むち打ち症
 自動車事故などで首をガクンとやられると、すぐ「むち打ち症」ではないか・・・ということになるが、実際にはほとんどが頸部の捻挫で、いろいろな精神・神経症状を訴えることがあります。

T 原因・症状
 症状としては、事故などによって、頸部を強く屈曲・伸展させられた場合には、頭痛、鼻つまり、まぶしさ、めまい等、さまざまな愁訴で悩まされます。
 しかし、多くの場合、頸の捻挫であって、いつまでも頸が重く、集中力に欠けたり頭や眼が痛むといった症状を訴える場合には、”むち打ち症”という心理的な不安から自律神経失調や心因性疼痛を起こしていると考えられます。
 事故にあったら、すぐに整形外科や脳外科の専門医の診断を受け、どこにどういう損傷を受け、それはどのくらいの期間で、どのように治るかという経過の予測を正しく示してもらいましょう。むやみな心配はしないで下さい。

U 治療
 むち打ち症の急性期は安静が第一ですが、症状が取れないときは、鍼灸治療で効果をあげることができます。
 むち打ち症は、障害された組織によって、現われてくる症状もさまざまです。中でも、耳鳴りやめまいは椎骨動脈の障害であるから、専門医の治療が必要です。
 このほか、頸が回らない。肩が痛い、肩がこる、頭が痛いといった靭帯や筋肉の障害、また、手先のしびれや、物をポロリと落とす筋力の低下などがあげられます。
頭が痛い
頸が回らない
肩が痛い、肩がこる
天柱、風池、天容、大杼、曲垣、肩井、天りょう、天宗、巨骨
〈肩こりがひどい場合〉 肩井、曲垣に灸を5壮ずつ、また頭痛が続くときには天柱、風池に灸を3壮。
〈手先にしびれがある場合〉
・しびれが親指や人差し指 曲池、手三里、温溜、陽谿、合谷
・中指がしびれる 尺沢、げき門、内関、外関、大陵
・薬指や小指がしびれる 少海、神門、陽谷、養老
・しびれ感が頑固に続くような場合 曲池、尺沢、少海または内関、神門、合谷


効果のあるツボ

〈頭が痛い、頸が回らない、肩が痛い・こる〉
・天柱(てんちゅう)
後頭部の出っ張った骨の下端のくぼみから約2cm下で、外側2cmのところ。
・風池(ふうち)
耳の後ろには大きなとがった骨の出っ張りがある。この骨の下端と、ぼんのくぼ(後頭部の髪の生えぎわより少し上のくぼみ)を結んだ線の中央にある。
・天容(てんよう)
耳の下。側頸部で下顎角の後方、胸鎖乳突筋の前縁。
・大杼(だいじょ)
首筋にある。肩背部、第1、2胸椎棘突起間の外方1寸5分。
・曲垣(きょくえん)
肩甲骨の上の方で、内側の端。
・肩井(けんせい)
両肩の中央にある。首を曲げるとポコンと飛び出る骨と、肩先の2点を結んだ線の真ん中にみつかる。
・天りょう(てんりょう)
肩井から指2本分背中側に下がったところ。
・天宗(てんそう)
肩甲骨の中央にあるくぼみ。
・巨骨(ここつ)
鎖骨外端の後側と肩峰との間の陥凹部。
〈親指や人差し指にしびれ〉
・曲池(きょくち)
ひじを曲げた時にできる大きなシワの端。
・手三里(てさんり)
ひじの曲がりめから下2寸、人差し指側。
・温溜(おんる)
前腕後側、手関節横紋の上5寸。
・陽谿(ようけい)
手関節の橈側、橈骨下端の陥凹部。
・合谷(ごうこく)
手の甲、親指と人差し指のまたの間。
〈中指がしびれるとき〉
・尺沢(しゃくたく)
ひじの内側のしわ、親指側の硬い筋のところ。
・げき門(げきもん)
前腕前面の中央、手関節前面の上方5寸。
・内関(ないかん)
手のひら側、手首のしわ中央から2寸ひじ寄り。
・外関(がいかん)
手首を後ろに反らすと出る、しわの中央から上に2寸。
・大陵(だいりょう)
手関節前面、横紋中央。
〈薬指や小指がしびれるとき〉
・少海(しょうかい)
肘関節前面の内側、上腕骨内側上顆の直下、横紋の内端。
・神門(しんもん)
手のひら、手首の一番小指側のきわ。手のひらの小指側の下にある小さな骨(豆状骨)の横。手首の横じわの際で、押すとツーンと響くところ。
・陽谷(ようこく)
手関節の背側、尺骨茎状突起の直下の陥中。
・養老(ようろう)
手の甲側の小指の付け根、骨がへこんでいるあたり。
〈しびれ感が頑固に続くような場合〉
・曲池(きょくち)
・尺沢(しゃくたく)
・少海(しょうかい)
・内関(ないかん)
・神門(しんもん)
・合谷(ごうこく)
【参考文献】 「むち打ち症」(医学大百科 インサイド ヒューマンボディ ディアゴステーニ社)
「体のツボの大地図帖」(クロワッサン特別編集版 マガジンハウス)