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津波来る場になぜ作るのか追及
下関・本池市議の一般質問
               市民が注目する消防移転    2012年6月20日付

 6月下関市議会の一般質問がはじまった。下関市民の会の本池妙子市議は、埋立地への消防庁舎移転問題や、大不況のもとで市民生活の実態を中尾市政はどう把握しているのか、失業対策はどうなっているのかといった問題について追及した。その他、用途廃止や住民の追い出しが問題になっていた市営住宅を巡る問題、軍港化が懸念される人工島や「補助金が減らされた」といって消えていく慰霊祭の実情とあわせて平和の問題について、市長の出張の実態、市庁舎建て替えなど追及した。本池議員の質問と執行部の答弁を紹介したい。
 
 消防庁舎問題

 本池 冠水したことのある埋立地に消防庁舎を建てることがいかに愚かなことかは、子どもでもわかることだ。市民の命がかかった問題であり、建設工事はストップさせるべきだ。総務委員会における局長の説明は、「消防庁舎は2階以上は大丈夫」とのことで、津波が来たときに市街地はどうなっているか、市民はどうなっているかは余り説明はなかった。市民から見たら、津波が来ても持ちこたえる庁舎が必要なのではなく、津波の来ない場所に建てて、庁舎防衛の手間をかけずに、市民を助けることに力を集中できるようにすることが当然のことだ。
 津波の3・7bというのは、陸上に上がったときは5bにも六bにもなるが、それでも「2階以上は大丈夫」といえるのか。新庁舎のそばにはタンカー船が停泊している。気仙沼ではマグロ船が炎上して海上は火の海になった。タンカー船が炎上し、流出した油で海面が火の海になって消防庁舎が燃えるが、消火すべき消防自動車は避難しておらず、消防署が真っ先に燃えてしまうという危険性は100%ないといえるのか。
 さらに津波が来た場合、庁舎の周りは船舶やコンテナがぶつかり、庁舎の周りは液状化、市街地は瓦礫の山で、交通は不能になり、電話や携帯など通信もまひする。船舶火災のほかに石油タンク、ガスタンクの爆発なども東北では起きた。そういう災害対応に必要な物資は庁舎に蓄えられていると思うが、どうやって持ち出すのだろうか。
 消防車両が3時間前に避難したあと、庁舎は作戦本部になるとのことだが、出ていった車両は庁舎には何日間も帰ることができず、食べる用意も寝る用意もしなければならない。その分救援活動が遅れるのは当然だ。「通信は無線があるので大丈夫」とのことだが、東北では電池が真っ先に売り切れた。作戦本部は外の状況がわからず、作戦の立てようがなくなるのではないか。また津波は2波、3波と何度も押し寄せてくるもので、作戦を立てるより自分が逃げるのが必死になったというのが東北の経験だ。そういう心配はないと考えているのか。
 金子消防局長 毎回毎回、消防庁舎のことを心配していただいて、どうもありがとうございます。南海トラフで発生する地震による津波の高さが3・7b。到着時間が3時間後と想定されている。3・7bの津波ならばタンカーが漂流するようなことはないと断言する。だから2階以上には支障がない。
 津波到達前には、市民の皆さんに避難誘導したり、消防車で繰り出して周知する活動をするが、到達したときには活動することは困難。潮がひいてから活動することになる。そのときは他県からの援助隊投入などによって増強された部隊や、全国波の共通無線を活用して救助活動や被災状況の確認にあたる。高潮や津波対策を施しており消防機能を十分に発揮できると考えている。
 本池 「3時間以内に住民は100%避難しているので大丈夫」という説明だったが、どこへ避難すればよいのか住民は知らない。避難場所は決まっているのか。現在の建設計画は、市民の生命、財産を守るのが消防の使命ということを否定するものになっている。肝心なときに使い物にならないものは、建設は中止すべきだと思う。その点はどう考えているだろうか。
 消防局長 消防庁舎の心配ばかりして、市民の安全を考えていないということはない。私は3時間以内に100%避難しているとはいっていない。周知の活動をするといっている。
 本池 下関市職員が派遣されている岩手県の宮古市の田老地区には「国内最強」といわれる防潮堤があったが、津波はそれをも破壊してしまった。1b余りの防潮板を消防庁舎の周囲につくるから大丈夫というのは、東北の人から笑われるのではないか。中尾市長は死者が出たときにどんな責任をとるのか。あの埋立地への建設をやめるつもりはないのか。
 中尾市長 いまさらやめるつもりはない。理解を得ながら進めてきた事業だから100%それはない。消防局長が1年365日、市民の安心安全を守る組織として検討して出した結論だし、市役所一体となって進めているので安心してほしい。
 
