「著作権」について考えよう
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なぜ今「著作権」なのか
「著作権なんて作家・作曲家・広告業・放送局のような職業の人だけが考えればいいことで、一般市民には関係ない。」とお考えの方が多いのではないでしょうか?しかしこれは大きな誤りです。なぜなら、誰でも自分の創意で何かを生み出せばその場で著作権が発生するからです。絵、文章、イラスト、音楽、ダンスその他もろもろが対象で、作者の職業も関係ありません。また携帯の着メロ、カラオケ、レンタルCDなど、我々が日常生活の中で利用しているものにも、実は著作権の問題が深く関わっています。
もう一つ別の見方をすれば、今は誰でも簡単に他人の著作物をコピーすることができます。IT化社会の進展に伴って、急速にデジタル機器が普及してきたからです。PC、デジカメ、スキャナー、カラープリンター等々、家電量販店に行けば簡単に手に入り、価格も手頃になりました。そして、それらの機器を使ってコピーした映像、音楽などは、デジタルなのでオリジナルと同じ品質なわけです。今は誰でも容易に著作権侵害の被害者または加害者になることができる時代になってしまいました。やはり職業や地位は関係なく、平等にその危険性があります。そして、その事で不利益を被ったり責任を負わされたりするのは、ほかならないその人(あるいは法人)自身です。
著作権は我々の身の周りのいたるところに存在しているごく日常的な権利です。しかし、最近「著作権」「知的財産権」という言葉が毎日のようにメディア報道に出てくる反面、一般の方々が著作権を理解するための分かりやすい資料・文献はまだまだ不足しています。少しでもこのページがお役に立てればさいわいです。
「著作権」とはどのような権利か
「著作権」には大きく3本の柱があります。1本目は単に「著作権」、または「狭義の著作権」「著作財産権」などと呼ばれます。ごく簡単に言うと、「著作者」が創作した「著作物」は、他の誰からも勝手に複製その他使用されないという権利です。他の誰かが使用したければ、著作者の許可を得て、場合によっては金銭の支払いが必要です。我々が思いつく「著作権」とは、おそらくこちらのほうでしょう。
著作物の利用の仕方はコピーすることだけではなく、音楽を放送したり、映像を人前で映したり、美術品を人前で展示したりなど様々な方法があります。それら利用の仕方に応じて、「複製権」「上演権・演奏権」「展示権」「公衆送信権」などいくつもの権利に分かれています。最も我々に身近なのは、他人は勝手に著作物を複製や転載してはいけないという「複製権」でしょう。
2本目の柱、それが「著作者人格権」です。経済的利益ではなく、著作者の「名誉」や「人格的利益」を守るための権利で、「他人に勝手に著作物の内容を書き変えられない権利」「他人に勝手に自分の著作物を発表されない権利」「他人に著作物を発表してもらうときは自分の名前を表示してもらえる権利」から成り立っています。心が純粋な子供たちは、どちらかと言うと「著作権」といえば「著作者人格権」のほうをイメージするようですね。
さらにもうひとつ、実演家・放送事業者など「著作物を自ら演じたり伝達したりする人」に与えられる「著作隣接権」と呼ばれる3本目の柱があります。これこそがプロの人たちのための権利と言えます。
このようにひとくちに「著作権」といってもさまざまな性質の違う権利から成り立っており、よく「権利の束」と呼ばれます。初学者にはたいへん理解のしづらい点です。
「著作者」って誰のこと
「著作権法」には「著作物を創作する者」と書いてあります。
「なんだそれだけか。」と思われた方、無理もありませんが、実はこれがたいへん重要な意味を持っています。著作を職業とする人に限らずどんな人でも著作者になれるということです。ただあえて言えば、創作した著作物が経済的価値を生むかどうかという違いは存在します。
では表向きは著作者の人が実は第三者に外注して著作させたとか、ゴーストライターに書かせた場合、著作者は誰になるのでしょうか?こういう状況は現実にはたくさん存在するでしょう。当事者の間に何の取り決めもなければ、あくまで自分の手で著作物を創作した人が著作者です。したがって第三者やゴーストライターが著作者になり、著作権を持つことになります。これが後々トラブルの原因になり得ます。他人に著作を任せる場合は、権利関係をどうするかという契約をしっかりしておく必要があります。
もう一つ重要なこと、それは企業その他法人の従業員が、法人の指示で法人の仕事の一部として著作物を創作した場合の取り扱いです。もし従業員が「それは私の創作した著作物だから、勝手にコピーしたり外部に公表したらダメ」と言い出したら、法人の業務は大きく停滞してしまいますね。こういう場合は、従業員ではなく法人が著作者になり著作権を持ちます。この原則は「法人著作」と呼ばれます。
では「著作物」とは
「著作権法」には、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とあります。繰り返しますが、著作を職業とする人が作ったものとはひとことも書いていません。著作者の考えたこと、感じたこと、思いついたことを具体的に表現したものはおおよそ著作物に該当します。「著作権法」は著作物をさらに細かいカテゴリーに分けています。「言語の著作物」「音楽の著作物」「舞踊、無言劇の著作物」「美術の著作物」「建築の著作物」「地図、図形の著作物」「映画の著作物」「写真の著作物」「プログラムの著作物」の9つです。我々がイメージする小説、絵画、彫刻、映画、音楽などにとどまらず、建築物やダンスの振り付けといった意外なものも著作物として認められています。
