週刊少年「板垣恵介」
Q1〜Q20詳細


 閉店後と思われるうすぐらい漫画喫茶 店内を歩く、編集長 船越英一郎。

「私たちの心をゆさぶり続ける偉大な漫画家達に100の質問。
 その想像力の源をさぐる 週刊少年『』(かぎかっこ)…
 今回は格闘技に命をかける格闘士(グラップラー)たちの真剣勝負に手に汗にぎらさせる、板垣恵介先生です」

 本棚からグラップラー刃牙 1巻をとりだし船越英一郎が笑みを浮かべる。


・ナレーション
「板垣恵介。1957年 北海道に生まれ。
 19歳のとき自衛隊にはいり、25歳で除隊、漫画の道へ。
 7年後『メイキャッパー』でデビューし、その後発表した『グラップラー刃牙』が大ブレイク。
 以後『餓狼伝』を漫画化するなど、独自の格闘ロマンをえがき続けている」

・字幕
「板垣恵介。1957年 北海道に生まれ。
1981年 自衛隊除隊。
1989年ヤング・シュート創刊号に
『メイキャッパー』でデビュー。
1991年週刊少年チャンピオンにて
『グラップラー刃牙』を連載開始。
1996年コミックバーズに『餓狼伝』を連載開始。 1999年 第二部『バキ』へ移行。
格闘ロマンを描き続ける人気マンガ家。」

・背景はコミックス中の板垣先生の写真が次々と浮かぶ。
 クマに拳を当てている写真(バキ16巻)と、入浴中の写真(バキ6巻)が印象的だ。


タイトル 『週刊少年「板垣恵介」』
 板垣先生を中心にバキや丹波の絵がはいって表紙が完成していく。

・アオリ文句
「取材で格闘家と"立ち合う"!?
 恐るべしグラップラー魂!!」

「ファンレターが生んだ
 ドリームマッチ!
 ジャイアント馬場
    VS
 アントニオ猪木!!」

「衝撃事実発覚!!
 デビュー作のきっかけは
「ダンプ松本」!!」

「板垣先生のインタビューが
 聞けるのは週刊少年「だけ!」」

「明かされる「バキ」今後の展開!!
 鍵を握るのは「愛」の力!!」


 週刊少年「板垣恵介」 第9号



 マンションの一室と思われるドアを開け、一礼する船越英一郎。

船「おじゃまいたします。
  おっ、いきなり入り口にドクロが…。
  おおッ! こ、これは、おどろきますね〜」

 うす茶によごれた頭蓋骨と、月の輪グマの剥製が船越をむかえる。
 クマは2階(?)への階段の前にすわっており、通行がやや不便だと思われる。

船「玄関先から威圧感がある…
 それでは、まいりたいと思います」

 階段の先を見上げ、クマをよけつつ船越はおくへ進む。
 トビラを開けると、そこがいたがき組の仕事場であった。かなり広い。
 2面が大きなマドになっていて開放感のある職場だ。マドの向こうには、人がじゅうぶんに寝転がれるサイズのベランダが見える。
 アシスタントは5人ぐらいだろうか、ちらっとごく普通サイズのオーディオ機器がみえる。

 船越は板垣先生にお土産の「まめえんの おせんべい」をわたし、あいさつをする。



マンガ家のこと Q1〜Q20


Q1 朝、何時に起きる?
船「先生、だいたい朝は何時ごろ 起床されますか?」
板「朝おきるって生活をしていないんですよ。
  24時間体勢……、…というか24時間の生活をしていんで。
  眠くなるまでは寝ないし。あの…、とくに目がさめるまでは起きないという」


Q2 アイデアを考える場所は?
船「アイデアをお考えになる場所はどちらで?」
板「それも、だからないですね。
  どこ…でも浮かびますね。または、ここだという場所で浮かばなかったりしますけど。
  (仕事が)終わって間もなくに浮かんだりとか。
  気持ち高ぶりますよね。仕事終わったばかり。
  一番つかれている時なんだけども、
  実はその時が、けっこうかき入れどきだったりすするっていう」


