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わずか1週間で4人が自殺
下関・工場閉鎖や倒産増の中
            生活疲弊の深刻さ反映   2012年6月1日付

 下関市では、5月中旬のわずか1週間のあいだに自殺があいついで起こった。MCSの工場閉鎖、地元老舗企業や中小企業の倒産・廃業、経済的困難が増すなかでのできごとであり、市民のなかでは他人事でない深刻な問題として受け止められている。
 
 10年間の自殺者は720人

 5月18日の夜、23歳の女性が吉見地区の港から、車ごと海に突っ込んで自殺した。以前から家族や職場のなかで「死にたい」と口にしていたことが語られている。直前に警察に電話したため、パトカーがかけつけたが、すでに飛び込んだ後で、引きあげられたのは21日だった。
 翌19日の早朝に60代の男性が、数日後には50代の男性が、続けて彦島大橋から飛び降りてみずから命を絶った。彦島大橋ではもう一件、飛び降りようとしているところを目撃した人が通報し、警察が止めに入った事件があったほか、橋の補強工事を始めるさいに、風に流されて陸に落下して亡くなり、白骨化した遺体が見つかっている。勝山地区でも、24日に公団住宅の屋上から、喪服を着た女性が飛び降り自殺した。
 少し前にはMCSを解雇された派遣社員のなかで自殺者が出たことも語られており、連続して起こる自殺に市民は心を痛めている。
 彦島大橋の周辺海域の漁師たちは、「彦島大橋が有料だったころは、人目が少ないため自殺の名所のようになっていたが、無料になって車の通りが多くなってからは減っていた。だが、有料の時代も含めて今回のように2件連続で起こったのは初めてのことだ」と話していた。遺体に遭遇した漁師もおり、「自分たち漁師もだが生活していけないから思い詰めて自殺するんだ。とても他人事とは思えない」と思いを語っていた。
 日本全体でも毎年3万人以上の自殺者が出る。世界的に見ても異常な状況になっているが、わずか1週間のあいだに4人もの自殺者が出たことは、下関の深刻さをあらわしている。市内ではここ10年で720人(平成13〜22年)の自殺者が出ており、平均すると年72人。遺族の意向もあって自殺として扱わないケースもあり、実際にはさらに多いことが指摘されている。関係者のなかでは、飛び降り自殺のほかに、自宅で首を吊ったり、睡眠薬で自殺するというケースも多く、毎月五、六件は起こっていることが語られている。
 健康上の問題、経済・生活上の問題が動機の大半を占めており、そうした要因が複雑にからみあって、うつや統合失調症、アルコール依存症など精神的な病気となって自殺に至るケースがほとんどだといわれている。
 タクシー運転手の1人は、「以前タクシー運転手で彦島大橋から飛び降り自殺をした人がいるが、今、タクシーもどんなに頑張っても手取りが7、8万円。大分県も自殺が多いが、40代くらいの人たちがリストラで寮を出され、家もなく、お金もなく、少しのあいだ路頭に迷って自殺した人がいる。このままいったら下関でももっと自殺が増えていくのではないか」と危惧を語っていた。
 自殺までに至らなくても、夜逃げが増えていることも話題にされており、こうした市民生活の深刻さとはかけ離れた、中尾市政への怒りは高まっている。ある男性は、「下関の現状は、全国どこも同じだと思う。あきらめて自殺してしまうのか、それとも立ち向かうのか、商売人もサラリーマンも、年寄りも、だれもが迫られている。なにより下関の地域の絆を強めることが必要だ」と話していた。

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