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自民党売国政治と県民のたたかい
記者座談会・衆院山口2区補選巡る情勢
            米軍再編、日本潰しと対決    2008年3月10日付

 衆議院山口2区の補欠選挙が、4月15日告示、27日投開票と迫っている。補欠選挙は米軍再編を最大争点とした岩国市長選のために、福田良彦氏が自民党衆議院議員の職を辞したことによって行われる。日本の国土をアメリカの国益を守る防波堤にし、政治も経済も文化や教育もアメリカに売りとばし、日本社会をさんざんに崩壊させる自民党売国政治の審判として行われる。それは福田内閣発足後初の国政選挙であり、予想される総選挙の前哨戦として、全国的に注目されている。本紙では、この補欠選挙をめぐる情勢と県民の進撃方向について論議する記者座談会を持った。

 岩国市長選の延長戦 自民側は本部主導の総力戦
 司会 これまでの経過と動きから見てみたい。
  選挙には現在、自民党が内閣官房地域活性化統合事務局長の山本繁太郎氏(59歳)を出し、民主党の平岡秀夫氏(54歳、比例中国)が出馬を表明している。
  補選は岩国市長選と連動して行われる。岩国では去年の12月に、井原前市長が辞職に追い込まれた。空母艦載機部隊の移転問題で、市議会が何度も予算を否決するなかで、あらためて民意を問うという格好だった。自民党の方は、初め市長選の候補が決まらないといっていたが、衆議院議員だった福田良彦氏を出馬させた。衆議院議員よりも、岩国市長選つまり米軍再編の方が重要だったということだ。
 1月5日に福田氏が出馬表明をすると、その日の夕方には民主党の平岡氏が「立候補する」と記者会見した。平岡氏は、前回小泉郵政民営化選挙の時に、新人の福田氏に500票あまりの差で負けて、比例で復活当選をしている。会見では「衆議院の野党議席を1つでも増やす「次期解散総選挙の結果を占う」といっていた。
  自民党の候補選定では、市長選前には林芳正氏や岸信夫氏の両参議院議員の名前があがっていた。「林氏が有力候補か」とも一時期いわれていたが、それぞれが今後の出世をにらんで鼻息を荒くしていた。岩国市長選の圧勝を前提としたバトルだったようだが、僅差の結果が出てからは一気にしぼんだ感じになった。林氏も岸氏も引っ込んで、宇部の福島啓史郎氏や佐藤信二氏の娘婿の名前も消えた。最後まで名前が残っていた河内山柳井市長も、2月の終わりに「出ない」となった。そしてポンと山本繁太郎氏の名前が出てきた。
  山本氏の名前は、去年の10月ぐらいからあったが、候補選定の間はほとんど存在感はなかった。それが今月2日に1度名前が出ると、3日には自民党本部に古賀誠選対委員長が呼んで、5日には選対副委員長の菅氏と一緒に山口市内で出馬会見となった。
  山本氏擁立は自民党本部の意向が強く働いたということだ。岩国市長選と同じように自民党本部にとってきわめて重要な選挙だということだ。県東部では「上が決めた候補だ」といわれるし、「初めから山本氏のつもりだったのかもしれない」と話になっている。
  山口県で自民党衆議院議員の立候補を決めるのに、県出身代議士を中心とする県連が決めるのではなく、東京の本部が決めたというのも、これまでにないことだ。山口県の自民党も岸、佐藤に至る時期から見ると落ちぶれたものだ。首相もやった安倍氏がリードできなかった。安倍氏は山本氏の出馬をいやがっていて、「最後まで公募型にこだわっていた」ともいわれている。山本氏は、耐震偽装事件の時に国土交通省住宅局長で、偽装の発覚拡大阻止とか、安倍氏の後援会「安晋会」の副会長を守ったと批判を浴びており、その辺をほじくられるのが嫌なんだろうといわれている。
  「林芳正氏が有力候補」と推したのは安倍氏の意向ともいわれている。林氏が下関から逃げたほうが、自分の選挙区は安泰という意味合いだ。古賀氏には「安倍いびり」の思いもあったかもしれない。
  今度の補欠選がどんな選挙になるのかということだ。岩国市長選の延長戦で、自民党本部主導の選挙だ。古賀も「絶対に負けられない」と発言している。福田首相もイージス艦事故問題などで支持率はジリ貧となっているなかで、この補選で負けたら相当のダメージだ。

