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上関原発・岩国基地・合併への審判
山口県知事選・総翼賛の圧勝構図
                県民世論の結集が焦点     2004年7月31日付

 山口県知事選挙が8月8日に投開票を迎える。選挙戦はまっただなかであるが、県民にとってはどこでだれがやっている選挙なのか存在感が乏しい。現職二井知事は、自民、公明、民主などオール与党態勢、対する「日共」修正主義集団がアリバイ立候補で、関心は45万票を目標とする二井知事信任か不信任かに限定される。山口県では米軍岩国基地沖合拡張と空母基地増強問題、上関原発建設計画、市町村合併問題など、県民の生命財産にかかわる大きな政治問題で、県民を欺まんしつつ国や米軍、中国電力のような企業の下請機関として機能してきた。知事選をめぐる県民との対立点はなにかを明らかにし、県民世論を結集することが求められる。
  
 県民愚弄する翼賛布陣
 今回の知事選挙は前回2000年と同様、現職二井関成氏が出馬し、もう1方に「日共」修正主義集団から候補に立ち、一応「選挙戦」の体裁を整えた。二井知事側は自民党、公明党、民主党の推せんをとりつけて、県民の前では「県民党」といっている。
 陣営を見てみると、吹田元代議士の子分だった自民党・島田明県議会議長が選対本部長を務め、林派が仕組んだといわれる昨年の佐藤代議士(自民党・衆院山口二区)引きずりおろし事件で一役買った河野博行自民党県連会長が副本部長。
 自治労から県議になった西嶋裕作・民主党県連幹事長も「不偏不党、県民主役の立場で県政運営にあたるとした姿勢を評価する。全力で支援していく」といって、同じく副本部長の役をもらった。そのほかに先城憲尚・公明党県本部幹事長、県議会新政クラブ会長のあわせて4人が選対副本部長についた。
 発足した「総合選対」には、県議会53人のうち49人が参加。連合山口幹部連中が必勝祈願でいっしょにお祈りして、出陣式の「ガンバロー!」絶叫音頭をとり、総翼賛化も国政をしっかり見習った布陣である。
 「わたしのオリンピックは金メダルでないと意味がない」「セミもニーニーと鳴いております」などとしゃべっている。必死になっているのが県選管で、投票率が最大の関心。県は20代〜30代の若年層を投票に行かせるのだといって、その世代が子ども時代にテレビで慣れ親しんだ「ゴレンジャー」(地球に巣くう悪をやっつけるレンジャーたちの物語)にひっかけて、各地の大型スーパーや人のいるところに着ぐるみのヘルメット姿を出没させ、「投票に行くんジャー!」とやらせている。広告代理店に1700万円支払って県民を愚弄する選挙となっている。
 自民党は投票率45%、45万票の得票をめざしている。前回も同じ目標だったが、投票率が過去最低の41・87%、得票は40万7000票で届かなかった。参院選で自民、民主候補が競った得票だけでも60万票以上はあるので、オール与党体制で挑む選挙にしては少なすぎる数字。本人たちが二井県政への県民の反発を自覚していることをものがたっている。
 「県民の安心、安全を重視して住みよさ日本一の元気県山口をめざす」と連呼している二井県政への審判は、そんな甘いものではない。
   
