして運用されてきた。総会開催にあたっての招集ルールも知らない男が山口県漁協の副組合長という地位まで上り詰め、組合長といえば上関原発推進の旗を振って祝島に漁業権放棄を迫っている森友信である。いつも海を守る側、組合員を守る側ではなく売り飛ばす側で奔走しているのだから、山口県漁協というのは「協同組合」ではなく、中電子会社か前田建設工業の出先機関と見なさなければならない。水協法も適用されない組織ならなおさらで、「協同組合」の看板は早早に浜の漁師に返上して、「海のブローカー」組織として正式に分家しなければならないところへきているといえる。

 秋分の日近づく 夏の環境調査は季節外れに

 なお前田建設工業は20日、この間住民が2度にわたって阻止してきた夏の環境調査を、再度実施するというお知らせのチラシを配っている。ただ「夏の環境調査」といっても、23日は秋分の日であり、残りわずかで太陽が秋分点上に来て昼夜の長さがほぼ等しくなる日を迎える。季節はもう秋であり、騒音・低周波音・大気質の調査としては条件が違いすぎて、とても「夏の調査」とはいえない。今年の“夏の陣”は前田建設工業の敗北が確定的なものになろうとしている。


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