さらに著作権法は、著作物についてもう2つ異なるカテゴリーを設けています。「二次的著作物」「編集著作物・データベースの著作物」です。「二次的著作物」は簡単に言うとオリジナルの著作物を翻訳、編曲、脚本化、映像化などで作り変えたものです。「編集著作物・データベースの著作物」は、国語辞典、百科事典、タウンページ、新聞社Webサイトの過去記事検索コーナーなどが代表です。このように「著作権法」が定義する著作物は、じつに広範な分野にわたっています。
では反対に、著作物と認められないものは何でしょうか?まず、著作者の頭の中にだけあって具体的に表現されない「アイデア」は対象外です。そして「思想または感情の表現」であることが必要ですから、「単なる事実」は著作物ではありません。「2008年1月1日は火曜日」「東京タワーの高さは333m」などがそれです。また「創作的に表現したもの」ですから、完全な模倣(デッドコピー)や、大幅に他人の著作物の表現を模倣したものはダメです。短い語句を連ねただけのもの、例えばスローガン、タイトル、キャッチコピーも著作物とは認められないと解されています。「注意一秒ケガ一生」「まいう〜」「そんなの関係ね〜」「どんだけ〜」などが好例です。しかし、たった17文字の「俳句」は立派な「言語の著作物」で、保護の対象になります。興味深い点ですね。
そして「著作権法」には、「著作物ではあるが著作権の保護はしない」という微妙な定義をされているものがあります。国・地方公共団体の法令・条例・規則や、裁判所の判決・決定・命令などがそれです。国民に周知させることを前提とした著作物ですから、著作権の保護はしないという趣旨です。よってこれらは自由にコピー・転載などを行なってかまいません。
ただ著作物性がないものはあくまで一部の例外で、大半のものは著作物であり、著作権の保護が必要という認識が我々には必要でしょう。
著作権を得るには
はっきり言って、何もいりません。上でも少し触れましたが、著作物を作ればその場で自動的に著作者は著作権を得られます。難しい手続きも費用も必要ありません。著作者にはたいへん有利なことです。これは「無方式主義」と呼ばれ、日本を含む世界中のほとんどの国でこの原則が採用されています。
文化庁の登録という制度がありますが(いくつかの登録の種類がありますが、ここでは省略します)これを経ないと著作権が発生しないというものでは決してありません。あくまで第三者への対抗要件、つまりその著作物は確かに自分が作ったんだという証拠にするためのものに過ぎません。ちなみに登録料を受け取って独自の著作権登録を行うという民間団体があるようですが、法律上は何の意味も無いものです。くれぐれもご注意ください。
著作権侵害のペナルティーは
個人については5年以下の懲役または500万円以下の罰金、あるいはその併科、法人については1億5千万円以下の罰金です。めったにはありませんが逮捕だってあり得ます。アマチュア漫画家がある朝突然警察に連行・逮捕され、何日間も勾留されたというケースもありました。
「そんなの自分には関係ないさ」とお感じの方も多いと思いますが、実際の日常生活や職場では、知ってか知らずか著作権を侵害してしまうことがあります。例えばゆうべ放送されたドラマを録画したビデオテープをクラスメイトに貸す行為、他人が撮影したアイドルの写真や好きな音楽アーティストの楽曲を、Webサイトのサーバー内に置いてよその人が閲覧可能にする行為、職場でよその人の書いた専門書を勝手にコピーする行為、実はみんな著作権侵害なんですね。ただ著作者には分からない場合が多いだけです。心当たりのある方、今後は慎みましょう。
さらに恐ろしいのは、法人に対するペナルティーの1億5千万円以下の罰金です。それだけで中小企業はつぶれかねません。今後法人の中でもいっそう従業員の著作権意識啓発が必要になります。
刑事罰だけでなく、侵害された側が損害賠償を求めて民事訴訟を起こす場合はもっと深刻です。けっきょく刑事・民事両方の責任を負わされる可能性がある上、個人・法人問わず社会的信用はガタ落ちになり、何もいいことはありません。ふとした出来心で行なったことが、とんでもない結末を招いてしまうわけです。
どうすれば著作権侵害にならないか
基本的には著作者の許可をもらうことです。方法はいろいろありますが、目的とする著作物が商業用なら、手続きがいろいろ面倒な上に使用料を請求される可能性が高いでしょう。でも人が苦心して一生懸命作り上げたものを使わせてもらうわけですから、ある程度の不都合は仕方ないと思ってください。日本では、JASRAC(日本音楽著作権協会)をはじめ様々な団体が著作者に代わり著作権管理を行っている場合が多いです。
友人知人が趣味的に作ったものを使いたいときでも、本人にはひと声かけてからにしましょう。「友達だからいいんじゃない?」と思い込んで勝手に使うと、あとでトラブルの元になります。
ここまで読んでうっとうしくなった方、ご安心ください。「著作権法」は、「こうこうこういう使い方をする場合には著作者の権利は制限され、著作者の許可は要らない」という、いわゆる「自由利用規定」をかなり広範囲にわたって定めています。代表的なものが「家庭内で個人的に使用する目的での複製」や「引用」です。例えばTVドラマを自分の部屋のビデオデッキで録画して、何回も自分の部屋の中だけで繰り返して見るのはセーフなわけですね。ただ「自由利用規定」いずれにも当てはまらない使用の仕方は、著作者の許可が必要なことは変わりありません。線引きが難しい部分です。
おわりに
いま著作権の問題は複雑多岐にわたっていて、このページの中でお話したことはほんの入り口部分です。著作権に関する契約締結や登録など、各種書類作成のご相談をお受けします。
なお「業務ご案内」のページにもあります通り、ご相談は原則有料とさせていただきます。メールアドレスはasai-gyosei@h4.dion.ne.jpです。
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