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4期14年で千億円超す箱物投資
下関市・江島市政
           利権事業で下関が衰退  2009年2月13日付

 市長選挙をまえに江島市長が動かしはじめたのが、230億円の新市庁舎移転建設や70億円を投じる『下関駅にぎわいプロジェクト』で、露骨な利益誘導が目を引いている。4期14年間で、人工島も含めた巨額箱物や開発事業への投資額は1000億円を楽に超えている。“箱物行政”で潤っているのは市外大手や安倍・江島グループといわれる企業、たかっている政治家どもで、食いものにされた分下関は寂れ、市民生活は困難になった。「異常極まりない利権事業をストップさせろ」「予算を市民生活に回せ!」の声がうっ積している。

 JRや神鋼等に巨額の分け前
 市長選直前の今年1月に入って、唐突に動きはじめたのが『下関駅にぎわいプロジェクト』だ。自治体が総事業費として約70億円を投じ、それとは別に金融機関などが出資する形で民間企業が駅ビル・集客施設・立体駐車場を建設するという壮大な駅前開発プランになっている。従来の西口、東口に加えて、安倍事務所への入り口となる南口までプラスされる。異様な公募期間の短さは、他の大型公共事業とも共通するもので、「官製談合の随意契約」と揶揄されるプロポーザル方式で業者が決まっていく。新博物館、あるかぽーと開発、社会教育複合施設など何でもかんでもこの手法である。
 05年12月末にJR西日本広島支社と下関市、山口銀行の3者による「下関駅舎改築プラン作成協議会」が当時の駅舎や乗務員センターを更地にしてビルを建てる改築計画案をぶち上げ、その10日後には放火で三角屋根の駅舎や乗務員センターが丸ごと消失。直後から「にぎわいを創出するのだ」「中心市街地の活性化」といって利権集団が興奮していた。
 駅ビル整備、集客施設・立体駐車場は民間企業が開発を請け負い、JR西日本が負担するのは駅舎のバリアフリー部分のみ。公共事業として、下関市などが負担する部分が総額68億円で、駅前広場や進入路・通路・高架下通路・公衆トイレ・駐輪場整備、国際ターミナル・公益施設整備、歩道・誘導サイン・回遊パンフレット及びマップ作成などを税金でおこなう。関連する土地はJR西日本から下関市が購入する予定になっている。
 駅ビル・集客施設・立体駐車場建設については「JR営業線近接施工要件に基づく、建設施工が可能であること」という条件があり、要件を満たすのはJR西日本の分身である広成建設ぐらいしかいない。六五億円の社会教育複合施設(旧文化会館跡地に建設中)、豊浦町湯町観光施設など一連の一括受注に続く大型利権取りになるのか注目されている。
 近年、下関市内ではJR西日本の利権事業が相次いでいる。山陰線のJR安岡駅〜綾羅木駅(区間距離は、わずか2・5`)の中間には梶栗郷台地駅が5億6000万円(広成建設が受注)かけて建設された。プラットホームだけの無人駅舎で「1億円でできる」という説明だったのが5倍超もの予算に跳ね上がった。山陰線は共通して水道代や維持費がかかるのでトイレもない。長府駅周辺整備(広成建設)にも下関市負担で総額29億円かけた事業が進行している。JRの負担はいっさいない。その他にも、彦島駅、幡生駅、山の田駅、勝山駅、長府豊浦駅、王喜駅、王司駅など7カ所の新駅を設置する計画が眠っている。
 人口は全国ダントツで減って、乗降客が少なくなる下関では、それを増やす努力が先決であるのに、また財政難といって教育や福祉、医療、介護など市民負担ばかりは大きくしながら、民営化し私企業としてガツガツ儲けばかりを追いかけているJRになぜ貢ぎ物ばかりするのかの怒りはうっ積している。

 江島市長と特別に深い関係 JR西や広成建設
 JR西日本や広成建設といえば、江島市長の選挙応援を熱心にしてきた企業で、特別の深い関係にある。国鉄の広島鉄道管理局・局長から参議院議員になったのが江島市長の父・敦氏ということもあって、その当時、山口県内の県議会議員、市議会議員、町議会議員など政治家の息子たちで国鉄で重用された面面も少なくない。いまでも選挙になると、現役のJR西日本社員や系列企業、国鉄管理局系列のほか、下関駅西口にあった下関工事局のOBなども結束力を発揮して江島応援をやる関係だ。
 梶栗駅建設を発頭になって推進していた定宗市議(JR下関駅助役出身、広成建設社員)なども工事局出身で、国鉄民営化に伴う解体で、これらの社員はJRだけでなく広成建設や西松建設などに多くが再就職していった経緯がある。西松建設の現役支店幹部などもいる。
 下関駅が燃えた当時、下関地域鉄道部長を務めていた中山五郎氏(新庁舎建設候補地検討委員会メンバーでもあった)はその後、高卒の叩き上げとしては異例ともいえるJR西日本広島支社の、ナンバー2にまで出世した。「江島敦が局長だった時代、五郎は父親の関係もあってか、20代にして広島管理局の総務部に引っ張り上げられて可愛がられていた」。
 前回選挙で、安倍事務所・創価学会とともにJR西日本が最大動員で選挙を取り組んだことは市民の誰もが知っている。そして出てきたのがJR駅舎計画であり、利害関係者をまえに選挙演説したとおりに梶栗駅などが完成した。市民の税金で行う工事を誰が請け負うかというと、JR駅舎などの建設はJR規格という条件があって、広成建設など関連企業しか工事ができないようになっている。
 議会では社民・山下隆夫市議が現役のJR西日本社員であるほか、「日共」大田幸夫市議などもJR出身。合併直後のマンモス議会では議員定数の1割をJR関係者が占めていたというから、伏魔殿のような存在感である。

