
第11章 大いなる孤独
(2) ルブリンたちは、石灰を塗った革で印を付けた場所に若木を置いていく作業を、もう一度やりなおし始めました。
ルブリンは、丘の急斜面と作業を見晴らすあの木の間を、行ったり来たりしています。
そこに描き出される線は、まさにルブリンがエポナの女神に触れられたかのごとく、全く狂いはありません。
いまや前のようなうわべだけの馬ではなく、かつて彼が捉えようとした飛び交うツバメの動きや、かき鳴らされる竪琴の調べの魔法の絵に、とても近づいたものになっています。
一本の長く麗しい線が、首から背へ、そしてたなびく尾へと途切れることなく流れ、すらりとした胴はいちばん広いところでも大股歩きで4歩強の幅なのに対して、点で描かれた耳から尾の先端までは大股歩きで120歩以上もあります。
頭の形はハヤブサのそれに似ていますし、互いに遠く離れた場所に配された2本の脚は、胴体と接してさえいません。
それで良いのです。
雲の影が漂いヒバリの歌が響く丘の高みに作っているのは、形だけの馬ではないのですから。
彼が作っているのは馬の、エポナの女神そのものの力強さや美しさ、そして未来へと伸びゆく力なのです。
征服者たちがそのことを知ることは決してないでしょうが。
ダラとほかの者たちは、自分たちがやっている奇妙な作業について何も言いませんでした。
全体を見渡すにはあまりに近すぎて、草の上にまき散らされた印しか見えない彼らには、それが何なのか知りようがありません。
北に向かって旅立つ日に、谷の向こうから振り返って見るまで、それを知ることはないでしょう。
彼らはルブリンの指図どおりに働きました。
まるで祭司の命令に従うがごとく、牛革を石灰が塗られた若木に再び置き換え、牛革をぐるぐると渦のように切って槍のひと投げの距離よりも長い幅広の紐を作り、それを若木で引かれた大雑把な下書きと置き換えて木釘で留め、より精巧な輪郭を形作りました。
そうした作業が進むなか、誰もが、テレリやダラでさえも、ルブリンの影を踏まぬよう気を配っていました。
太陽が作る影も、月が照らし出す影も、夕闇に沈む檻の中でかまどの火明かりが投げる影さえも。
そうしてルブリンは、以前とは違った意味での孤独を一層募らせていったのです。