トップページへ戻る

上関町長選
町民の利益の為、山戸氏使う
          原発撤回、政治局面転換へ    2003年2月13日

 中国電力の上関原発計画が公表されて20年をこえる上関町で、6度目の町長選挙が迫っている。戦後58年になるが、そのうち22〜3年が原発騒動で、町民はいいしれぬ困難を強いられてきた。原発にしがみつく片山町長は、市町村合併をまえに原発財源を上関だけで使えるようにするよう国に指針を求めたがほうり出された。金が上関に落ちるといわなければ推進派は瓦解するが、合併を拒否して町政を維持するめどはない。こうして片山推進町政はまったく破産状態にある。このなかの町長選の立候補の選定は迷走をつづけている。推進派は片山町長に加えて右田元議員、浅海氏の一本化調整の結論が出ず、反対派は出るものがおらずに結局は裏技得意の山戸氏が表に出て立候補表明をした。中電の側からいえば、もっとも町民に嫌われている山戸氏の出馬で、推進派を助け、建設する気はないが原発利権だけは維持して上関を荒廃のままに放置するという構図である。こうしたなかで町民にとってはどうすることが根本的な利益となるか、町内の世論を聞くなかから考えてみた。

●推進派助ける顔ぶれ
 町長選の顔ぶれは町民をシラケさせている。どの候補を見ても人物として期待のもてるものがいない。推進派は、昨年の町議選で右田氏が出馬を辞退し町長選出馬を準備、調整がつかないままに片山氏が昨年9月いち早く出馬を表明。加えて室津の浅海氏も出馬表明して、3人が乱立という現象になった。それぞれのあいだはたいして対立はしていないのに、一本化調整はいまだに結論が出ない。
 反対派は町民の反対世論が強まるのと反比例して衰弱ぶりが露呈し、議員のなかから出す以外ないとなったが迷走。結局はだれもおらず、一番のボスである山戸氏が出馬を表明することになった。「(議員辞職によって)議席がへるのを覚悟する」というもので、補欠選挙の敗北、すなわち町長選の落選を確信した出馬である。
 この間の町長選では、片山氏が支持されているというより、反対派議員の側が信頼がないうえに選挙サボをやって片山氏を助けるという構図がつづいてきた。98年の町長選挙では河本氏が出馬したが、町外の応援者の自治労が前面に立った選挙で「参加することに意義がある」という調子で終始し、負けてなんの悔しさもないというありさまであった。山戸氏が指導権をもったこの10年余りは、以前やっていた祝島からの炊き出しや運動員の派遣もなく、島民が町内でお願いして回る光景もなくなっていた。候補者の顔ぶれで見るならば、反対派が山戸氏ということで、これ以上ない推進派の助けになるという構図である。
 上関原発問題が20年もつづいたなかには、祝島の反対運動を指導する路線が、勝利した豊北斗争の指導路線などと比べるならきわめて異質であるという問題があった。祝島の内部では村八分的な人道にもとる独裁支配をやり、外にたいしては祝島だけの利害、しかも経済利害だけを主張し、四代や八島、長島、室津など全町的な共通利益で団結するというのでなく、全町民は「推進で敵」とみなすような分裂主義の指導路線をつづけてきた。そのもとで、田ノ浦の共同漁業権を放棄するという裏切りもやってきた。
 山戸氏本人が、片山町長や推進派議員、推進派組合長とはツーツーの関係だが、四代や上関を一人で歩いて住民と声をかわすような言葉もなければ度胸もないという状態にある。選挙になったら船の上から演説するだけで、地上に上がって訴えるかどうかもわからない。
 原発問題のはじめ、全町で強かった反対の声は、非人道的な祝島の反対運動に同調できないということが一つの大きな要因になって、沈滞していった経過がある。そしていわゆる「隠れ反対派」といわれ、どの候補が出ても選挙になったら崩れることのない反対票となってあらわれてきた。
 山戸氏は、片山町長以上に県とのゆ着関係をもち、推進派とのなれあい関係をもっており、最大の裏切りもやってきた。同時に、原発反対をたてまえとしており、もしも当選させるような町民の力が発揮されるならば、本音はどうであれ計画の白紙撤回を実行せざるをえない位置にある。
 選挙は顔ぶれだけを見るならば、どの候補を見ても、町民の期待にこたえる人物という様相にはほど遠い。「三バカ戦争」とか「四バカ戦争になった」ともいわれ、シラケているゆえんである。