 あるかぽーとも西松や神鋼 箱物の多さに唖然
 14年を振り返ってみると箱物の多さに唖然とする。唐戸市場に80億円(落札率97・8%、戸田建設など)、海響館に123億円(98・7%、五洋建設・三菱重工など)、奥山清掃工場に110億円(88・7%、神戸製鋼所)、リサイクルプラザに60億円(99・9%、神戸製鋼所など)、頓挫した新博物館に105億円(プランハウス、佐藤総合計画ほか)、し尿処理施設に26億8000万円(クボタなど)、社会教育複合施設に65億円(真柄建設、広成建設)と大型公共事業の落札金額だけ見てもすさまじい。
 2000年初頭に大暴れしたのは神戸製鋼所で、奥山工場ゴミ焼却炉の入札は超大型であるにもかかわらず、指名業者がわずか3社で、実績がまったくないのに落札。リサイクルプラザの入札も、参加した共同企業体のうち神戸製鋼所以外のグループがすべて辞退する異常さのなかで、事前の談合情報どおりに落札率99・9%の60億円で随意契約となった。
 といっても神戸製鋼所は土木・建設の技術はなく、いま裏金疑惑で話題の西松建設へ丸投げしてピンハネ稼業にいそしんだ。西松建設の下請企業にたいするあこぎな商売は、いまもって恨まれている。下請の大部分は九州など他地域から入っていたが、数千万円の追加工事代金を支払ってもらえず、倒産した鉄工所、土木工事で踏み倒された下請など、中小業者が泣かされるハメとなった。そして神鋼は毎年の管理運営や、オーバーホールなど含め、約200億円規模を受注するシカケとなった。
 そしてあるかぽーと計画でも出てきたのは神鋼や西松建設。2000年に市幹部職員らで構成された審査委員会の総意として、安倍首相の出身企業である神鋼グループに決定。下関みなとまち開発が設立され、資本金は神鋼が1億円、西松建設1億円、日本バレー1億円、下関信用金庫が1500万円を出した。公共事業食い荒らしに批判があった神鋼が退くとその後2003年にはみなとまち開発の社長に、江島市長の資金管理団体「江翔会」の会計責任者をしていた人物(疋田善丸氏の同級生)が就任。安倍代議士の叔父が関係しているみずほ銀行が登場して、開発業者が破産しても巨大銀行が土地利権を握る事業へと化けた。市民の粘り強い運動によって計画が撤回になると、再びプロポーザル方式で業者を選定。物販飲食店とホテルをつくるといって議会の同意なく見切り発車している。

 闇に葬られる官製談合事件 し尿処理場建設でも
 新博物館建設では108億円もの事業をプランハウス(今年に入って倒産)グループだけの無競争で選定。「江島市長の私設秘書である疋田善丸氏や佐藤総合計画(東京)がからんだグループなら参加してもむだ」という官製談合の評価があり他業者ははじめから参加しなかった。プランハウス社長は、安倍晋三代議士の選挙で選挙用街宣カーの運転手をつとめ業界でも知られた「安倍代議士の側近」であった。
 し尿処理場建設は、橋梁談合事件に次ぐ談合事件として全国的に摘発されるなか、肝心の下関の官製談合は闇に葬られクボタなどが不当に得たとされる資金を数億円返還しておしまい。当初60数億円だった計画は42億円になり、それでもよそと比較して巨額見積もりだと指摘され、最後の落札価格は、約27億円におさまった。「疋田善丸(政治ブローカー)のリベート要求が3%から10%に跳ね上がったから、べらぼうに高い価格設定になったのだ」と話され、排除された業者は「20億円以下でできる」といっていたものだった。
 社会教育複合施設は安倍代議士の実兄が中国支社長を務めていた三菱商事が登場。同じく安倍グループの原弘産よりも10億円高い価格で不可解な落札をした。問題視されて再入札となった結果、清和会人脈なのか、今度はつぶれかかった真柄建設(石川県)グループが無競争で選ばれ、同社は倒産。構成企業だった広成建設が請け負っている。分割発注すれば地元企業が入れたのに、一括発注したのも特徴となった。年間5億円近くを浪費する運営も市外業者が受注した。
 し尿処理施設、社会教育複合施設、あるかぽーと開発にしろ大型公共事業の多くは、安倍事務所と江島市長の息のかかったパシフィックコンサルタンツが、アドバイザリーでかかわってきた。青写真を書く役割で、「疋田善丸や江島グループが下関に引き込んだ大手で、下関の仕事はパシコンに頭を下げないともらえない」と話されるほどになった。ODA利権など裏金疑惑で追及されたパシコンが、後進国扱いで郷土下関を食い荒らしてきたことへの怒りも強い。小さなコンサルタント業務も各課発注業務もパシコンが総なめであるし、おこぼれ業務は江島・安倍グループの地元コンサルタント会社が丸抱えするので、関係する業界は何度ももめた。
 こうして下関市における大型公共事業は予定価格が異常に高いうえに、談合情報どおりに神戸製鋼所やJR関連の企業が落札しつづけてきた。14年間で手がけてきた、大型公共事業のうち、「疋田氏や、安倍事務所周辺が3〜5%近くのリベートを抜いている」という指摘が事実なら、30億〜50億円は下らないことになる。こうした箱物三昧と薄汚れた利権の状態について、山口県警や地検が動いた試しがない。地元中小企業はダンピング競争で首つりに追い込まれるのとは裏腹である。このような暴走を繰り返してきた江島市長にたいする市民の怒りは尋常ではない。

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