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倒幕戦に参加した佐賀の誇り
はぐるま座『雷電』佐賀公演
               現代の世直し願う熱気     2009年5月20日付

 劇団はぐるま座『動けば雷電の如く』佐賀公演(主催・同公演実行委員会)が18日、同市文化会館中ホールでおこなわれ、約400人が詰めかけた。各場面ごとに拍手が起こり、舞台と客席がうちとけた雰囲気のなか奇兵隊士や農婦らが世録の武士を追い返す場面では笑いが、また米俵を積んで支援に駆けつける場面などではひときわ大きな拍手が起き、感嘆のどよめきに包まれた。また、佐賀藩が果たした維新の誇りが語られると割れんばかりの拍手が響き渡った。
 今回の佐賀公演は、機械金属工業会、中小企業家、商工業者、郷土史家、柔道指導者、婦人会、詩吟連盟、理美容組合、宮司などが実行委員となってとりくみの中心を担った。鉄工業界は4000軒から2000軒になり、公共事業も半減するなか、中小企業の経営者からは、「市場原理ややりたい放題の政治のなか、閉塞しきった状況では革命しかない。高杉や奇兵隊が出てこないとだめだ」「銀行は経営が危ない企業は必ず潰そうとする。日本はアメリカの植民地になっている。100年に1度の不況といわれる時期を経営者としてどう立ち向かっていくか、新しい時代をつくっていった先人たちの歴史におおいに学び、力にしていきたい」と口口に語り、積極的に実行委員に加わった。
 とりくみ期間中、県内では、パナソニック子会社・パナソニックファクトリーソリューションズが鳥栖事業所(900人)を9月で閉鎖し、社員は山梨と門真に全員配置転換し、50人弱いる派遣社員は契約満了で雇い止めとすることを打ち出した。「家族も含めれば3000人に及ぶが、家庭もあり半数以上が行けないだろう。そうなれば自己都合退職となるため、失業保険も短くなる」「下請や関連企業も含めれば5000人以上になり、消費も落ち込む。10月、11月に倒産や失業が県内で大量に起こる」との激しい危機感が語られた。
 また、「年間3万人以上の自殺者の多くが中小企業の経営者で、設備投資をしたが、資金繰りに困り、万策尽き果てて首を吊っている」「リーマンなどの重役の高収入には呆れてものがいえない。アメリカのヘッジファンドなどは犯罪者だ」「幕末の幕府は今のアメリカだ」と舞台の内容と重ね強い問題意識が語られた。
 佐賀藩は長崎警備を通じて早くから国防の必要性を痛感。長崎台場の増設には佐賀から延べ22万人が参加しており、その多くが石工であった。また長崎から上海が植民地になっている状況がつぶさに伝わるなか、幾多の失敗をくり返しながらも独力で反射炉を築き、全国で初めて鉄製の大砲の鋳造、アームストロング砲の製造に成功した。そして、戊辰戦争には全国で1番多い6000人もの人人が佐賀藩製のアームストロング砲や新鋭兵器を持って長州軍の援軍に駆けつけ、上野の彰義隊を2門のアームストロング砲で撃破したのをはじめ、東北、函館でも活躍し、幕府軍を壊滅に追い込む大きな役割を果たしている。
 詩吟連盟では、「日本には伝統的な文化のよさがあるのになぜ外国の文化ばかりをとり入れるのかと思う。最近では物や人ばかりでなく心も規制緩和され、アメリカナイズされている。このままでは日本が日本でなく外国人ばかりになってしまうのではないか」と語られ、県内の14団体の詩吟団体に呼びかけ、多数の参加を募った。
 また、実行委員の呼びかけで護国神社奉賛会反省会、傷痍軍人会、老人会、婦人会、商工会議所、工業会、お茶がゆ会、剣道、柔道、専門学校、工業高校、労働組合など約50カ所に紙芝居が持ち込まれた。