 下関経済の現状評価について

 本池 中尾市政は市民の生活実感がまったくわかっておらず、市民と関係のないところで突っ走っているというのが大多数の市民の意見になっている。商店やタクシーの運転手さんたちも、街を人が歩いていないといっている。去年の盆すぎからガクンと落ち込んだが、さらに今年の年明けから一段とひどくなったと。とにかく「生きていくのがむずかしい」とみんながいっている状況だ。下関の市民生活は緊急事態にある。
 まず、執行部は市民生活の現状をどう認識しているのか質問する。聞きとりでも「五年前の数字はわかる」といわれるが、現在の施策をやる場合、現在の状況を把握しなければなんの役にも立たない。なぜ自殺者が増えているのか、生活保護と高齢者の生活、MCSの工場閉鎖ともかかわっているが、若者の生活、失業率、人口流出人数、商店の数の推移や実態についてどう把握されているのか質問する。とくに昨年から今年にかけてどうなっているのか、数字の統計がなければ、具体的な実感としてどう認識されているか。
 三木産業経済部長 自殺者数はここ半年分は把握していない。最新の統計数値は平成22年に68人。この数年来は70人前後で推移している。その理由については把握していないが、全国的な傾向としては、健康問題、経済生活問題、家庭や勤務問題となっている。商店街は空き店舗が増加傾向にあるといえる。原因は郊外の大規模店舗や人口減少などが考えられる。失業率は直近の今年の全国完全失業率が4・6%。失業率については中国地方の数字はあるが、都道府県、市町村単位の集計はない。若者の雇用問題については、MCSで大量の失業者が発生することから、国、県とともに対策連絡会議を発足させて、セーフティネットの強化や対策に努めている。
 砂原福祉部長 低所得者層の状況であるが、高齢化は29%近い数字になっている。生活保護については平成21年に1000人につき15%ミルだったのが、23年度には16・5%ミルまで上がっている。そのうち高齢者で生活保護を受ける世帯が、1500世帯だったのが1700世帯まで上がっている。とくに最近特徴的なのは、生産年齢層というか働く能力はあるけれども失業などによって一時的に働けない若年層の受給が21年度の400世帯から560世帯まで増加している。
 本池 調べていただいてありがたいと思うが、数字が主で市民の実情を把握できていないと感じる。行政が下関の市民の現状に対応して動くために、抜本的な姿勢の転換がいると思う。聞きとりの際も、有効求人倍率は数字的には改善しているといわれた。職安の方は、「倍率だけではわかりませんよ」といわれる。求人のなかには数カ月の短期雇用のものも入っている。求職者数のなかには何十回うけても通らなくてあきらめた人は入っていないし、北九州の職安に行っている人も数字には入っていない。失業者の実態を直接に知るために動く必要があると思われないか。
 産業経済部長 求人倍率は直近のもので0・86。「1・0」を下回っている。求職と求人のミスマッチもある。倍率の高い職種もある。原因はさまざまだが、就職支援アドバイザーやハローワークと連携して、雇用希望者への指導や相談にのっている状況だ。個個の相談にきめ細かく対応するのが必要とは思っている。
 本池 以前とは雇用情勢も市民の生活実態も様変わりしている。足を運んで聞くなりしてつかまなければ、市民が感じている市役所とみんなの生活実感とのズレは解消されない。最新のデータというのは5年に1度の調査というものがあったり、「市独自でつかむことはむずかしい」とか、「県のデータ待ち」といわれた。どうして下関の現状を国や県に聞かなければわからないのだろうか。いったいどこの地方の自治体なのか、市民から見たら不思議なことだ。これこそ市民の実情と関係ない世界に市役所があることを証明していると思う。この姿勢を変え、市独自で実情を把握する必要を認められないか、質問する。
 産業経済部長 必要性は個個の判断だと思う。物理的にできるできないという問題もある。人員や定義の問題、どこまで入り込んで調べていくか、市町村がどこまでやるのか、有意義であるのかという問題があり、ここではっきり答えることにはならない。
 