Q3 マンガ家になるきっかけは?
船「マンガ家になろうと、思われたきっかけを教えていただけますか」
板「矢沢永吉さんの『成り上がり』という本を、まあ、21のときに読みまして。
  自分が一番才能を発揮できる道はなんだろうというふうに考えて、
  23のときに、……描くことだと、いうふうに結論だしまして」


Q4 マンガ家になっていなかったら?
船「もしマンガ家になっていなかったら、ご自分はなにをされたと思いますか」
板「マンガというものに出会っていなかったら、なかったら…
  ボクサーになろうとしていたんで、プロボクサーとしてどこまでいけるかと、そういうチャレンジ精神はありましたね」


Q5 印象に残っているファンレターは?
船「とくに印象に残っているファンレターというものがありましたら、おしえていただけないでしょうか」
板「それがですね!   地下闘技場のトーナメント編をやっているころなんですけども。
  猪木と馬場をモチーフにしたキャラクターがいましてね」
船「猪狩と斗羽という2人ですね」
板「この2人を戦わせてもらえないかと、今描けるのは、あなたしかいないというような、かなり熱心なファンレターをいただきましてね。
  馬場さんがなくなった時に、エピソードをみているうちに、インスピレーションがひらめいて、
  よし、やってみようと」


Q6 資料は何を使う?
船「だいたい一番多くご覧になる資料は」
板「ここ何年かは、僕がすごく一番イメージをいただいているのは写真集なんですよね」


Q7 格闘家を取材する?
船「格闘家のところにを取材したりしますか」
板「いや、もう…
  過去ずいぶんやっていますよ」


Q8 こだわりの道具は?
船「マンガを書いている上で、こだわりの道具ってものはなにかありますか?」 板「いや、得にないですよ。
  ペンは、ずっと同じ物を使っていますけど、それだって長めの状態で売っていますよね。それをたち切って、すごく持ちやすいようにして。でテーピングして。
  細いものだと、僕筆圧が強いのでもたないんですよ、手が」


Q9 アイデアノートはある?
船「浮かんだアイデアをまとめておくアイデアノートはおもちですか?」
板「もってないですね」
船「おもちでない!?」
板「もってないです」
船「出っちゃったらどうするんですか?」
板「いや、記憶にのこらないようなアイデアだとどうしようもないですよ。
  使えないですよ」


Q10 マンガ家になって得したことは?
船「マンガ家になって得したことは?」
板「いや、それは…!
  それはもう、数え切れないですよ。
  デビューして漫画がヒットしたら、これをやるんだ。これを買うんだっていうものが全て手に入りましたから。
  それはもう、素晴らしかったですよ」


Q11 辞めたいと思ったことは?
船「マンガ家を辞めたいと、思われたことはありますか?」
板「瞬間的にはね。
  そういうこと言ったりすることはありますよ」
船「追いつめられた時などですか(笑)」
板「もう、マンガやだって

実感のこもった声。船越、苦笑。

板「いったりすることありますよ。でも、本気じゃないですよ。もちろん」


Q12「やっていける」と確信したのはいつ?
船「これでマンガ家としてやっていけると確信がもてたのははいつごろでしょうか」
板「それはですね、劇画村塾で僕は最初の課題を出せなかったんですよ。
  それは親戚で倒れた人がいましてね。集中治療室の前で、待合室でね課題をやるということになって。それでも、とうとう間に合わなかったんですよ。
  あと1・2ページってところで。
  それを事務所に遅れてすみません、って持っていって。
  それで、遅れてすみませんといって課題を出したんですよ。
  万全の形で出したものではなかったんだけど、それが非常にいい評価を得たんですよ。
  先生が作品を非常に高く評価している、頑張ってくれといわれて、その瞬間でしたね」


Q13 座右の銘は?
船「座右の銘がありましたら教えていただけないでしょうか」
板「不自然主義ですね。
  ときどきネームに…いや、ネームじゃなくて、サインとかで、何か一言という時は不自然主義って書くようにしてるんですよ。

  それは僕の造語でね。
  自分が目的を達成しようというときは、   よく俺は俺らしくやる…ていうじゃないですか。あれやってたらダメだというのが僕の持論なんですよ。
  普段はほとんど自分らしくやっているわけだから、なにか目標を達成するためには不自然にやっていかなくては達成できないというのが持論なんですよ」


