トップページへ戻る

自・民合同で防衛省法案強行
               米軍下請機能を強化      2006年12月4日付

 安倍政府が11月30日、防衛庁の「省」昇格関連法案を衆院本会議で強行可決し参院に送付した。大手商業メディアは県知事の談合問題などを騒いで煙幕をはり、国会内でも与野党が茶番劇を演じるだけ。国民に内容を知らせぬまま、アメリカの企む戦争に日本中を総動員するとんでもない体制作りをおし進めている。同法案は自衛隊、さらには米軍の軍事力をバックにした防衛庁の権限を格段に強め、日本の国家機構を今以上に米軍の意のままに動かせる体制へ変えることが最大の柱である。その具体化として「海外派兵」を自衛隊の本来任務にすることを盛りこんだ。すでにアメリカとの軍事戦略を迅速に進めるため、日本版NSC(国家安全保障会議)構想を具体化し、米軍のミサイル配備など軍備増強を急ぎ、「国民保護」を掲げた国家総動員体制を準備している。こうした動きは日本の民族的利益をすべてアメリカに売り飛ばし、あげくは戦争で廃虚にする安倍政府の売国的な本性を浮き彫りにしている。

 軍事作戦の手続きを簡素化
 防衛庁の「省」昇格関連法案は、防衛庁設置法、自衛隊法改定案の2本柱。内閣府に従属する外局との位置づけだった防衛庁を、1954年の創設以来初めて独立した「防衛省」に変更。防衛庁長官を防衛大臣にし、これまでは内閣府の長である首相が行っていた、予算要求や法案提出の権限を防衛省に移行する。自衛隊という軍事力をバックにした他の大臣とは違う強い発言権をもつ大臣の誕生を意味すると同時に、自衛隊を事実上指揮・支配する米軍、米国防総省(ペンタゴン)の出店ができることを意味する。それは日本の内政にアメリカが直接干渉し、米軍再編の軍事予算を増やすために教育や福祉予算を削減させたり、米軍が基地をつくるのに都合のいい法律を提案するなど、いま以上に露骨な対米盲従体制を整備して暴走させるための布石である。
 海上警備行動など軍事行動を発令するときも、内閣府を通さずに、閣議開催を要求できるため、軍事作戦の事務手続きを簡素化する。米軍再編問題などで地方住民との調整をしてきた防衛施設庁も2007年度に廃止し、地元住民の声すら聞かない体制となる。軍事作戦面でも、基地増強面でもうむをいわせず米軍の要求を徹底することが内容である。
 歴代政府は自衛隊を「戦力」ではなく「自衛のための実力組織」といい「違憲ではない」と主張してきた。そのために独立した「省」ではなく防衛「庁」にとどめてきた。これを「防衛省」にするのは、自衛隊を「戦力」と認め、公然と戦争ができる組織にすることを意味する。こうした防衛省を政府は来年1月にも発足させようとしている。
 さらに自衛隊法改定案では「海外活動」(国際緊急援助活動、国連平和維持活動、機雷等の除去、在外邦人等の輸送、周辺事態法に基づく後方地域支援など)を「付随的任務」から「本来任務」に格上げする。自衛隊をアメリカの下請軍として出兵したイラク派兵などを例にあげた。「専守防衛」の建前もかなぐり捨て、日本の若者をアメリカの戦争の肉弾として提供することを自衛隊の「本来任務」にするというのである。

 安保政策の一体化進行 米軍再編推進法も
 こうした防衛省と連携する機関として米国の国家安全保障会議をまねた日本版NSCの具体化をすすめている。先月に、「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」(議長・安倍晋三首相)の初会合を開き、来年2月末までに日本版NSC構想の報告書をまとめると決めた。委員は首相、官房長官、補佐官3人に加え先崎一前統合幕僚長、相原宏徳元三菱商事副社長など11人。会合では日本版NSCについて@外交・安保政策の総合的検討、A国家長期戦略の策定、B情報収集・分析の強化を目指すと確認。次期通常国会で組織改編に必要な関連法案を提出すると表明した。これもアメリカの安全保障政策を具体化するNSCが、首相官邸に安保政策を迅速に指示するため同じような組織を作るよう要求したことが発端である。首相官邸の日米一体化も度はずれたものになっている。
 そして安倍政府が来年1月召集の通常国会に提出を企んでいるのが「駐留軍等再編円滑化実施特別措置法案(在日米軍再編特措法)」。国のいうことを聞く米軍再編関連自治体だけ交付金を優遇する内容である。具体的には「沖縄県内の公共事業は国負担割合を95%とする。岩国など本土側も90〜67%に引き上げる」(通常の国負担割合はなら33〜50%程度)などが柱。10年間の時限立法で、在日米軍再編最終報告で明記された米軍部隊や訓練の移転対象基地を、「再編関連特定防衛施設」に指定。@環境影響評価開始、A事業着工、B事業完了、の各段階に応じて周辺市町に交付金を支出する仕組みである。
 この「振興策」の指定は内閣府に新設する「再編関連振興会議(首相が議長を務め関連閣僚で構成)」が行い「再編地域振興特別計画」を決定する。国はこの振興計画に基づいて進ちょく状況をチェックし、工事が進まなければ交付金を凍結。庶民の働く場や教育・医療施設は全国の市町村で徹底的につぶし、米軍のために税金を湯水のように注ぎ込もうというのである。

 テロ訓練も急速に変化 実戦想定の内容へ
 こうしたなか「国民保護」や「テロ対策」をかかげた各地での訓練が、実戦を想定した訓練へ急速に変化している。10月末から東京、大阪などの都市部や富山、石川、島根など朝鮮半島に近い日本海側で連続的に実施。どこでも「反テロ」といえば自衛隊、警察、自治体職員のいわれるままに民間労働者、住民がうむをいわせず拘束されていく戦時下の様相を浮き彫りにした。内容も石油コンビナートでの爆破事故や、国境の問題で矛盾が激化している竹島(独島)のすぐそばで、島根県が「テロ対応」訓練をおこなうなど現実へ近づけている。和歌山県では陸上自衛隊が本土決戦を想定した「水際障害模擬訓練(船艇上陸を阻止するため地雷を海岸線に敷設する訓練)」を実施した。
 動員規模も大きくなっており、先月末に鳥取県米子市が行った訓練は「武装グループがサリンでテロ攻撃をしかけた」と想定し、自衛隊員や市民など1400人を総員した。山口県でも先月岩国と防府で不審船入港などを想定した「対テロ訓練」を実施した。「地震や水害などの自然災害への対応は必要」と思って協力していたら、「大規模災害」や「緊急事態」と変わり、いまは「爆破テロの可能性」や「市街戦」を想定するものとなっている。そしてその背後で米軍が首相官邸や防衛庁の主導権をしっかりとにぎり、総動員体制作りを着着とすすめている。国民に内容をほとんど知らせずに進行させている事態は「国民を守る」どころか、戦争を挑発し日本全土を戦争にひきずりこむアメリカと安倍政府の悪らつな企みを浮き彫りにしている。

トップページへ戻る