グランボレのランディングアプローチについて

 グランボレのランディングアプローチについてのお話をしましょう。三峰のメインランディングは下の写真のように
細長い傾斜面になっています。駐車場側が南方向としますと、風はたいてい南東方向から吹くことが多いです。しかし、
場合によっては北西の風、西の風など違った風向きでアプローチする場合もあります。


(南東の風のアプローチパターン)
 南東の風の際の標準的なアプローチのパターンは下の線のようになります。
 まず高度に100mほどの余裕をもってAB間の風下側、西側に入り、8の字ターンで高度処理をします。高度を必要なだけ下げ、
ランディング(LD)にグライドパスで進入できる高さになったらLDに向けてファイナルターンを行い、できるだけ直線飛行で
アゲンストに向けて最終進入に入りスタンディング姿勢をとりブレークで減速する。地面が近づいてきたらさらに減速し
フレアーして着地する。

南東の風の際の8の字のアプローチパターン、AB間の風下で高度処理。
 
 この際のポイントとしては下記のようなことが挙げられます。
 (南東の風のアプローチのポイント)
1.高度処理はAB間の風下側の木の低いところで行い、高度が下がったら特に高い木に近づかない。
2.高度処理の8の字ターンは必ずLDに向かう側にターンを始める。
3.高度処理する場所は風が強めな場合はAB間に近めで、風が弱い場合はAB間からすこし離れる。
4.最終ターンを終えた時にはスタンディング姿勢をとる。スタンディングへの移行はできるだけ
早めが望ましい。
5.高度処理中からあらかじめスピードを抑えて滑空比を小さくする、最終進入では特にスピードを抑える。
6.AB間のAに近いあたりから最終進入の直線飛行に入る。人がいる中段より南側を避ける。風向きに
向けて直線を長くとる。Bのあたりで高度が下がればそこから進入する。(青の点線)
7.人がいる中段などを通過する際は早めに声を出して、注意を促す。通過する際はスピードを抑えて、
ターンを避ける。
8.最終進入ではできるだけ大きなターンを避け、直線飛行で揺らさないようにしアゲンストにあわせる。
9.地面が近づいてきたら減速し始め、足が着くまでにフルブレークするつもりでフレアーをかける。

 2mくらいからフルブレークしていく。

(南東の風でのファイナルターンからランディングまでの流れ)

ファイナルターンでアゲンストにあわせて進入し、体をおこしていく。

スタンディング姿勢をとって接地に備え、地面が近づいたらフルブレークして走りぬける。

 最もランディングアプローチで難しいのは、どのタイミングでファイナルターンをして最終進入するかという
ことでしょう。これが早すぎれば高くなりオーバーしますし、遅すぎれば低くなりショートしてしまいます。この
ファイナルターンのタイミングですが、風が弱ければAB間で10mくらいの高さ、周りの高い木の頂と同じくらいの
高さになったときです。しかし、風が強いときシンクが強い時はこれより高く入る必要があります。逆に風が
弱かったり、上昇風のあるときはこれより低く入ることになります。それを何を基準に判断するかということが
ランディングアプローチの要点でしょう。
 これを言葉で説明するのは難しいのですが、よくターゲットを見てくださいと無線でいわれますが、高度処理を
しながらもターゲットのある方向を見てターゲット付近の見え方、角度で判断することです。下の写真を見て
みましょう。1から3へと高度が下がっていきますが、弱い風ならまだ高いという高さです。4.の中段からの見え方
と比べるとはっきりと違いが分かります。3よりも4にちかい角度、中段をかすめるくらいの高さがちょうどよい
ということになります。
 高度処理中にシンクの強い場合は、1から2、3へという見え方の変化が早くなります。高度が早く下がるため
です。リフトのある場合はこの逆で見え方の変化が遅くなります。ですから、変化の早いときはそれに応じて
高めでファイナルターンをし、逆に変化が遅いときは低めでファイナルターンをします。こういったところで
ファイナルターンのタイミングを判断し、調整するのです。要点はターゲットだけをみるのではなく、ターゲット付近を
眺めるように見てその見え方の変化で判断することです。

 しかしこの見え方の変化をとらえるためには飛んでいる機体が安定した直線飛行に入っている必要があります。
機体がピッチングしたリターンしたりしているとスピードや沈下率が変化して見え方の変化がわからなくなります。
そのため高度処理中にターンをあまり細かく繰り返さず、ターンの間に直線とってタイミングを計ることが重要です。
ファイナルターンに入る前の直線をベースレグといいますが、特にこのベースレグを長くとり、スピードを遅くし、
滑空比も小さくすることが重要です。そのためベースレグですでにスタンディングをとりブレークも引いておくのが
有効でしょう。


