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税金奴隷にした小泉税制改革
総選挙の重要争点
             国民大収奪で大企業減税    2009年7月6日付

 この10年来で、大衆課税がすさまじくなっている。日本社会は貧困化率が先進国のなかでもアメリカに次ぐ世界2位で13%を突破。貧しい層が増え続け、倒産、失業が深刻になるなかで、「もっと巻き上げろ」と財界が好き放題な主張をしている。小泉、安倍、福田、麻生と続いた自民党政府のもとで何がやられてきたのか、税制をどのようにしようとしているのか、国民大収奪の実態と合わせて見てみた。
 最近、衆院選に向けて自民党のマニフェスト作成を担っているプロジェクトチーム(座長・菅義偉選対副委員長)が「増大する社会保障費の財源として、景気回復を前提に、3年後に消費税を含む税制の抜本改革を行う」との表現を盛り込むことで合意した。2010年代半ばに16%まで引き上げろというのが財界の要求で、これに基づいた動きになっている。民主党も「4年間は引き上げない」という主張で、どちらも将来的に増税する構えを見せている。
 仮に「16%」まで税率を上げると、年間にして約32兆円の財源となり、現在の法人税、消費税、所得税を合計した37兆円に匹敵する規模となる。

 医療・酒・タバコ等増税 2002年以後拍車
 小泉内閣以後の国民負担増の経過を見るとたいへんな重税国家になってきた事がわかる。
 2002年7月に医療制度改革関連法案が制定され、サラリーマンの健保本人負担が2割から3割になり、70歳以上の自己負担限度額は引き上げられて原則1割になったほか、同年の雇用保険法等の改正によって雇用保険料は2005年度から引き上げられた。児童扶養手当の全部支給所得限度額は引き下げ。
 03年には発泡酒やタバコ税の税率を引き上げて1870億円の増税。また、65歳以上の介護保険料を引き上げるなどした。介護保険制度は、結局、保険料は増えるのにサービスは切られた。
 04年4月からは、消費税が免税となる課税売上高の上限が、従来では3000万円だったのが1000万円に引き下げられ、中小零細企業や農漁民までが課税対象となった。この増税額が年間にして5000億円にもなる。払えない零細企業が倒産する事態にもつながった。その他年金制度改正によって、厚生年金保険料率が引き上げられ、国民年金保険料も引き上げられた。また、生活保護の老齢加算が廃止となった。
 05年は定率減税の半減によって1兆2520億円の増税。介護保険法の改正で、施設入所者の食費、居住費を全額自己負担にして、保険給付費を3000億円削減した。生活保護、母子加算の縮減もおこなわれた。
 06年は所得税、タバコ税をさらに引き上げて940億円の増税を敢行。また医療保険制度改正によって、70歳以上の現役並所得者の自己負担額を2割から3割に引き上げ、療養病床に入院している高齢者の食費・居住費の引き上げもおこなった。高額療養費の自己負担限度額も引き上げた。さらに65歳以上が対象だった「老年者控除」が廃止されるなどしたため、前年の3〜4倍に税金負担が跳ね上がった。これによって390億円の増税。住民税アップにともなって、国民健康保険や介護保険の保険料も連動して引き上げられ、しかも有無をいわせぬ年金天引きのやり方に多くの年配者が憤った。
 07年は所得税、住民税にかかる定率減税の全廃によって約1兆2000億円の増税。
 08年4月からは70歳以上高齢者の医療費自己負担額について、70〜74歳は1割から2割に引き上げられた。高齢者や障害者、病人、介護保険受給者、生活保護などの社会的弱者から切り捨ててきたのが特徴になっている。そして、じわりと国民全般にターゲットを広げてきた。
 その他にも、ガソリンにかかる揮発油税などは30年間の「暫定税率」を延長。1gにつき、消費税プラス揮発油税が48・6円、地方道路税が5円、石油石炭税が2円、合計して60円近い税金が含まれている。揮発油税だけでも年間にして1兆8000億円も吸い上げている。本来の税率よりも2・5倍にしてきた自動車重量税は7150億円にもなる。酒税も上がるばかりで1兆4680億円、タバコ税は8940億円が、今年度も政府の「歳入」として見込まれている。

 大企業は減税ラッシュ 消費税で穴埋め
 政府の財源は所得税、法人税、消費税の3つが大きな比重を占めている。そのなかで、落ち込みが激しいのが所得税で、近年、企業が従業員給料を削減していることが影響している。財務省の発表している資料によると、20年前のピーク時に26・7兆円だった所得税は、昨年度は15・5兆円と激減。消費税はほぼ10兆円程度で推移している。法人税は平成元年には19兆円だったのが、昨年度は11・2兆円。サブプライム問題が浮上する直前の「史上最高益」だった時期でも06年の14・9兆円が最高額で、こちらも下がり続けている。
 ここで法人税をもっと下げさせたいのが財界で、そのためには、その他を上げなければ釣り合いがとれず、もっとも手っ取り早いのが消費税増税ということになっている。財務省は「1%上げれば2兆円の税収が得られる魔法のつえ」などといってきた。消費税が導入されたのは1989年で、はじめは3%だったのが5%に跳ね上がり、20年間で170兆円もの巻き上げをやっている。これをさらに年間30兆円近いものにしようというのだから気狂い沙汰というほかない。
 この10年来、国民生活から大収奪がやられる一方で、大企業やメガバンクは税負担を免れてきた。注目されている法人税率でいうと1985年に43・3%だったのが、90年には37・5%に、2000年代に入ると30%にまで引き下げられた。さらに近年は連結納税制度、研究開発減税、欠損金の繰越期間延長、減価償却制度の見直し、証券優遇税制などを導入して、90年代と比較すると、年間にすると7兆円近い減税の恩恵を受けているのが大企業やメガバンクである。
 企業が株主に支払った配当金にかかる所得税は20%を源泉徴収していたが、2003年4月以降は段階的に引き下げられて、現在では7%。株主もますます富める状況がつくり出されてきた。
 「法人税率を10%程度下げろ」という経済界の要求が実現した場合、さらに3兆〜4兆円ちかい課税を大企業は逃れることになり、その分、足りない税収を消費税や所得税といった大衆課税で補うことになる関係だ。
 目下の論議の中心は消費税で、さんざん医療・福祉・介護を切り捨てておいて、「社会保障財源に必要」などといっている。これが法人税を引き下げるための穴埋めであり、アメリカから食い物にされた借金財政の穴埋め資金であることは歴然としている。
 近年、「いざなぎ景気」超えによって、大企業や法人税を免除されているメガバンクなどは軒並み史上空前の利益を上げた。ところが社会には還元されず、むしろ貧乏な国民から巻き上げる仕組みに変わってきた。アメリカへの身売り政策を動かしながら、日本人を黒人以下の税金奴隷にしようとしているのである。
 低賃金の非正社員が増え続け、正社員の給料も下がり続ける。超低金利政策によって、みなが銀行に預けたお金の利息収入は、300兆円を上回る額が金融資本によって没収されてきた。消費税では170兆円吸い上げてきたこととあわせて、これほど国民から吸い上げて、みなが貧乏にならないわけがない。
 そして憲法改定、戦時国家体制が一方で進行し三菱重工などは2000年以降だけでも約2兆円を上回る防衛庁からの軍事関連受注で潤っていたり、総額1兆円を超える自衛隊戦斗機(1機400億円)の配備や、米軍再編によるグアム移転に3兆円出すなどと大盤振舞している。
 総選挙の重要な争点になることは疑いない。

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