第12章 北への馬追い唄

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夏の白い砂塵に煙る中を曵かれて来た馬たちが、丘砦の近くに囲われました。
色々な馬が混ざった小さな群れを眺めたルブリンは、生え抜きではないけれど役立たずというわけでもない、クラドックは公平に選んでくれた、と思いました。
種馬は濃い茶色のと赤狐色のが一頭ずつ自ら檻に入り、牝馬は仔馬を孕んだものも含めて20頭かそれ以上、道中の厄介物になりそうな縮れ毛の二歳馬に、ポニーの群れが5頭・・・・。

ラマスの前夜祭では、丘砦の西側の白亜の丘の峰高くにともされた一対の篝火の間を、選りすぐられた牛と馬の群が、翌年の豊饒を願う祈りとともに追われていきます。
静かに響くひずめの音と、それを追い立てる馬飼いたちの叫び声とともに、暗闇の中からその姿を現す牛や馬たち。
ルブリンは、ラマスの火に集められていた彼の民に混ざって、かつて幾度となく見てきたその光景を眺めていました。
たてがみをたなびかせた荒々しい目の種馬たちや、脚元に仔馬を従え脅えた様子の牝馬たちが、峰の頂上で暗闇から突然姿を現したかと思うと、めらめらと赤く燃える炎へと進んでゆき、また再び暗闇へと姿を消します。
ルブリンはふと、頭を振り上げたてがみや尾を翻して流れゆく群れの中に、闇から現れた白い牝馬が炎の明かりに乳色の背中を煌めかせ、そしてまた闇へと消えていくのを見たような気がしました。
それはまるで、生涯を通じて彼の一部であった白い夢の牝馬、そして今はラマスの火が微風にたなびく峰の下、槍のひと投げほどの場所に白亜から切り出されて彼を待っている白い牝馬の幻のようでした。

全ての馬の最後に、赤狐色の種馬と最良の牝馬3頭が、今年の豊饒を北へ運ぶことを願う祈りとともに火の間を通りました。
その後を牛が通り終え、火の勢いが衰えはじめると、若い戦士たちの何人かが女たちの手を取って薄れゆく火灯りのなかへと走り出て、丈夫な男子が授かれるよう祈ります。
ぼろぼろにやつれたイケーニの男たちの間から歩み出たダラは、テレリの手をつかむと一緒に走り出し、赤々と輝く燃えさしを二人して蹴散らしていきました。
テレリは、自由を目前にしてにわかに溢れ出した喜びのままに、まるで春先のタイシャクシギのような声を上げています。
他のイケー二もそれに続きました。
新しい牧での子宝と豊饒を願って。

ルブリンは彼等を見ていました。

炎は小さく低くなり、灰の中のあちらこちらで火の粉が花びらのように舞っています。
赤い炎の揺らめきで見えなくなっていた夜の空が、星の瞬きとともに戻ってきました。
旅の空に、狩りの空に、牧の空に瞬く星たち。
ルブリンはその夜が星空であったことがうれしかったのでした。











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