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「郵政」一本槍はウソ
衆議院選挙争点
               売国政治強行する意図   2005年8月27日付
 
 衆議院解散にともなう総選挙は、30日の告示まで数日となった。小泉首相は「郵政改革」一本ヤリを叫んでいるが、それはウソであり、選挙に勝ったなら白紙委任されたという調子で売国政治を強行することは明らかである。小泉の四年半の政治といまからやろうとする政策について、この選挙で正面から論議しないのはペテンである。小泉自民党はいまからなにをやろうとしているのか、19日に発表した2005年政権公約(マニフェスト)はその一端をあらわしている。

  一端示す自民党政権公約
 この政権公約は、@行財政改革、A経済政策、B危機管理、医療、C教育、D軍事外交の5項目120点をあげている。
 自民党マニフェストによると、新憲法制定のとりくみを本格化させ、今年11月15日までに自民党憲法草案を策定するとしている。また改定にむけた国民投票法案を、早期制定させるとしている。
 戦争放棄を明記した憲法九条を、アメリカの要求で破棄することに、戦争体験者をはじめ反対世論が圧倒しているなか、真向から対抗する内容である。小泉首相は自衛隊参戦と有事法をめぐる国会論議で、「自衛隊が軍隊であることが、正正堂堂といえるよう、憲法改正が望ましい」などと主張して、既成事実をつくってきた。
 ニューヨークで9・11テロが起こると、「テロ特措法」を施行。米英軍へ「無償給油支援」をおこなうため、海上自衛隊をインド洋へ派遣した。今年11月に期限切れとなるが、2回目となる2年間の再延長をおこなう方針を固めている。2003年3月に米英軍がイラク攻撃をはじめると、「イラク特別措置法」を成立させた。2004年1月から自衛隊イラク派遣をおこない、陸海空自衛隊を1000人規模で派遣している。
 時限立法で強行してきた自衛隊海外派遣を、憲法改正により本来任務として安定的に可能とする。2000年10月の元米国務副長官らがまとめた「アーミテージ・リポート」では、「日本が集団的自衛権の行使を禁止していることは、同盟への協力をすすめるうえでの制約となっている。これを解除することが、より緊密で効率的な安保協力が可能になる。これは日本国民だけが決断できること」と、憲法九条破棄を求めた。日本の将来を揺るがす憲法論議がかくされていることは最大の問題である。

 憲法を破棄し戦時国家作り
 マニフェストでは軍事外交について、「ゆるぎない日米同盟を基軸とした外交推進」をかかげた。防衛庁を「省」に格上げして、日米安保体制強化と自衛隊の統合運用をすすめる。日米関係をさらに強化することを、近隣諸国との関係改善より第一として、アジアにおける「共同体」構築を推進するとした。北朝鮮のら致問題については、経済制裁の発動をふくめて全力をあげ、竹島問題や、東シナ海で海洋資源開発および大陸棚調査など、海洋権益を確保するとした。
 危機管理として、緊急事態への対応を迅速化するとして、新たに「緊急事態基本法」を早期成立させる。治安体制を強めるために、治安関係職員の増員をおこない、矯正施設の増設により体制強化をおこなう。テロ対策として、顔情報と指紋情報を監視するシステムの開発・導入をおこなうとしている。

 アジアで軍事緊張煽る外交
 小泉外交は六者協議や靖国参拝問題、侵略肯定の教科書問題、尖閣諸島や竹島の領有権問題、国連常任理事国入り問題で、つねに米国追随の一辺倒で、世界から冷笑を浴びてきた。それでもアジアの近隣諸国とあつれきを大きくして、対米従属を深化させて軍事的緊張をつくる内容である。
 米軍再編の動きとして明るみに出ているのは、ワシントンの米陸軍第一軍団司令部をキャンプ座間(神奈川県)に移転させ、岩国基地(山口県)に厚木基地(神奈川県)を移転させるという、被爆地の広島湾一帯を核攻撃基地とするものである。米国はアジアで核使用をふくむ戦争想定をして、世界規模の米軍再編をすすめてきた。イラクで米軍陸上部隊の死者が続出し泥沼化しており、かわりに東アジアでは米陸軍司令のもとに自衛隊を肉弾として指揮するものである。
 有事関連七法の戦時国家体制とつながって国民保護法では、国や県が食糧などを強制的に接収できるとした。米軍支援法は米軍が陣地や輸送道路を、自由につくれるようにした。戦時総動員体制を規定し、国内においては弾圧体制を強める内容となっている。

