kian no omoi
◆ ◇ ◆ 煕菴の想い ◆ ◇ ◆


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   章は芸術品でなく、実用品である。

  よって私も芸術家でなく一職人である。
  しかし、この職人が この国から姿を消そうとしている。
  いや消されると云った方が正確であろう。
  手で彫った美しい印章よりも コンピューター彫刻機で
  削られた安物を買うことを 美徳と考えた人たち、
  消費の常識に犯されたこの国・・・・
  それによって長年の修行の末に身につけた腕を
  振るえなくなってしまった。



 章は人生の大切なパートナーであり、あらゆる持ち物の中で
 もっとも大切な器である。
 これを百歩譲ってすばらしい文字を得て、よい判下を書けたとしても、
 これをスキャナーで読み 彫刻機 で彫れば、
 気迫と気品は生じる筈もなく、平々坦々とした凡作に終わる。
 これを人生のパートナーとして
 重要な契約、高額商品の購入 に使えるだろうか。
 刀を正しく研ぎ、これでよしとするまでには三年。 技にまた五年。
 文字を自由に変化応用出来るのは 年以上であり、
 しかもその道は無限につづく。その道を 私はあえて歩んでいる。


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