 失業対策について

 本池 今下関市政で一番大切なことは地場産業の振興だし、とくに失業対策だと市民の大多数がいっている。昔やっていた失業対策事業を今こそやるべきだと思う。道路や公園など公共施設の草取りとか、いろんな仕事をつくって、雇用をつくるべきだと思う。
 今や製造業も国内はつぶして外国に移転するすう勢だが、ここまで来たら農林漁業から立て直そうという流れが全国的に広がっている。農村部は人手を欲しがっている。農業や林業は、個人の経営のためだけではなく、国土保全、水源涵養、環境保全、鳥獣対策など、そこが荒れたらすべての人人が困る公共的な役割がある。失業対策として市が独自に人を雇って農林業に従事させるべきだと思うが、どう考えられるか質問する。
 産業経済部長 失業対策事業については、かつて失業対策として道路の整備や建物の建設、河川、公園整備などハード面の建設事業をおこなう場合に事業費を計上していた。国の事業が復活したら失業対策事業費に計上される。現在は、緊急雇用創出事業などで対応している。1次産業の後継者育成の制度はニューフィッシャー確保の助成や就農希望者に農業大学校の授業料助成をしている。今年度からは国の青年就農給付金制度ができた。林業者についても制度がある。失業対策として1次産業に従事というのは市が雇ってやるといった場合に相手方の問題がある。どこに送り込めというのか理解に苦しむ。
 本池 国の予算がないからといわれるが、地方公共団体なら下関の現実に即して動いたらよいのではないか。全国先端で下関方式でやればいいと思う。

 市営住宅について

  本池 宮田町の清和園は用途廃止の計画になっているが、入居してから十数年〜四十数年という高齢者が大半を占めている。5月に市の説明会がおこなわれたさい、「旧市内に新築はこれが最後」といわれ、家賃が4〜5倍の新椋野市営にすみやかに応募するように呼びかけられたことで大きな不安がおこった。築64年ということだが、耐用年数70年まであと6年ともいわれていて、「6年のうちに死ねということかね」とその場でつぶやく高齢婦人もおられた。
 市営住宅の今後はおおまかにどのような計画になっているのか。現在が何戸あり、用途廃止つまり建て替えずにとり壊すことになっているのは何カ所で、10年後、20年後は何戸に減らそうとしているのか教えてほしい。市民にとって、とりわけ高齢者にとって、住まいがどうなるかはとても深刻な問題だ。ましてや、古いけれど安くて住み慣れた利便性のあるところを出て、家賃が4〜5倍になり、バスも通らず、医者も買い物をする店もないところへ移ることは不可能。これは清和園だけの問題ではなく、廃止されようとしている市民の共通した問題となっている。用途廃止など古い住宅は修繕費が出ないという説明がされていると聞いているが本当だろうか。それ以上に、市民が貧乏になっている現在、市営住宅をもっと増やして住まいを提供する役割をはたさなければならないと思うが、その意志はないのか、市長に質問する。
 西野建設部長 市営住宅は平成23年4月段階で市内に111団地、549棟、7044戸ある。そのなかには木造なども残っている。耐用年数を超えているのが588戸で全体の8・3%になる。今後10年で耐用年数を超過するのが1253戸で全体の17・8%になる見込みだ。下関市公営住宅長寿命化計画では、老朽化の著しいものについては用途廃止し、一部で建て替えすることを考えている。平成33年までの管理戸数は6610戸と設定している。20年後の目標については設定していない。あと、用途廃止するところに修繕を指示しているということはない。
 中尾市長 部長が答えるものに付け足す必要はない。

