**** 箱根駅伝にも代走だせたら ****  2011年12月

 箱根駅伝のシーズン。

大学対抗ながら、地域出身のスターを応援する人がたくさんいることもありファンは多い。

(例えば、エントリー選手320人中、中国地方高校の出身は36名)

それにしても、都会大学の駅伝競走にこれだけ注目が集まるんだから、

日本人ってほんとに長距離観戦が好きなんだなと思う。

 

箱根で生まれるさまざまなドラマが感動を呼ぶんだけど、残念なドラマも多い。

 

箱根駅伝は大学駅伝最高の舞台で、20チームが約220kmの距離を二日間10人でタスキをつなぐ。

一人が走る距離は最短区間でも18.5km、それを精鋭のランナー達が走りぬく。

来年が88回大会となる長い歴史の中で、何度もアクシデントによる大失速があった。

レース中に脱水症状で走れないなんて、悲劇好きのファンには、(言い方は悪いが)たまらないだろう。

 

駅伝競技は、アクシデントがあってもレース中に交代はできない。

「第88回東京箱根間往復大学駅伝競走開催要項」の「メンバー変更」の項目に書かれてある。

「変更は正競技者と補欠競技者との交替のみとし、区間変更は認めない。」

補欠登録されたものとの交代も、当日朝に決めることができるが、それ以降は交代できない。

 

体調不調などにより、タスキがつなげず棄権となった場合、残りのメンバーがどうがんばっても順位外。

失速した選手の「責任を果たせなかった」悔いは、相当のもんだろう。

チームの1年間のがんばりが個人の不運によって消され、挽回しようとしても誰もできない。

体調管理を万全にしたからといっても、避けられないものはある。

アクシデントなどで、本番で棄権することがあるのは、一流アスリートの集いであるオリンピック選手ですらある。

なるべく、そんな悲劇のドラマはなくしてしまいたい。

 

だいたい、チームプレーで選手の一人がケガをしてしまったからといって、

即、「敗北決定」って競技があるだろうかまぁあるんだけど)。

多くのチームスポーツは、選手の一人がどんな大けがしても、

代わりの選手を出せば、試合は継続できるし、場合によっては交代によって一つも不利にならない。

サッカーは、決めれらた交代要員数の範囲で代えられるし、

野球なら18人のベンチ入りとしたら、半分の9人が欠場してもいいし、

バレーボールなんて、一度交代した選手が再出場できる。

「もしオレに何かあっても、他のメンバーががんばってくれる」、

「チームメイトのミスをオレ達でカバーするんだ」というのが、

団体スポーツの本来じゃあないだろうか。

 

もし「野球も途中交代を認めないことにしよう」ってなったら、「なんで?」となるでしょ。

「野球は、激突があったりケガをしやすいスポーツだから、駅伝と同じに考えられないでしょ」というなら、

「激突やボールが当たることによるケガの場合は除く」としても、交代したい要因はいっぱいある。

野球だって脱水症状はあるし、足をつったりひねったり、耐え難い肩痛やひじ痛が発生することもある。

すべりこんだ拍子に骨折なんてこともある。

それが年1回の集大成の試合で起こって、即負けが決定してしまうとしたら、相当数の悲劇が生まれる。

棄権にならないように、動けない体であっても試合に出続けることも激増するだろうし、

「痛み系」なら、見た目にわからないため、どうにもならないまで我慢するだろうし、

可能なら痛み止めを打ち続けるだろう。

これって、健全なスポーツのあり方ではない。

 

これと同じことが駅伝では行われている、と言えないだろうか。

駅伝選手は走れる状態じゃなくなっても、中継地点まで走ろうとする。

棄権をさけるために。

「タスキの重み」のために。

 

2008年の大会では、3チームが途中棄権となった。

練習不足の市民ランナーや飛び入りの素人ランナーじゃなくて、精鋭のランナーが、ですよ。

それほど「起こりうる」ことなのだ。

 

ならば、駅伝でも、レース途中の選手交代を認めようではないか。

短距離、中距離のリレーは、その競技の特性上、途中交代は難しいと思うけど、

一人のランナーが相当の距離を走る駅伝、まして箱根なら、ぜひ考えてみてほしい。

 

「代わってもいいんだって考えだと、選手に甘えがでるよ。世界に通用するランナーが育たない」

というかもしれないが、「厳しさ=強さ」ではない。

スポーツは悲劇を生み出すことが目的ではない。

 

選手交代を認めるとしたら、駅伝の場合の交代はどんな感じでするのがよいか。

「ペナルティ付ピンチランナー制」はどうだろう。

 

例えば、あらかじめ登録された各チームのピンチランナー達(補欠から選出)は、

常に現走者の後あたりを車に乗って追走する。

もし、途中でランナーが足がつったなど、走行自体が困難になった場合、

ピンチランナーが代わりに走るのである。

 

そんなルールは、作戦として悪用されるだろ、という反論もあろう。

「代わったほうが一人の負担が減るじゃないか」

「20kmは苦手だが10kmはトップクラス、みたいな選手を、

10km走った時点で故障したふりもできるじゃないか」

「本来の駅伝競技以外のところで駆け引きをするようになるじゃないか」

それはそれで考えればいい。

本来のルール制定の目的とはずれるような行為については、

対応するルールに改正していけばいい。

 

安易な交代や戦略的な交代を避けるため、ペナルティをつける。

「交代する場合は、10分間のタイムをプラスする」などとしておけば、

少なくともそのタイムに見合う交代しかしないだろう。

これでも順位が変動するためのドラマはおこるのだが、なんといっても棄権しなくてすむ。

挽回するチャンスが残るし、その区間以外の区間記録も、最終順位も記録として残る。

 

交代要員は、箱根の場合、往路復路で計4人だが、「途中交代用の要員は一人のみ」とすることで、

簡単には使えない。

今までなかったカードを手に入れたからといっても、保険として取っておきたいだろう。

戦略的に使ってしまった場合、あとで本当にアクシデントがあったら、

「あのとき使わなければ」なんてことになるから。

 

目的は、その日偶発的におこったアクシデントによっての悲劇を、できるだけ避けること。

せっかく日々全力で頑張ってきたのだから、選手たちが笑顔で終われるレースをしてほしいのだ。

 

山の神のラストとなる今大会、とりあえずアクシデントのないことを祈る。


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