天川在来渓魚の会では渓魚が自生する河川をめざして、自然産卵床としての場を確保するという主旨から、
C&R=キャッチ&リリース区間(再放流専用区)の事業に協力しています。
生物の多様性を確保し、豊かな河川環境を取り戻すためにご協力下さい。
なお当会では2002年7月に設立し、天川漁協に対し下記の申し入れを行いました。
天川在来渓魚の会
<天川漁協への申し入れ文書1>
渓魚の自生する川をめざして
「天川の在来渓魚の会」
タンパク質の補給という視点から始まった放流事業
渓流の釣りとは何でしょうか。 ここ日本では戦後の山村におけるタンパク質の補給と言う視点から、
全国各地で養殖放流事業が推進されました。
やがて本格的なレジャー時代の到来と共に都会の勤労者に釣りの趣味を提供するサービス産業へと推移して行きました。
解禁当初より、身動きもままならない大量の釣り人が押し掛け、大量の放流された養殖魚を釣るという光景が、
なかば風物詩のように報道され、釣りをしない人間のあいだにも当然のように定着して行きました。
そしてその間にも河川環境の破壊はどんどん進み、河川によっては魚が生活出来ないような環境になっても、
あえて何トンもの魚を放流して釣り人を呼ぶという事態まで見られるようになりました。
これはまさに「大量生産=大量消費」の高度経済成長を河川の中まで持ち込んだ発想であり、
とにかく大量の養殖魚を放流し、多くの釣り客に来てもらったら良いという発想であったわけです。
これは当然、釣り客の側も同じ発想でありました。 趣味やレジャーと言いながら楽しみの要素は希薄であり、
入漁券に幾ら払ったから何匹釣って元を取るという考えが、大っぴらに語られるほどであったわけです。
しかし一見普通なこの考えは、実はまことに奇妙な発想で、趣味や楽しみというものは、お金の価値では計りがたい
別次元のものだったはずだからです。
人によって多様な価値観を持つ、趣味や楽しみと言うものが、経済活動と同じ次元で語られるということ自体が、
まさに人間が人間性を失っていた証し(あかし)といえるかも知れません。
不況による釣り場環境の変化=釣りに未来はないのか
しかし不幸中の幸いと言うべきか、出口の見えない不況が、人間の生き方にも急激な変化をもたらしつつあります。
経済的な価値観にとらわれない、自分の目標や生き方や楽しみを大事にしようという変化です。
この変化は不況知らずだった釣り業界にも及んでいます。
釣り業界は不況に強い業種だと言われ、事実不況のたびに数字を伸ばしてきた実績があります。
最近では、バブルが崩壊して並み居る業種が次々不況に飲み込まれて行った時期においても釣り業界だけは不思議に
売り上げが落ちず、逆に売り上げを伸ばしているほどでした。
しかしその神話も数年前から逆境に転じ、もはや回復する事はないと言われるようになりました。
しかし皮肉なことに、釣りの中で今一番景気が良いのは生け簀筏釣りだと言われています。
いわば海の釣り堀と言う訳ですが、これも業界内部で語で語られているように、この釣りが延び止まるまで、
そう長くはかからないだろうと言うことです。
これはもはや従来の手法では客離れをくい止めることが出来ない事態を現しているのでしょうか。
それならば釣り業界や釣り場には未来がないのでしょうか。
釣りを自然の一部と捉える発想
釣りが魚を出来るだけ沢山、簡単に手に入れるという面だけに限るなら、確かに釣りに未来はないかも知れません。
しかし釣りを自然の一部として、釣りを取り巻く全てを、その棲息している自然を含めてとらえるなら、
これから日本人が目指している自然と共生する楽しみや趣味として発展していくものと思われます。
考えてみれば、私たちがかすかに記憶している、古き日本の風景には、魚が泳ぐ渓流の姿がありました。
川で泳ぎ、魚と遊び、自然の全てを楽しんでいた経験を思い出してみれば、早瀬や瀞場に見え隠れする魚の姿は、
それを取り巻く大岩や清流や虫や鳥といった色々な物の一つに過ぎなかったはずです。
これからの釣り人が求める釣りの姿は、美しい自然に囲まれた清流で、その緑の景色や空気や風を楽しみながら、
力強く生き生きとした美しい渓魚を確かめに来るという楽しみではないでしょうか。
天川村の地域活性化にも
そう言った見方に立てば、この天川の地には近畿に誇るべき美しい渓流があります。
確かに日本の各地の例に漏れず開発の手は深く入っておりますが、大阪の都心からわずか2時間余りの至便の地に、
これほどの美しい自然が残っている例はそう多くはありません。
この美しい渓流に、自生した渓魚が世代交代していくような釣り場を作ることができれば、単に釣り人だけにとどまらず、
その自然を楽しみに来る多くの人々を呼び寄せ、もてなすことができるでしょう。
まさにその有りよう全てが、都会と山村の健全な関係を発展させ、天川村の地域活性化にもつながるものと信じています。
2002年7月6日 天川在来渓魚の会
<天川漁協への申し入れ文書2>
天川 キャッチ&リリース区間(再放流専用区)
設置への具体的提言
趣旨
河川において渓魚の自生する釣り場と環境を育成する。
河川を含む自然環境の保護育成とマナーの向上をめざす。
事業推進に釣り人(ユーザー)も自主的に参加する。
区域指定
天川村内河川流域において、キャッチ&リリース区間(再放流専用区)を設置する。
C&R区間の設置は在来渓魚の自生を趣旨として、産卵床を含む区間を指定する。
C&R指定区間は全面禁漁とし、再放流(リリース)を条件に指定期間の釣りを許可する。
C&R区間においては釣法、用具について別途禁止する細目を設定する。
別途禁止細目
区間内では釣り竿を使用する釣法のみを許可する。
使用する釣り針は返しのないバーブレスフック(スレ針)のみとする。
使用する釣り針はシングルフックのみとし、ダブル、トリプル針(いかり針)は禁止する。
区間内では魚籠(びく)、クーラーボックスなど、容器の持ち込みも禁止する。
C&R推進施策
渓魚の自生を計るため、区間内では主に発眼卵放流や稚魚放流を推進する。
釣り場環境の育成の趣旨から、釣り人も放流事業に自主的に参加奨励する。
自然環境の保護育成の観点から、釣り人も清掃作業を自主的に推進する。
事業推進の点検のため、生息調査や産卵床数調査などを実施する。
村域内外の文化的、人的交流事業(イベント等)を積極的に実施する。
2002年7月6日 天川在来系魚の会