 平和について

  本池 地域でおこなわれていた戦没者の供養の盆踊りがなくなり、慰霊祭の予算も削減されて、このままだと戦争体験を受け継ぐものがなくなってしまうと戦争体験者、遺族が強い危機感を語っている。市民のなかで戦争の危惧が強まっているなかで、遺族が少なければそれだけ力を入れて先の戦争の犠牲について若い世代に伝えていくことが大事だと思う。予算カットされているのだったら理由はなんなのか。
 福祉部長 慰霊祭に直接の補助は出していないが、下関連合遺族会がやっているのでそちらに事業費補助を出している。その金額については減額していない。
 本池 第二次大戦のもとでの米軍による下関空襲で、多くの市民の犠牲が出た実態や、その体験を若い世代に継承するために、下関空襲慰霊祭を空襲のあった6月末から7月初めに市がやるべきだと空襲体験者から意見が出ているが、どう考えられるか。
 福祉部長 現在は戦没者慰霊祭と合同でやっている。
 本池 人工島に出入りする船舶はほとんど見かけない。なんの役に立っているのだろうか。人工島とそれを結ぶ大きな道路があらわれ、下関港は米軍の重要港湾に指定されているが、明らかに下関を米軍および自衛隊の軍港にする政治が動いている。執行部は軍港にするという意識を持ってやっているのか、国がなにを考えているか知らないが国がいうからやっているのか、どっちだろうか。
 梅野港湾局長 物流拠点として整備しており、軍港化は考えていない。
 
 市庁舎建て替えについて

 本池 市庁舎建て替えですでに業者も決まっているとの話も聞こえるが、合併特例債で建てる、国が出す金のようにいわれるが実際には合併の算定替えがあるなど、市の負担は60億円になるということが昨日出された。下関の経済の疲弊、市民の貧困は尋常ではない。「こんなときに市役所だけ立派にしてどうするのか」の声はひじょうに強くなっている。旧郡部でも「役場の建て替えどころではない、市民が生活できるようなことに使え」といっている。市民が食べていけるようにすることが急務であり、市庁舎建設をやめて地場産業や農林水産業を振興し、雇用を作るために使うとか、旧4町の公共交通の利便性を取り戻したり、病院をつくったり、市民が困っていることに使ったらどうか。そういう気はないのか市長に問う。
 中尾市長 二言目には雇用がない仕事がない、生活が苦しいというが、今やっている事業は地元発注して地元経済に循環している。仕事はください、しかし施設は建てるなというのは矛盾している。考え方が間違っているんじゃないか。  

 市長の出張について

  本池 中尾市長の国内外の出張の日数と費用、本来公務で登庁すべき日数、出張の特徴を教えてほしい。
 河原総合政策部長 平成21年度は経費が183万7760円。日数は国内が71日で海外が8日。平成22年度は経費が204万7156円。イスタンブール訪問などがあった。日数は国内が65日、海外が17日。平成23年度は経費が238万8612円。日数は国内が70日、海外が5日。この年はIWC年次総会の参加などがあった。歴代市長と比較しても格別多い頻度ではない。登庁すべき日数というが、市長は特別職なので365日となるのかと思うので、先ほどのべた出張日数や祝日等を引かれて、ご面倒とは思うが算数でもされてみてください。
 本池 今度もパナマのIWC総会に行かれるそうだが、中尾市長が行ってもなんの変化もないはずだ。なにをしに行くか。中尾市長は市長選のさい、江島前市長の海外出張を批判していたと思う。海外に行くよりも、東日本大震災の被災地の宮古市田老の破壊された防潮堤や火事で焼けた気仙沼の街を見てきてほしいものだ。どうお考えか。
 中尾市長 海外出張には行かないとはいっていないし公約でもない。IWCについては鯨の街日本一で力を入れるべきだ。公務をしっかりやって責任を果たしている。

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