●決定的な力は町民
 だが選挙は候補者がすべてで、とおったものが好き勝手ができるというものではない。近くは広島県沖美町で、アメリカ空母艦載機の離発着訓練基地誘致の町長の動きにたいして、周辺自治体と町民の猛烈な反対世論によって、はじめ賛成していた町議会も泡を食っって撤回し、町長は辞職するという羽目になった。町政の方向を決める決定的な力をもっているのは町長や議会ではなくて町民なのである。
 また豊北町では1978年、町長選挙で9000対3000という大差で反対派候補を勝利させて中電の原発計画をうち負かした。豊北町で町民が担いだのは藤井澄男氏であるが、同氏は原発をもちこんだ自民党安倍派であった。その藤井氏は反対を表明、しかし選挙は藤井氏を町民が応援するというようなものではなかった。それは自民党代議士や県連、山口県内の企業、商業マスコミから警察、右翼暴力団、そして「実弾」という権力、金力に真正面から対決した、町民自身の根本利害がかかった選挙であり、藤井氏を担ぎ、ある意味では利用した人民勝利であった。海側の何千人の人人が山側に訴えに入り、全町民を団結させて勝利したものであった。選挙の常識をはるかにこえて、候補者が主人公ではなく、まさに町民が主人公の選挙となって原発をうち負かしたのである。その大衆の運動の力が強力に存在したことから藤井氏は、県などの嫌がらせをはねのけて、原発の撤回を貫くことができた。このような選挙常識をこえなければ原発というような権力、金力総動員の国策をうち負かすことはできないのである。
 選挙とくに原発が絡んだ選挙は、候補者のどっちが勝つかだけの対立ではない。原発をもちこんだ中電と関連企業、それを支援する国、県の行政権力、自民党はもちろん、インチキ反対をやるような政治勢力、警察や商業マスコミ、それにバックアップされた町内の代理人など、あらゆる権力、金力にたいする、町民大衆のきわめて鋭いたたかいである。このたたかいで町民が頼れる勢力は全県、全国の勤労人民である。

●選挙巡る争点は何か
 今回の町長選挙をめぐる争点はなにか。推進派と反対派候補のあいだの個人のあいだの争点というものではない。それは原発を推進してきた中電、国と町民とのあいだの対立点はなにかという問題である。その町民の根本利害にたいしてどの候補をどう利用するかの問題である。
 各候補の特徴で見ると、片山、右田氏は推進一本でその他見るべき政策はない。右田氏は祝島を抱きこむことがセールスポイントであったが、山戸氏の出馬まできてとん挫。浅海氏は推進であるがさまざまな町政要求をとなえてまずは町政正常化といっている。山戸氏も町政刷新といっている。原発という争点隠しが一つのあらわれとなっている。
 町内でいま、もっとも強調して語られていることは、戦争の体験である。原発が軍事施設であり、ミサイルの標的であること、そしてアメリカが乱暴な戦争を仕かけはじめており、日本の小泉政府がアメリカの戦争のために日本全土を動員し日本の若者の命を捨てさせようとしていることが現実問題として明らかになってきたからである。
 ニューヨークのテロ事件とその後の原発をめぐる対応は、テロ対策と称して自衛隊を戦地に派遣するとともに、有事法制化を急ぎ、原発にかんしては保安庁の艦船が沖合で常時原発を監視し、警察だけでなく自衛隊が原発を武装して警備する体制をとりはじめた。原発は米軍基地と並ぶ第一級の軍事施設であることがだれの目にも明らかとなった。
 北朝鮮で核開発、大規模破壊兵器が大騒ぎされているが、それは出力5000`hのオモチャのような原子炉の話である。上関原発は、一基130万`hの超大規模破壊兵器ということになる。小沢一郎はその気になれば日本は一夜にして数千発の原爆をつくれるといった。このような状況は、日本はすでに核保有大国になっており、北朝鮮にたいして騒ぐ何百倍も騒がれてもおかしくない状況にある。アメリカのいいなりになって、原発による核兵器製造を拡大しながら、同時に原発を戦争の標的にし、上関のみならず国土を廃虚にしてもかまわぬという売国政治をすすめている。
 上関の老人たちはかつての苦難をなめた戦争の経験とかさねて、上関が標的になり戦場になること、いまの若者を、二度とだまされひどい目にあわせてはならないという思いを強めている。

●山積みする町政要求
 町内ではまた、原発推進の20年以上で、老人はふえたが病院はへり、道路事情も改善されず、漁業などでの共同事業は破壊されたまま、農業の基盤整備も放置、農漁業に依存した商工業も寂れるままとなって、さまざまな町政要求がうっ積している。それは原発計画のなかった大島郡と比べれば雲泥の差となっている。原発計画がなければ当然のようにやっていた生産や生活条件の整備が、原発計画があったばかりにわざと放置され寂れさせられてきたのである。すなわち、一部の町長や議員だけが中電や国に買収されて、全町の利益を投げ出し、町を売り飛ばす売町政治が支配してきた。
 そして町民のあいだは、推進派、反対派で分断され、疑心暗鬼にされ、相互不信にされて、人情のあった町がズタズタに切り裂かれたこと、さらに四方八方から圧力がかかって自由にものがいえない、町民の主権が奪われる状態がつくられてきた。中電の金と国、県の権力によって、その代理人が培養され、町民のためではなくもっぱら自分のためにだけ動くヤクザ支配のようなものがつくられてきた。これは中電の植民地となったことによる腐敗であり、それによる町の各組織の幹部連中の腐敗である。
 考え方としては、国や中電からの金をもらうことばかりを求める投機主義が支配し、町民が協力して地道に労働をして生活を豊かにするというまともな考え方がべっ視され、町の発展が阻害され、衰退してきた。