 争点をぼかす戦術 最近の自民党選挙・新人で批判派装う
  はっきり出ているのは「争点ぼかし」だ。山本氏の発言はまだ少ないが、記者会見などでは「地域の活性化、地方再生」を強調している。最大注目の米軍再編問題についてはあまりふれていない。「福田市長と協調姿勢をとる」というぐらいだが、その福田市長は最近の朝日新聞で艦載機移転問題では無条件容認ではなく「条件付きだ」といっている。これは補選を意識したもので、米軍再編反対の世論を取り込もうという配慮だ。「地域活性化」というのも、市町村合併などで怒りがうっ積しているのをかわそうということだろう。
  対する平岡氏のほうも「米軍再編が最大争点ではない」、「岩国市長選とは直接にはリンクしない」といっている。米軍再編問題については、専守防衛と国連中心主義といっているが、どちらつかずでハッキリしていない。市長選でも、米軍再編問題より市庁舎の補助金カットが問題だから応援するという主張だった。それ以外では、小泉政府の改革は格差拡大をもたらしたことは悪いが、族議員の利権政治を壊したことでは一定の功績があるとか、市町村合併や道州制の推進など、自民党となにが対立しているのかよくわからない。
  最近の自民党の選挙は、候補に無党派を装わせるというのがはやりだ。大阪知事選もそうだったが、熊本知事選でも民主党が推していた新人候補を自民党がかっさらった。民主党が擁立したのが県の部長で、民主候補の方が審判を受ける準現職・前知事体制側で、自民党の方が新人、批判派という格好をつくっている。
  林、岸参議院議員ではアカがついた格好で、審判をまともに受ける格好になる。そこで新人の方が批判を受けにくいということだろう。
  しかし山本氏は、安倍、福田とつづく内閣官房の地域活性化担当の事務局長をやっていたわけで、「地域活性化」と口でいうが、その看板でやってきたことは地域の切り捨てだったという実績は隠せない。山本氏の実績としては安倍、福田内閣の売国政治を実行してきたということであり、安倍、福田政治の審判となる。
  新人ということと争点をボカすこと、そして裏では自民党の大車輪の選挙態勢にしようということだ。補欠選に「国会議員など200人ぐらい投入する」という話もあるが、組織選挙によるしめつけも相当やりそうだ。公明党・創価学会がかけずりまわる戦斗モードになっているともいわれる。

 自民党圧勝の構図 岩国市長選も同様・連合の動きに秘密
  自民党の選挙戦術は、相手をつぶすことだ。民主党平岡氏についていえば、支持基盤である労働組合・連合を自民党側につけることだ。自民党本部が本気になる選挙で、大企業がしめつけるのは当然だし、山口県の連合は会社にたてつかないことでは定評がある。
  前回の平岡氏が負けた「チルドレン」選挙でも、労組・連合が表面では支持した振りをするが、実際には企業の意向で動いたということだ。今度の岩国市長選でも同じだったし、昨年の参議院選挙で山口県だけは自民党林氏が圧勝の形だったが、その秘密は連合が民主党をやらずに自民党をやるということだ。
  2区では、光、下松、岩国と柳井の都市部で、いつでも大きく票が動く。去年の参議院選挙では、現職の林芳正氏に、周南で議会リコール署名をやった戸倉氏が民主党候補として出馬したが、民主がもともと強いといわれていた2区の都市部だけで、前回の衆議院選と比較して1万票以上が減っている。
 B 連合と大企業では、下松市が日立と東洋鋼鈑。日立は原発メーカーだから中電労と組んで、山口県内の連合を原発推進に持っていく原動力になっている。光市は新日鉄と武田薬品。岩国が帝人や東洋紡、日本製紙だ。
  こうした自民党側にたいして、平岡氏の側が、あまりにもへっぴり腰だ。対決姿勢が乏しい。連合つまり大企業に認められなければならないというのと、自民党支持層の票をもらうというのがある。
  平岡氏登場の経過を見ても、佐藤信二代議士が落ちぶれて、自民党内が佐藤選挙のサボをやるという状態だった。林氏なり岸氏なりが出たかったのに、佐藤氏が我を張ったから自民党は本気ではなかったともいわれていた。その佐藤氏が、「原発はワシしかできない」と空気の読めないことを訴えたため、別に原発反対でもない平岡氏が反自民の受け皿になった。
  あの時期は、林派が県東部に進出し、佐藤氏おろしを積極的にやっていた。林派は二井知事を持っている関係で、中電の発電所のガス供給などで進出していた。
  平岡氏にはもともと強力な支持基盤はない。それが大企業に色目を使って自民党と変わらない政策をいっているのでは、県民は票の持って行き場がない。
  上の方から見た票読みからすれば、「山本圧勝、平岡惨敗」の構図といった感じだ。ところが、岩国の結果を見ても、そんなに簡単なものではない。大企業といっても、労働者や地域住民から見て、またさんざんに疲弊させられている農漁村、中小業者、商店、あらゆる下のものが上のもののいいなりにならないのが今の情勢だ。
  福田市長も、選挙で「国にもの申す」「教育費、給食費、医療費の無料化」とか、いろんなことをいっていたが、最近になって「給食費を全部無料にするのは教育上よくない」とか、「医療費にも段階制を持たせる」とかいっている。市民のところでは、「補欠選や知事選で力を示す」の声と一緒に、福田市長も下手な行動をすればひっくり返すという雰囲気がある。

