ケイヒンFCRキャブについて(ホリゾンタルタイプ)





【用途】
(1) 2輪(主にロードレース用ですが最近はMX用もあり)
(2) 50cc〜 1000cc以上
(3) 4ストローク ガソリンエンジン用

【特徴】
(1) ホリゾンタルドラフトタイプ及びダウンドラフトタイプ
(2) スロットルバルブにベアリングを採用し操作力を軽減
プログレッシブスロットルオペレーション機構の採用により、
低〜 中開度のスロットル制御性能を向上
(3) 軽量、コンパクト
(4) 取り付け傾斜角度
ダウンドラフト  30°〜 90°
ホリゾンタルドラフト  -5°〜 35°

【仕様】
(1) ボア径 28,32,33,35,37,39,41mm
(2) スロー パイロットスクリュー式&エアースクリュー式

【構造】
(1) 可変ベンチュリー式ピストンバルブキャブレター
(2) 加速ポンプ装置
(3) バイスターター又は加速ポンプよる始動



a.車両データ

当方のSportSterはSUDCO製FCR41φを使用しております。
ここからはFCRの各ジェットの基本的な役割と当方独自のセッティング情報を記載させて頂きます。
また全てのデータは個人的な主観を元にしておりますのであくまで参考程度にお考え下さい。


【SPORTSTER】
ベース車両 89年式XLH1200(4速)
キャブレター SUDCO製FCR41φ(チョークケーブル撤去)
マフラー HOT-DOCKオリジナル2in1サイドワインダー(F:50φ)
カムシャフト ノーマル
エアークリーナー S&Sティアドロップ+K&Nエアフィルター
点火系 コイル:Screamin Eagle single fire
イグニッションモジュール:DYNA2000i(single fire mode)
スパークプラグ:SE製EX12S
VOES撤去
その他 スーパートラップディフェーザー+オープンエンド

【FXLR】
ベース車両 89年式FXLR LowRider Custom(5速)
キャブレター SUNDANCE製FCR41φ(チョークケーブル無し)
マフラー HOT-DOCKオリジナル2in1サイドワインダー(F:50φ)
カムシャフト ノーマル
エアークリーナー S&Sティアドロップ+S&Sエアフィルター
点火系 コイル:CRANE single fire
イグニッションモジュール:CRANE HI-4 single fire
スパークプラグ:SE製EVS13S
VOES撤去
その他 スーパートラップディフェーザー+オープンエンド


b.キャブセッティングと各ジェットの関わり方

アイドリング時スロットルを閉じた状態から、全開のフルスロットルまでを1として
1/4間隔のどの部分を調整したいかによって、調整するジェットやニードルが異なります。

T:スローフュエルスクリュー(=パイロットスクリュー:PS)
アイドリングの状態から1/3開度までに影響します。
キャブレター本体の底部分に位置し、ドレンボルトの脇にあります。細いマイナスドライバーや専用のフレキシブルドライバーによって調整します。初期の設定では時計回りに底突してから反時計回りに1.25回転戻したところです。濃くするには一回に90度反時計回りに回し、薄くするには一回に時計回りに90度回します。

U:スロージェット(SJ)
燃料スクリューと同じくアイドリングの状態から1/3開度までに影響します。
燃料ボウルを外してメインジェットのとなり20mm程奥まったところに位置します。小型のマイナスドライバーで外す事ができます。燃料スクリューと併用して使用しますが、燃料スクリューで調整できない領域の場合に交換します。

V:スローエアジェットスクリュー(AS)
アイドリングの状態から1/4開度までの主にアイドル付近に影響します。
エアクリーナーアダプターを外してインテーク側下方に並んだ2個の穴の左側になります。小型のマイナスドライバーを使って調整します。通常初期設定は時計回りに底突してから反時計回りに1.5回転戻したところです。反時計回りに回転させれば空気の流量が増えて混合気薄くなります。逆に時計回りに回転させれば空気の流量が減少して混合気は濃くなります。一回に90度単位で回転させ調整します。

