トップページへ戻る

様相変わる市民の消費行動
下関市内の商店で聞く
              商店に反映する買い控え    2008年3月14日付

 給料が低すぎてただでさえ生活が大変なうえに、昨年からの度重なる物価の高騰が庶民の暮らしをおそっている。「これでは子どもも育てられない」「現役世代も高齢者も生活すらなりたたない 」との声が、どこでも語られるようになった。すべての物が値上がりを始めた昨年後半からは、服、布団、食料品にいたるまで、あらゆる分野で「買い控えが一段と激しくなっている 」と話される。市民の生活はどうなっているのか、下関市内の商店で、実情を聞いた。

 まとめ買いする家庭は減少
 長府で食料品店を営む70代の婦人は、「年金暮らしの年寄りも大変だが、子育てをする若い世代の暮らしが急に悪くなっていくのを感じる。一時期とは切実さが全然違っている」と語る。
 食料品から野菜、日用雑貨などを扱っている店では、昨年末から今年にかけて、ラーメンやうどん、醤油、味噌、食用油などを値上げした。最近では、中国製の餃子問題などの影響で、野菜の仕入れ値が上がり、値段を倍近くにせざるをえなかった。店の客層は近所の年寄りから、仕事帰りの母親、近くの工務店の作業員など多彩だ。売上は、ここ数年ずっと減少傾向できたが、とくに「今年初めから財布のひもがしまってきた」という。大根1本を買っていたお母さんが「半分にして売ってくれ」と頼んできたり、ネットに3個入りのタマネギを1個だけ買ったりしていく。白菜も1玉230円だったものが400円になると、2人で1玉買ったり、なかには「4分の1だけほしい」という人も出てきた。
 「ちゃっかりというか、堅実になったのかはわからないけれど、人参やジャガイモなど傷んだ物を見つけて、“安くならない?”と頼むお母さんもいる。以前はお弁当とカップラーメンを大抵買っていた作業員の人も、最近は手に取って150円が170円になったのを見るともとの棚に戻してしまう」と話した。
 婦人は、「年寄りは昔から堅実だったが、若い人は“余るだろうに”と思ってもポンとまとめ買いする人も多かった。それが変わっているから深刻。服や靴が売れなくなったとは聞いていたけど、食料品まで影響が出始めたから、みんな本当に貧乏になっている」といった。
 布団店の60代の店主は、「布団はずいぶん前から売れなくなっていたが、2月、3月の進学・卒業シーズンでも客足が全然ないというのは初めて。大型店で、1セット1万円以下の布団が出てからお客は減ったけど、なかには“きちんとした物を”とそろえる親もいたのに。みんな、少しでも安さを求めている」とぼやく。
 店主は、服にはまだ流行があるが、布団は人目につかないし少し古くても我慢できるため、不景気になると真っ先に予算が削られるのだと説明する。「最近では、布団も使い捨てが多い。安く買って汚れたり引越しをする時に買い換えている。“引越し時の送料も高くつく”というけど、長い目で見れば余計にお金がかかっている。しかし、目の前の出費を抑えたいのだろう」といった。
 また、商売以外に身の回りでも「変化が大きい」。共働きで、子どもを育てている娘夫婦は、「かならず自前で食事をつくるようになった」。以前は忙しさに追われて総菜なども多かったが、「パンを1個買えば200円。ホットケーキをつくれば、同じ値段で何倍にもなる」「総菜は、数種類買うとすぐに500円。ほうれん草を調理すれば、何日分にもなる」など、細かく節約を始めている。
 「好きな6ピース入りのチーズも、安売りで160円だったのに、今は200円以上。定価は300円になったから食べなくなった。昔、“貧乏人は麦を食え”といった政治家がいたが、そんな時代になりかけている」と語った。
 駄菓子や雑貨を扱っている60代の店主は「3月に値上げをしてからは、売上が落ちた。あられが100円から150円になったのを見て、パッと電気が走ったように手を離したお客さんとは大笑いになった。コンペイトウも、中身が200cから135cに減ったが値段は100円から150円になり、毎日買っていた人が3回に1度しか買わなくなった」と話す。
 また、「お客さんとも“○○スーパーでショウガ煎餅を買ったら、持った感覚がおかしかった。捨てずにいた1週間前の袋を見たら、中身が120cから90cになっていた”と話になる。みんな切りつめた生活をしている」と語った。
 「食料品や日用品以上に影響が深刻」というのは、仏具屋の店主。3月は、いつも決まった売り出し期間だが、店のなかにお客はほとんど入ってこない。以前は「昼時でも忙しかった」というのに、暇で暇で仕方がない。売上は、2年前から下がり始め、昨年夏からガックリ落ちた。計算してみると、3分の1から4分の1にまでなっているという。
 「今日も、仏壇に供えるローソク立てや鐘を買いにきた人がいたけど、高いというので100円均一を教えた。100均にいけば、1000円で数珠など基本的な物がそろうから。だれもが仏様よりも、生活するのに必至。悪いことをするわけではないし、あの世の人も怒らないだろうと話している」と苦笑した。

 電気代等節約する人も 大企業は好景気だが
 市民の買い控えと安い物を求める動きは、服や靴、肉、野菜に至るまであらゆるところに広がり、飲食店業界への影響も深刻になっている。商品の買い控えは、昨年来の物価高騰が直接の引き金となったが、安い給料や、「引かれ物」ばかりで下がる一方の年金など、生活の貧困化が最大の原因となっている。
 市内の老婦人の1人は、毎日の献立をつくり家計簿をつけて「お金が絶対に狂わないように」切りつめた生活をしている。灯油が高いためストーブもあまり炊かず、電気を節約しようとコタツも使っていない。安売りの時に、ボンベを買ってきて市販の携帯用ガスコンロで出来るだけの調理をして、電話代などにも気を遣っている。
 「月の年金は5万円で、アルバイトを始めた孫の給料が8万円。ぎりぎりで生活しているのに、ラーメンは88円が128円になって、食パン1本600円だったのが1050円になった。なんでも物は値上がりして、税金は高くなる。涙ぐましい努力をして生活をしている。この年になって、食べていくだけでこれだけ苦労することに涙が出る」と強い口調で語った。
 日本経済は、2002年から景気回復をはじめ、戦後最長の好景気なのだといわれてきた。しかし、国民のところには「景気がよくなった」という実感はまったくない。統計でみても個人消費の伸びは乏しい状態が続いてきた。
 大企業などが、「好景気」を謳歌する一方で、労働現場では派遣社員やパート・アルバイトなどの非正規雇用が急増し、給料は下がるばかりとなった。就労者にしめる非正社員の割合は3人に1人にまで広がり、給与水準も正社員を100とした場合の33%程度と、正社員の半分にも満たない状況となっている。
 またグローバル化や市場原理の規制緩和のなかで、中小企業がなぎ倒され、2006年には、中小企業の賃金が大幅に低下した。とくに、鉱業、電気、ガス、水道や、卸売り、小売り業、飲食店、サービス業など、日本全国どこにでもある中小企業で賃金が極端に下がり、生活の貧困化をもたらしている。
 60代の商店主は、「日本の政府は、アメリカにいわれるまま農水産物も輸入ばかりで、食料自給もさせずに田舎をつぶした。大規模な工場も、人件費の安い中国やアジアに進出させて、日本人の働く場を奪った。国内ではまともに給料も払わずに、若者も生活することができない。食料もなく、働く者もいなくなれば国はつぶれる。目先の利益だけの政治は終わらせないといけない」と強い憤りを込めて語った。

トップページへ戻る