 最大争点は日米関係 上関原発も市町村合併も・国潰す売国政治
 司会 この選挙で、県民と自民党政治との争点はなにか、県民はなにとたたかって、どう行動すればいいのかという大論議を組織することだ。この地域の人人の実生活に基盤をおいて、全国的な国政との対立点はいかなるものか。
  最大の争点は、岩国基地の空母艦載機部隊の移転問題だ。つまり米軍再編、日米関係だ。岩国市長選では僅差で福田氏が勝ったが、行け行けドンドンで再編を進められる状況にはない。再編計画では、神奈川県の厚木基地から岩国基地に空母艦載機59機が移転して、軍人、軍属、家族をふくめて約4000人が増える。沖合拡張工事で、滑走路を2本体制にし、空母も接岸できる岸壁もつくる。
 国道や県道工事なども進んでいて、広島湾沿岸を一大軍事基地にするというものだ。計画では、6年後の2014年までに再編を完了させるとしているが、移転反対世論も強いし、愛宕山の米軍住宅転用問題とか課題は山ほどある。岩国を極東最大の基地にする。つまりアメリカを守るためのミサイル攻撃の防波堤にするというものだ。敗戦国民である日本人はアメリカのために死んでくれというバカげたものだ。
  イージス艦問題も、基本にあるのは自衛隊は国民を守るのではないということだ。事件の経過を見ると、総理大臣や防衛大臣には自衛隊の指揮権はないという事実がありありだ。自衛艦はアメリカ軍の指揮下で動いているんだ。これが、「そこのけ」で漁船を撃沈した。総理大臣や防衛大臣は、米軍とその指揮下で動いている自衛隊をお世話する役目、予算をつけて兵器を買ってやる関係になっている。
  第1、護衛艦やイージス艦というものは、空母を守る必要からつくられている。空母艦隊の付属物だ。税金を1400億円もかけてイージス艦を買い、米軍空母艦隊の一セットとして使ってもらうということだ。海上自衛隊の場合、独立した海軍能力ではなく、掃海艇とか対潜水艦能力とか、全体が米軍に付属した編成になっている。
  福田首相などは、今回の事件について、「わしの責任ではない」という調子だ。“米軍さんがおやりになっていることです”ということだろう。そういう米軍に対して思いやり予算のうえに、米軍再編に3兆円を拠出するなど、これにみんな頭にきている。
  中国電力の上関原発問題も大きな争点だ。今年で計画浮上から26年目になるが、極東最大の米軍基地のすぐ側に、原発を建設するというわけだ。岩国の米軍と瀬戸内海の交通を麻痺させようと思えば、上関原発が真っ先にねらわれる。国土を廃虚にする。それでも建設するというのは、「あとは野となれ」の国をぶっつぶす売国政治だ。
  郡部地域では、この間の市町村合併の影響で、地域全体が破壊されていくことにみんな怒っている。合併した町村は、どこも総合支所がタダの支所とか出張所にされる。旧大和町では、今年いっぱいで職員数人の支所にされる計画だったが、地域住民の反発でなんとか据え置きになった。大畠でも総合支所を縮小するという議案が、この3月議会に提出されて問題になっている。

 農漁村破壊へ怒り拡大
  漁業は漁協合併の強行でひどい目にあっているし、その後の扱いや油の高騰、安い魚価で衰退の一途だ。農村部も山口2区には疲弊したところが多い。岩国市は県内でも限界集落の数がダントツ1位で、農漁村崩壊の危機に対する怒りがうっ積している。
  規制緩和による大型店の乱出店もすさまじい。下松市は大型店の占有率が全国でもトップレベルだが、光市でも国道沿いはどんどん大型店が進出している。街並みが変わるほどだ。柳井市では、近いうちにヤマダ電機が進出する。人口3万6000人の市に、デオデオとベスト電器があるのに、「電気屋の街になる」と話されている。
  土建業者も矛盾が大きい。「岩国が典型的」といわれているが、中小業者がバタバタ倒れていると話題になっている。どこでも大手ゼネコンが根こそぎ仕事を取るし、地元はダンピング合戦だ。若者の働き場も、あまりない。都市部の大企業といっても、働くものは非正規雇用ばかりになり、企業に恩恵を感じるどころではない。
  後期高齢者医療制度をごり押しするがそれは「どうせ死ぬのだから」医療を受けさせるのはもったいないという調子のものだ。教育や福祉など切って捨てている。農漁業はやっていけなくさせて、日本人が食べる食料がないようにする。輸入ばかりを奨励したために食料自給もできなくなり、貧乏人は毒入り餃子や毒入り牛肉を食べさせられる状況になった。
 最大の問題は、働くものが生活できない、とくに子どもを育てることができないようにしているが、労働者の後継ぎをつくらせず労働者を根絶やしにしたらこの社会はつぶれるということだ。小泉政府からやってきた規制緩和、市場原理改革というものは、アメリカの利益のため、トヨタなど一握りの大企業のために、日本をつぶしてしまうというものだ。こういう怒りが爆発するような状況がある。
  日本の外貨準備高が1兆jを超えたという。100兆円余りという数字だ。中身は国が銀行から借金をして、その金でアメリカ国債を買ったものだ。ドルは下落し紙切れになっていく。こうして日本の資金はアメリカに行って、国内には回らない。これでは日本の田舎がつぶれたり、労働者が食っていけなくなるのは当たり前だ。
  山本氏は国土交通省の住宅局長とか審議官とか、内閣官房地域活性化統合事務局長で、自民党政府中枢を支えて、日本社会破壊の政策を実行した実績を持つ「エライさん」だ。