1.まだ高い、150mくらい                    2.まだ高い

 3.もう少し                           4.中段からの眺め


ターゲットLD

ターゲットから中段
の眺め

(南東の風での練習課題)
 下図のようなアプローチの練習方法は場周アプローチを意識したものですが、それと同時にランディング付近
での細かい切り返しを避けて、直線飛行を長くとることによってグライダーを安定させ、ファイナルターンの見切りを
容易にしてくれるものです。スピードが速い中級機以上の方には特にお勧めです。
 このアプローチで特に重要なのはCからAのほうへと直線飛行を長くとってその間にピッチ、ロールを安定させて
CからB、Aへの砂利道と平行に進みながらほどよい高さになったところで右ターンのファイナルターンをして、LDに進入
します。この場合ほどよい高さとは簡単にいえば砂利道をかすめるように通過する高さです。極端にいえば砂利道の
あたりを見ていて上り坂で迫ってくる砂利道を低く越えるようにターンを始めていけばLDにおろしやすい高さです。
 場周アプローチではこのファイナルターンの前の直線をベースレグといいますが、この場合ファイナルターンで180°
近く旋回して南東に向けますからダウンウインドレグとベースレグを兼ねているといってもよいでしょう。この直線に
入る際の見極めの空間の一点をチェックポイントといいますが、要はCからAに向かい始める高さが重要です。下の
写真のように理想的にAの近くで右ターンをするとしたらCからAは300m近くありますから滑空比5としても60mの高さ
またA,C間は40m近く高度差がありますから合計で100m近く高度が必要となります。そうするとCを対地100mくらい、
そばの高い松林を30mとするとその3倍くらいの高さでチェックポイント通過となります。
 このアプローチの注意点は高さ感覚やグライドパスの把握のために練習しているわけですが、これが読めないと
ベースレグでのフォローで対地速度が速いまま地面に突っ込んだり、中段に立っている人にぶつかりそうになります。
砂利道をフォローランディングにならないように越えることが最優先ですが、急に高度が下がったりして越えられない
時はそこでフレアーしてランディングするしかありません。



(南東の風で2機同時進入の場合)
 南東の風で2機が同じ高度でランディングアプローチに入ってきた場合のアプローチの方法です。
最もリスクなく分かり易い方法は下の写真のように高度処理の空域を左右に分ける方法です。赤の機体は
AB間、青の機体はBC間とわけ、目標とするターゲットも赤の機体はLDの北側、青の機体はLDの南側の×の
ターゲットのあたりを狙います。
 ただし、赤の機体が丸のターゲットに近づいてくると青の機体はは風上側に幅寄せされる形になり、失敗した
場合の逃げるところがなくなります。また高度処理中も青の機体はよりターンの難しい高い木のそばを飛ぶことに
なりますから、最初から余裕が少ない状態です。そこで赤の機体はより青の機体が降りやすいようにできるだけ
LDの北側に降りてあげる必要があります。
 何より大事なのは同時進入にならないようにあらかじめ高度に余裕を持ってLDにもどり、同高度の機体がいれば
早めにお互いに降下手段などを使って高度差をつけることが重要です。ただこのLDは南北が300m、東西が100mと
非常に広いため、6機程度の同時進入でも安全に降りることができます。2機以上になった場合は高度が高い機体が
この青赤2機の風下側の空域でアプローチするのが適切です。
 そしてもう一つの選択肢は下の旧LDに降りるということですが、ここは110m×30mの広さで決して簡単では
ありません。事前に降りたことがある人ならば降りられるでしょう。

南東の風、2機同時進入の際の空域分け、赤は北側に、青は南側に降りる。

(北西の風の場合のアプローチパターン)
 北西の風の場合のアプローチは写真のようになります。高度処理はLDの南側の端で行い、北向きにLDに
進入します。北西の風は斜面を吹き降ろす風になるため機体の沈下率が大きくなります。そのため、思ったより
も早く地面が近づいてくるので注意が必要です。北西風が2m/s程度吹いているだけでも機体の沈下率は
南東風の際の2倍程度に感じられます。そのため高度処理中の沈下率も大きく、対地高度にかなりの余裕を
もっていないとショートしやすくなります。
 着地で重要なのはスピードを残しておいて力強くフレアーを行うということです。最終進入に入ったらできるだけ
直線飛行で揺らさないように、スピードをつけて着地に備えます。地面との高さが2mくらいになったら、力強く
フルブレークしてフレアーをかけます。速度のエネルギーを上昇のエネルギーに変えるわけですが、北風の
際には特にこれが必要になります。スピードをつける時の手の位置は耳の高さくらいがよいでしょう。
 着地の際の注意点としては上り坂に降りることになりますので、特に衝撃が体から逃げにくくなります。特に
丸のターゲットの南側の土手や中段などに降りると衝撃は大きいですから、そこを避けて最終進入をとるように
しましょう。