 地方切る市町村合併を促進
 マニフェストは行財政改革で、規制改革の強力な推進と、行政スリム化プログラムの推進をかかげた。市町村合併で2005年度末までに1822自治体になったが、さらに合併させて道州制導入の検討をするとした。補助金は四兆円廃止、地方交付税見直しで地方の切り捨てをする。公務員給与を切り下げて、定員も削減する。2007年度までに消費税をふくむ、税制の抜本的改革をおこなうとしている。
 教育政策では、教育基本法を改定して、教育振興基本計画をつくるとしている。教員免許更新制の導入、新たな教員評価制度の確立をおこなう。国による学校評価ガイドラインの策定、外部評価システムの導入をすすめる。大学は国際競争力を強化するなどとした。
 また社会保障制度は抑制すると表明。医療制度改革として、年内にまとめ次期通常国会に法案を提出する。介護保険制度は、ホテルコストや食費などを利用者負担として着実に実施。年金制度は2004年にも給付削減と負担増をおこなったが、さらなる改革を必要とする。短期労働のパートやアルバイトにも、厚生年金に加入させる。女性の坑内労働を規制緩和するため、改正法案を次期通常国会に提出するとした。
 700兆円の国と地方をあわせた起債は、大型公共事業によりゼネコンと大銀行の不良債権処理に使われ、米国の景気浮揚策に注ぎこまれたことにはメスを入れず、国民につけを回してきた。2007年度には消費税率を2ケタとする日程をたてている。社会保障関係の保険料や負担金も、すさまじい収奪をおこなってきた。政府税調がうち出した、サラリーマン増税の定率減税廃止につづき、給与所得税控除、配偶者控除、扶養控除の廃止・縮小による約12兆円もの大増税は、衆院選への影響を抑えるため明文化はされなかった。史上最高の増収増益をあげる大企業、大銀行には、研究費やリストラ「合理化」に大減税をおこない、働くものからしぼり貧富の格差を広げることを、「国際競争力をつける」とした税制改革の路線に変更はない。

 大増税や農漁業破壊も推進
 経済政策では「IT推進」をかかげ、家電に情報通信ネットをつなげること、医療の電子カルテや学校の校内にも、ネットで結ぶとしている。ひきつづき原子力を基軸電源として、高速増殖炉の開発、核燃料リサイクルシステム、核融合研究開発事業をすすめるとした。
 競争力の強い産業育成のために、国際競争力強化を重視する。金融システムは「安定」ではなく、金融機関の競争力強化を主とする。「貯蓄から投資へ」の流れを加速させ、国際的に開かれた金融市場の実現をめざす。地域における中小企業金融は、地域密着型の金融だけ推進。商工会議所、商工会のあり方について、2007年までに個人事業主を中心とした対策から、抜本的な見直しをおこなう。建設業については、入札契約制度の改革をすすめて、古い談合を規制する一方で、PFIは積極的に活用するなど、外資を中心とした官製談合の奨励にすすむものとみられる。
 農林水産については攻めの姿勢でとりくむといっているが、「グローバル化にいどむ」というもので、既存の漁業者を攻めるとみられる。実際にやっているのは県一漁協の推進、すなわち漁協の解体であり、漁業権のはく奪などである。100兆円におよぶ巨大な農中金融も、郵政民営化のあとには狙われるものとみられる。

 米国が毎年出す要求の実行
 軍事外交と同様に、経済政策は米国大使館から毎年10月、「日本国政府への米国政府要望書」として要求されたものを、そのまま実行しているだけである。9カ月まえに出された2004年「要望書」では、「米国は、小泉総理大臣の思い切った経済改革の課題を強く支持」するとして、通信、情報技術(IT)、医療、エネルギー、競争政策などに焦点を当てている。郵政民営化についても、「本年の要望書において米国は、日本郵政公社の民営化は意欲的且つ市場原理に基づくべきだという原則が、米国の提言の柱となっている」としていた。
 「要望書」では金融サービスについて、「日本の金融システムを国内外からの競争に開放する上で進展が見られてきたことを歓迎する。外国企業のプレゼンスの高まりをうけ、日本金融市場は基準と参加企業の多様化という面でさらにグローバル化された」と持ち上げたうえで、外国銀行の支店が信託と銀行業務を同時に従事することを認め、投資信託契約の統合を許可し、早期償還の障害を削減することを求めた。350兆円の郵貯や簡易保険をはじめ日本の資産を、米国の投機的市場に巻きあげようということである。
 農業分野においても、「農産品の輸入を妨げる技術障害を除去せよ」「構造改革特別区域が特区制度の中核とされ、市場参入の促進に引きつづき焦点を当て、成功した特例措置の迅速な全国適用を優先せよ」との米政府の要求を、マニフェストでそのまま羅列しているにすぎない。全体としてみても弱肉強食の市場原理主義のもと、対米従属をいっそう露骨にした政策である。行き着く先は戦争による破壊しかないもので、総選挙において広範な国民的論議が求められている。

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