W:メインフュエルジェット(=メインジェット:MJ)
フルスロットル時の馬力に影響します。
燃料ボウルを外して中央部分、スロージェットのとなりに位置します。小型のマイナスドライバーで外す事ができます。濃くするには番手の大きいものに変更し、薄くするには番手の低いものに交換します。なお画像でMJの手前がニードルジェットです。余談となりますがケイヒンのFCR、CR、PWKは全てMJは共通です。

X:メインエアージェット(MA)
メインフュエルジェットと同じくフルスロットル時の最後で影響します。
エアクリーナーアダプターを外してインテーク側下方に並んだ2個の穴の右側になります。濃くするには番手の大きいものに変更し、薄くするには番手の低いものに交換しますが通常変更する必要はありません。

Y:ジェットニードル(JN)
アイドリング直後から2/3開度までに影響します。
通常走行時において最も多く使用する領域を受け持ち、パワーフィールをを決定づける重要なところです。キャブ本体トップカバーのM3ヘキサゴンBTを外し、内部スライドバルブのトップに位置するM4ヘキサゴンBTを外したところに位置しています。M3/4のヘキサゴンレンチで取り外しします。ジェットニードルの本体に刻印された下3桁のアルファベットによってその特性が細かく異なります。テーパーA、切り上がりL1、ストレート径d1など、開度により役割が異なっています。またJN上部には7つの溝があり、ここにクリップが装着されています。通常クリップ上から何段目と言う意味でC3(上から3段目)と呼びます。JNの切り上がりL1と同じ様な守備範囲を持ちます。クリップ位置が下がるにつれ混合気は濃くなり、上げれば薄くなります。


c.ジェットニードルについて

ジェットニードル(JN)はエンジン出力特性をコントロールする大変重要な部分です。ニードルを
交換する事によって乗り味は劇的に変わると言えます。

ニードル刻印の読み方(例):OCABC(大型用ジェットニードル・シングルテーパーの場合


OC FCRキャブのベンチュリー径(35-41φ)Harleyの場合OCのみ 種類 混合気
A テーパー角A:JNの守備範囲でもエンジンフィーリングを決める最も重要なところです。アルファベットが進むにつれ濃くなります。 D→W 薄い→濃い
B 切り上がりL1:JNの守備範囲でも中間を受け持ちます。アルファベットが進むにつれ薄くなり、クリップ位置Cと同様な働きをしています。 A→Z 濃い→薄い
C ストレート径d1:JNの守備範囲でも下の方を受け持っています。アルファベットが進むにつれ薄くなります。

A→Z 濃い→薄い


上段左から、メインジェット(MJ)、ニードルホルダ、ジェットニードル(JN)の位置関係。
サンダンスFCRの場合、ニードルホルダとジェットニードルがサンダンスオリジナルとなりますので
別途スペアを購入するという訳にはいきません。しかしそれぞれ摩耗した場合は新品と交換という
条件で購入する事ができます。逆にホルダとニードルをケイヒン純正に取り替えてケイヒン製キャブ
と同じセッティングにする事も可能です(下段画像はサンダンス製のJN)。
なおメインエアージェットも上限#200の筈ですのでサンダンスの#210はケイヒン特注だと思います。
(ケイヒンでは20個単位から特注サイズがオーダーできます)