北西の風の際のアプローチパターン。LDの南端で高度処理し北向きに進入。
極力建物や電線の上を避ける。

(フレアーについて)
 フレアーというのは前に述べたように翼の迎え角を上げることによって速度のエネルギーを位置エネルギーに
変換して着地の衝撃を和らげることです。南風の際は下り坂で吹き上げの風の中で降りているので強いフレアーは
必要なくむしろすこしずつフレアーしていかないと浮き上がりすぎて不安定になってしまいます。ただし、南風であっても
風の弱いときやウインドグラジェントなどで不安定なときはある程度の速度を残してフレアーをかけられるようにしておく
必要があります。
 基本的な考えとしては高さが下がってくる分だけブレークを引いていくということで、南風の際は高度10mくらいで
あらかじめハーフブレークくらいまで引いておき、2mくらいから徐々にフレアーいきます。北風の際は、高度10mくらいには
ファイナルターンを終えてスピードをニュートラルにして保持し、2mくらいで一気にフレアーしていきます。この場合、高度が
下がるのも早いですから、高さを見ながら引いていけばよいでしょう。
 しかし、このフレアーというのは速度のエネルギーを使うことでフレアーをして浮き上がったら次には下降が始まります。
これはグライダーがピッチングして速度を得ようとするためです。最もよくない操作は浮き上がったときに引いた手を上げて
しまうことで、グライダーが大きくピッチダウンして加速しながら、下降してハードランディングする原因になります。一度、
フレアーをかけ始めたら、そこから引いた手をゆるめないことです。浮き上がってしまったら引いたままで待ち、また下降
してきたときに残ったブレークを引いていくのです。このフレアーのタイミングに意識を集中することが北風の場合は
特に重要になります。
 
(西風の場合のアプローチパターン)
 西風の場合のアプローチは下図のようになります。LDの東側の田圃の上で高度処理を行い、適切な高さになったら
丸のターゲットをオーバーして講習会場を狙うつもり最終進入にはいります。西風では風が安定せず急に高度が下がって
東端の土手に降りたりしやすいですから、すこし高めで進入して地面の高い体験斜面に直線をとるわけです。
 西風のアプローチは最も難しいと思います。一つには西風が安定して入ることは少なく、たいてい
ちょっとした気温差で北西風や南風になりやすいからです。もう一つは高度処理をする空域を広く取りにくく
ファイナルターンをした後の最終進入も短い直線しか取りにくいということです。
 西風が安定しないというのは西側には林や土手があって風が乱流になりやすく、また気温差によって
サーマルブローや吹き降ろしの風が発生したときに南風や北西風に変わりやすいためと考えられます。
そのため西風でアプローチする際はターゲット脇の吹流しの向きにいつも注意が必要です。例えば風向きが
南に変わってくれば最後に大きくターゲットの北側に回りこんで南向きに進入する必要があります。(赤の点線)

西風の際のアプローチパターン、高度処理は田んぼの上で。

(実際の西、南西の風のアプローチ映像)
 下の連続写真は西から南西の風1m/sのとき西風アプローチから上の写真の点線のように北に向かって
長く直線でベースレグをとって左ターンで南向きに最終進入してLDしています。ここで注意して見てほしい
ポイントは点線のように左ターンでファイナルターンをするときの高さです。西風の際は沈みが早い時も
あり、LDの縁の土手に降りる可能性もありますから、ターン時の沈下も考慮してやや高めにターンしたほうが
自信のない時は無難です。加えて下の写真では上段方向から青い機体が進入してきたために早めにファイナル
ターンをして回避しています。
 やや高めでLDに進入した場合は緩やかなS字ターンを使い、最後は体験斜面の緩やかな土手にむかって
西または南西向きに最終進入をとるのがよいでしょう。下の写真では最終的に×のターゲット方向に向かって
降りていますが、この方向だと風が西から北西よりになる場合などは対地速度が速くオーバーしやすくなります。

1.田圃の上をLDの縁と平行にすすむ          2.さらに進んで高度を下げる

 3.LDへすこし近づく、スタンディングへ移行      4.すこし高いのでさらに北に進む

 5.左ターンでLDへ進入、すこし高度は高め     6.右から青い機体が進入している

 7.すこし高い高度を軽くS字ターンで処理      8.さらに左へS字ターン

 9.×のターゲットの方に向ける            10.減速して着地準備

 11.下の段に着地、風向は南西から西
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