
第11章 大いなる孤独
(1) ルブリンが檻に戻るころには夕闇はすっかり深まり、かまどの火が辺りを照らし始めていました。
問いかけるような皆の視線がルブリンに注がれる中、ダラは繕っていた革ひもから目を上げて尋ねました。
「白い馬は上手くいっていたか?」
「いいや」ルブリンは応えました。
「そうでもない。クラドックには別に文句はなさそうだけどね。」
「それが何より肝心なこと。」テレリが女たちのなかから口を挟みました。
「いいや」ルブリンはもう一度否定しました。
「それはたいしたことじゃない。」
ルブリンは、かまどの火の明かりに浮かぶ一族の民の顔ひとつひとつを、はっきりと見極めるように見渡しました。
この者たちのために自分は死んで行くのだと思いながら。
「ほかに何があるというの?」
テレリは、まるで何かを封じ込めようとするかのごとくに食って掛かりました。
「仔馬の母なるエポナの神にふさわしいかどうか、それが肝心なんだ。」ルブリン・デュは応えました。
「馬に息吹を注ぐため、最後は僕の命を捧げて仕上げる。だから、僕が死ぬに値するものかどうか、それが肝心なんだよ。」
ぼろ切れのような姿の者たちの間にかすかなざわめきがおき、そしてすぐに止みました。
ざわめきの中に驚きの様子はありませんでした。
彼らもまたそのことを知っていたのです。
沈黙のなか、ひとりダラだけが繕いかけの革ひもから視線を上げると言いました。
「俺が新たな族長だ。一族が生き延びるために死ぬのは、俺の役目だ。」
「いいや」ルブリンは言いました。
「新しい族長である君の、君とテレリの役目は、北にある新たな牧へと一族の皆を導いていくことだ。僕は古い族長の息子で、馬の創り手なんだ。これから為すべきことをエポナの女神が示してくださった。死は僕の務めなんだ。」
今やそれは、まるで朝に花を開いた白い昼顔が、夕べにはその日限りの命を全うした花をつぼみの形へと閉じるような、損なわれることもなければ逃れることもできないひと巡りのように、とてもはっきりとしたことなのです。
ルブリンはダラの隣に腰掛けました。
「明日、もう一度最初から始めよう。」