 欺瞞的な原発推進 林派利権で県民の命脅かす
 「鳥インフルエンザ」の対応が「県民の安心、安全を守った」というのが、二井知事のもっぱらの自慢。2期目の2001年4月には、県民の生命と財産をしっかり売り飛ばして上関原発建設に同意した。最近になって表面化させた岩国基地への米軍厚木基地移転問題も、空母接岸ができるような軍港建設をすすめ、見とおしのない愛宕山開発は沖合拡張用の土砂採取だけではなく、基地拡張にともなう米軍住宅用地の用意、それらは早くから知ったうえで県民を欺いた。まさにテロ事件誘致で県民の生命財産を米軍防衛のたてにする構えである。
 中国電力の上関原子力発電所建設計画について、資源エネルギー庁から知事意見を求められていた知事は、上関町民の大多数が反対し、県民のほとんどすべてが反対するなかで、また国自身が「絶対安全とはいえない」といい、日本はおろか世界中で撤退がすう勢となり、知事が合意しなければ上関原発計画は終わりというなかで、わざわざ合意意見をあげ、原発利権を継続させるという恥知らずな行動をとった。
 知事意見は「しっかり聞いて」「しっかり聞き流す」という手法で、安全確保や用地問題などで「留保条項をつけた」と、まるで反対したかのような理由をつけて、合意するという常識をはずれた精神構造の行動をとった。
 前回知事選では自民党県連と原発推進の約束をしてオール与党体制をつくり、当選した秋には県主催の公聴会を開かせ、第1次公開ヒアリング開催に道を開いた。それは手続きとして中電が原子炉設置許可申請を出すことが可能な条件整備を整えた。知事同意の直後には林義郎前代議士の弟で、二井関成知事の長女の嫁ぎ先である林孝介氏が、それまで最大株主の県の役人がついていた中電の取締役に就任。林一族のガス会社が柳井火力のガスを買い、柳井、周南に進出する利権や、林芳正氏が県東部をかき回す利権に一役買った。
 上関原発は現在すっかりとん挫している。電力会社は電力自由化で原発どころではなく、国も今年に入って新規立地・増設の目標を大幅に下げ、上関原発は当面建設を急ぐ対象には入っていない。長年混乱させられてきた上関町は国からも県からも合併に誘導され、生殺し状態にある。あわよくば原発利権を求め、断念なら知事の責任をいさぎよくとるということはなく、上関の現地責任で逃げをはかるというズルイ手法である。
 上関原発を推進してきたのは国であり県である。県の商工労働部が最大の推進部局であり、最大問題の漁協をしめあげたのは県水産部である。上関町の行財政を指図してきたのも県である。平井知事はだれが見てもわかる推進であったが、二井知事は中立か反対のようなふりまでするタヌキかキツネのような推進である。
 メドがなかった公開ヒアリングに道を開いたのは二井知事であり、神社地売り飛ばしに反対した林春彦宮司を屈服させるために、神社庁や弁護士やあらゆる勢力を騒がせたのも二井知事周辺であった。自治労は、原発反対をいいながら、雇い主である二井知事擁護を叫んでいる。
   
 基地でも県民欺く 工事すすめ厚木移転を表面化
 最近になって、在日米軍再編にともなう日米協議で、厚木基地の空母艦載機部隊を岩国基地に移転し、NLP(夜間発着訓練)をも岩国に持ちこむ計画が表面化した。表面化しただけで、滑走路だけではなく空母が接岸できる巨大な軍港建設も早くからすすめ、岩国市民の必要からは離れた愛宕山開発は、当初から神奈川県などで嫌われている米軍住宅用と見こんでいたことは明らかであった。これらは知事としては早くから知っていて、県民を欺いたと見ることができる。
 米軍移転の話はどれほどの人数が来るとかの具体的な数字が、関係者のなかで語られていたし、愛宕山は「うさぎの寝床」米軍住宅になるのだと話されていた。2400億円もの県民からしぼりとった税金をぶちこんで愛宕山開発と米軍基地拡張に奉仕したのは県であった。
 米軍がテロ事件以後、本国のリスクをへらし、日本を足場にして原水爆戦争をひき寄せていることに、自民党売国政府が唯唯諾諾と従い、さらにアメリカに要求されて平和憲法までも売り飛ばすというもとで、「国やアメリカの姿勢が戦争体制ならば」といわんばかりに歩調を合わせてきた。岩国市民や山口県民が強姦、米軍犯罪だけでなく世界からテロやミサイル攻撃の標的になることと引きかえに、県政が米軍や自民党中央に認められる関係である。隣接する上関原発が完成するなら、岩国の米軍基地をマヒさせるには、上関原発にミサイルを撃ちこむことが現実の問題となる。まさに県民の生命財産より自分の利権が第一の政治といえる。
   
