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中電が上関で詳細調査を“中断」
上関原発建設計画は撤回せよ
            岩国・広島・全県漁民の連帯   2005年9月20日付

 上関原発建設計画の詳細調査が突如「中断」されることになった。中電が陸上ボーリング調査で生じた濁水を、県に示した計画どおりに循環させずに現地に捨てていたことが問題沙汰になって、県が16日、詳細調査を中断するよう要請。それを受けた中電は海上ボーリングもふくめた全調査の中断を即日決定するという動きを見せた。いまのところ再開のめどは立っておらず、“泥水騒動”をとりあげる商業マスコミは「建設計画に影響を及ぼす可能性もある」などと騒いでいる。
 問題になったのは、四月からはじめていた陸上ボーリング調査で、ボーリングに使用した水をデタラメ中電が現地に捨てていたことだった。県に提出していた環境保全計画には、濁水の循環利用をあげていた。今回、約束をホゴにされたといって県がかみついたという形。
 16日に県庁を訪れた中電の山下隆副社長にたいして、綿屋滋二副知事はきびしい表情で「詳細調査はいっさいストップしてもらいたい」と告げ、「県民をばかにしているのではないかと思う。勝手に保全措置をするといいながら勝手に無視して“いい加減にせい”といいたい。あなたたちの姿勢は地に落ちたという感じだ」「いいわけは聞きたくない」などきびしい言葉を浴びせて退席したと報道された。
 しかしながら、県民をばかにしているのは、平井県政時代からひきついで上関原発を推進してきた二井県政も中電に負けず劣らずであり、人のことをいえた柄ではない。知事同意のさい、原発がどれほど危険なものかを山ほど説明して同意するという芸当をやってのけた二井知事は、またそれとひきかえに自民党林派関係者を中電の取締役に送りこんだり、商工労働部や県水産部を水面下で走り回らせてきたが、今度は「クリーン」なイメージで泥水に怒るという行動になっている。
 米軍岩国基地の沖合拡張や愛宕山開発を見ても、元来“泥水”に怒るような県当局ではないし、中電をしかりとばすような二井県政ではない。ましてや原発建設という「なんでもあり」の「国家プロジェクト」が“泥水”に左右されるわけもなく、なぜ県が突然怒り出したのか、なぜこの時期に原発騒動から「頭を引っこめる」のか、不可思議な動きの裏側に潜む背景には、もっと別の理由があるとしか説明がつかない。

 核戦争に反対し郷土を守る
 もともと行きづまっていた上関原発計画をめぐっては、近年はメドもなくのらりくらりと延長戦をたどってきたのが特徴だった。突然スナメリ(昔から瀬戸内海に生息していた)問題を浮上させてみたり、珍しい貝が登場したり、意味深に行きづまった格好をして見せたりするのは今回がはじめてではない。
 もっとも、電力自由化で原発どころではない中電経営陣からすると、政府からは「原発をつくれ!」「島根でプルサーマルをやれ!」と尻をひっぱたかれ、その狭間で「牛歩戦術」をとってもおかしくない事情もかかえる。詳細調査も「中電は急いでいない」というのが地元の評価だ。
 だがそうした電力の事情よりもなによりも、根強い地元の反対世論がいっこうに崩せず、その外側には圧倒的な県民世論が渦巻いている状態で、海や山にかぎらず問題は山積したままなのが、行きづまっている最大の要因にほかならない。
 世界的にも原発はミサイルの標的にされることが問題視されているなかで、同地域では現在、岩国米軍基地への厚木基地の空母艦載機能移転問題がとりざたされている。岩国市民や周辺町村でとりくまれた反対署名は、人口の半数以上にのぼる六万人分を集めるなど、空前の盛り上がりを見せているまっただなかだ。また被爆地広島では、広島湾を核攻撃基地にすることに反対して、アメリカに原爆投下の謝罪を求める世論と運動が盛り上がっている。一方で基地を大増強し、その目と鼻の先に国内最大級の原発を建設するという度外れた郷土破滅、テロの標的に立候補するバカげた政治に、山口県民のみならず、広島県域とも連帯した怒りの行動が広がっている。
 また、山口県では漁協合併問題を機に、全県漁民の漁場を破壊する上関原発に反対する世論と行動もこれまでになく動きはじめており、信漁連問題をつうじた束縛のシカケは広範囲に暴露された。平生町などでは同海域の親分として県・中電から登用されていた山根勝法前平生町漁協組合長がトップの座を引きずりおろされるなど、漁業売り飛ばしとたたかう末端漁業者の力が強まっているところだ。
 そうした流れに逆らって上関原発を強行するのは、大衆行動の広がりに「刺激物」になって作用することは明らかで、一時的であれ権力の上積み部分の政治的な判断によって「頭を引っこめた」ことと無関係とはみなされていない。
 上関町では表面に立つ反対派が裏切ったりつぶされたりしてきたが、推進派も総瓦解して久しい。中電に飼い慣らされた連中が登用されるなど「中電が好きなようにできる町づくり」が進行して町は倒産状態となっている。農協につづいて、最近では漁協まで解体。行政も合併解散の瀬戸際に立たされている。産業基盤は破壊されて、テロの標的がくるまえから若者どころか残された年寄りすら住めなくする町に変貌してきた。金力、権力によって四半世紀にわたってさんざん町民をもてあそび、人情にいたるまで破壊してきた中電の犯罪は、“泥水”を垂れ流した比ではない。
 岩国はじめとした県民の原水爆戦争に反対し郷土を守るたたかい、「山口県漁業を守れ!」の漁業者のたたかいは現地住民を激励しているだけでなく、漁業をおびやかし郷土を売り飛ばす共通の敵にたいする共同のたたかいにほかならない。「中断」でなく「撤回」に追いこむ全県と広島が連帯した大運動が、切実に求められている。

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