Q14 締め切りは守る?
船「先生は締め切りは守られるほうでしょうか」
板「守るほう…だと思いますよ。
  まだ、2回だけですからね、落としたの(苦笑)」
船「そうですか(苦笑)」


Q15 最大のピンチは?
船「マンガ家として、これが最大のピンチは?」
板「メイキャッパーの2回、2話目だったんですけどね。そのとき、月イチ連載だったんですけど、初めてアイデアにつまるという体験をしましたので、
  そのときは、考えているうちに気持ち悪くなって、洗面所でもどしちゃったら、血が混じっていまして、
  こういうことって本当にあるんだ…って思いました」

Q16 アシスタントを選ぶ基準は?
船「先生がアシスタントを選ぶ基準がありましたら、教えていただけないでしょうか」
板「今だったら、比較的 水準を満たしているんだったら、あとは人間性を見ようとしていますね。
  初期のころはねぇ。
  それより とにかく技術を。技術がないと。余裕ないですからね」


Q17 アイデアに行き詰まった時は?
船「アイデアに行き詰まったときはどうされますか?」
板「いや、またやり直しますよ。
船「1から構築しなおして?」
板「ええ、また考え直しますね。
  綿密に組み立ててきたものを全部壊してでも、これだってのが…
  そういうときにこれだってのが、神の啓示(けいじ)みたいなのがあるんですよ」


Q18 キャラクターの性格付けで重要な点は?
船「先生がキャラクターの性格づけで一番気にかけていることはなんでしょうか」
板「それは、たった一つなんですよ。」

 といって板垣先生タバコをふかす。

板「それは、とてつもなく、どういう人なの?ってことなんですよ」
船「はぁ〜〜〜!(感心したように)」
板「まず、顔ができて。
  顔から入っていくんですけどね。
  じゃあキミはとてつもなく、どうなのって、ところから入っていきますね」


Q19 編集者とはどういう存在?
船「先生にとって編集者とはどういう存在でしょうか」 板「もう、描かせる気にさせる。描く気にさせる。
  よく若い編集者にいっているんですけど、ブタを木に登らせるぐらいじゃ全然たりないんだよ。木に登ったブタをはばかたせるようなウソをついてみろと」
船「ブタを飛ばせと」
板「そうそうそうそう」


Q20 マンガ家としての職業病は?
船「マンガ家としての職業病をお持ちでしたら…」 板「それがね、スケジュールであるていど以上に忙しくなると、後頭部の右側がズキンと痛くとか。
  こうなると、ちょっと休むとか体操するとか寝るとかしないと治らないんですよね」





・アイキャッチ 週刊少年「板垣恵介」

「グラップラー刃牙」の表紙や内容を背景にして、ナレーションにより作品紹介をしていく。

・字幕
(C)板垣恵介/秋田書店
『グラップラー刃牙』
(1991年〜99年 週刊少年チャンピオン)

・ナレーション
 グラップラー刃牙。
 主人公 刃牙が目指すもの、それは地上最強の生物、父・勇次郎をたおすこと。
 大猿・喧嘩師・達人の出現がストーリーにいろどりを加え、筋肉・表情・痛みが読者の格闘DNAを刺激する。
   格闘ファンならずとも楽しめる、空前のブームを生み出した話題作。



Q1〜Q20の詳細


Q3 マンガ家になるきっかけは?
A 矢沢永吉の『成りあがり』に触発された

船「マンガは小さいころから、お描きになっていたんですか?」
板「描きましたね。それは、もちろん描いていましたね」

・ 初めてマンガを描いたとき
船「よくノートにコマをわって、ストーリーマンガで…」
板「いや、そういうのはね、中学1年のころに、そういうのをやっていた時代はありました。
 クラスすごく上手な友人がいまして、競うように連載をしていたことがありますね」
船「そのころから、連載を!?」
板「そう、連載ですね(笑)」