 合併問題でも騒動 全国突出の進行
 きらら博が終わったのち、県下市町村では自治体合併の大騒動がつづいている。市町村合併は、国や県の大借金を市町村の犠牲で乗り切ろうというものであり、地方自治を形のうえでもなくしてしまおうというものである。山口県は強制力を発揮して全国でも突出した進行を見せて二井県政がほめられる関係であったが、農漁村・地方切り捨てに県民の反発は噴き出した。
 今年に入って各地で合併崩壊がはじまり、住民投票でまき返しをはかる県当局、自民党勢力の大がかりな介入と県民との対決局面が広がった。県が市町村の予算を切って首を絞め、県民局が走り回って情報収集につとめ、県政をつかって議員、自治体内の有力者を抑えこんでいくやり方は共通している。
 今回二井知事の選対副本部長を務める西嶋県議などは、合併によって住民が被害を受けるとともに、なによりも職員が首切りにさらされる自治労出身であるが、率先して地方自治を投げ出し、首切りの旗振り側に回ってひんしゅくを買っている。自治労ではなくて他治労・小役人おべんちゃら組合を宣言するというのであろう。
 合併によって切り捨てられる多くが農業や漁業を生業として支えられてきた農漁村であり、地方生活である。第一次産業とそれを担う生産者の軽視、べっ視が県政における最大の特徴で、農業分野では「花の海」の計画に見られるように、零細な生産者を淘汰(とうた)して企業化をすすめようと猛進。漁業で見るならば、自民党林派県議団と国会代議士、政治家、県や水産庁がこしらえた信漁連の負債を県下漁民にかぶせる「1県1漁協」合併の強制的な策動計画が沿岸漁師の怒りに火をつけている。
 市町村を解散してしまうという乱暴な合併問題も、県民生活と深くかかわって県民の審判の重要な内容となっている。
  
 教育予算も切り捨て 明治維新も冒涜
 きらら博で700億円、関連道路などの建設費用を上乗せすればそんなものではすまないほどの金をドブに捨てた。宇部では知事のバックボーンである宇部興産所有のお古の企業専用道路を買いとる計画も浮上し、それとつなげて宇部湾岸の大企業の流通網を完成させるために建設中の「宇部湾岸道路」には、進捗率60%ですでに540億円を突っこんだ。二井知事お膝元の美祢にはインターチェンジをもう一つ(美祢西インター)こしらえたが、事業者になった美祢南部開発は経営が成り立たずに破たん、債務保証していた県信連(JA)が6億円を弁済した。人目のつかないように利権も「しっかり実行」してきた。
 また県民の社会保障的予算は無惨に切り捨ててきた。代表的なのが教育予算である。「35人学級実現」と人聞きのいい計画を出したが、その内実は正規の教員の採用をふやすのではなく、日雇い、パートの教師だけを集めるというもので、教育現場は大混乱となっている。いい格好だけしてその実悪いことをするというズルイ手法に、ことのほか怒りが渦巻いている。
 文化政策もクレージーといえる。代表的なものが明治維新のあつかいである。高杉晋作を記念する東行記念館の資料を萩の野村市政が強奪するという事件があった。これは萩の博物館にとって、萩観光の商売道具にするというものである。東行記念館の嫌われ者であった一坂学芸員が、東行庵関係者と対立抗争をして資料を持ち出すと、萩の博物館に雇われたが、これには県の計画が働いている。山口県の誇りである明治維新、なかでも代表人物である高杉晋作などその遺志などどうでもよく、ただの商売道具にしてしまう、そのような郷土愛も愛国心もない非文化県政も審判の対象となる。
 真に山口県を動かしている原動力は150万の県民大衆である。二井県政が、自民党、公明党、民主党の総翼賛態勢の、常識では選挙圧勝の選挙構図で、県民のどのような審判を受けるか、注目点となる。県民によって、おごる反動腐敗県政を規制する力の結集が期待される。

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