 運輸労働者や美容師も “世直し”に共感
 運輸労組では、「規制緩和でタクシー、通信、運輸、金融すべてにわたり外資が入ってきており、小泉以後ひどくなった。この劇は世直しのテーマで私たちと結びつく内容だ」と強く共感。また、理美容組合でも「規制緩和と後継者不足で理容店が潰れている。大手の1000円カットなどが増え、経営がまったくあがらず、後継者不足で学校を閉鎖しようという話までなっている」状況が語られ、「社会を根本的に変えなくてはどうにもならない」と話してチケットを預かり観劇を呼びかけた。
 ある専門学校では授業で紙芝居がやられ、学生らは「明治維新が10代、20代の若者の力によって起こったことはとても驚きだった。こういった歴史を伝えていくことは素晴らしいと思う。私たちもそういった力を持った強い若者になって頑張りたい」「今の社会は病んでいると思う。親が子どもを殺したり、子どもが親を殺したり、世の中おかしい。今日の紙芝居を見て、世の中は欲だけでは生きていけないと思った」。
 「佐賀藩も長州藩と同じように明治維新の新しい日本を築き上げた誇るべき藩であり、私たちはその血を受け継いでいるんだと知ってびっくりした。そして戦った人たちは、私たちと同じくらいの年代の人たちだと知って、私もこれからの日本がよくなっていくようにいろんなことに貢献していきたいと思った」と感想を寄せ、青少年の率直な反応に実行委員会のとりくみもおおいに活気づいた。
 公演終演後の座談会は20人以上が参加し熱い交流の場となった。
 60代の中小企業家の男性は、「想像以上だった。志のエネルギー。140年前と今の時代状況は非常に似ていると感じた。この10年あまり年間3万人の自殺者が出ている現代、自民党、民主党という政党がかわればいいという問題ではない。日本は中規模国家であり、アメリカのような大規模国家のやり方でやってきてここまで破綻した。140年前のように知恵を出し合ってこれを乗り切らないといけない。自分もこのままでは死ねない。飯を食うことに追われるのでなく、なにか行動を起こさないといけないと思った」と語った。
 戦中に島根の航空隊に入隊し、東京空襲を体験し、防空壕の中で蒸し焼きになった母子の姿が忘れられない体験を持つ工業会のある男性は、「命を懸けてたたかうことはそう簡単にできることではない。そこを長州藩はどれだけの教育をして成し遂げたか、これは全国が長州に学ぶところであり、長州にしかできなかったことだ」と話した。
 また、60代の男性は、「みんなその人物になりきっており、男女問わず戦って死んでいく覚悟が感じられ、思わず息をのんだ。佐賀アームストロング砲のことも出て、佐賀県民の1人として感謝申し上げる。劇団員と一緒に衣装を着て町中を歩いたときには、市民から“世直し”に対して熱い支持が寄せられ嬉しかった」と興奮の面持ちで語った。
 「役者ではなく歴史を伝える伝道者だと思った。目がすごく、この目をもって子どもの教育にあたればなにかが変わると思った」(子供会役員、特定郵便局長)、「今回で6回目の観劇だが、感動して涙が止まらない。今回が1番すごかった。また来ます」(30代、福岡県、美容師、女性)など語り合われた。
 公演後寄せられた多くのアンケートのなかから、一部を紹介する。

 アンケートより
 ▼現在建設業を営み、30代前半の息子を代表とし、20代前半の若者たちで仕事に励んでおりますが、現在の状況は大変なもので、いつ倒産するか、夜も眠れずにいます。
 舞台を観ていますと重なるものがあり、本当にこの先どうなるんだろう、どうしてこんな世の中になったんだろうと感じています。力強い言葉、行動、感動しました。140年前の事が今の世の中に似ているというのは、とても心打たれました。(56歳・女性)
 ▼熱意を感じ、心が熱くなるばかりでした。高杉が亡くなった27歳は今の自分と同じ歳。若い力が今こそ必要なんですね!(27歳・保育士・女性)
 ▼幕末のスリリングな事件、そして人と人の絆の強さに涙した。演技ではなく、正に本物でした。高杉の辞世の句「おもしろきことも…」が印象的だった。(64歳・男性)
 ▼今まで知る事のなかった歴史に公演を通じて触れることができて、大変光栄でした。高杉晋作氏の民を思う懐の大きさ、志の高さにとても感無量でした。その人としての器の大きさが様様な身分の民を動かし、「明治維新革命」を成し遂げる基となったのだと感じました。
 他人を思う心を持ち志の高い人間になれるよう日日精進していきたいです。(23歳・神社・男性)
 ▼全出演者が奇兵隊員の如く情熱溢れる熱演で大変感激しました。この現今のむごい世の世直しに高杉に学ぶことが多い。われわれ自身が積極的に改革に参画することが1番大事なこと。「高杉さんやりましょう」「人民安堵」が印象に残った。
 今日本人の心に火をつけてください。全国の人を元気にしてください。(73歳・男性)

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