●原発撤回が最大焦点
 上関町では以上のようにさまざまに問題が山積している。その解決、町政の正常化は相当の努力を要することになる。だがそのなかで当面する最大の焦点、すなわちこの問題を解決するならば、すべての問題が解決にすすむという主要な矛盾から解決をはからなければならない。上関町の諸問題は、原発計画がもちこまれ、中電や国、県が町政に深く介入し、支配してきたことが最大の問題である。この原発計画を撤回させること、中電、国、県とそれに加担する自民党県連、商業マスコミ、警察、右翼暴力団の介入を排除すること、そのことによって町内の代理人の支配を終結させることがなければ、なにごとも解決できない関係にある。さまざまな町政要求をかかげても、原発計画を撤回し、町政の正常化をはからなければ、なにごとも実現できないのである。
 現在の町長候補の顔ぶれの構図のなかで、原発の白紙撤回をとなえる山戸氏をどう評価しどう対応するかが町民にとってきわめて重要な問題である。中電と推進勢力の側から見れば、推進派を勝たせるためにはもっともよい候補である。山戸氏ほど嫌われた反対派はいないからである。中電、推進勢力は山戸氏の出馬で町民の反対世論を分断し、片山氏などを当選させるというもくろみであることは明らかである。この候補者構図をなりゆきに任せていたら、ないしは山戸氏や反対派議員に任せるだけならば、山戸氏が勝利する可能性はない。
 山戸氏は、反対を表面でいいながら実際には県とつながり、かずかずの裏切りをやってきた人物である。とくに田ノ浦漁業権の放棄は、片山町長にも大西組合長にもできない推進への貢献であった。これまでの町長選でも選挙サボをやって片山氏の長期延命を助けてきたいきさつがある。
 しかしここで、町民が山戸氏の思惑をこえて、山戸氏に票を集める力を結集するならば、上関の政治局面を転換させることができる。山戸氏の本音がどうであれ、白紙撤回がたてまえであり、町民の力で当選させるならば、その町民の力を背景にして、山戸氏を町民の玉として使って山戸氏にとってはたてまえであろう原発の白紙撤回を実行させることができる。それは上関町の20年以上の中電と国、県がつくった政治構造を崩し、決定的な政治転換をつくることになる。
 町民が山戸氏を当選させる力を発揮したなら、もっとも驚くのは山戸氏や反対派議員の側である。町民のなかでは、かれらがすぐれており、かれらの努力の成果とはだれも思わない。町民のなかで、これまでの感情をこえて、大局に立った全町民の利益にもとづく政治的な意識の高さとその力をだれもが認めざるをえない。それは中電、国、県という背後勢力を断念に追いこむことになり、町内推進派を瓦解、解散させることになるが、それは同時にかれらの付属物となってきたインチキ反対派議員の崩壊であり、かれらが威張ることなどできなくなる。なによりも町政正常化をめざす町民の政治的な自由を確保することを可能にするだろう。それは同時に山戸氏がインチキな裏切りを勝手にやることをできなくさせる力をつくることになる。おかしなことをすればリコールする力ができることを意味する。そして、町内で町民のために無給でも努力する新しいリーダーをつくり出し、町長、町議会の抜本的な刷新に結びつけることが可能となる。
 祝島における不幸な対立も重要な解決すべき課題であるが、それは現状の延長ではなく、山戸氏を町長として全町民の前に引き出すことで、解決の道をつける可能性も出てくると思われる。

●売国の象徴原発
 要は、中電、国、県、背後で原発を強要しているアメリカと、全国、全県の勤労人民と共通の利害をもつ全町民の対立点を鮮明にして、町民大衆が町の主人公として力を発揮すること、そして候補者を町民が使う玉として利用して、町民要求を実行させていく、そのような大衆の運動をつくることが決定的である。
 原水爆戦争をひき寄せる原発を断念させることは、候補者のいかんにかかわらず、すべての町民の全県民、全国民と共有した根本的な利害である。しかも売町政治をうち負かして、農漁業を発展させることは、売国政治に反対する全国人民の共通利益としてある。それは候補者がいかに偉そうな顔をしてもできず、町民の大衆的な力があるときだけ実行させることができる。
 このような、アメリカの要求で国策としてすすめる原発計画を撤回に追いこみ、上関町の正常化を実現する課題は、全県、全国の人民の共同斗争と結びつかなければ実現できない。とくに上関町をふくむ熊毛郡区の県議選で、原発推進の支柱となってきた吉井自民党幹事長にたいして有権者がどのような審判を下すかはきわめて重要な意味をもつ。落選するようなことになれば、衆議院選挙における佐藤信二氏の落選につづいて、上関にかかわる推進の代議士も県議も一人もいなくなる。
 そして全県の統一地方選挙において、二井知事の上関原発合意を支えた自民党県議団に打撃を加え、町長選をたたかう上関町民と連帯することがきわめて重要である。

トップページへ戻る