 板垣先生、なつかしいのか妙にうれしそう。

・ マンガ家になる決意
船「マンガ家としてやっていく決意は」
板「だから23で決意していたんですけど、まだ自衛官でしたから活動はできなかったんですよ。
 24でやめて、漠然と「絵」とは思っていましたけど、その絵をどういうふうに金にかしていくのかということで……」
船「じゃあ、まだマンガ家になる決意ではなかったんですか?」
板「そうですね。絵という、イラストレイターなのか画家なのかと。
 それで、講談社のフェーマススクールズというゼミで、マンガ家の先生がきて、こういう道もあると紹介してくれて。こりゃ、もうかりそうだと。
 ヒットしているマンガ家は、売れっ子のイラストレイターよりもうかっていましたからね。
 こりゃぁ、億万長者になれるかもしれんなと」

 興奮したのか鼻を手でこする板垣先生。

・字幕
講談社フェーマススクールズ
1967年より講談社がアメリカと技術提携して開設した美術通信教育機関


・ デビューまでのいきさつ
船「マンガ家を決意されて、後のステップはどういうもので?」
板「もう独学でしたね、ずっと」
船「持ちこみをされたとか、アシスタント経験がおありだとか」
板「ない ない ない ない」
船「どなたにも師事せずに?」
板「師事ということであるなら、30のときに劇画村塾にいきましたから、小池一夫先生にマンガのセオリーは習いましたけど、手取り足取り絵の描き方をならったことはないです」


・ 『グラップラー刃牙』誕生秘話
船「週刊少年チャンピオンでいきなり連載でスタートされていますが、そこのいきさつと言うのをちょっと教えていただけないでしょうか?」
板「メイキャッパーが単行本になったんですよ。それをみてチャンピオンの編集部が連絡をとってきて、メイキャッパーを連載できないかと。
 それは、たくさんの人が関わった形で生まれたので、それはできないんだと。
 その代わり、なにか描きたいものはないかといわれ、格闘技が描きたいんだと。
 まず読切りを描いて、人気をみて短期集中連載、短期集中からこんど連載。人気があればステップアップしていくんですけど、それをやっている時間はないんだと。
 僕はメイキャッパーも連載していましたから。それと僕はサラリーマンをやっていたいたんですよ、基本的に。
 大前提としてそれがあって、サラリーマンやりながら、メイキャッパーも連載していることで、僕はもうまったく時間がなかったんですよ。
 やるんだったら、いきなり連載で、すぐ会社を辞められるという約束を取りつけられないとできないと。
 スケッチブックなんかに刃牙も、今の主要キャラクターもほぼ描いて、こういう作品になるんだと説明して、これは必ずヒットするんだと。
 読切りだとか、短期集中とかケチくさいこといわないで、いきなり連載でやりましょうって」
船「それで編集者に納得してもらえたのですか?」
板「ええ、まあ、納得してくれましたね」

Q5 印象に残っているファンレターは?
A ジャイアント馬場vsアントニオ猪木を描いて欲しいとの要望

船「小さいころってのは、もうマンガもそうでしたし、実際もそうだったんですけど、馬場さん、馬場さん!って思ってきたので、あの試合と結末は本当に馬場ファンとしてうれしかったですね!」
板「まだ生きているって」
船「ええ、もう本当に! すごい夢ですよね! あれはね」
板「そうあって欲しいと思いますよね」
船「ええ。あれを読むと実際も、…もしかしたらと思っちゃいますよね」
板「あのラストシーンが思い浮かんだので、1冊描きあがる自信がもてたんですよ。こりゃイケるって」

 熱心にベタぼめされて、うれしいのか板垣先生とろけるような笑顔で、煙草の煙も増量中。



 ここで「グラップラー刃牙 外伝」の紹介が入る。
 マンガを背景にして、ナレーションにより作品紹介をしていく。

・字幕
(C)板垣恵介/秋田書店
『グラップラー刃牙 外伝』
(1999年 週刊少年チャンピオン)

・ナレーション
 グラップラー刃牙 外伝。
 アントニオ猪木とジャイアント馬場をモチーフにしたキャラ猪狩vs馬場の格闘技ファンが身震いするドリームマッチ。
 試合中、斗羽が息絶えたが、実はパリで悠悠自適に生きていたというラストシーンはファンに夢の幻想をいだかせた。




 すいません、残りはちょっとずつに追記していきます。



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