d.キャブセッティング

【XLH1200 SportSter】

2005-01-10
PS SJ AS MJ MA JN C
1.5 52 1.5 200 200 OCEFQ 1

"E"のテーパーフィーリングが今のところ最も好みなのでここをひとつの基準としています。


2005-01-14
PS SJ AS MJ MA JN C
1.5 52 1.5 200 200 OCEFQ 2

2005-01-19
PS SJ AS MJ MA JN C
1.5 55 1.5 200 200 OCEFM 2

2005-04-25
PS SJ AS MJ MA JN C
1.5 50 1.5 200 200 OCEFM 2

2005-09-21
PS SJ AS MJ MA JN C
1.5 50 1.5 200 200 OCEFQ 2

【FXLR 1340 LowRider Custom】

2005-07-18(TWIN-CAB)
PS SJ AS MJ MA JN C
1.5 55 1.5 190 200 OCEMR 3

2005-09-20(SUNDANCE)
PS SJ AS MJ MA JN C
1.5 55 1.5 195 210 ------ 3

2005-09-21
PS SJ AS MJ MA JN C
1.5 55 1.5 200 210 ------ 3

2005-12-04
PS SJ AS MJ MA JN C
1.5 52 1.5 200 210 OCEFQ 3

2005-12-05
PS SJ AS MJ MA JN C
1.5 55 1.5 205 210 OCEFQ 2


※なお、これまでの細かいセッティングについては"SetUp"をご参照下さい。


e.市販の初期キャブセッティング例(SportSter883)

PS SJ AS MJ MA JN C
1.25 52 1.5 170 200 OCFBT 4

f.市販の初期キャブセッティング例(SportSter1200・BT1340)

PS SJ AS MJ MA JN C
1.25 52 1.5 170 200 OCFBR 4

g.市販の初期キャブセッティング例(SUNDANCE・BT1340)

PS SJ AS MJ MA JN C
- 60 - 190 210 オリジナル -

h.現在所有するジェットニードル一覧





詳細
タイプ テーパー角:A 切り上がり:L1 ストレート径:d1
OCELQ E(1度00分) L(78.70mm) Q(2.745mm)
OCEFQ E(1度00分) F(76.45mm) Q(2.745mm)
OCEFM E(1度00分) F(76.45mm) M(2.715mm)
OCFMN F(1度15分) M(79.15mm) N(2.725mm)
OCFMQ F(1度15分) M(79.15mm) Q(2.745mm)
OCFMS F(1度15分) M(79.15mm) S(2.765mm)
OCFBR F(1度15分) B(74.65mm) R(2.755mm)
- - - -
- - - -
- - - -
- - - -

i.追加補足T

※ベストな方向にセッティングが行えている場合、燃焼効率は高くなり車体の振動はかなり軽減されます。
これは極低速から高速域にまで幅広く言えることです。また燃費についても純正CVには敵わないものの
それ相応の距離を稼ぐ事はできます。そんな夢のようなFCRですがあくまでレース専用パーツですので
完璧な状態を維持するには定期的なオーバーホールと消耗品の交換が必要です。なお正規品の場合、
ケイヒンでオーバーホールを行って頂くことが可能です。ジェットやニードル等のセッティング用パーツは
2輪パーツ量販店で簡単に手に入れることができます。価格は200〜600円程です。



※セッティングにおいてスパーク・プラグの焼け具合を見て、というものがあります。通常新品プラグを使用
して全開走行中にエンジンをカットオフした状態のプラグで判断します。しかしその回転領域での常用の少
ないHarleyでは判断しかねる場合が多いかと思います。そこで当方はスパークプラグの極の状態が若干
白っぽく外側がススけて微量のカーボンが付着した状態をベストとしています。通常走行において"プラグ
がキツネ色"なんて事は難しいんじゃないかと思います。キャブのセッティングはフィーリングを最も重視し
プラグを見るのは最終チェック程度に考えております。



j.追加補足U

標高が高くなると→ 混合気は濃くなる→ セッティングを薄くする
標高が低くなると→ 混合気は薄くなる→ セッティングを濃くする
気温が高くなると→ 混合気は濃くなる→ セッティングは薄くする
気温が低くなると→ 混合気は薄くなる→ セッティングを濃くする
湿度が高くなると→ 混合気は濃くなる→ セッティングは薄くする
湿度が低くなると→ 混合気は薄くなる→ セッティングを濃くする




※許可無く複製を禁じます。

Special Thanks to TOKYO SPORTSTER CORP and O.G
AIRSPORT and ItoMaintenanceGarage.

Copyright (C) 2005 STUDIO ARTWORKS all rights reserved.
All Design and Illustrated by Kazutoshi Mizutani


戻る