 軍事問題も大きな争点
  1番の問題は軍事問題だろう。戦前に県東部海域は海軍の拠点だった。避難や停泊地になるし、呉の海軍工廠でつくった艦船の試運転などもやられていた。大島では、陸奥が沈んだことも「絶対に喋るな」という箝口令がしかれていた。軍事要塞となった時期の様子を、年寄りはみんな知っている。
  それこそ東部海域は、イージス艦「あたご」が「そこのけ、そこのけ」で走り回るような状況になる。相手は日本人を人間とも思っていない米軍だから、もっとひどい。
  岩国周辺は、気象条件も地理条件も、戦斗機が使う軍事基地として絶好だといわれている。米軍も海兵隊をおいているし、今度は海軍の基地としても使おうと目をつけたのだろう。地方生活はつぶして、軍事基地にする。それが、山口2区補欠選での最大争点だし、全国的な対立点だ。
  小泉、安倍、福田政府と来て、人人の世論は大激変をしている。日本をつぶしてしまおうとしているという実感だし、売国政治に反対する、日米関係を最大問題にするという意識が非常に強く表れている。「安保斗争をやらねば」という世論だ。

 県民の力大結集へ 民主党を縛り自民党に鉄槌・主人公は大衆
  今度の補欠選挙は自民党山本対民主党平岡というわけだが、県民にとっては、これをどう評価し、対応するかということだ。
  大多数の県民にとっては、自民党売国政治にどうすれば鉄槌を下せるかということだ。この場合、民主党平岡氏についても、アメリカや大企業にしっぽを振るようなあいまいな姿勢について徹底的に批判世論をぶつけて、縛り付けなければならない。国政選挙ということで、県民のなかでこの国政をどうするか、政治的な関心が非常に高まっている。この県民大衆の政治的な意識をどう強いものにして、民主党を縛り上げるとともに、自民党を震え上がらせる力を示すかということだ。
  平岡氏は、米軍再編や上関原発、そして規制緩和など、日本をつぶし、戦争で壊滅させるようなことにどんな態度をとるのか、対立点を鮮明にさせないと、自民党政治に対決する県民の票は集まらないし、大惨敗は必至だ。
  選挙では、候補者が主人公ではなく、大衆が主人公であり、選挙構図全体を揺り動かす世論を起こすことが必要だ。
  山口県内の自民党も矛盾は大きい。いま自民党売国政治に反対するのは、連合・民主党より、切り捨てられる自民党支持層がよっぽど強い。山口県の自民党の上層も大矛盾だ。今回、山本氏が当選すれば、参議院議員の林氏と岸氏は今後の芽が出なくなる可能性が高い。参議院議員では総理にはなれない。
  いくら山口県出身の官僚といっても、地元に出たい者がいっぱいいるのに、落下傘候補に押しのけられた。山口2区と言えば、岸、佐藤の伝統がある選挙区だ。山口県の自民党がやることは中央も従うという感じがあった。それが、古賀誠に簡単にひねられてしまった。これは山口県の代議士、とくに安倍氏がまるきり力がなくなったということじゃないか。
  選挙は、自民党政府と県民の対立点を鮮明にし、県民の世論と運動を強いものにすること、そして民主党平岡氏の態度を鮮明にさせるように圧力をかけ、自民党を震え上がらせる力をどこまで発揮できるかが最大の注目点だ。大衆こそ政治を動かす最大の力を持っているということを証明させることだ。
  大企業といっても、下請や非正規雇用が多くなり、反発が大きくなっている。公明党が全力でやるといっても、締め上げれば逆に反発もある。岩国市長選でも、公明党本部に対して直接抗議が殺到したと話題になっている。安保斗争のような力をどう作るかということだ。
 司会 それではこの辺で。

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